四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

前回、お話したLa Movidaの続きとなりますが、スペインのニューウェイヴ界の女王として君臨したのが、Alaska(本名はOlvido Gara )。スペインでは『La Movida & Alaska』という伝記が出版されるほどの伝説の人物です。La Movidaは音楽だけでないとの話をしましたが、映画界に於いての最重要人物がPedro Almodovar(ペドロ・アルモドーバル)監督。彼の監督デビュー作『Pepi, Luci, Bom y otras chicas del monton(ペピ、ルシ、ボンとその他大勢の娘たち)』でBom役を演じたのが、Alaskaです。

彼女がNacho Canut 達と結成したのが、Alaska y Los Pegamoides。スペイン語で「y」は「&」と同義となりますから、Alaskaが主役的立場を務めるバンドです。「Horror en el Hipermercado」(1980年)はデビュー時のものですが、Ramonesっぽいパンクです。



1982年になってAlaska y Dinaramaに改名。『No es pecado』(1986年)のジャケのAlaskaは、Boy GeorgeとBow Wow WowのAnnabellaを足して2で割ったような感じになっています。ちなみにジャケでチェーンソーを抱えているように見えますが、実はチェーンソーではなく、枝切り機らしいです。

No Es PecadoNo Es Pecado
アーティスト:Alaska Y Dinarama
(2008-01-22)
販売元:Amazon.co.jp
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このアルバムに収録の「A Quien Le Importa」を聴いてみると、サウンドも方もよりダンス寄りとなり、ラテン風Pet Shop BoysかDead Or Aliveって感じです。



1990年になって、AlaskaはNachoと二人でFangoriaを結成。明らかにホラー映画に影響を受けた名前です。イタリアでもそうでしたが、スペインのニューウェイヴの人達も息が長く、現在も現役バリバリでムンムンです。Alaskaは他のアーティストとのコラボも行っており、Miguel Boseと「Amante Bandido」(2007年)をデュエット。Miguel Boseについては後日、触れる予定です。

イタリアは一段落したので、次は情熱の国、スペインです。70年代末から80年代にかけてニューウェイヴは全世界的ムーヴメントでした。イタリアにもあったし、札幌にもあったし、スペインにもありました。

スペインは西欧だから自由な国というイメージが一見ありますが、1975年までフランキスモと呼ばれたフランシスコ・フランコの独裁政権下にありました。正式に民主主義体制に移行したのは1978年で、その順調な移行から「スペインの奇跡」と呼ばれました。フランコ政権陥落後、スペインのユース・カルチャーは花開くわけです。そのムーヴメントをLa Movida Madrilena(日本語に訳すと「マドリッドの喧騒」)またはNueva Ola(ニューウェイヴ)と呼びました。これはマドリッドで起こった音楽だけでなく、芸術、映画、演劇などに渡る文化運動でした。音楽的には、ドイツにはNeue Deutsche Welle(ドイツのニューウェイヴ)があったように、スペインのニューウェイヴと呼んでもいいでしょう。

そのあたりの動きを捉えたコンピレーションの一つが、『La Otra Movida』。fnacというフランスやスペインで見かけるチェーンレコード店が製作したものです。ニューウェイヴ的な曲もありますが、オールドウェイヴ的ロックも含めてLa Movidaだったようです。やはり、独裁政権が長かった故、ポップカルチャー的にはタイムラグが起こり、混沌としてしまったのでしょう。

laotramovida


そんな状況下、スペインでもテクノポップと認識されているバンドが、Aviador Dro(正式にはEl Aviador Dro Y Sus Obreros Especializados)。ちなみにスペイン語で、テクノポップは「Tecno-pop」です。メンバーは後に減ったようですが、7人組の時代もあったようです。彼らの代表曲「Nuclear Si」(1983年)は、タイトルからして原子力に関する歌だと思われますが、Kraftwerkの「Radioactivity」あたりに通じる世界です。



「La television es nutritiva」(1982年)では、DEVOやPOLYSICSを思わせるユニフォームを纏い、ロボットのようなカクカクした動きがイカスぜ!



80年代からかなりの数のリリースをしていますが、2枚組CD『Todos Sus Singles Y EP's 1982-1998』では、彼らの80年代・90年代の音源を収録しています。これはスペインに行った際、買ったのですが、日本では手に入れにくいようです。

aviadordro


こちらはAmazon.co.jpにジャケ入りで唯一あったアルバム。

Confia En Tus MaquinasConfia En Tus Maquinas
アーティスト:Aviador Dro
Subterfuge
販売元:Amazon.co.jp
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イタロディスコ、イタロハウス等とは呼ばれますが、イタロエレクトロとはあまり呼ばれていない。でも、そう呼びます。前回、ざくっとイタロディスコの話をしましたが、今回は時間を飛び越えて、21世紀の話をしたいと思います。フレンチエレクトロという言葉はかなり一般化した感がありますが、ゼロ年代は今までイギリスやドイツ中心だったシーンがヨーロッパ全土に広がった時代でした。Daft Punk以降のアーティストもフランスから続出し、基本英語で歌い、世界標準と言える活動をしてきたアーティストも増えました。

じゃ、最近のイタリアはどうなんでしょう? ゼロ年代初めには、ミラノのDJ、Benny Benassiの「Satisfaction」(2002年)といったイタロエレクトロ前夜的な動きはありましたが、ここ2-3年、フランスのJusticeやドイツのDigitalism等に続けとばかりに、エレクトロ新興勢力がイタリアからも出てきています。



Crookersは、日本では「狂ッカーズ」なんて表記もされますが、英語で「crook」とは詐欺師とか悪漢、(動詞として)曲げるという意味です。Kid Cudiとのコラボ「Day'N'Nite」がヒットしたり、Lady Gagaの「Telephone」のリミックスなども手掛けており、イタリア勢としては勢いがある二人組です。「Put Your Hands on Me」などは、ヒップホップと言った方がいいですが、個人的にはフランスの歌姫、Yelleのヴォーカルをフィーチャーした「Cooler Couleur」がお勧め!



TONS OF FRIENDSTONS OF FRIENDS
アーティスト:クルッカーズ
avex trax(2010-04-14)
販売元:Amazon.co.jp
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名前からもジャケからもなんだかおどろおどろしいThe Bloody Beetroots。Daft Punkを意識したのか、覆面を着用。Dim Mak Records に所属していますが、レーベルオーナーはSteve Aoki。BENIHANAでアメリカンドリームを実現した元オリンピック・レスラーのロッキー青木の息子さんです。妹のDevon Aokiも有名なモデル(映画にも出ていますね)。Steve Aoki自身も、The Bloody Beetrootsのアルバム『Romborama』(2009年)に参加しており、彼をフィーチャリングした「WARP」は、破壊的な快感があるエレクトロ。同時に曲によってはとてもポップで美メロです。Justiceに通じるものがあります。



ロンボラマロンボラマ
アーティスト:ザ・ブラッディ・ビートルーツ
ケイエスアール(2009-07-15)
おすすめ度:4.0
販売元:Amazon.co.jp
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イタリアと言えば、エロい。そのイメージを作ったのは、Cicciolina(チョチョリーナ)とSabrina(フルネームSabrina Salerno)です。「ユーロビートでセクシー!」というAll Aboutテクノポップの記事で歴代のSabrinaジャケを展示しましたが、僕が持っている唯一のSabrinaのCD『Music History』のジャケもエライ事になっています。隠したいのか隠したくないのか、どっちやねん? どこで買ったか忘れましたが・・・ 

sabrina-musichistory


Sabrinaの代表曲「Boys」(1987年)のPVもエライことになっています。一応、水着を着用されているのですが・・・水着がずり落ちようと、全く動じない、無邪気なSabrinaちゃん。



今や日本を代表するエロス、杉本彩が「Boys」(1988年)のカヴァーをしていました。Sabrinaの後に見ると、清純派に見えます。



今もSabrinaは活動しているのだろうかと調べてみたところ、現役バリバリ、ムンムンです。驚く事に、Sabrinaはイギリスのエロスの巨頭、Samantha Foxと二人で、Blondieの「Call Me」をデュエットしています。

