四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

2010年10月

discodancerボリウッド映画「Disco Dancer」に続きです。この映画、インドでもカルト映画として人気を博し、インド以外にもロシア、トルコ、エチオピア等の国でも有名だったようです。全然、ニューウェイヴ感は伝わりませんが、インドのニューウェイヴ・ムーヴメントのような位置づけだったのでしょう。

映画の主題歌とも言えるのが「I Am A Disco Dancer」。観客に家族連れも多いみたいで、家族で楽しむニューウェイヴ映画にボノボノ感とまちがった感が伝わります。



現在のエレクトロへの先駆けとなったChristopher Justの「I'm A Disco Dancer」がこの曲に関係するのかは不明ですが、アルバム『Total Devo』(1988年)に収録のDevoの「Disco Dancer」はマジでボリウッド映画「Disco Dancer」に触発されて製作された曲です。

Total DevoTotal Devo
アーティスト:Devo
販売元:Restless Records UK
(1994-04-26)
販売元:Amazon.co.jp
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コメンタリー・フィルムでは、Mark Mothersbaugh and Jerry Casaleは「彼ら(「Disco Dancer」の製作者)は、Devoがやろうとしている事のインド版だ」とまで言っています。80年代後半のこの時期、Devoを含むテクノポップ勢は時代の潮流の変化の中で憂き目にあっていました。そんな中、Devoはこの「Disco Dancer」に希望の光を見出したのかもしれません。

11月はなかなか面白いリリースが盛りだくさんです。ドームでやってくれると期待しているPerfumeのニュー・シングル『ねぇ』やAiraちゃんのアルバム『???(スリークエスチョン)』もひかえています。

「テクノ歌謡」「ディスコ歌謡」というテーマで再発掘的なオムニバスを出してきた、日本のRhinoのようなレーベル、P-Vineから「ラップ歌謡」のオムニバスが2枚出ます。70年代のディスコ歌謡、80年代のテクノ歌謡、90年代のラップ歌謡だそうです。

ラップ歌謡 [第1弾] フォローしてちょうだいラップ歌謡 [第1弾] フォローしてちょうだい
アーティスト:オムニバス
販売元:Pヴァイン・レコード
(2010-11-03)
販売元:Amazon.co.jp
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ラップ歌謡 [第2弾] あの娘にカセットあげようラップ歌謡 [第2弾] あの娘にカセットあげよう
アーティスト:オムニバス
販売元:Pヴァイン・レコード
(2010-11-03)
販売元:Amazon.co.jp
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ラップ歌謡、80年代から出現し始めましたが、「今夜はブギーバック」や「DA.YO.NE」が流行った90年代に『今夜は”ラップ”ダヨネ。』(1995年)というコンピレーションもありました。

ラップ歌謡について知りたい方は、「ラップ歌謡小百科」をぜひご覧ください。
更に研究したい方はスモール出版から出ている小冊子『ラップ歌謡大百科』がお勧めです。僕も買いました。

タイトルで興味を惹かれてしまったのは、『電子音楽部』。これはFloppyなどが所属するBeat Surfersからレーベル・コンピで、小林写楽、戸田宏武、中野テルヲ、福間創、三浦俊一さん達が一挙に集結しています。

海外ものも二つ紹介しましょう。
Danuel Tateの『Mexican Hotbox』・・・Cobblestone Jazzのキーボーディストらしいですが、アシッド・ジャズ系と思いきや、何だか変てこな魅力があるんです。あえて言えば、ラテン気味のDaft Punkみたいな。タイトル曲「Mexican Hotbox」は現在、無料ダウンロード出来るので、聴いてみてください。

最後は、Mintel Roseの2nd『Atantique』・・・80年代大好きフレンチエレクトロ集団、Valerie、頑張っています。

11月3日:V.A.『ラップ歌謡 [第1弾] フォローしてちょうだい』
11月3日:V.A.『ラップ歌謡 [第2弾] あの娘にカセットあげよう』
11月3日:CORNELIUS『Fantasma』再発;砂原良徳リマスタリング
11月3日:agraph『equal』
11月3日:DAISHI DANCE『DAISHI DANCE remix...2』
11月3日:V.A.『ガールズ・クリスマス・パーティー』
11月3日:Tim Deluxe『Fluid Moments』
11月5日:小西康陽『チェブラーシカ 東京の休日』
11月10日:大貫妙子 & 坂本龍一『UTAU』
11月10日:Perfume『ねぇ』Single
11月10日:平沢進『変弦自在』  
11月10日:Francesco Tristano『Idiosynkrasia』
11月17日:Aira Mitsuki『???(スリークエスチョン)』
11月17日:やくしまるえつこ『COSMOS vs ALIEN』Single
11月17日:V.A.『Christmas Songs』commmons
11月17日:中塚武『ハガネの女-She’s a steely woman!-』
11月17日:FPM『FPMBoot』
11月24日:Clemontine『ANIMETINE-plus ANIME DU BOSSA』
11月24日:ヒゲドライバー『ヒゲドライバー3UP』
11月24日:V.A.『電子音楽部』
11月24日:Danuel Tate『Mexican Hotbox』
11月24日:Minitel Rose『Atlantique』

アジア圏2カ国目はインド。韓国も継続していきますが、インドも並列で始めます。インドをモチーフにした日本のテクノポップなどはありますが、インドとテクノポップってなんだか結びつきそうで、結びつかない。でも、意外な事にインドはテクノポップの影響下に80年代初期からあったのです。独自の解釈で独自の進化(退化?)を遂げたものですが・・・

先ず紹介したいのは、あのBugglesの「ラジオスターの悲劇」のカヴァー。



いや、大っぴらにカヴァーと言っていないので、インスパイアというべきかもしれませんが。曲名は「Koi Yahan Nache Nache」(「Auva Auva Koi Yahan Nache」という表記もあります)。ヒンディー語かなと思って、Google翻訳してみましたが、翻訳不可能でしたが、動画のテロップからすると、「Somebody dance there」という意味なのでしょうか? メロディーはほぼ「ラジオスターの悲劇」で、バックの女性コーラスも「オーオーオーオゥ」と原曲に忠実ですが、アレンジは70年代ディスコ。そこにインド特有の風味が加わって、奇天烈なオリエンタルディスコとなっています。本家「ラジオスターの悲劇」を聴いたインド人は、「Nache Nache」のカヴァーだと思っているのでしょうか?



