四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

僕が好きなバンドのひとつにPhoenixというフレンチグループがいます。今まで、彼らのライヴを見たのは、Dior Hommeの限定ライヴも含めて2度だけですが、彼らの作る曲は実に巧妙で、ロックバンドでありながらも、ひねくれたブリティッシュポップ、そしてフレンチエレクトロな味わい(曲による)もあります。

Phoenixファンの友だちから、二日前にメールが来ました。
「スウェーデンのThe Royal Conceptってバンド知ってる? Phoenixにここまで似ているとはわざと?」

その2時間後、僕はタワーレコードにいました。店内では凄く好みの曲が流れています。Phoenixの新曲かと思い、チェックしてみると、これが噂のThe Royal Concept!という奇妙な偶然。

5曲入りミニアルバム『The Royal Concept EP』をさっそく聴いてみると、サウンドもそうなんですが、声質と歌い方がもろPhoenix。これは偶然なのか、いや、きっと確信犯と僕は確信しています。ちまたでは、Phoenix+The Strokesとも言われていますが、僕の中では、Phoenix 95%。これは褒め言葉。

theroyalconceptep

Royal Concept Ep
アーティスト:Royal Concept
販売元:Republic
(2012-07-24)
販売元:Amazon.co.jp
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「Gimme Twice」のクリップも、女子たちが意味も無く演奏のじゃまをしたり、得体の知れなさもよし。

Krataeと同じく、R-Siamからのかわいい系ルークトゥン・アイドルグループのBlueBerryを紹介。Girlyberryというアイドルグループもいますが、別物。

この子達が意外と掘り出し物。先ずは、「CHIMI CHIMI(ชิมิ ชิมิ)」のPVを見てください。



chimichimiルークトゥンをベースにしながらも、微妙に流行を取り入れて、まぁ、エレクトロ〜ヒップホップと言えない事もないです。でも、アレンジが最高にベタベタで、妙な安心感を感じます。タイの田舎の場末のディスコに行ったら、こんなの感じなのでしょうか(行った事ない)?

それ以上に、この3人の見た目はヤンキーっぽいケバさがありますが、可愛くて実は性格がいいみたいなキャラクターに惹かれます。

これは、日本の演歌界も参考にしてほしいものです。

ウクライナに取材に行ってきました。いろいろ立て込んでいて、まだ何も書けていませんが、また後ほどレポートする予定です。

では、前回のタイのルークトゥン系を続けます。日本でも以前、勝手にネオ演歌とかいう呼び方で楽曲を紹介した事がありますが、ルークトゥンも時代の流れで変化しているようです。

Kratae(カテーまたはクラテーとカタカナで表記される)ちゃんは1987年生まれの元ムエタイ選手。ムエタイ選手としては、女子45kg級のチャンピオンにもなっています。

kratae3歌手としても幼少の頃から才能を発揮し、14歳の時にタイのKPNアワード、ルークトゥン部門で優勝。R-Siam(RSのルークトゥン系サブレーベル)からソロとしては既に4枚目のアルバムをリリース。2009年の「บอกมาเลย (Come and talk)」を聴いてみると、演歌的なベタさが全面に出ています。



kratae4最新アルバムに収録のタイトル曲『รักนะฉึก ฉึก(愛してチュクチュク)」を聴くと、かなりモダンなダンスミュージックになっています。ベタさもありますが、それがある種トライバル感を生み出しています。ここまで来るとルークトゥンとの境界線が難しいですが、タイの若者も聴いているんでしょうかね。

タイのアイドル系はひとまず休んで、ちょっと違う領域に踏み込みましょう。日本しかり、韓国しかり、アジアには演歌的なジャンルが存在します。タイにおいては、それにあたるのが、ルークトゥン(ลูกทุ่ง)。意味は「稲田の息子」・・・ざっくり言えば、農村向けの歌謡曲です。

この分野についてはまだまだ勉強不足ですが、ルークトゥンとして流行った曲を聴いてみると、これがなかなか面白い。Fon Silartというルークトゥン系歌手による「Bin LaDin」。日本の演歌や古い歌謡曲に通じるものもありますが、同時にアジア圏なんだけど、テーマのせいもあるでしょうが、中近東的な感じます。タイトルはあのアルカイダの司令官、911同時多発テロ事件の首謀者とされるウサーマ・ビン・ラーディン。日本の演歌でこのようなテーマを歌うのは考えにくいですね。歌詞が分かる人がおられたら、ぜひ教えて欲しいです。