イタリアと言えば、哀愁の国です。そのイメージにはGazeboも一端を担っているでしょう。Gazeboの場合、イタロディスコと言えるほど、ディスコしていませんが、彼の「I Like Chopin」(1983年)は全世界(アメリカ以外)で大ヒット。この曲で、ショパンはChopinと綴るんだと学習した人もいるでしょう。単語を羅列したような平易な英語の歌詞というのもかえってよかったのかも。



松任谷由実の日本語詞で、小林麻美が歌った「雨音はショパンの調べ」(1984年)は、見事オリコン1位に輝きました。実は、彼女のデビュー・シングル『初恋のメロディー』(1972年)のシングルは、僕が幼少の頃、買ったと思われるレコード。当時、子供心に歌唱力には疑問を持ちました。しかし、10年以上経って、こんな成長を遂げられたんです。1988年には武道館公演という偉業を達成しています。また、『an an』に登場する小林麻美はアンニュイの女王としても君臨しました。



CRYPTOGRAPH 愛の暗号
アーティスト:小林麻美
ソニーレコード(1990-10-15)
おすすめ度:5.0
販売元:Amazon.co.jp
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同じくシングルリリースされた「Lunatic(ルナティック 〜狂った優雅)」(1983年)は、曲の構造も「I Like Chopin」に似ています。あえて言えば、チョッパーベースがポイントになっています。



こちらも小林麻美が「月影のパラノイア」(1984年)というタイトルでカヴァーしていますが、一押しは、現在も女優として活躍する北原佐和子が「予感」(1985年)というタイトルでカヴァーした方。彼女の最後のシングルでもあります。これは、ムーンライダーズの岡田徹が編曲しただけあって、分厚いシンセ音が効いたルナティックなアレンジになっています。

北原佐和子 コンプリート・シングルズ&モア北原佐和子 コンプリート・シングルズ&モア
アーティスト:北原佐和子
テイチクエンタテインメント(2008-08-27)
おすすめ度:5.0
販売元:Amazon.co.jp
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前回に引き続き、イタロディスコ特集。でも、今回は地下系ではありません。日本でも80年代中盤からのユーロビート・ブームの中、イタリアものも多く紹介されました。同時にユーロビートの日本語カヴァーも含めたJ-EURO(ユーロ歌謡、和製ユーロ)も登場しました。ユーロビート=イタロディスコではありませんが、後期イタロディスコの多くはユーロビートに入れてしまっていいと思われる状況を作っていました。実際、ユーロビートはヨーロッパだけでなく、アメリカ産のユーロビートなどもあって、ややこしい。

では、ここでイタロディスコ系(イタリア産ユーロビートと言った方が適切かも)の日本語カヴァーを本家と共に紹介しましょう。

イタリアのユーロビートの代表選手と言えば、Michael Fortunati。彼の代表曲「Give Me Up」(1986年)は今聴いてもバブリーな気分になります。マハラジャ、お立ち台、ボディコンに代表されるバブル景気というのは、バブル崩壊後に一般に認知された用語ですが、概ね、1986年から1991年頃までを指します。Michaelには当時のバブルに沸く日本がどのように映っていたのでしょうね。ちなみにジュリアナはバブル崩壊後。意外な事に彼が売れ始めたのは、イタリアではなくベルギーなんです。そして、日本での人気が突出したBIG IN JAPANの一人とも言えましょう。PVでは、やはりトレードマークのショルキーが出てきます。



「Give Me Up」は複数のシンガーによってカヴァーされていますが、Michaelの翌年に近藤智子と二階堂ゆかりから成るBaBeのカヴァーが一番有名でしょう。彼女達は、この曲のカヴァーでデビューを果たし、「夜のヒットスタジオDX」でMichaelと共演も果たしました。



現在も現役で活動するMichaelですが、2010年1月18日には「SMAP×SMAP」に出演し、「Give Me Up」を共に熱唱。日本での全国ツアーもやっているようです。

GIVE ME UP-COMPLETE BEST OF MICHAEL FORTUNATI-GIVE ME UP-COMPLETE BEST OF MICHAEL FORTUNATI-
アーティスト:マイケル・フォーチュナティ
Independent Label Council Japan(IND/DAS)(M)(2008-04-02)
販売元:Amazon.co.jp
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先生:tetsuさん、これでアイドル対談も5回目を迎えました。今日は、Tomato n'Pine、略してTomapai特集です。

tetsu:よろしくお願いします、

先生:地下アイドルは知らないけど、Tomapaiなら知っていると偉そうな事を言いましたが、僕の知っているTomapaiは二人組(奏木純と小池唯)なんですよね。

tetsu:結局2人組のTomapaiは地下から抜け切れなかったですよね。メジャー・デビューもできなかった。1枚だけで純ちゃんがどっかいっちゃったので、去年ひと夏で終っちゃった。一応「別にやりたいことができたので」という 理由があるようですが・・・

先生:うーん、バニラビーンズ(バニビ)のケースの様に、メンバーが脱退してからの方が面白くなったケースもありますから。New Orderなんかもそうですし。『Life is Beautiful』(2009年)は少し遅れて買いました。13曲収録のデビュー盤ですが、実質は3曲ですね(笑)。他はリミックスとかスネークマンショーみたいな小ネタ入れて増量です。まぁ、小ネタと言っても、特にオチはありません。

Life is beautiful(DVD付)Life is beautiful(DVD付)
アーティスト:Tomato n’Pine
インディーズ・メーカー(2009-04-04)
おすすめ度:4.5
販売元:Amazon.co.jp
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tetsu:全体的に微妙にアイドル性を残してるのがポイントですよね。

先生:タイトル曲の「Life is Beautiful」は、キラキラ系の四つ打ちガーリーハウス。Floor on the Intelligenceのリミックスが入っているので、調べてみました。Floor on the Intelligenceは『ROMAHOLIC』というアルバムを2009年に出していて、これはYUKI等にも関わる田中隼人さんの別名義ユニットと考えていいでしょう。田中さん自体がTomapaiのプロダクションに深く関わっているからクオリティは高いですね。



tetsu:今をときめくagehasprings全面プロデュースという触れ込みだったですからねぇ。

先生:agehaspringsは勢いがあるようですね!「Unison」の方は、バニビの妹と言いたくなる渋谷系の香りがする楽曲です。「今日ゎ帰りまぁす」の方も、同じ傾向。で、3人組(小池唯、草野日菜子、和田えりか)になって、8月25日に久しぶりのリリースをするようですね。7曲入り『キャプテンは君だ!』。これは写真集とかが付いた別のリリースとかあって、ややこしいです。

キャプテンは君だ!(通常版)キャプテンは君だ!(通常版)
アーティスト:Tomato n’Pine
Tomato n' Pine Tokyo(2010-08-25)
おすすめ度:4.0
販売元:Amazon.co.jp
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tetsu:とりあえず現場では、握手のために3種類全部買う(笑)私としては、ややこしい事は何もないです。ただ、3種類買うと6000円なんですよねぇ。高いですよね。ヲタ選別して何が嬉しいんだ?とか思っちゃいますが・・・ グラビア系、歌うアイドル系のヲタ両方を取り込みたいのか、逆に両方を失っている気がします。 せっかく曲はいいので、曲を広める方向でお願いしたいなぁ

先生:リード曲の「キャプテンは君だ!」はアイドル路線でありつつも、ちょっとオシャレな感じでイイじゃないですか。

tetsu:曲はいいんですよ。曲のクオリティは文句ないです。個人的にはグラビアはいらないので、もっとステージ増やして欲しい。僕は「キャプテンは君だ!」より「POP SONG 2 U」が好きです。「POP SONG 2 U」は、2期お披露目イベントの為に急遽作った曲っていう話ですが、歌詞も曲もカワイイですよね。