この曲は、1982年のボリウッド映画「Disco Dancer」から。この映画は突っ込みどころ満載なので、続編もお楽しみに。

Wonder Girlsはネタが多いので続けます。既に紹介した「Tell Me」(80年代後半ユーロビート)も含めてWonder Girlsの曲には時代のモチーフと言うのが強く感じられます。現在、60'sリヴァイヴァルというシリーズ記事を書いており、当初そちらで紹介するつもりだったのですが、彼女達の「Nobody」は60年代モータウンサウンドの見事な再現をしています。この手の曲はあまり時代背景がない人には作れないと思いますが、作者であるパク・ジンヨン氏のバックグラウンドを考えると納得がいきます。彼は1972年生まれで、60年代にリアルタイムで触れていませんが、小学生時代にニューヨークに2年余り住んでおり、90年代も自らR&B系シンガーとして活動しました。その過程で、ソウルのルーツ的存在でもあるモータウンサウンドやガールグループには触れていたのでしょう。

Wonder Girls : The Wonder Years ? Trilogy : Nobody(韓国盤)Wonder Girls : The Wonder Years ? Trilogy : Nobody(韓国盤)
アーティスト:Wonder Girls
販売元:Loen Entertainment
(2008-10-02)
販売元:Amazon.co.jp
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「Nobody」のPVにおいてもトイレで紙が無くて歌えなくなった、韓国版James Brownのような歌手を演じるパク・ジンヨン氏ですが、サウンドだけでなく、Wonder Girlsの5人の衣装、髪型、舞台全てにおいて、こだわりを持って60年代キッチュを貫いています。2009年よりアメリカでの活動に専念しているWonder Girlsが、アメリカでのデビュー曲に「Nobody」を選んだのも、モータウンの本場でもある国で認められようという意志の表れだったのでしょうか? ちなみにビルボードチャートでは76位。大成功とまでは言えませんが、アジア系シンガーとしては、外からの音楽に比較的閉鎖的なアメリカを考えると健闘と言えるでしょう。



「Nobody」には他、バラードやタンゴverなどリミックスもありますが、韓国のDJ HYO(韓流ドラマ「妻の誘惑」など、結構メジャーな仕事もしているアゲアゲ系)が面白いマッシュアップを作っています。基本、トランス・リミックスですが、「I want nobody nobody but you」の部分が「Johnny Johnny move my feet」 に一部差し替えてマッシュアップしています。



マッシュアップされたのは、Lalaの「Johnny Johnny」(1987年)というイタロディスコというかイタリア産ユーロビートです。Lalaは3人組の女子グループだったようです。オリジナルよりもかなりBPMを上げてマッシュアップしているのが分かりますが、確かにサビ部分は見事に被りますね。

johnnyjohnny


ハロウィンソングを集めるつもりでしたが、クリスマスソングのような訳には行きません。ドイツにハロウィンというのメタル系バンドがいますが、HalloweenではなくHelloween。これはHell(地獄)をもじったようです。映画関連のハロウィンソングもありますが、テクノポップのテーマとはかけ離れそうなものばっかり。

という事で、ハロウィンに似合う怪奇ディスコを紹介します。怪奇ディスコについてはAll Aboutの「超モンスターヒットを生んだ怪奇ディスコ」で詳細にレポートしましたが、タイトルにもあるように、Michael Jacksonの「Thriller」やピンク・レディーの「モンスター」などの文字通りモンスターヒット曲がありますが、Hot Bloodの「ソウル・ドラキュラ」もヨーロッパから波及して、日本でも42万枚を超えるヒットとなりました。

1976年のヒット(映像の制作は1977年のよう)でありながら、PVらしきものもあり、怪しい吸血鬼たちが踊っています。



monsterdisco柳の下のドジョウ的作品も乱発され、日本でも『怪奇ディスコ・サウンド決定盤(All The Hits Of Monster Disco Sounds)』(1976年)という怪奇ディスコ集がリリースされました。

ハロウィンパーティで吸血鬼は人気があるコスチュームなのかと調べてみました。「GoodLuck」というコスチューム&パーティグッズショップを見てみると、スザンヌちゃんが大々的にフィーチャリングされています。いや、ハロウィンだけでなく、「着替スザンヌ」としてコスの女王状態です。意外な所で、スザンヌちゃんは美味しい仕事をしています。

人気ハロウィンコスは女子の場合、悪魔、魔女あたりで吸血鬼(バンパイア)はこの店にはありませんでした。男子コスなら吸血鬼はあります。Michael Jacksonが結構あったのは、スリラー繋がりという事なんでしょうかね。

久しぶりにLady Gaga様です。ハロウィンと言えば、コスチューム・パーティ。コスと言えば、Lady Gaga。Lady Gagaのハロウィンコスは売っているのかと調べたところ、Lady Gaga Official StoreにちゃんとHalloween Costumeのコーナーがあるじゃないですか! 値段は$50前後で小物なら$7~15くらいで買えます。ハロウィンコスと言っても、あくまでもLady Gagaコスですから、ハロウィンが終わっても他のパーティにも着用できます。どこまで需要があるかは貴女しだいですけど。なかなか商売上手のGaga様、T-シャツなども豊富に品ぞろえしており、アウトレットものなら$15で買えます。

Official Storeと同じものもありますが、BuyLadyGagaCostumes.comという通販ショップもあります。値段はOfficialよりも少し低めです。こちらの品ぞろえはYouTubeでも紹介されています。



アメリカでは遠すぎるという貴女、日本でも種類は限られますが、アカムスで買えます。パーティに間に合うかは判りませんが・・・ 自分で着るわけでもないのに、こんな事調べている自分に疑問を感じる今日この頃です。

音楽世界旅行シリーズ、欧州を中心にやってきましたが、ちょっとアジアに飛んでみたいと思います。韓国の流行音楽はテクノポップというよりもソウル(別にギャグじゃない)~ヒップホップ系が多いです。只今ブレイク中のKARAや少女時代などのK-POPガールズも、コアなテクノポップ的要素は薄いです。Perfumeなどとファン層が被ったり、テクノ~エレクトロと呼ばれているものがありますが、音楽的には別の軸足のダンスミュージックだと思います。