タイのCDショップに行った際、店員さんにこの曲が入ったCDが欲しいと聞いてみたんです。タイトルを言った所、(??)って反応だったので、「ビンラーディン♪」と軽く歌った所、分かってくれましたが、残念ながら在庫なしでした。

やはりタイではアイドルグループ・ブームなのか、KamiKaze以外のレーベルもこの領域に力を入れてきています。mono musicはアイドル専門レーベルではありませんが、そこから出てきたのが、Candy Mafia。なかなかタイらしいネーミングです。

candymafia彼女達の「Alzheimer」(2010年)は、凄いタイトル(アルツハイマー)ですが、なかなか出来た曲です。ここ2回ほどK-POP化するT-POPを紹介しましたが、この曲もその路線ですね。




g20同じ、mono musicからは、お姉さん格のちょっぴりセクシーなG-Twentyも紹介。「Magic Hour」はスッチーコスっぽいですが、実はスッチーっぽいハンバーガーショップの制服でした。




タイのCDショップでは、特にアイドル系は売り切りのようで、見つからないものを多かったですが、今回紹介した2枚のCD(DVD付き)は店頭に並べられていました。

Neko Jumpの「諦めないわ!(Girls on top)」がK-POPっぽい事については既に書きましたが、いいサンプルを見つけました。

タイ語が分からない僕の力不足で、細かい事は不明ですが、Beauty Gという新しい4人のガールグループがいます。KamiKazeでなく、RS傘下のOle Melody Gというレーベルです。彼女達のデビュー曲「Crazy Girl Crazy」のPVを見てください。



偶然、YouTubeでBeauty Gの「Crazy Girl Crazy」feat. After Schoolのリミックスを見つけたのですが(もちろん、そんなものは公式にありません)、After Schoolの「Ah!」を見て、なるほどと。



sweedKamiKazeレーベルからの2010年にデビューしたSwee:Dですが、2011年に入り学業を優先するため、グループとしての活動を休止中。 メンバーは(ジャケ写左から)Min、Pim、Jinnyですが、みんな女子大生。PimちゃんとJinnyちゃんは、最も古い歴史を誇る国立大学、チュラロンコーン大学。さしずめ、タイの東大。大学名はチュラーロンコーン大王(ラーマ5世)に由来します。ちなみにSweet VacationのMayちゃんも同校出身です。Minちゃん負けていません。二人は、名門タマサート大学。こちらは、タイの京大的ポジション。ちなみに、Jinnyちゃんは、KamiKazeでの活動を続行しています。どうでもいい事ですが、Pimちゃんが一押しです。

Swee:Dの「Harm (Stop It!)」では、K-POPお得意のフックソングをT-POPに取り入れています。お尻を振るところも可愛い。単純にエレクトロディスコ歌謡として聴いても、なかなか楽しめます。PV終盤はタイでは定番と言えるエンドロールになっていますので、最後まで見てください。

アイドルの宝庫、KamiKaze続きます。2005年にデビューし、アルバムも8枚も出しているベテラン・アイドル、Four-Mod。FFKと同じく、メンバーのチューレン(ニックネーム)を繋げて出来ています。というか、FFKがFour-Modを見習ったと言うべきでしょう。

iamfour-mod最新のPV「จีบได้แฟนไม่รัก (I love the pleats)」を見ると、ガーリーな方がFourちゃんで、ショートヘアーのキリッとした方がModちゃんです。ちなみにアルバム名は『I AM Four-Mod』・・・二人だから『We ARE Four-Mod』でないのかとツッコミたくなります。渋谷系を意識したアイドル曲のようで、どことなくおしゃれでいい感じ。 あえて言えば、タイのバニラビーンズ。どうでもいい事ですが、Modちゃんの方が好みです。