先生:「POP SONG 2 U 」のリミックス曲(KUMANBACHI remix)はさらに気にいりました。ゼブラクイーンこと仲里依紗の「ゼブラクイーンのテーマ」の作曲編曲をした飛内将大さん! 渋谷系もアイドルも吹っ飛びそうなフレンチエレクトロ系リミックスが素敵です。

tetsu:結構いいですよね。

先生:あと、配信だけのようですが、Puffyの「渚にまつわるエトセトラ」をハウスカヴァーしていますね。トマパイの公式ページに行くと、さわりが聴けますね。これ、ベタなネタですが、好きです。

tetsu:僕も好きです。こういう気軽に聞けるのはいいですよね、今回のリリースイベントでも毎回やってます。とっても振付がカワイイです。

先生:ライヴ・パフォーマンスを生で見た事はないのですが、tetsuさんは当然見ているんですよね。どんな感じですか?

tetsu:やっぱ唯ちゃんがかわいいのですが、WADAちゃんがやばい(笑)。この前、WADAちゃんに爆レスもらって思わずファンになりました。微妙に緊張して震えてたりして萌えますねぇ。それはともかく、前のTomapaiよりは、もうちょっと真面目にダンスやってるなってのがわかります。前のTomapaiは、初期の頃からお友達トーク系で緩い感じでしたが、今回のTomapaiは、まだ緊張が伝わってきますね。フリートークなしですし、曲の振りを微妙に間違えたりして、またそれも可愛くていい感じです。

先生:tetsuさん、目がうるんでいますよ。

tetsu:Tomapaiは、agehaspringsでの同じ路線とクオリティを期待してますし、これからの展開にめっちゃ期待しています。バニビ的な独自の展開をお願いしたいです。

先生:では、次のアイドルさんは? まだあるのでしょうか?

tetsu:先生が飽きるかネタが尽きるまで(まだまだ大丈夫です)って決めてますが、どこまでやりましょうか(笑)。とりあえず、地方に目を向けて、北の方から、仙台のテクプリ、新潟のNegiccoでいきましょう。

先生:僕は忍耐強いです。じゃ、地方アイドル系を北から南下していきましょう。北海道に居ないのなら、仙台から始めますかね。じゃ、仙台でお会いしましょう(行かないって)。

イタリア特集第4弾です。イタロディスコは、近年エレクトロの文脈で再評価をされましたが、イタロディスコという名称がなかなか紛らわしい。時には、ユーロビート(日本ではこの呼称が一番判りやすいでしょう)的なものも含めて、イタリア産だったら、イタロディスコと呼ばれたりもします(という自分も、そう呼んだりします)。

今回取り扱うイタロディスコは、初期のアンダーグラウンドとしてのイタロディスコ。Wikipediaによれば、イタロディスコという呼称はZYX Musicのレーベルオーナー、Bernhard Mikulskiによって始められました。ドイツのレーベルですが、イタロディスコ老舗レーベルと言っていいでしょう。ZYXからのアーカイヴ的トラック集は、『Italo 2000 Rarities』(Vol. 3まであります)というシリーズで復刻されています。そう言えば、70年代のミュンヘンサウンドはドイツ発ですが、ディスコとシンセサイザーを結びつけ火をつけたGeorgio Moroder先生はイタリア人ですもんね。

Italo 2000 RaritiesItalo 2000 Rarities
アーティスト:Various Artists
Zyx(1998-06-15)
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初期のイタロディスコにはロボットや宇宙というテーマの曲が多く、それはテクノポップとの共通項でもあります。Irmaからリリースされた『I-ROBOTS』(2004年)はそんなあなたの期待に応えてくれるイタロディスコ・コンピレーションです。ジャケがガンダムっぽいのです。イタロディスコものとしては超おススメ!

I RobotsI Robots
アーティスト:Various Artists
Irma(2004-07-05)
おすすめ度:5.0
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そのコンピには、名前からしてロボット君のAlexander Robotnickの「Dance Boy Dance」というミニマルなイタロディスコ、いやテクノポップというべき作品が収録されています。27歳から音楽を始めた遅咲きボーイですが、時を経ても風化しない魅力があります。



『Rare Robotinick's』(2004年)というCDを持っていますが、長細いGary Numanみたいなルックスがそそります。「Problems D' Amour」(1983年)が彼の代表曲ですが、これはディスコパンク系コンピ『Disco Not Disco 2』や最近のエレクトロ系コンピ『Infinity』等に収録されているカルトな人気がある曲。確かにイタロディスコというよりもディスコパンクの方がしっくりします。2010年現在もまだリリースをしている模様。ロボットだから年を取らないのか?

rarerobotonicks

Rare Robotnicks
アーティスト:Alexander Robotnik
Hot Elephant
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次回は、もう一つのイタロディスコを紹介します。

僕がPOP ACADEMYというサイトをコツコツと作っていた頃、バカ買いが得意なレコードハンターの荒君と盛り上がった謎のイタリアの二人組です。

荒君の解説を先ずは紹介しましょう。
ジャケのテクノ臭にひかれて、中古アルバム『Righeira』(1983年)を200円で購入し、ハマッてます。サウンドは(YMO+Telex)÷2というところ。Michael Fortunatiの「Give Me Up」みたいな曲調のもありますが、シンセの音色で結構グッとくるものがあります。裏ジャケのクレジットではProphet5、Arp Odyssey、MC4、Linn、Simmonsなどのクレジットがあり、これも購入のキッカケのひとつです。録音はミュンヘン。イタリア系バンド。


righeira


GEMMのリストで『Bambini Forever』(1986年)を発見し、「同名別バンドでもいいや」と思いオーダーしたら、やはりあのRigheiraでした。ジャケを見て呆れてしまいました。二人が赤ん坊のカッコ(志村がコントでやってたような)をしており、笑顔で写っとります。 裏ジャケには、二人の横に叶姉妹(妹の方)のようなセクシーねぇちゃんが一緒に写っており、「なんなんだこの女の人」と思って、インナーの写真を見たら、そのねぇちゃんがRigheiraの二人にオッパイ飲ませてる写真が・・・。サウンドは1986年ということでだいぶ洗練されてきてますが、日本人好みというか、憶えやすいメロディーが多いのは相変わらずで、お気に入りです。


bambiforever


こんなこと書かれたら、見たいですよね。飲ませている写真・・・こちらにあります。

当時はほとんど情報がネット上にもなかったのですが、今はWikipediaにもあります。Wikipediaによると、RigheiraはStefano Rota とStefano Righiの二人によって1981年に結成。

彼らの代表曲は、『Righeira』にも収録され、シングルヒット(イギリスで53位)もした「Vamos A La Playa」。タイトルはイタリア語でなく、スペイン語で「Let's Go To The Beach」という意味。明るいテクノポップに聴こえますが、以外にも原爆の脅威とビーチの汚染というシリアスなメッセージが込められています。この曲はよくイタロディスコ系のコンピに入っていたりしますが、テクノポップと言った方がしっくりきます。。Chrisma(Krisma)のカヴァーをしたHong Kong Counterfeitも同曲をカヴァーしています。



同じく『Righeira』からの「No Tengo Dinero」のPVは、アニメ風で何気にカッコいいぞ。ジャケと同じ映像がアニメで出てきます。



Krismaと同じく、Righeiraも現在も活動している模様。「Vamos A La Playa」の2010年版PVも製作しています。大きいほうのオッサンのサングラスが、Aira Mitsukiちゃんの「チャイナディスコティカ」と良く似ている(笑)。しかし、未だにこのおっさん達、どう見てもコメディアン。荒君がイタリアの電気グルーヴみたいなものかと言っていたのも頷けます。



2007年に新作『Mondovisione』をリリースしていますが、今まで紹介した曲を含んだベスト・アルバム『The Best』もあります。

The BestThe Best
アーティスト:Righeira
Dvmor(2010-08-31)
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イタリア特集第2弾です。Chrismaは、1976年にMaurizio Arcieri とChristina Moser の夫婦によって結成されました。70年代はあのVangelisがプロデュースに関わっていました。デビュー・アルバム『Chinese Restaurant』(1977年)からシングル・カットされた「Lola」はヨーロッパでスマッシュヒット。キャバレー風ニューウェイヴとでも言いましょうか・・・とっても味があります。