K-POPについて僕はそれほど追っかけているわけではありませんが、K-POPに勢いを感じる一つの理由は、アジア全体をマーケットとして見ている点です。韓国の内需だけでは大きくないが故、中国圏に始まり、日本も完全に射程距離に押さえています。J-POPがアジアに波及していないわけではないですが、現在のK-POPにはそれ以上の積極性と戦略性を感じます。携帯電話だけでなく音楽業界もガラパゴス化する日本? 音楽の場合、携帯ではないので独自の進化をしてもそれはそれでいいとは思いますが、(商業的に大ヒットまで行かなくても)やはり世界で認められる日本の音楽であってほしいです。

K-POPガールズの老舗とも言えるWonder Girlsの古典的なモチーフには、惹かれますね。彼女達が目指したのは日本ではなくアメリカですが、本国、韓国でのブレイクのきっかけとなったのは、「Tell Me」(2007年)。「Tell me,tell me, tell tell tell tell tell tell me」という中毒性があるリフの部分で脳内がぐるぐるする80年代的なディスコ・チューンです。



「Tell Me」はWonder Girlsの生みの親であり、JYP entertainmentの創業者でもあるパク・ジンヨンの作品ですが、John Dixon Mitchellという名前も共同クレジットされています。Mitchellは、Stacy Qの「Two Of Hearts」(1986年)の作者です。発売当初はこれらの配慮はなかったようですが、僕の持っている『Taiwan Special Edition Wonder Girls』には、「Contains a part inspired by “Two Of Hearts”」とあります。

WONDER GIRLS Taiwan Special Edition CD+DVDWONDER GIRLS Taiwan Special Edition CD+DVD
アーティスト:WONDER GIRLS
販売元:Universal Music
(2010-03-05)
販売元:Amazon.co.jp
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Stacy Qを知らない人でも、バブルの時代にディスコに行っていた人はこの曲を聴いた事があるでしょう。基本はユーロビートなのですが、Stacy Qはアメリカ産。まあ日本産ユーロビートも多いですから、特にこの時期、時代はユーロビートだったのでしょう。ビルボードでも3位まで行っています。「Two Of Hearts」のリフも「a-a-a-a-a-I need I need you」と中毒性があります。パク・ジンヨン氏、なかなか目の付けどころがイイ。



Queen of the 80'sQueen of the 80's
アーティスト:Stacey Q
販売元:Thump Records
(2007-02-06)
販売元:Amazon.co.jp
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今日は、Twitterでつながったymさんがやっているinvisible Futureというひとりユニットを紹介します。後で気づいたのですが、彼はテクノポップ・コンピレーション『Techno4Pop Vol.2』にもどこか郷愁がある「New Dawn Calm Time Mix」(iTunes Storeではアルバム『Warehouse Putting Out Tracks』に収録、Mixなしのシングルもあります)という曲で参加しています。



テクノ4ポップ VOL.2テクノ4ポップ VOL.2
アーティスト:オムニバス
販売元:Sweep Record
(2005-08-01)
販売元:Amazon.co.jp
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10月27日より『Treasure of voices』という5曲入りアルバムが、iTunesより配信開始されます。既にiTunesでは30曲以上リリース。ルービックキューブ、懐かしい(笑)。

treasureofvoices01. chemical fears
02. オカマダサマー(Noeth Break) feat. 男鎌田真吾
03. Secret Clock feat. wakana
04. Love Has Gone feat. Takeko Akamatsu (a.k.a. Craftwife)
05. 若さのゴースト

エレクトロニカ、ハウス、テクノポップといろんなサウンドが詰まっています。「secret clock」は一見、歌ものハウスかなと思いつつ、Telexみたいな部分もあるのがツボ。でも、Telexの部分は意識的にというわけではないようですねぇ。

以前、All Aboutテクノポップにも登場して頂いたCrafewifeのAkamatsuさんをフィーチャリングした「Love Has Gone」は、彼女にぴったりの曲ですね。

ymさんに「これは、彼女が歌うという前提で作ったのでしょうか?」という質問を投げかけたところ・・・

「Love Has Gone」は元々私が歌ったバージョンがあります。

私、アップルストア札幌にて音楽セミナーを開催しているのですが、その中で坂本龍一さんの電気的音楽講座みたいにこの曲の制作過程を解体して説明していました。「今回の新作リリースにあたり、Craftwifeさんに歌ってもらったらどうなるだろう?」と思って音を送ってお願いしてみたところ快諾していただけたという流れです。

作業はオケを彼女に送り、歌だけをファイルでもらいました。もらったファイルを編集、加工して完成にいたりました。ちなみにCraftwifeは録音作品を残さないポリシーがありまして、今回もクレジットが彼女の本名Takeko Akamatsu名義となっています。Craftwifeの前に"a.k.a."とついているのがギリギリの表現なのです(笑)。

先生:tetsuさんのご指名で名古屋のしず風のお話を伺いたいと思います。
今日は全く予備知識がないので、聴き役に回ります。アイドルユニットの名前というよりも、旅館か料亭のような名前ですね〜。エアコンの送風モードのようでもあります。

shizukazetetsu:しず風さんは、ジュニアアイドルで、中学2年生の真野しずくちゃんと中学3年生の立花風香ちゃんの2人組のユニットで、しずくと風香でしず風さんです。

先生:なるほど。ユニット名から、メンバーチェンジをしない決意を感じます。まぁ、名前まで引き継げば、メンバーチェンジは不可能ではないですが・・・

tetsu:(笑)名前そのまんまですから、その指摘は間違いないですね。

先生:公式ページに「コミカルなダンスとおバカなトークを武器としている」とありましたが、トークはどれくらいおバカなんでしょう?

tetsu:あの頃の年代の女の子のユニットって、だいたいグダグダじゃないですか? 地下の世界ではたぶん普通です。最近30分以内のライヴがほとんどなので、トーク少なめ、曲多めです。ダンスはコミカルというか、可愛らしい振付で僕は好きなんですけどね。PVやライヴ映像を見ていただければわかります。
11月3日には昼間に両国でまなみのりさと2マン・ライヴやるので非常に楽しみにしています。Perfumeのドームの日です。

先生:11時半開演ですから、これを見てから、ドームでPerfumeを見ろという事ですかね。
CDのリリースは現在『ドキ☆ドキ パニック/ドッキュンLOVE』だけですね。期待しないで聴いたのですが、「ドキ☆ドキ パニック」はなかなかイイじゃないですか! がんばって作っている感じが出ています。

tetsu:なかなか中学生の曲っぽくていいですよね。ライヴでは、うる星やつらの「宇宙は大変だ」の山本梓バージョンのオケだと思うんですが、カヴァーをしていますし、キテレツ大百科の「はじめてのチュウ」のカヴァーをしています。なかなかそれも良いです。なかなかおっさんホイホイな選曲で素晴らしいです。