Teaserの変顔(PCで画像加工しただけですけど)も楽しい。意味も無く笑える。



今回紹介した曲は含まれていませんが、Neko Jumpと同じく、Four-Modも日本盤がリリースされています。

four modー 1st Album 日本語解説付four modー 1st Album 日本語解説付
アーティスト:Four Mod
販売元:bmi
(2008-05-15)
販売元:Amazon.co.jp
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loveaholic通称FFK、Faye Fang Kaewの名前は3人の女子のチューレンを並べたもの。Faye(妹;ジャケ真ん中)とFang(姉;ジャケ右端)は姉妹。この姉妹に混じるデカいKaew(ジャケ左端)の男子キャラが、このグループを面白くしています。Perfumeで言えば、のっちキャラですが、さらに男らしい。どうでもいい事ですが、僕はFayeが気に入りました。

2007年にデビューしたこのグループ、最新の「Loveaholic」を聴いてみると世界がフラットになっていることを実感します。T-POPをちょっとエレクトロ風味にしたというよりも、ダブステップ全開のK-POP風エレクトロを歌うT-POPアイドル。PVも変で、病院のシーンだと思ったら、人民服で突然踊り出す。これは生で見てみたい。



KamiKazeは日本の手法を取り入れたのか、シャッフルユニットの生産にも積極的です。FFKのFayeが加入したSeven Days。各々が曜日担当で、FayeはFaye Sunday。「ภาวะโลก LUV」はかなりテクノ歌謡しています。「ภาวะโลก」を翻訳すると「地球温暖化」!



今回紹介した曲は収録されていませんが、2011年のアルバム『Ladies & Gentlemen』は、Amazon.co.jpでも購入できます。

Ladies & GentlemenLadies & Gentlemen
アーティスト:Faye Fang Kaew (FFK)
販売元:RS
(2011-02-15)
販売元:Amazon.co.jp
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タイの2大レーベルは、Grammy GMMとRSです。RSとは正式名、RS Public Company Limited。以前の社名、RS Promotionという呼称が今でも使われる事も多いようです。RSはもともとの社名だったRose Soundの略。設立されたのは、1976年とかなり古く、ジュークボックスとカセットテープのビジネスから総合エンターテインメントへと業態を広げています。RSには複数のレーベルがあり、その中でもアイドルに特化したのが、KamiKazeです。前回紹介したNeko JumpもKamiKaze所属。

先日、バンコクに行った際にKamiKazeのレーベルの方とお会いしてさらに話を聞くアポをとったのですが、残念ながら延期となりました。気を取り直して、さらにKamiKazeの解説をします。

こちらのPVは、Four-Mod、Neko Jump、FFK、Knomjean等のKamikazeのアイドルを総動員して集合型ユニット、All Kamikazeの「Ruk Chun Reak Wah Tur (Calling for your love)」。



KamiKazeという名前はどちらかと言えば、パンク系またはヘビメタ系というイメージで、タイのアイドル系レーベルの名前というのは不思議な現象。本来、神風とは、日本人にとっては元寇の際に勝利した日本に由来する「思いがけない幸運に恵まれる」という意味。「神風が吹く」という表現が一般的です。同時に、神風特攻隊という言葉からは、「身の危険を省みない攻撃」という意味にもなります。特に外国ではそちらの意味で使われる事の方が多いでしょう。

PVには、38秒あたりでKnomjeanちゃんが歌う場面で、旭日旗(きょくじつき)も登場します。イメージとして旭日旗は軍国主義、ヤンキー、LOUDNESSのジャケって感じなのですが、元は日本の陸軍の軍旗として考案されたものです。同時に祝事にも使われ、朝日新聞(大阪支社)の社旗のデザインモチーフでもあります。

lengthKnomjeanちゃんのデビュー作『ขนมจีน (Length)』のジャケも旭日旗ですから、彼女の歌う場面に旭日旗が出てきても不思議ではありません。KamiKazeというレーベル名や旭日旗には、政治的意味は無いと考えます。日本のメタファーとして使っただけでしょう。また、タイが単純に超親日派とまで解釈しませんが、タイと日本の歴史的関係から、それらに絶対的な負のイメージはないのでしょう。

こちらも同様の形態で発表された「Ruk Tur Tuk Winar Tee (Every Minute)」。タイ人は、BPMが遅いバラードが好きなのが分かります。



bestofkamikazeこちらは、2007年から2011年までのKamiKazeレーベルの代表曲を集めた2枚組ベストCD。上記のAll KamiKazeの曲も収録しています。