Chinese RestaurantChinese Restaurant
アーティスト:Chrisma
Universal Italy(2007-10-26)
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1980年にChrismaからKrismaに表記変更。Chrisma時代の最後のアルバム『Hibernation』(1979年)にはシングルにもなっている「Aurora B.」というこれもまたキャバレー風の作品があります。PVからはイタリアンエロスがムンムンです。



HibernationHibernation
アーティスト:Chrisma
Universal Italy(2007-10-26)
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日本でChrismaを知っているとしたら、戸川純ちゃんのファンである可能性が高い。彼女のアルバム『好き好き大好き』(1985年)では、「オーロラB」というタイトルでChrismaのカヴァーをしています。きっと、純ちゃんは、キャバレー風の作風に共感したのでしょう。



好き好き大好き(紙ジャケット仕様)好き好き大好き(紙ジャケット仕様)
アーティスト:戸川純
Sony Music Direct(2006-02-22)
おすすめ度:5.0
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Krismaに変わってからの代表曲の一つは、同タイトルのアルバムもリリースされた「Cathode Mamma」(1980年)。この曲は、マニアックなカヴァーが得意なエレクトロクラッシュ二人組(竹の子族に影響を受けているらしい)、Hong Kong Counterfeitがカヴァーしています。



とっくに活動を停止したものだと思っていたら、現在もKrismaは現役バリバリ! こちらは2010年版の「Lola」です。さすがに30年以上の歳月を感じさせますが、仲睦まじく二人でステージに立つ姿は微笑ましい。



Krismaのベスト集『The Best』には、Chrisma時代の作品も収録しています。

The BestThe Best
アーティスト:Krisma
Dvmor(2010-08-31)
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新しいシリーズを始めます。名付けて、音楽世界旅行。同じような企画を以前、All Aboutテクノポップでもやっていましたが、時間も経って、いろいろな発見もあったので、テクノポップな視点で世界中の国や地域の音楽紹介をします。先ずはイタリア。イタリアでのメインストリームとなるポップス、カンツォーネ、オペラの正統派を期待されてしまうと、今回の特集はちょっと期待外れになるでしょう。先ずは、70年代末から80年代にかけてのイタリアン・ニューウェイヴ(イタロウェイヴ)特集です。

これから紹介するアーティストの中でメインストリームに入れてもいいのは、Matia Bazarくらいです。1975年に結成され、1978年のサンレモ音楽祭では総合優勝を果たしました。80年代に入ると彼らのサウンドはシンセサイザーを取り入れアヴァンギャルド化し、Antonella Ruggieroのオペラっぽいヴォーカルと相まって、かの香織さんが在籍したCioccolata(ショコラータ)と被ったりします(CioccolataはMatia Bazarを意識していたんでしょうかね?)。アルバムで言えば、『Berlino, Parigi, Londra』(1981年)、『Tango』(1983年)、『Aristocratica』(1984年)がアヴァンギャルド三部作と言えるでしょう。

Berlino, Parigi, LondraBerlino, Parigi, Londra
アーティスト:Matia Bazar
Virgin(2010-04-13)
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TangoTango
アーティスト:Matia Bazar
(2010-04-13)
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AristocraticaAristocratica
アーティスト:Matia Bazar
(2010-04-13)
販売元:Amazon.co.jp
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「Il Treno Blu(愛のブルートレイン)」(1983年)は、日本でもマキシム・コーヒーのCM曲になりましたが、これは日本だけでシングル発売されました。

ainobluetrain


『Tango』収録の「Il Video Sono Io(私はビデオ)」は、タイトルもテクノだし、イタリア未来派みたいでカッコいいです。



『Aristocratica』に収録された「Sulla Scia」は、まるでお経のようなフレーズとドンドコリズムが無国籍なアヴァンギャルド感を生みだす不思議な曲になっています。



Matia Bazarは1986年に来日していますが、その一年前にリリースされたアルバム『Melancholia』(1985年)には、「Ti sento(失われた島)」(ノエビア化粧品)、「Souvenir(スーヴニール)」(日本生命)、「Amami(郷愁の星)」(三菱ギャラン)と日本でCMタイアップされた三曲も収録されています。アヴァンギャルド性は弱まりましたが、日本での人気のピークとなったアルバムです。

MelancholiaMelancholia
アーティスト:Matia Bazar
(2010-04-13)
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最後に、比較のためと言うわけではないですが、僕の大好きなCiccolata(そしてかの香織さん)の「黒い月のニーナ」もぜひ聴いてみてください。



ショコラータ
アーティスト:ショコラータ
キングレコード(1994-06-22)
おすすめ度:4.0
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本日、All Aboutテクノポップで「applehead〜それはチワワの名前です」というタイトルでインタヴュー記事を掲載しました。appleheadとは、紅一点のmayutan(“たん”は“さん”みたいものなので、敬称略させていただきます)、candyさん、fredyさんの3人からなる自称、エレクトロ・ファー・バンド。今回は、2008年にリリースされたデビュー・アルバム『ILCQ』を中心に色々話を伺いました。80年代をリアルタイムで通過している男性二人の音楽性からもあの時代のニューウェイヴな香りがします。

ILCQ (アイエルシーキュー) [Import]ILCQ (アイエルシーキュー) [Import]
アーティスト:applehead (アップルヘッド)
SONORE RECORDS(2008-09-20)
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僕はまだappleheadのライヴを見た事がないのですが、最近(2010年3月)の映像がありましたので、見てみると・・・おお、Daft Punkの「All Around The World」やFGTHの「Relax」が散りばめられて、なんか面白い事になっている。



今回のインタヴューの前に、「T4Pより『萌えテクノぽっぷぅ』」というコンピレーションのリリース記念で、appleheadを代表してmayutanにインタヴューを2006年にしました。その際、彼女がいた“マサ子さん”というバンドについても少し聞いています。

マサ子さん ナゴムコレクションマサ子さん ナゴムコレクション
アーティスト:マサ子さん
ナゴムレコード(2005-08-24)
おすすめ度:4.0
販売元:Amazon.co.jp
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マサ子さんにはマサ子さんというメンバーはいないけど、イカ天(三宅裕司のいかすバンド天国)に出場したバンドなので、イカ天ファンの方なら知っているかもしれません。最初はアカペラの二人組でしたが、大正琴もありの6人の女子によるバンド形体となります。イカ天登場時、平均年齢18歳で、リーダーはmayutanです。同時にナゴムが好きな人も。イカ天は関西ではちゃんとレギュラーで放映されなかったので、関西人である僕にとっては“そんなのがあるのは風の噂に聞くけど、いまいち分からない”現象だったのですが、マサ子の「雨にヌレテモいーや」は、1990年元旦の「輝く!日本イカ天大賞」のベスト・コンセプト賞部門に登場しています。ちなみにベスト・コンセプト大賞は、同じナゴムのたまでした。

前回は、コンピューターというお題でフランスのアイドル、France Gallの話をしましたので、今回は日本のアイドルの話をしましょう。コンピューターがテーマで、テクノポップで、アイドルが歌っているという全ての条件を見事にクリアした曲は、Perfumeの「コンピューター・シティ」(又は「コンピューター・ドライビング」)と伊藤さやかの「オ・ネ・ガ・イ スーパーコンピューター」! 後者は、彼女のデビュー・シングル『天使と悪魔(ナンパされたい編)』(1982年)のカップリング曲です。

onegaisupercomputer


B面曲でありながらも、特筆すべき点がこの曲にはいくつかあります。1982年頃は日本のメーカーがスーパーコンピューターへ本格的に参入した時期ですが、そんなことはどうでもいいのです。先ずはタイトル。1982年と言えば、忌野清志郎+坂本龍一の「い・け・な・い ルージュマジック」が流行った年です。このシングルが発売されたのは、2月で、本曲は5月なので、表記方法については「オ・ネ・ガ・イ」は「い・け・な・い」へのオマージュとも取れます。