先生:PVを見ていると、アイドルというよりも純朴な親戚の小学生(あ、中学生でしたかね)を見ているような気持ちになります。



tetsu:小学生からジュニアアイドルをやってるだけあって、グラビア系のDVDも結構やってるので、僕自身は本人自体に純朴というイメージは全くないですが、このPVはほんとにそう見えますね。実際、物販とかで話しても普通の中学生ですよ。東京の大手事務所のプロ魂を植え込まれた同世代のアイドルから比べればさすがに純朴かもしれませんが・・・

先生:こちらのしず風のライヴ画像ですが、一緒に出てくるのは同じ事務所の「絆」という3人組アイドルですね。絆、面白い、空手ダンスだ!



tetsu:特にこのオープニングが、絆がいることによって非常にアガるんですよ。結構カッコイイんです。ほんと、しず風さん良いので是非ライヴ行ってみて下さい。

先生:名古屋は人口も多いし、独自の文化を育んでいそうですから、まだありそうですね。次のご指名は?

tetsu:次は、以前All Aboutでも先生がインタヴューしていた原奈津子さんです。

先生:ハラハラ原奈津子さんですね。

もうすぐハロウィンですね。正式には、カトリックの諸聖人の日のイヴとなる10月31日となります。キリスト教の行事だと思っていたのですが、起源はケルト人が魔よけを行う収穫感謝祭で、キリスト教の国だから必ずしも行われる行事ではないようです。クリスマスソングやバレンタインにちなんだ曲は結構な数に及びますが、ハロウィン・ソングってなかなか思い浮かびませんね。そんなかわいそうなハロウィンのために、ハロウィンにちなんだ曲、及びハロウィンに似合う曲を紹介します。ただの怪奇系ソング特集になるかもしれませんが・・・

比較的最近の曲から行きましょう。テクノポップ的にはTommy february6の方なんですが、やはりハロウィンですから悪い子のTommy heavenly6の「Lollipop Candy BAD Girl」(2006年)を紹介します。トミヘヴとしての2ndアルバム『Heavy Starry Heavenly』(2007年)やベストアルバム『Gothic Melting Ice Cream's Darkness "Nightmare"』(2009年)にも収録されていますが、シングルには、10月31日に因んで、10分31秒に渡るヴァージョンが収録されています。長さ的にはプログレです。この曲に関しては、川瀬智子作品としてはベスト3に入れたいです。基本はハードロックですが、マーチとワルツを取り込んで展開して行く曲の構成は、10分という長さを見事に克服しています。

Lollipop Candy BAD girl (初回限定盤)(DVD付)Lollipop Candy BAD girl (初回限定盤)(DVD付)
アーティスト:Tommy heavenly6
販売元:DefSTAR RECORDS
(2006-10-11)
販売元:Amazon.co.jp
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Gothic Melting Ice Cream’s Darkness“Nightmare”(DVD付)Gothic Melting Ice Cream’s Darkness“Nightmare”(DVD付)
アーティスト:Tommy heavenly6
販売元:DefSTAR RECORDS(SME)(M)
(2009-02-25)
販売元:Amazon.co.jp
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PVもロングとショート・ヴァージョンがあり、川瀬智子さん自ら監督。もちろん、ハロウィンのトレードマークのかぼちゃ君(ジャックランタン)、魔女、妖精などが出てきますが、彼女らしい、アイスクリームやケーキやキャンディーなどのモチーフも使われています。イメージ的にはハロウィン映画としても有名な「The Nightmare Before Christmas」のTim Burtonの世界です。PVには後半部に、良い子でメガネっ子のトミフェブとも共演。

The Maisonettesというグループをご存知でしょうか? エレクトロポップと言っていいでしょうが、The Buggles、New Musik等にも通じる、The Beatlesを継承するモダンポップと60年代キッチュを兼ね備えています。Rah Bandが好きな人にもお勧めです。と言っても、女性が主役ではなく、女性はバックボーカルだけなので、ガールポップの系譜からは外れてしまいますけど。そんなことはどうでもいいほど、The Maisonettesはノスタルジックに素晴らしい。

彼らの代表曲は、モータウンmeetsテクノポップな「The Heartache Avenue」(1983年)。英国では7位というスマッシュヒットとなりましたが、同時に一発屋的な認識もされています。でも、他の曲の出来が悪い訳では決してなく、ただヒットしなかっただけです。でも、この時代、英国のシングルチャートというのは、素晴らしい曲がいっぱいだったと・・・ バックコーラスとしてPVにも登場する二人のおねえちゃん(ジャケにもちゃんと写っています)もメンバーなのですが、彼女達は歌に問題があったため、実際のスタジオレコーディングでは別の女性が歌いました。ここはやはり、ルックス重視ですかね。



リードヴォーカルのLol Masonは元City Boyという英国モダンポップ系のバンド出身。「10ccを凌ぐとさえいわれる都会派ロック」が日本での売り出し文句でした。City Boyもコーラス重視だったので、その部分はThe Maisonettesにも引き継がれたようです。

「The Heartache Avenue」は後にUKのヒップホップ系のグループ、Roll Deepによって「The Avenue」というタイトルで2005年にサンプリングされています。サンプリングと言っても、The Maisonettesの「The Heartache Avenue」の上にラップを被せただけに聴こえます。名曲再発掘としては評価しますが、これで、英国11位っていうのは、如何なものかと・・・



彼らの集大成とも言える『Heartache Avenue: The Very Best of the Maisonettes』(2004年)には、他にもBeatlesっぽい「Lessons In Love」、60’sな「Where I Stand」、泣かせるバラード「Roni Come Home」など一発屋なんて呼ばせたくない名曲を残しています。

The Heartache Avenue: The Very Best of the MaisonettesThe Heartache Avenue: The Very Best of the Maisonettes
アーティスト:Maisonettes
販売元:Cherry Red UK
(2004-05-11)
販売元:Amazon.co.jp
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Tracy Ullmanと負けず劣らず、60'sリヴァイヴァル系歌姫の中で好きなのがMari Wilson。トレードマークは、ビーハイヴ(ハチの巣)。ビーハイヴは、アメリカのニューウェイヴ・バンド、The B-52'sのトレードマークでもありますが、このヘアスタイルがB-52ストラトフォートレス爆撃機のノーズの部分に似ているため、B-52という呼び方もされていました。ビーハイヴは、「ティファニーで朝食を」のAudrey Hepburn、60年代の歌姫Dusty Springfieldなど、60'sキッチュの象徴でした。Mari Wilsonのビーハイヴは本物で、The B-52'sのはかつららしいです。