デビュー時代から、アキバ系アイドルのイメージで売り出したNeko Jumpですが、「Clap your Sunday」(2010年)でも、アキバ系もチーフをふんだんに使い、その路線を堅実に保持しています。でも、サウンド的にトランスする必要は感じません。



シングルもありますが、購入するのなら、PVも入ったアルバム『化粧品売リ場ハ ドコデスカ? Neko Jump日本デビュー1周年記念盤~ふたりいっしょに抱きしめたい!ビジュアルコレクション~』(2010年)の方をお勧めしておきます。

化粧品売リ場ハ ドコデスカ? Neko Jump日本デビュー1周年記念盤~ふたりいっしょに抱きしめたい!ビジュアルコレクション~(DVD付)化粧品売リ場ハ ドコデスカ? Neko Jump日本デビュー1周年記念盤~ふたりいっしょに抱きしめたい!ビジュアルコレクション~(DVD付)
アーティスト:Neko Jump
販売元:キングレコード
(2010-12-22)
販売元:Amazon.co.jp
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ジャケ的には、こちらのベスト・アルバム『BKK to NRT』(2010年)も捨てがたい。ちなみにバンコクに先日行ってきたのですが、大型CDショップは減っており、CDを買うのに結構苦労しました。タイのCDは基本、売り切りのリリースが多いようで、Neko JumpのCDも僕が行ったショップの店頭にはありませんでした。

BKK to NRTBKK to NRT
アーティスト:Neko Jump
販売元:キングレコード
(2010-05-12)
販売元:Amazon.co.jp
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ところが、直近の2012年の「諦めないわ!(Girls on top)」のPVを見てみると、大きくイメージチェンジ。サウンドもヴィジュアルもちょっとセクシーなK-POP系となっています。やはり、タイでも人気のK-POP、日本でも受け入れられるK-POPという計算なのでしょうか?

たぶん、現時点でタイのシンガーとしては一番日本で認知度が高いと思われるのが、Neko Jump。名前からしても、日本を意識しています。所属もタイの最強アイドル系レーベル、RSのKamiKaze。KamiKazeについてはまた後ほど解説します。

タイ人は本名が長過ぎるので、みんなチューレン(ニックネーム)で紹介しますが、ヌーイ(意味はバター)とジャム(そのまま)の現在22歳の双子姉妹ユニット。タイでのデビューは2006年で、『Poo』で2009年に日本上陸しています。アニメ『あにゃまる探偵キルミンずぅ』のオープニング曲にも使用されたこの曲、日本のアイドル曲を下敷きにタイ化したような感じ。

実は、この曲に関しては驚きの発見がありました。こちらが、ショート・ヴァージョンですが、日本向けに作られたPV。歌は日本語版(邦題「プー〜カニさんの悪夢〜」)もあります。偶然の一致でしょうが、なんだかパッツンの方はかしゆか風。



あにゃまる探偵キルミンずぅOP&ED主題歌「Poo/Chuai Mad Noi」あにゃまる探偵キルミンずぅOP&ED主題歌「Poo/Chuai Mad Noi」
アーティスト:Neko Jump
販売元:キングレコード
(2009-12-23)
販売元:Amazon.co.jp
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注目は、こちらのタイで2007年に発売されたデビュー・アルバム収録のオリジナル・ヴァージョン「Poo」のPV。冒頭の部分、日本語でしゃべる男性の声が入っています。実は、これを聴いた時、あれ、聴き覚えがある声(!)と感じました。実は以前講演をお願いして以来、懇意にさせていただいている、坂井直樹さん。日産Be-1、PAO、Figaroなどの開発にも関わってこられた方で、慶應義塾大学SFC教授もされています。ご本人にも確認をとったところ、ラジオ収録の語りのようで、間違いないようです。ちなみに坂井さんは、この事については今までご存知ではありませんでした。まったく意外な所で繋がりました。

タイには何度か訪れた記憶があります。外国なら一応、レコード店をチェックする習慣がありますが、以前Web上で公開していたレコハン日記を見ると、1999年の7月にバンコクに出張をしています。まだ、バンコクではCDよりもカセットが幅を利かせていました。