歌詞の内容を考察すると、アイドルによくある自己紹介ソングです。では、何をスーパーコンピューターにお願いしているのでしょう? ボーイフレンドです。これは、もしかして、前回お話したFrance Gallの元祖テクノポップ曲「Der Computer Nr. 3」へのオマージュなのか! そうであって欲しい。

コンピューターからは外れますが、伊藤さやかはアニソンとしても素晴らしい曲を残しています。それは、『恋の呪文はスキトキメキトキス』(1982年)。これは、アニメ「さすがの猿飛」のオープニング曲。



ちなみに森下くるみは『恋の呪文はベラマンチョ』(2003年)、小倉優子は『オンナのコ オトコのコ』(2004年)のカップリングとして「恋の呪文はパパピプパ」を歌っています。後者は、小西康陽作品です。



話が逸れましたが、それ以上に素晴らしいのが、カップリングされたエンディング曲「恋のB級アクション」。両曲とも小林泉美先生。「うる星やつら」での仕事の方が有名ですが、個人的にもとても好きな彼女の作品です。一時、彼女はPalais Schaumburg等にもいたドイツのミュージシャン、Holger Hillerと結婚していました。



伊藤さやかに戻りましょう。以前、中古本屋で偶然、彼女の告白本『日出処(ひいずるところ)〜不良時代の申し子』を見つけ、購入しました。装丁とタイトルからもヤンキー光線が出ています。1985年に出版されたこの本で、彼女は不良時代を激白し、高らかにロック宣言をしているのです。

hiizurutokoro

日出処(ヒイズルトコロ)―激白宣言書
著者:伊藤 サヤカ
立風書房(1985-04)
販売元:Amazon.co.jp
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ところが、2008年に行われた渡辺末美さんによるロング・インタヴューで、彼女自ら、「あの本にはゴーストライターがいた、3分の1は嘘」と答えています。それ自体はそれほど驚く事ではないし、批判するつもりもないです。僕が言いたいとすれば、「伊藤さやかの初期の曲は十分“ロック”だった」と。

ゴールデン☆ベスト デラックス 伊藤さやかゴールデン☆ベスト デラックス 伊藤さやか
アーティスト:伊藤さやか
ビクターエンタテインメント(2009-09-16)
おすすめ度:4.5
販売元:Amazon.co.jp
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世の中の流行とは全く関係なく、「コンピューターポップ」第2回目です。

「テクノポップの起源はなんなのか?」という問いに答えるべく、All Aboutテクノポップで「テクノポップの起源」という記事を以前書きました。詳しくは記事にありますが、やはりKraftwerkの『Autobahn』(1974年)、Hot Butterによる「Popcorn」(1972年)または、68年ごろから72年ごろまでのPerry & KinglseyやMartin Dennyなどによるモーグ・サウンドあたりが妥当な所でしょう。もちろん、何がテクノで何がポップという解釈で意見が分かれる部分もあるでしょう。

その後、『YMO GLOBAL』という本の仕事でテクノ歌謡のルーツを探ってみたのですが、そこで僕が行きついた結論は、France Gallの「Der Computer Nr. 3」(1968年)がテクノ歌謡の起源である。しかも、そのテクノ歌謡はテクノポップの起源とされる楽曲群よりも早かった! これについても当然異論があるでしょう。第一、France Gallは歌謡じゃないし・・・でも、40年以上前にこんな曲があったという事実は多くの人に知って欲しい。



France Gallと言えば、Serge Gainsbourgが育てた元祖フレンチロリータ。「夢みるシャンソン人形(Poupee de cire, poupee de son)」(1965年;ユーロビジョンのグランプリを獲得し、日本でもヒット)や「アニーとボンボン(Les sucettes)」(1966年;意味深なダブルミーニング)が代表曲となりますが、このドイツ語でリリースされた「Der Computer Nr. 3」も忘れてはいけません。この曲は、Sergeが絡んでおらず、フランスでの人気が下降気味だったGallがドイツでの活動に力を入れた時期に発売されたものです。ドイツ語の歌詞をWeb翻訳してみると、「コンピュータNo.3に自分に相応しい彼氏を見つけさせる」といった内容です。歌詞からも電子音のSEからもテクノポップの精神を感じます。意図的ではないのかもしれませんが、ぎこちない踊りや無反応な観客にも(笑)。

この曲はドイツ語と言う事もあってか、普通のベスト盤には収録されていませんが、彼女のドイツ語音源を集めた『En Allemand』(1998年)やiTunes Storeにて購入できます。

En AllemandEn Allemand
アーティスト:France Gall
Telefunken(1998-05-12)
おすすめ度:5.0
販売元:Amazon.co.jp
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また、ドイツ語音源には、「Ich liebe dich - so wie du bist」「Mein Herz Kann man nicht kaufen」といった Georgio Moroderの作品も収録されています。



調べてみると、「Der Computer Nr. 3」には結構な数のカヴァーが存在します。 De Bietというオランダのバンドもカヴァーしています。こちらもモンドなテクノポップ!



B.I.O.S.というドイツのユニットのシングル『Der Computer Nr.3』(1996年)

dercomputernr3


日本のHi-Posiのシングル『そなえよつねに』(2000年)のカップリング「コンピュータNo.3」・・・Hi-Posiは現在活動していませんが、なかなかイイ目の付けどころしています!

そなえよつねにそなえよつねに
アーティスト:Hi-Posi
ヒートウェーヴ(2000-06-21)
販売元:Amazon.co.jp
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神戸テクミー(テクノポップ・ミーティング)では、テクノポップのテーマを選んで、そのテーマに基づいた選曲で楽曲を紹介するという試みを行っています。8月21日にミニスタジオで行われた神戸テクミー vol.5では、僕のパートはコンピューターをテーマにしました。テクノポップのコンセプトとしてよく使われるのは、科学技術系。テクノ=テクノロジーですから、当然ですね。前回のテーマに選んだロボットに負けず劣らず、コンピューターというのも頻繁に使われるモチーフです。

コンピューターをコンセプトにした楽曲は数多くありますが、コンセプト・アルバムにまでしてしまったのは、God Of Technopop、Kraftwerkの『Computer World』(1981年)ですね。

Computer WorldComputer World
アーティスト:Kraftwerk
Mute(2009-08-20)
おすすめ度:5.0
販売元:Amazon.co.jp
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01. Computer World
02. Pocket Calculator
03. Numbers
04. Computer World 2
05. Computer Love
06. Home Computer
07. It's More Fun To Compute

ジャケットからも「テクノは黄色である!」という一つのイメージを作るだけの力を感じます。このアルバムが発売された1981年という時代背景を考えると、すでにPCは発売されていましたが、コンピューターは個人が所有するものというよりも、まだ研究者や専門家が使うものでした。自分自身の体験としても、初めて自分で使ったコンピューターは1983年頃のApple II(発売は1977年)。このアルバムより少し後になります。「Pocket Calculator」も広義の解釈でコンピューターとなり、一般の人達にとっては、電卓の方が身近にあるコンピューターだったと言えましょう。ちなみにコンピューターは電子頭脳というイメージですが、その法律上の呼称は電子計算機となります。

このアルバム、Kraftwerkの代表作的な扱い方をされている感覚が無いのですが、歴史に残るセルフミックス・アルバム『The Mix』(1991年)にて、『Computer World』から「Computer Love」「Pocket Calculator」「Dentaku」(「Pocket Calculator」の日本語ヴァージョン)、「Home Computer」と4曲も選ばれているので、メンバーも意外と気にいっているアルバムなのかと思います。

Kraftwerkの影響を受けた人達は数え切れませんが、Komputerという3人組をご存知でしょうか? 最初、バンド名からドイツ語かと思ったのですが、ドイツ語でもComputerはComputer。イギリスのユニットです。メンバーの名前からすると、どうやら同じMute系のI Start CountingとFortran 5のメンバーが被っています。新人を装った彼らのデビュー・アルバム『The World Of Tomorrow』(1997年)に収録の「Komputer Pop」は、Kraftwerkの『Computer World』に入っていても全く違和感のない曲となっています。「Bill Gates」なんていう曲もあって、こっちは「Man Machine」です。