Mari Wilsonは奇才Tot Taylor(正確には彼のお兄さん)が設立した60'sキッチュなCompact Organizationからデビュー。Pizzicato Fiveの小西康陽氏もCompactの会員でした。Compactからは、『A Young Person's Guide To Compact』(1982年)というレーベル・コンピレーションがリリースされています。元々のLPは2枚組ですが、後に1枚にまとめたCDも英国盤と日本盤(WAVE)がリリースされました。この2枚のCDは微妙に収録曲や曲順が違います。

青少年のためのコンパクト・オーガニゼーション入門 (輸入盤 帯・ライナー付)青少年のためのコンパクト・オーガニゼーション入門 (輸入盤 帯・ライナー付)
アーティスト:VARIOUS ARTISTS
販売元:LTM
発売日:2007-08-25
おすすめ度:5.0
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彼女が1982年にリリースした「Just What I Always Wanted(マリのピンクのラヴ・ソング)」は、英国で8位というスマッシュヒットとなりました。邦題は意味不明なほどにクリエイティヴ! この曲は、Teddy Johnsonが書いたものですが、プロデューサーはNew MusikのTony Mansfield。5分を超える12インチ・ヴァージョンもありますが、この時代のものは、インスト部分が長いエクステンド・ヴァージョンに過ぎません。まぁ、それはさておき、この曲は、Mariのソウルフルなヴォーカル、ベースとなったモータウンサウンド、Tonyの絶妙なテクノポップなアレンジが、三位一体となった名曲です。



Tony Mansfieldがメインのプロデューサーとなって製作された『Showpeople』(1983年)では、他にも「Wonderful To Be With You」「Are You There With Another Girl?」「Beware Boyfriend」など他にも泣きそうにいい60’sキッチュなテクノポップが揃っています。

ショウ・ピープルショウ・ピープル
アーティスト:マリ・ウィルソン
販売元:バウンディ
発売日:2010-09-08
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90年代に入ってアルバム『Rhythm Romance』(1991年)をリリースしましたが、残念なことにエレクトロから離れジャズ寄りのスタンダードなサウンドとなりました。その後長らく活動を休止していましたが、『Dolled Up』(2005年) 、『Emotional Glamour』(2008年)とゼロ年代に復活を遂げています。

新しいシリーズを始めます。80年代、ニューウェイヴの時代に一つの傾向としてあったのが、60年代サウンド、特にガール・グループやキューティズ的なモノへの回帰現象がありました。60年代というのは、ボク自身、生息はしていましたが、小さすぎたので、あまり原体験としての記憶ありません。60年代はポップス黄金時代・・・なんとなく60年代的なモノへの憧れは潜在的にあったのでしょう。ということで、ここで扱うのは60年代のポップではなく、60年代への憧れを込めた80年代以降のポップだと解釈してください。80年代以降、現在においてもその流れを汲んだ音楽は脈々と続いています。

シリーズの初めを飾るのは、Tracy Ullmanです。MTV(いや、当時日本で見ていたのは、Sony Music TV)の時代にニューウェイヴ系に混じって、彼女の曲は流れていました。この手のリヴァイヴァルものは、それほどテクノでもニューウェイヴでもないのですが、同じ部類のものとして受け止められていた感があります。YMOを聴きつつも大瀧詠一を聴く気分。初めて、彼女の「They Don't Know(夢みるトレイシー)」(1983年)を聴いた時、なんて素敵な曲なんだろうと素直に感じました。PVがさらに素敵さに拍車をかけます。60’sキューティな装いのTracy。Bay City Rollersネタなども出てきます。青春時代とその後のやさぐれた感じも、流石喜劇女優のTracyはばっちり演じてくれます。終盤のドライヴのシーンでは、な、な、なんと、Paul McCartneyが彼氏役として登場します。まだ、若いですね〜Paul。



当時は知らなかったのですが、これはKirsty McCollが1979年にリリースしたカヴァー曲。こちらも本国、英国ではそこそこヒットしました(7位)が、Tracyのカヴァーは英国(2位)だけでなく、ビルボードチャートでも8位と大健闘。Tracyの方が、ドリーミーでPhil Spectorサウンド化しています。でも、ちょっとやるせないKirstyのヴァージョンも大好きですけどね。

意外なのですが、この「They Don't Know」をカヴァーした日本人は、BaBe。彼女達のデビュー・シングルとしてMichael Fortunatiのカヴァー曲『Give Me Up』(1987年)にカップリングされています。邦題は、「夢みるトレイシー」ではおかしいので、「哀しみは朝の雫のように」となっています。

話はTracyに戻します。英国で「They Don't Know」の前にリリースされたデビュー・シングル『Breakaway(涙のブレイク・アウェイ)』も全英4位とヒット。オリジナルはIrma Thomasの『Wish Someone Would Care』(1964年)のカップリングという渋いセンス。その後、Beryl Marsden、Jackie DeShannonなどもカヴァーしており、60年代への憧憬が如実に表れた曲です。



歌手Tracyのキャリアは2枚のアルバム『You Broke My Heart in 17 Places(夢みるトレイシー)』『You Caught Me Out(ハ〜イ! トレイシー)』(1983年)のみで、その後、複数のベスト・アルバムがリリースされています。

夢みるトレイシー(K2HD/紙ジャケット仕様)夢みるトレイシー(K2HD/紙ジャケット仕様)
アーティスト:トレイシー・ウルマン
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:2006-03-15
おすすめ度:4.5
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ハ~イ!トレイシー(K2HD/紙ジャケット仕様)ハ~イ!トレイシー(K2HD/紙ジャケット仕様)
アーティスト:トレイシー・ウルマン
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:2006-03-15
おすすめ度:4.0
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現在も英国人独特のちょっと毒のあるキャラクターで女優として活躍し、最近はなりきりSusan Boyleとかやっています(似てる〜)。日本のTracy Ullmanって誰だろう? 清水ミチコや友近あたりですかね。

先生:今日は、ハルメンズと共に再発された『ピンクの心』(1981年)の野宮真貴さんについて話し合いましょう。後にPizzicato Fiveの一員として野宮真貴さんはガーリィ教の教祖ような存在になるのですが、ソロ・デビュー時代の野宮さんはとってもボーイッシュ。