その時、唯一買ったタイポップのCDが、China Dollsのデビュー・アルバム『China Doll』。日記では、「タイの東洋ディスコ風女性デュオで現在ブレイク中」ともっともらしい事を書いていますが、 リード曲的な「Muay Nee Kah」なんかを改めて聴くとタイ語で歌う中華風ユーロビートと言った方がいいですね。 ちなみにリリースは、タイ最大のレーベルのGMM Grammyです。



タイなのに何故China Dollsなんでしょう? タイには華僑系も多いですが、ワーワーはお父さんがタイ華僑でお母さんが台湾人、ベルはお父さんがタイ華僑でお母さんが中国人。よって、タイだけでなく中華圏で活動できたというのは、メリットでしょう。

MUAI NII KHA(ムアイ・ニー・カー)MUAI NII KHA(ムアイ・ニー・カー)
アーティスト:CHINA DOLLS
販売元:gmm
(2005-12-15)
販売元:Amazon.co.jp
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話は戻りますが、この時期、今ほど多くのガールグループがいるという状況ではなかったようです。タイポップと言いながら、いつもの通り、女性シンガーに偏重しますが、お許しのほどを。

さて、 ヴェールカおばさんこと、ヴェールカ・セルヂューチカ( Верка Сердючка; Verka Serduchka)の第2回です。このキャラクターが作られたのは、1990年。元々は、田舎出身の派手な鉄道乗務員をやっているおばさん。ウクライナは未確認ですが、ロシアでは乗務員に女性が多いです。おばさんとは限りませんけど。前回紹介したバイアグラとの共演は2003年。年代順に彼女のPVを見ていきました。

2004年の「Я попала на любовь (I fell in love)」あたりから現在のキャラに近づいてきます。タイトルからも想起させますが、Donna Summerの「I Feel Love」っぽいミュンヘンディスコ風。



そして最大の転機が訪れるのが、2007年Eurovisionでウクライナ代表として歌った「Dancing Lasha Tumbai」です。頭から星が出てキラキラのヴェールカおばさんのキャラの完成です。当時、彼女のようなキャラクター、つまりドラッグクィーンが代表に選ばれることをウクライナ保守層が批判しました。どこの国にでもいるんですね、こういう人たち・・・しかし、見事、彼女の曲は2位となり、ウクライナだけでなくヨーロッパ諸国のヒットチャートに入りました(最高はフィンランドの2位)。今年のEurovisionのロシア代表ブラナヴスキェ・バブーシキ(Бурановские Бабушки)と同じく、名誉ある2位です。



Dancing Lasha TumbaiDancing Lasha Tumbai
アーティスト:Verka Serduchka
販売元:Warner
(2007-07-31)
販売元:Amazon.co.jp
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ちなみにこの曲の「Lasha Tumbai」という部分はモンゴル語だとハッタリをかまし(そんなモンゴル語ない)、「Russia Good-bye」にも聴こえたりします。ヴェールカおばさん、なかなかの頭脳派です。

ゼロ年代以降、アジアのポップミュージックの勢力図は変わってきています。専門家トピックスでも書きましたが、躍進を遂げたのが、韓国とタイと考えます。もちろん、音楽市場のサイズやジャンルの多様性という観点からみれば、日本の位置は依然として重要ですが、勢いがあるかと言えば、別の話です。

では、これからしばらくタイポップ(T-POP)についてのお話をしていきます。ちょうど、元FUTONのMomokomotionさんにインタヴューする機会もあったので、最近タイに俄然、興味がわいてきました。

いきなり、FUTONと言っても、分からない人もいると思いますので、簡単に解説します。FUTONは日本でも2005年に日本盤をリリースしていますが、英・日・タイの多国籍バンド。エレクトロクラッシュ系、もしくは東洋のScissor Sistersと形容されていました。日本で人気のあったニューロマ系バンド、Panacheに在籍したPaul Hampshireもメンバーです。詳しくは、「バンコクからFUTON!」をご参照ください。

Give Me More!Give Me More!
アーティスト:フトン
販売元:エイベックス・マーケティング
(2005-10-12)
販売元:Amazon.co.jp
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Panacheが「恋のリアクション」で日本のTV番組に出た時の映像。



こちらが、FUTONの「Tokyo Sunset」のPV。



Momokomotionさんはその後、ソロとして活動となりますが、7月にインタヴュー記事をAll Aboutにて掲載しますので、読んでいただければ幸いです。

日本語で歌唱した「Sakura Saku」。折衷の魅力溢れるエレクトロ meets 歌謡曲。



奈良美智ジャケのソロ・アルバム『PUNK IN A COMA』もおススメ!