World of TomorrowWorld of Tomorrow
アーティスト:Komputer
Mute U.S.(1997-11-18)
おすすめ度:4.0
販売元:Amazon.co.jp
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札幌出身のやぎというバンドが、「Computer Love」を彼らの2枚目のアルバム『プール』(1992年)に収録しています。Kraftwerkと同名曲ですが、カヴァーではありませんし、別にKraftwerkっぽい訳でもありません。女子ヴォーカルの脱力系ニューウェイヴ。ちなみに彼らのデビュー・アルバム『iL NEiGE』(1989年)は、あがた森魚がプロデュース。ジャケは、太田螢一(ゲルニカ)によるキモカワ系。

pool


以前、All Aboutテクノポップで「YMOとゲーム音楽」いう記事を書きましたが、YMOとコンピューターと言えば、「Computer Game」。「Mark Gamble Micro-Mix」なんていうのもありましたね。

YMOのメンバーが関わったコンピューターポップと言えば、「コンピューターおばあちゃん」。作詞作曲は伊藤良一さん。元々は、アルバム『COSMORAMA』で小田啓義さんの編曲でコズミック・インベンションが歌いました。

cosmorama

コズモラマ(COSMORAMA)
アーティスト:コスミック・インベンション
ビクターエンタテインメント(1994-12-01)
販売元:Amazon.co.jp
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有名なのは「NHKみんなのうた」で採用された酒井司優子さん(東京放送児童合唱団)が歌い、教授がプロデュース・編曲したヴァージョンです。その後も、POLYSIX、DENPA!!!などがカヴァーをしています。この「コンピューターおばあちゃん」の映像は、今もNHKで放送され、DVD化もされていますが、不適切な表現が含まれていたとして一部を手直しすると発表しました。再度、その映像を見てみると、確かに水着や露出的な映像がサブミリナル効果のように挿入されています。先ずは気付かないなかなかウィットに富んだ確信犯的映像です。

computerobachan


教授と言えば、「マイクロソフトI.E.4.0 Theme」もやっていましたね。

コンピューターポップ・・・続く

月刊新譜情報を4月から始めています。前月の終盤に翌月の新譜情報を掲載していますので、レコハンの参考にでもしてください。テクノポップ〜エレクトロ中心ですが、時々僕の好みでそれ以外のものも入れたりします。

【注目盤】
■Ellen AllienのBPitch Controlからイタリアの男女二人組WE LOVEがアルバム『WE LOVE』をリリースします。BPitchのリリースとしては、エレクトロポップ寄りの作品となっています。インタヴューも予定していますので、ぜひ一度聴いてみてください。

Ellen Allienは8月28日のWIRE10に登場しますが、下記の無料エキシビジョンが明日予定されています!

Ellen Allien presents Effects

BPitch Control、EAFファッションブランドのオーナー、
Ellen Allienがエキシビジョンを開催致します。

日程:2010年8月27日(金曜日)
時間: 17:00 - 21:00
入場料:無料

ベルリンのライフスタイルを東京の街へ。
EAFファッション & BPitch Controlの限定グッツ、新作などの展示、販売、ヴィジュアル放映。
お友達をお誘い合わせの上、お気軽にご参加いただけますと幸いです。

注意事項:当日はELLEN ALLIENによるDJプレイはございません。予めご了承ください。
DJプレイは8月28日横浜アリーナWIRE10 (21:05-22:15) にてお楽しみ下さい!

会場: 青山LightBox 1F


■Royksoppが昨年のアルバム『Junior』に続き、『Senior』をリリースします。『Junior』がポップ・サイドとすれば、『Senior』はダーク・サイド。また、彼らとコラボしているRobynちゃんも3部作の2枚目となる『Body Talk Pt 2』をリリース。

■60年代的ガールポップが好きです。80年代ならTracey UllmanやMari Wilsonとか。当時、ニューウェイヴ勢と並列と扱われていました。最近なら、The Like、そして日本でも1作目で人気が出たThe Pipettesも2作目をリリース。日本ならキノコホテル(笑)。あまり注目されませんでしたが、今は亡き80_panの「DISCO BABY」もThe Pipettes(Jon)とのコラボでした。日本盤も早く出して欲しい。

■Trevor HornがプロデュースしたLisa Stansfieldのアルバムが再発されますが、先日も書いたBugglesの再結成ライヴは、ロンドンのsupperclubで9月28日に。£300 (VIP), £100 (gig only)のチケットの発売もまもなく開始! 詳しくはこちら

■EP-4のアルバム2作がリリース!『Found Tapes』には発掘テープからの音源も収録されています。

9月1日:キリンジ『BUOYANCY』
9月2日:Underworld『Barking』CD+DVD
9月3日:MOTOCOMPO『MOTOCOMPO LIVE on Ustream "SECRET BORDERLINE"』「PERFECT BORDERLINE」会場限定
9月4日:WE LOVE『WE LOVE』

9月7日:Robyn『Body Talk Pt 2』
9月8日:Polaris『Live at 日比谷野外音楽堂2004/9/25』DVD+CD(再発)
9月8日:m-flo『m-flo inside -WORKS BEST IV-』
9月8日:Goodings Rina『Mashed Pieces #2』
9月8日:Royksopp『Senior』

9月13日:The Pipettes『Earth Vs the Pipettes』米
9月14日:world's end girlfriend『SEVEN IDIOTS』
9月15日:Lisa Stansfield 『Moment』再発;Trevor Hornプロデュース
9月15日:Dorian『Melodies Memories』
9月17日:Orchestral Modern In The Dark『The History Of Modern - Limited Edition Box Set』

9月20日:4-D mode1『Denkmal』
9月20日:David Guetta『One More Love』
9月22日:バニラビーンズ『VaniBest』
9月22日:コトリンゴ『picnic album 1』YMOカヴァー
9月22日:VOLA & THE ORIENTAL MACHINE『PRINCIPLE』
9月22日:EP-4『Found Tapes』
9月22日:EP-4『Multilevel Holarchy』
9月22日:a-ha『25〜Complete Best』
9月22日:ピアコンズ『ピアコンII』
9月25日:MEG 『BEST FLIGHT』初回限定盤2種類有

9月29日:相対性理論と大谷能生『乱暴と待機』CDS
9月29日:YMO『Yellow Magic Orchestra』Blue-spec CD仕様;他のオリジナルも同時発売
9月29日:Jazztronik『Bedtime Story feat.YUKI 』CDS
9月29日:AMWE 『Girls』
9月29日:LAKILAKI was 真保☆タイディスコ『FUTURISTCI HANDIWORK』
9月29日:Lady Gaga『Lady Gaga』DVD

(四方)先生:では、今回は趣向をガラッと変えて、爆乳さんについて教えてください。あんまりテクノと関係ない(いや、ちょっとだけある)爆乳さん特集です。夜露死苦!

(Hyper_)testu:(笑)

先生:先日、DJ Airaと同じイベントでtetsuさんは、DJされたんですよね。人から伝え聞いた話ですが、tetsuさんのDJの際、爆乳コールがあったとか(笑)。今や、Hyper_testu=爆乳DJという期待が生まれているようですね。

tetsu:最近、いろんなとこでかけまくってますから(笑)。最近、爆乳系の曲をかけたらかけたでなんか言われるし、かけなかったらかけなかったでなんか言われます。DJ Airaの時は、爆乳かける勇気がなかったです。準備はしてたんですけどね。かけたらAiraに白い目で見られるのは確実(笑)。そこまでドMじゃないですから。
あと、爆乳、爆乳言ってますが、素晴らしいから言ってるだけで、そんなにリアル爆乳のおねーちゃんが大好きなわけではないです。Perfumeでは、あ〜ちゃん推しですが(笑)。

先生:強引にPerfumeに引っ張って頂きありがとうございます。最近のセクシー系ガールズについては知識が貧弱なのですが、セクシーアイドル特集をしていた事があるので、90年代までなら僕も知っています。C.C.ガールズのような正統派(?)からT-BACKS、ゴールデン・ヒップス、ピンク・サターンのようなキワモノ系まで色々いました。時代は巡るのでしょうか?