ピンクの心+2ピンクの心+2
アーティスト:野宮真貴
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:2010-10-20
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01. 女ともだち
02. モーター・ハミング
03. フラフープ・ルンバ
04. シャンプー
05. 原爆ロック
06. 船乗りジャンノ
07. 17才の口紅
08. 恋は水玉
09. 美少年
10. 絵本の中のクリスマス
11. ツイッギー・ツイッギー
12. ウサギと私
13. ピンクの心
14. レモンのキッス (1981ライブ)*
15. モーター・ハミング (1981ライブ)*
*ボーナストラック

ポールさんが好きなオリジナルのジャケの野宮さんは、アイドルっぽく写っています。でも、当時鉢巻きするのって流行っていたんですかね。スターボーも3人そろって鉢巻きでしたけど。あんまり周辺の一般人の間では見かけませんでした。

pinknokokoro


ポール:今回は再発にあたってジャケが変わってますけど、アナログの、ピンク色の帯も味があるんですよ。あ、ジャケの野宮さん、確かに言われてみればスターボーっぽい。でもどっちかって言うと、アイドル+鉢巻きって言うと、ジャニーズ系アイドルのイメージが強いですけどね。光GENJIとか。だいたいパロディーで80年代の男のアイドルをやるとなると、鉢巻きでモコモコ頭で笑顔でガッツポーズする、ていう印象がありますけど。

先生:確かに鉢巻きと言うのはジャニーズのイメージですね。マッチとか。
以前のライナーノーツからの受け売りですが、最初は“いぢわる少年団”というガールズバンドを結成して、それが“パズル”になって、EAST-WESTのレディース部門で準優勝したとか。

ポール:僕が持ってる『ピンクの心』のアナログは見本盤で、「野宮“ロマン”真貴プロフィール」っていう手書きのメモのコピーが入ってたんですよ。それによると、“いぢわる少年団”は野宮さんが18歳のときで、女の子ばかりの5人組のハード・ロック・バンドだとか。“パズル”は、“いぢわる少年団”からメンバーチェンジをして発展結成、と書かれてます。アルバムのクレジットで、コーラスの欄に「パズル」て書いてありますけど、これはパズルのメンバーということなんでしょうかね。さすがに音源は残ってないでしょうね。

先生:ハルメンズの「お散歩」ではリードヴォーカルをとっていますが、これがリードヴォーカルとしてはリリースデビューでしょうかね?

ポール:だと思います。ハルメンズの1stと、そのあと参加した“Skin”ってバンドでは、両方ともバック・コーラスですし。

先生:えっ、Skinのバックやっていたんですか!佐久間正英さんがプロデュースしたバンドですね。『満足できない』(1980年)というシングルは持っているのですが、これじゃないですね。
野宮さんは、このアルバムについて「自分のソロの中では、一番好き」ってコメントしています。同時にこのアルバムに関わった鈴木慶一さん(ずっとProduceだと思っていましたが、Directed byとクレジットされています)が「僕が関わった女の子のアルバムで2枚だけ気にいったのだがあるんだけど、それが『ピンクの心』と杏里の『悲しみの孔雀』なんだ」とコメント。相思相愛のアルバムです。

ポール:いいですね。「昔のことは言わないで」「恥ずかしい」とか言う人いますけど、それはこっちとしても悲しいですし。

先生:聴き直してみると、当然ムーンライダーズ色が強い(「女ともだち」「ピンクの心」)のですが、ハルメンズ色も負けず劣らず。ハルメンズ曲の「モーター・ハミング」は当然ですが、太田啓一(螢一)=上野耕治両氏の後のゲルニカコンビによる「原爆ロック」は、戸川純ちゃんが歌っても違和感がない曲です。

ポール:「美少年」を聴いたとき、「あー、これはライダーズっぽいなー」と思ったんですが、これ、松尾清憲さんの作曲だったんですね。GSと歌謡曲とパワーポップが一緒になったような、懐かしい曲調で好きですね。ちょっとタンゴ・ヨーロッパの「ダンスホールで待ちわびて」を思わせる感じもあったり。それにしても「原爆ロック」はビックリですよ。まんまゲルニカの音ですもん。「モーター・ハミング」は岡田徹さんのアレンジで、スカっぽいリズムだったりしてまた違った魅力がありますね。サビからAメロに戻るときの転調の浮遊感というか、思わず唸ってしまう感じが、たまらんチ会長です。

先生:佐藤奈々子さんが作詞作曲した「ツイッギー・ツイッギー」は、後にPizzicato Fiveの代表曲になります。このアルバムはプレゲルニカであり、プレピチカートでもある、日本のポップス史上重要な実験的なアルバムなんだと、勝手に思っています。

ポール:なるほど。僕は、ピチカートはノンスタンダード時代しか聴いてないんですよ〜。なので、初耳でした。たしかにツィッギーは、ピチカートにも通じる重要なアイコンのひとつと言っていいかもしれないですね。

先生:話は逸れますが、科学万博「EXPO '85」電力館テーマソングだった「すてきなラブ・パワー」は冨田勲氏の作品ですが、ヴォーカルは野宮真貴さんです。冨田作品としては最もポップな曲ではないでしょうか?

ポール:YouTubeで初めて聴きました。シンセは冨田さんらしく壮大でスペイシーな感じですが、こんな歌モノもあるんですね。意外。野宮さんのヴォーカルが、すごくアイドルっぽくていいなぁ。

最近のオランダの話題を一つ。Perfume界隈では既に報告されていることなので、ご存じの方もいるとは思いますが、オランダねたとしては美味しいので書きます。

megacoolオランダのDoenja & Kidsのよる「Heel de wereld is van mij」という曲があります。CD+DVD盤『Mega Cool & Super Vet』に収録されており、これ自体がリリースされたのは、割と最近で2010年の5月。YouTubeにPVが公開されたのは、2009年11月。タイトルの意味は「全世界は私のものです」。その昔、The Broad Bandが「Internet Killed The Video Star」というThe Bugglesの「Video Killed The Radio Star(ラジオスターの悲劇)」をWeb上で公開していましたが、遅咲きのインタネットをテーマにした歌のようです。国名がいっぱい出てきたり、Googleじゃなくて「Googel」というのがPVに出てきたり(笑)。