PUNK IN A COMAPUNK IN A COMA
アーティスト:momokomotion
販売元:AWDR/LR2
(2009-03-25)
販売元:Amazon.co.jp
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あっ、FUTONはタイを中心に活動したバンドですが、タイポップで括るのは無理があります。では、次はタイポップの王道的なところから始めます。

現在、ダントツの記事数のウクライナです。実は、ウクライナの個人的に一押しレーベル、mamamusicにコンタクトをした所、好感触。まだ詳細は詰めているので、誰にインタヴューできるかは決まっていませんが、現在キエフに飛んで、インタヴューを計画しています。mamamusicで現在活動しているアーティストは以下です。

NikitA
NeAngely (НеАнгелы)
オリガ・ゴルバチョワ(Ольга Горбачева)
ヴェールカ・セルヂューチカ( Верка Сердючка; Verka Serduchka)
イリーナ・ビルィク(Ирина Билык)

過去にはHollywood FMやA.Р.М.И.Яも在籍しました。

最初の3組は既に複数の記事を書いていますが、今回、紹介したいのは、 ヴェールカ・セルヂューチカ。ウクライナでは、超有名人。Eurovision 2007で2位に入賞したおかげで、ロシアやCIS諸国だけでなく、ヨーロッパ全体で知られています。

彼女は、男性コメディアンのアンドレイ・ダニルコ(Андрей Данилко)が作り上げたキャラクター。アンドレイ名義でも歌手活動はしていましたが、元々コメディーで使っていた、ド派手なヴェールカおばさんキャラで歌った所、バカ受けします。

ヴェールカおばさんのアルバム・デビューは1998年。そして、初シングルはバイアグラ(ВИА Гра)との共演で、もともと彼女達が歌っていた「Я не поняла (I didn't understand)」(2003年)です。



これはまだまだ序の口です。これ以降、ヴェールカおばさんはさらに強力なキャラクターとして成長していきます。

今回のエアライン特集、最後は綺麗に締めます。ショコラータの時代から好きなかの香織様ですが、僕は彼女のソロ作はほぼコンプリートしています。ショコラータのアヴァンギャルドな曲も大好きですが、ソロ第1作の『fine』(1991年)に収録の「みちくさ」なんかを聴いているとホロッとします。

旅行が好きである、そして旅をしている姿が似合う彼女の代表曲のひとつが、「青い地球はてのひら」。セカンドアルバム『EXTRA BRIGHT』(1994年)に収録されていますが、オリジナルとリミックスの2ヴァージョンの両方が入っています。旅がしたくなる曲を選べと言われれば、「浪漫飛行」が多分ベストに選ばれてしまいそうですが、僕はダントツこの曲を挙げます。綺麗にまとめた屋敷豪太アレンジも、冴えています。



EXTRA BRIGHT
アーティスト:かの香織
販売元:ソニーレコード
(1994-09-21)
販売元:Amazon.co.jp
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こちらは2枚組ベスト。

angel songs~the very best of cano caoli~angel songs~the very best of cano caoli~
アーティスト:かの香織
販売元:Sony Music Direct
(2007-06-13)
販売元:Amazon.co.jp
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初音ミクなどのボーカロイドを駆使して作品を発表する職人を通称、ボカロPと呼びます。Pとはプロデューサー。仮想アイドル歌手をプロデュースする気分。

複数のボカロPによって往年のニューウェイヴ曲をカヴァーしたアルバム『初音ミク sings ニューウェイヴ』の発売を記念してインタヴューをした時に登場していただいたボカロPのひとりに、キャプテンミライ、P名としてはキャプミラPという方がいました。