セクシー★アイドルの時代#1:セクシー・グループ70's&80's
セクシー★アイドルの時代#2:セクシー・グループ90's

tetsu:時代は巡るといえば、巡るんでしょうが・・・ 今回の爆乳系は、全然正統派じゃない。キワモノの極みです。サウンドは90年代ですけどね。聴いたことない方は、一度YouTubeとかで見て欲しいです。



先生:爆乳さんはあくまでも俗称で、セクシーオールシスターズが正式名称ですね。でも、これは集合体の名前ですよね。

tetsu:爆乳戦隊パイレンジャー、爆乳三国志、D-Rive、美脚戦隊スレンダー、胸の谷間にうもれ隊、爆乳ヤンキー、爆乳甲子園の現在7組でセクシーオールシスターズと言います。まだまだ、増殖するかもしれません。爆乳戦隊パイレンジャーは現在活動してないです。

先生:なるほど〜。爆乳が付いた名前のユニットが4つもありますね。

夜露死苦おっぱい/ブラを探して夜露死苦おっぱい/ブラを探して
アーティスト:爆乳ヤンキー
ポニーキャニオン(2010-06-16)
おすすめ度:4.0
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爆乳音頭(DVD付)爆乳音頭(DVD付)
アーティスト:爆乳三国志
ポニーキャニオン(2009-10-21)
おすすめ度:4.5
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tetsu:爆乳と名前の付いたユニット全てに出ているグラビアアイドルで、最近深夜テレビによく出てる手島優さんは知ってますか? 「愛がいっぱいIカップ手島優です」って自己紹介をする方です。

先生:大変魅力的で眠れなくなりそうな自己紹介ですね。残念ながら、深夜テレビはほとんど見ないので、知りません。

tetsu:あの方がセクシーオールシスターズのリーダーです。ライヴ行けばわかるんですが、手島優さんがほんと素晴らしい。あの人の話芸なくして、セクシーオールシスターズのライヴはありえません。芸歴長いのもあるんでしょうが、あれは天性のものだと思います。時々、裏で悩んでるのが垣間見えて余計に萠えます。

先生:爆乳系の音源は一通り正座して聴かせて頂きました。イケイケというか、タイムスリップしたようなサウンドが炸裂していますね。その中でも、光を放っていた曲がありますね。爆乳戦隊パイレンジャーの「ピンクのソーダ」・・・これは、テクノポップというか、Perfumeを意識したような曲ですね。5人ですけど。

爆乳戦隊パイレンジャー(DVD付)爆乳戦隊パイレンジャー(DVD付)
アーティスト:爆乳戦隊パイレンジャー
ジョリー・ロジャー(2009-01-28)
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tetsu:爆乳系のサウンドは90年代の田舎のヤンキーの方がよく聴いてる感じの、うまく言えないけどすごく安い感じのサウンドです。安いってのはDISってる訳ではないですよ!
イケイケサウンドで、何も考えずノレる、踊れる。歌詞も奥が深いのか浅過ぎるのかわからないのがイイ!!
先生、あやまんJAPANさんってグループでやってる知ってますか? あの「安すぎる宴会芸」で有名なあやまんJAPANさんに通じるところがあるなぁと私自身は勝手に思っています。

先生:アヤパンなら知っていますが・・・こちらも勉強不足で知りません。

tetsu:「ピンクのソーダ」は、爆乳系の中で唯一のまともな曲です。ほんと素晴らしくて去年の夏ぐらいからずっとDJでかけてたんですが、誰も何も言ってくれない(笑)。ライヴでもやってくれないですね。ほんと、やって欲しいんですけどねぇ・・・ 「おっぱいおっぱい」言ってるあのライヴの雰囲気の中やる曲じゃないってのもわかるんですけどね。

先生:胸の谷間にうもれ隊の「スケベ!」「生殺し」は純アイドル調の不純な歌。アンビバレントな魅力がありますね。助川まりえちゃんも人気がありそうですね。

スケベ!(DVD付)スケベ!(DVD付)
アーティスト:胸の谷間にうもれ隊
ジョリー・ロジャー(2010-05-26)
おすすめ度:4.0
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tetsu:助さん人気はすごいですよ。話も結構面白い。爆乳系の中では一番ヲタを持ってます。でも、興味深いのは、残り2人、橘オリーブと與坂唯 です。2人 は、プロ野球東京ヤクルトスワローズのダンス・パフォーマーチーム、Swallows Wings(スワローズ・ウイングス)で頑張ってる方です。特にオリーブちゃんは、プロフィールで歌手になりたいようなこと書いてあったんですが、書き直しちゃったようで、人生いろいろあるんだなぁとか考えてしまいます。

先生:美脚戦隊スレンダーの「パンティーストッキング〜!」はなかなか中毒性がありますね。アレンジがレトロなのでちょっともったいない(笑)。

パンティーストッキング~!(DVD付)パンティーストッキング~!(DVD付)
アーティスト:美脚戦隊スレンダー
ジョリー・ロジャー(2010-04-07)
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tetsu:もったいないですか? DJやってると、一番反応がいいのが「パンティストッキング〜!」です。あのアレンジの安い感じがとっても好きなんですが(笑)。

先生:なるほど・・・古きを懐かしみという事ですね。彼女達の多くの曲はシングルで発売されていますが、アルバム『セクシー☆甲子園』を買ってしまうと、ほぼ全部そろってしまうのですか? これではシングル買ったファンはちょっと悔しいですね。あ、でもこれは一般人の感覚で・・・

セクシー☆甲子園セクシー☆甲子園
アーティスト:セクシー☆オールシスターズ
ポニーキャニオン(2010-07-21)
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tetsu:パイレンジャーは別にして、ここ1年ぐらいでほぼ2ヶ月おきに1組ずつシングルリリースしてまして、最後にアルバムリリースな感じです。何ヶ月連続シングルリリースとか言って最後にアルバム出すアーティストさんと変わりないと思います。はっきり言って、ろくに売れてないのにここまでやるのは驚異ですよ。
逆に毎月のようにリリースのイベントやライヴをやってくれて嬉しいです。セクシーオールシスターズいつ終わってもおかしくないと思ってましたし、今も思ってます。アルバムの発表が出て、解散の合図か?と思ったのですが、ライヴもまだあるようですし、次のシングルも決まってるようなので今は一安心って感じですが・・・この先どうなるかわかんないです。

先生:危機感がさらに高揚感を煽るのでしょうか?

tetsu:先生も爆乳のライヴ一度行ってください。あの楽しさがわかります。東京でしかやらないのが痛いですが、ライヴは、面白くて、楽しくて、踊れる。8月29日原宿アストロホールでのライヴがあります。

先生:じゃ、いつか夜露死苦お願いします(笑)。では、次に紹介するアイドルを予告してください!

tetsu:では、もうすぐ2ndシングルを発売するTomato n' Pineさんでいきましょう。

先生:トマパイですね。彼女たちなら僕も知っています。

先日、宇宙ヤングの笹公人さんとお会いしました。笹さんと言えば・・・
金星の王女わが家を訪れてYMOを好んで聴けり

などの独自の短歌を詠む歌人でもあります。
最近、和田誠さんと『連句遊戯』という本も出されました。怪奇、SF、芸能、歌謡等・・・自由な発想で連句が繰り広げられます。

連句遊戯連句遊戯
著者:笹 公人
白水社(2010-07-15)
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笹さんと話していて、話題に挙がったのが、YMOのコピーバンド、Chiba MO。YMOのカヴァーをした人達となると、最近のKeaneとかも含めて膨大になるのですが、YMOのコピーバンド(またはカヴァーバンド、トリビュートバンド)となると限られてきます。有名どころと言えば、2枚のアルバムをリリースしたYセツ王。他にもO-Setsu-Y、.EXE等のバンドも活動していました。OMYは、カヴァーというよりもYMO風(BeatlesのパロディーとしてのRutlesみたいな)。最近なら、『Hatsune Miku Orchestra』(2009年)をリリースした“HMOとかの中の人”。