歌っている人が、Doenjaさんだと思いますが、公式サイトに行くと、子供向けのエンタメ専門のような感じです。

解説する必要もないくらい、これはPerfumeの「チョコレイト・ディスコ」とサウンドが酷似しています。「これが正規のカヴァーなのかそうでないのか?」、また「それってどうなの?」と言う件については当事者にお任せしたいと思いますが、Perfumeの「チョコレイト・ディスコ」がオランダにまで影響を及ぼしたというのは面白い現象です。昔なら日本の曲が海外で認知されるのにはかなりの労力と時間がかかりました。今は、YouTubeなどで「全世界は私のもの」になるわけで・・・2 many dj'sとかがPerfumeをRadio Soulwaxにカッコよく入れてくれると嬉しいな〜と思う、今日この頃です。

MOってなんだと思われたかもしれませんが、これから説明します。80年代、オランダにニューウェイヴ・シーンが存在したのか調べてみたけど、いまいち分かりません。オランダのMecano(スペインのMecanoと同名のバンドですが、彼らの方が早かったと言っています)のメンバー、Tejo Boltenさんとやりとりした時、あったと言っていますから、あったのでしょう。

mo何故か、日本盤もリリースされているオランダのバンド、The MOというのがいます。現在、「テクノポップ対談」をしているポール・フランクさんに教えてもらったバンドなのですが、これが素晴らしくツボにハマります。The MOとしてファースト・アルバム『MO』(1981年)にBack Doorというレーベルからリリースされました。日本でも『タンゴ・ポップ』というタイトルでPolystarからリリースされました。最初、原題も「Tango Pop」だと思って、探してみましたが、何も出てこない。

The MOの『MO』というアルバムを探すのは、あまりにも語数が少なすぎて、ネットでは難題となります。タンゴ・ポップっていうタイトルですが、それほどタンゴっぽいわけでなく、たぶんバスーン奏者がいることから日本で、「じゃ、タンゴ・ポップで行きましょう」という軽いノリで決まったのだと思います。シングルとしてもリリースされた「Fred Astaire (Just A Summer Love Affair)」は、変てこなリズムなんだけど、癖になるひねくれポップ。



haha2セカンド『Ha Ha! The Sound Of Laughing(マジカル・ポップ)』(1983年)の時点では、The MOからMOになります。でも日本盤ではリンダ&MOとなります。これもたぶん、「MOだけだと、短すぎてインパクトないからリンダをつけよう」と軽いノリで、バンド名変えちゃったのでしょうか? いいのか、そんなことで? メンバーはドラムのHarm Bieger以外の3人は全て総入れ替え!

ここからはポール・フランクさんの発言を引用します。

曲を書いている人もヴォーカルも以前と違うのに、ほとんど同傾向のサウンド(歌声も近い雰囲気)とメロディーのセンス。なぜに。ファースト以上に転調ばかりのメロディー・ラインには、とにかく驚かされます。しかもポップ。特に「ADSR」(シンセ用語のAttack Decay Sustain Releaseのことでしょう)という曲や「Human Race Put On Display」という曲はすごく好きな曲。オススメです。


ひねくれポップの金字塔「ADSR」は名曲なのでぜひ聴いてほしいですが、「Cheese」(何故か邦題は「マジカル・ポップ」)も日本人好みのメロディーの胸キュン・チューン。

先生:では、予告通りNegiccoです。NegiccoについてはAll Aboutテクノポップの「'08年Post Perfume〜アイドル編」で書いたのですが、もう少し掘り下げてみましょう。NegiccoはCDデビューこそPerfumeに1年遅れましたが、地方アイドルの老舗ですね。

tetsu:もう8年目にもなるんですよねぇ。

先生:Wikipediaの「ローカルアイドル」の中部地方のリストに掲載されています。中国地方には、Bachicco!(ばちっ娘!)というのもいますね。 あと、レースクィーン集団でDegiccoというのもいましたね。

tetsu:先生勉強家です。わからないですし、覚える気にもならないです(笑)。けど、こういうの掘ってると楽しいですよね。時間を忘れます。

先生:Degiccoはたまたまフレンチ系のイベントで見る機会があったので、知りました。サエキけんぞうさんが詞を提供しています。
Negiccoはconnieさんが手掛けるようになって、テクノポップに接近し、オシャレ度が上がったと思います。 僕はNegiccoの存在は知っていたものの、実際音源を聴いたのは2008年の「My Beautiful Life」あたりからです。テクノポップ度も一番高いですし、曲としてもがんばって作っているなぁと。tetsuさんはどの時期からNegiccoに注目したんですか?

tetsu:一応、知ってはいましたが・・・私もあんまり変わらないです。PerfumeのGAMEツアー新潟で初めて見て、その後、「My Beautiful Life」が素晴らしすぎて、次のシングルの圧倒的なスタイルも良くって、思わずファンになっちゃいました。

先生: connieさんが手掛けた「ネギさま!Bravo☆ 」は、夏向けラテン風。実は、ラテン風アイドルポップは、テクノかどうかは別にして、一つのジャンルとして好きなんです。「スウィート・ソウル・ネギィー」は、キリンジの「スウィートソウル」っぽいタイトルですが(笑)、こちらもポップスとして完成度が高いです。

tetsu:両方共イイ曲です。「ネギさま」の方は、初披露がGyaoの収録で、ヌキ天という4週合格で全国デビューって番組なんですが、4週目の3回目行ってたんですが、全然テクノじゃないけど良曲で、ほんと全国デビューが決まった瞬間は感動的でした。





先生:割と最近ですが、2010年7月に、『プラスちっく☆スター』というシングルをリリースしています。タイトル曲の「プラスちっく☆スター」は、タイトルからはテクノポップ路線を感じさせますが、少しアイドルソング寄りになったと感じます。 クレジットを見ると、connieさんじゃないのですね。tetsuさん的にはこの変化はどう思われますか?