初音ミクsingsニューウェイヴ初音ミクsingsニューウェイヴ
アーティスト:オムニバス
販売元:ビクターエンタテインメント
(2011-10-26)
販売元:Amazon.co.jp
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エアライン特集を始めてから、テーマにぴったりだなぁと偶然見つけた曲が、esu-efuの「プロペラソング」。esu-efuは、野本かりあとキャプテンミライによる異色ユニット。一見、つながらないお二人ですが、これがとってもいい化学反応を起こし、珠玉の近未来型テクノポップを生み出しています。PVでも、ポーズを決めるかりあちゃんも可愛く、彼女の新しい魅力を発見できます。しかも、いっぱい飛行機が出てきて嬉しい。



5月23日にリリースされたデビュー・ミニアルバム『Sing Future』はこちら。

Sing FutureSing Future
アーティスト:エスエフ
販売元:バイバイレコード
(2012-05-23)
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ぱすぽ☆以外の日本のスッチー・コスのアイドルも紹介しましょう。

単発ですが、バニラビーンズのセカンド・シングル「ニコラ」のPVもカラフルなスッチー・コスでしたね。こちらはリカちゃんが抜けて加入したリサちゃんレナちゃんとしては最初の曲。



ジャケもコスだけではなく、エアライン度高し!

ニコラ(DVD付)ニコラ(DVD付)
アーティスト:バニラビーンズ
販売元:徳間ジャパンコミュニケーションズ
(2008-05-21)
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大阪にもいたんです。Perfumeのブレイクの余波だったのでしょうか、portableという短命ユニットが! ジャケは、4人で映っていますが、すぐに1人は離脱したようで、こちらのタイトル曲「ハジメサセナイ」のライヴ映像では既に3人。



個人的にカップリングの「ボクノブンシン」が押します。活動停止してしまって残念なユニットです。



ハジメサセナイ/ボクノブンシハジメサセナイ/ボクノブンシ
アーティスト:portable
販売元:インディーズ・メーカー
(2008-10-01)
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エアラインをコンセプトに作られたアイドル・ユニットがいます。名前も、パスポート由来のぱすぽ☆ですから、真剣度が伝わります。

メンバーは現状では10人ですが、Wikipediaを見ると、エアライン用語で統一されています。
メンバー=クルー
リーダー=キャプテン
ライヴ=フライト
ファン=パッセンジャー
CDリリースも、エコノミークラス、ビジネスクラス、ファーストクラスと特典によって値段が違います。パスポートも発行し、マイレージ制もありました(現在廃止)。

初アルバムのタイトルは『TAKE☆OFF』で、メジャー初アルバムのタイトルは『CHECK-IN』。こちらのPVは、『CHECK-IN』にも収録のスッチー・コス度が高い「キス=スキ」を収録。関空(KIX)とタイアップのようです。



TAKE☆OFFTAKE☆OFF
アーティスト:ぱすぽ☆
販売元:ジョリー・ロジャー
(2010-12-08)
販売元:Amazon.co.jp
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CHECK-IN(初回限定盤)(DVD付)CHECK-IN(初回限定盤)(DVD付)
アーティスト:ぱすぽ☆
販売元:ユニバーサルJ
(2011-12-07)
販売元:Amazon.co.jp
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曲名も、「夢パスポート」「Boarding」「少女飛行」・・・そして6月13日発売のシングルは「Next Flight」。コンセプトやディテールに対するこだわりは十分評価に値するのですが、欲を言えば、サウンドもエアライン仕様にして欲しかった。



ファーストクラスからエコノミークラスまで一挙発売。

Next Flight(初回限定盤A)(ファーストクラス盤)(DVD付)Next Flight(初回限定盤A)(ファーストクラス盤)(DVD付)
アーティスト:ぱすぽ☆
販売元:ユニバーサルJ
(2012-06-13)
販売元:Amazon.co.jp
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Next Flight(初回限定盤B)(ビジネスクラス盤)(DVD付)Next Flight(初回限定盤B)(ビジネスクラス盤)(DVD付)
アーティスト:ぱすぽ☆
販売元:ユニバーサルJ
(2012-06-13)
販売元:Amazon.co.jp
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Next Flight(エコノミークラス盤)Next Flight(エコノミークラス盤)
アーティスト:ぱすぽ☆
販売元:ユニバーサルJ
(2012-06-13)
販売元:Amazon.co.jp
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