Chiba M Oは、ITSUKIさん (Key/Vo)、HIDEさん (Guitar)、OTAさん (Bass)、MIYA さん(Drum/Arrange/Prog)の4人編成。YMOは3人ですが、ライヴをする前提で考えるとこの編成の方が正解でしょう。ITSUKIさんは女性ですが、YMOのライヴでのアッコちゃん的存在と捉えていいでしょう。3人にこだわり過ぎると、ギターはゲストみたいになってしまいますから。

Chiba M Oのオフィシャルサイトでは、現在、9つの動画が公開されています。YMOのファースト・アルバムからのカヴァーが多く、その中でも気にいったのが、「Mad Pierrot」のPV。完全に再現するというよりも、原曲の良さ(例えば初期のフュージョン色)を保ちつつ、音色が素敵なカヴァーをしています。ITSUKOさんのチャイナドレスも更によし(笑)。



ぜひ、トリビュート・アルバムも作ってほしいものです。

Bugglesが9月28日にロンドン(West London のどこからしい)にて再結成ライヴするとの発表がありました。再結成ライヴ自体は、DVDも発売された2004年の「A Concert For Prince Trust」で既に行われています。Trevor HornとGeoff Downes に加え、「Prince Trust」にも参加したBruce WoolleyもオリジナルBugglesラインナップとして登場予定です。また、僕の記憶が正しければ、90年代末の12月に一度、ロンドンでシークレットライヴをやったはずです。

producedbytrevorhorn
プロデュースド・バイ・トレヴァー・ホーン~ア・コンサート・フォー・プリンス・トラスト [DVD]
アーティスト:フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド
出演:オムニバス
デジタルサイト(2007-02-07)
おすすめ度:4.5
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今回、注目すべきは、Bugglesのファースト・アルバム『The Age Of Plastic』(1980年)から全曲を演奏するという点です。2004年のライヴでは、「Video Killed The Radio Star」と「Living In The Plastic Age」の2曲だけでした。

ラジオ・スターの悲劇+3ラジオ・スターの悲劇+3
アーティスト:バグルズ
USMジャパン(2006-12-20)
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ファンとしては、売れなかった珠玉のセカンド『Adventures In Modern Recording』(1982年)からもやって欲しいという要望もあるでしょうが、ファースト全曲が生で聴けるだけでも貴重な経験でしょう。

たぶん、全曲とは現在の再発CDには収録されているボーナストラックを除いた当時のトラックでしょう。
つまり・・・

01. Living In The Plastic Age
02. Video Killed The Radio Star「ラジオスターの悲劇」
03. Kid Dynamo
04. I Love You (Miss Robot)
05. Clean, Clean
06. Elstree「思い出のエルストリー」
07. Astroboy (And The Proles On Parade)
08. Johnny On The Monorail

Bugglesと言えば、「ラジオスターの悲劇」が代名詞となっています。MTV時代幕開けの象徴でもあり、カヴァー曲も国内・海外問わず、世界規模でなされています。比較的最近では、加藤紀子ちゃんや桃井はるこちゃんもカヴァーしています。2003年までのカヴァーについては、以前僕が書いた記事をご覧ください。



ラジオスターの悲劇〜日本大会
ラジオスターの悲劇〜世界大会1
ラジオスターの悲劇〜世界大会2

このアルバム『The Age Of Plastic(当時の邦題は「プラスティックの中の未来」)』は、1979年の「ラジオスターの悲劇」の想定以上のヒットを受けて急遽製作されたものです。アルバム発売のタイミングの悪さなどもあってか、アルバムは同じくらいのヒットはしませんでした。しかし、この作品は、近未来、科学技術の進歩、ロボットなどをモチーフとしたテクノポップのコンセプト・アルバムとして、まさに金字塔的存在です。

全て思い入れがある曲なのですが、
ロンドン郊外の地名が由来となった「Elstree」・・・シングルカットもされましたが、ヒットせず!スウェーデンのNASAというBuggles&New Musikフォロワー的バンドがカヴァー。



鉄腕アトムの曲「Astroboy」・・・林夕紀子さんがジャジーなカヴァー

TimbreTimbre
アーティスト:林夕紀子
ewe records(2007-05-24)
おすすめ度:5.0
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・・・など、隠れた秀作がこのアルバムにはあります。

残念ながら、Trevor Horn公式サイトによると、他のツアー、DVD、ライヴCDの予定はないとの事・・・あー、見に行きたい、LONDON CALLINGな気分です。

今日は、「ケータイ世代のカリスマガール」西野カナちゃんの会いたい症候群について書きたいと思います。僕が西野カナちゃんに興味を持ったのは、3枚目のシングル『I Style.』。カップリングされた「September」がイイ感じのエレクトロなガールポップ。元々R&B路線でしたが、その後、それほどその手の路線の曲がなくって、ちょっと淋しいなと思いつつ、僕の想いとは関係なく、どんどん西野カナちゃんは売れていくわけです。

Style.Style.
アーティスト:西野カナ
SE(SME)(M)(2008-08-13)
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シングル曲だとWISEとのコラボの5枚目の「遠くても」あたりから、会いたい症候群に西野カナちゃんは陥り始めます。

遠くても feat.WISE遠くても feat.WISE
アーティスト:西野カナ
SE(SME)(M)(2009-03-18)
おすすめ度:3.5
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それに拍車とかけるのが、アンサーソングとなるWISEの「会えなくても feat.西野カナ」。



本人のシングルでも、タイトルから露骨になるのが6枚目のシングル「君に会いたくなるから」。

君に会いたくなるから君に会いたくなるから
アーティスト:西野カナ
SE(2009-06-03)
おすすめ度:3.5
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オリコンチャート自体は19位でしたが、この後のファースト・アルバム『LOVE one.』が4位までチャートを上がります。いよいよ、西野カナちゃん、ブレイクの兆しです。ちなみにこのアルバムに収録の「candy」は、エレクトロ。

LOVE one.LOVE one.
アーティスト:西野カナ
Aniplex (music)(2009-06-24)
おすすめ度:3.5
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7枚目のシングル「もっと・・・」、タイトルこそ控えめですが、いきなり「今すぐ会いたい、もっと声が聞きたい・・・」とかなりヤバい状態になってきます。男からのメールに絵文字がないくらいで、キレている・・・真面目に歌詞を聴いていると男としては怖いものがあります。怨念の成果なのか?オリコンも6位まで上がりました。

もっと・・・もっと・・・
アーティスト:西野カナ
SE(2009-10-21)
おすすめ度:3.0
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8枚目のシングル「Dear」では、まったく症状に改善は見られません。別れて5分もたってないのにすぐに会いたくなる・・・落ち着いてと言いたくなる。カップリングの「MAYBE」では、男の過去にこだわりまくる。

Dear・・・/MAYBEDear・・・/MAYBE
アーティスト:西野カナ
SE(2009-12-02)
おすすめ度:4.0
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9枚目の「Best Friend」で、ところどころ、まだ不安な要素はあるんですけど、少し回復の兆しが見れます。

少し安心していたら、西野カナちゃん、会いたい症候群がぶり返してしまったようです。10枚目シングル「会いたくて 会いたくて」は・・・もうエスプレッソ・ダブルでお願いしますみたいな! 歌詞からもPVからもは完全に負のオーラーが! PVでも髪切るシーンが、怖い。



会いたくて 会いたくて会いたくて 会いたくて
アーティスト:西野カナ
SME(2010-05-19)
おすすめ度:2.5
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「会いたい」曲がいっぱい詰まった6月23日発売のセカンド・アルバム『to LOVE』もオリコン1位と絶好調!

to LOVEto LOVE
アーティスト:西野カナ
SME(2010-06-23)
おすすめ度:3.0
販売元:Amazon.co.jp
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8月4日には新曲「if」も出ましたが、「会いたい」路線を期待していた僕としては残念です。いっそ、戸川純ちゃんの「好き好き大好き」の世界まで逝ってください、西野カナちゃん。

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