プラスちっく☆スタープラスちっく☆スター
アーティスト:Negicco
販売元:U’s MUSIC
発売日:2010-07-09
おすすめ度:5.0
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tetsu:やっぱNegiと言えば僕にとってはconnieさんというイメージが強いですから、ずっと変わるとするとショックかもしれないですが、今回全国デビューの為に、1枚だけって半分わかってますから、connieさんじゃなくても「そうなんだ、たまにはいいんじゃない?」って思っています。

先生:カップリングの「Go My Life」の方はいいのですが、「ねぎねぎROCK」は僕にはちょっと辛いかな。

tetsu:確かに音を聞いてるだけじゃ辛いかもしれないですね。割とライヴだと聞けるんですよ。彼女らほんとステージング上手いですよ。さすが8年目って感じですね。

先生:Negiccoもやはり新潟までライヴを見に行ったのですか?

tetsu:別の人のライヴのついでにですが、新潟では2回しか見たことないです。あとは東京ばっかりですね。しょっちゅう東京来てますしね。そういえば、また東京の浅草まつり湯でライヴあるって話です。他のライヴもいいんですけど、スーパー銭湯の座敷の宴会場で、昼間から、飲みながらくつろぎながらNegiccoのライヴがみれるっていうなかなか他にはない素晴らしいモノなので是非見に来て下さい。

先生:他にテクノな地方アイドルっているんですか?

tetsu:何をいってるんですか(笑)! テクノなアイドルは、東京だけだと割と少ないですよ。次いきますよ!!

先生:失礼いたしました(笑)。じゃ、新潟から南下してください。

tetsu:次は名古屋でしず風さんです。

スペインの次はどこにしようかなぁと考えていたんですが・・・オランダ王国にしましょう。オランダは1650万人くらいの人口。以前、よくヨーロッパ渡航の際、KLMに乗っていたので、アムステルダムは何度か行った事があります。オランダってHollandと言ったり、Nederlandと言ったり、Dutchと言ったり、呼び名が多いです。Dutchと言えば、「Double Dutch」。お笑いコンビの名前にもなっていますが、Malcolm McLarenの「Double Dutch」・・・これは二人のオランダ人ではなく、二本の縄を使った縄跳びの呼び名です。



話が妙な方向にそれましたので、戻します。オランダと言えば、古くは、「Venus」(1969年)や「Never Marry Railroad Man(悲しき鉄道員)」(1970年)等の世界的ヒットで知られるThe Shocking Blueが思い浮かびます。Ladytronの『Softcore Jukebox』というDJ Mixにも「Send Me A Postcard」が収録されていました。Shocking BlueなどのバンドはNederpopと呼ばれるらしいです。この「Venus」、意外にオランダ本国では最高位3位にしかならかなったのです。しかし、アメリカ、他の多くのヨーロッパ諸国では1位になっています。日本でもオリコン2位。



オリジナルの「Venus」のリミックスとしてお薦めなのが、『Soul Source REMIXED FEVERS』(2005年)に収録の福富幸宏さんによる「Venus (Yukihiro Fukutomi Remix)」です。

ソウル・ソース・リミックスド・フィーバーズソウル・ソース・リミックスド・フィーバーズ
アーティスト:オムニバス
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:2005-03-02
おすすめ度:3.0
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その後、1977年にLipstiqueのディスコ系カヴァー等がありますが、再ブレイクは約17年後。そして、「Venus」は、1986年にユーロビート路線に乗っかったBananaramaによってカヴァーされ、再び大ヒットしました。これは、彼女達が初めてStock Aitken Watermanと組んだ最初の作品でした。ユーロビートの影響下にあった日本でも、長山洋子、黒沢ひろみ、荻野目洋子などが、Shocking BlueというよりもBananaramaヴァージョンの「Venus」カヴァーをしました。



オランダの話からイギリスのBananaramaの話になってしまいました。Bananaramaは、その後Siobhan Fahey抜けて、一時新メンバーが加入していた時期があります。現在もKeren Woodward、Sarah Dallinの二人で活動しています。

前回は、スペインの渋谷系インディーポップ、La Casa Azulを紹介しましたが、今回もインディーポップ系。Souvenirというバンドです。ジャケには二人しか写っていないのですが、Patricia de la Fuente、J'aime Cristobal、Pablo Erreaからなる男女混合3人組のようです。彼らは不思議な事に、スペイン出身なのに、フランス語でほとんどの曲を歌っています。よって、フレンチテクノポップな雰囲気を醸し出しています。

結成して10年ほど経ち、『Points de Suspension』(2001年)、『Recto/verso』(2003年)、『Des Equilibres』(2005年)、『64』(2007年)、『Drums, Sex and Dance』(2009年)と現在まで5枚のフルアルバムをリリースしています。1stの『Points de Suspension』はほとんど話題にならなかったと思いますが、日本盤もリリースされています。最新作『Drums, Sex and Dance』は、テクノポップと言ってもいいサウンドですが、初期の作品はボサノバ的であったり、ギターポップ度も高いです。

Drums Sex & DanceDrums Sex & Dance
アーティスト:Souvenir
販売元:Jabalina
発売日:2009-03-24
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2曲目の「Ta machine」はタイトルからしてもテクノです。サウンドもKraftwerkっぽくもあり、同時にギターバンドとして生楽器との折衷具合がオツであります。



3曲目の「Monkey see monkey do」・・・ジャマイカ由来の言い廻しらしいですが、サル真似という意味でしょう。こちらは、ニューウェイヴ的なロケンロールなんですが、ピコピコもしていてカワイイ。

All Aboutで行ったアーバンギャルドのインタヴュー記事「アーバンギャルドの証明」の番外編Part 2です。

少女三部作の三作目『少女の証明』(これからも少女シリーズは続くのだろうか?)から「プリント・クラブ」のPVも公開されました。

少女の証明少女の証明
アーティスト:アーバンギャルド
販売元:前衛都市
発売日:2010-10-08
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では、アーバンギャルドの浜崎容子さん(akaよこたん)と松永天馬さんにハルメンズについて聞いてみましょう。

先生:この度は、ハルメンズの再発と同時にリリースされるサエキ×Boogie theマッハモータースの『21世紀さんsings ハルメンズ』に参加されましたが、どのようなきっかけで?

21世紀さんsingsハルメンズ21世紀さんsingsハルメンズ
アーティスト:サエキけんぞう&Boogie the マッハモータース
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:2010-10-20
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浜崎:サエキさんご本人から直々にオファーをいただいたときは驚きました。メンバーが好きで影響受けているバンドさんから、まさかご指名いただけるとは。このような機会は滅多に無いと思い、喜んで受けさせていただきました。

松永:僕とサエキさんは僕が一ファンの時から細々面識はあったのですが、昨年「DRIVE TO 2010」のオファーを頂けた辺りからより親密にさせて頂いております。
ちなみに今回、僕はアルバム収録のライナーノーツを書かせていただきました。長年ハルメンズへと温めていた熱をぶちまけた内容となりました。

先生:松永さんがハルメンズ好きであると断定しています。(意識的か無意識かは別にして)アーバンの「リボン運動」はきっとハルメンズの「リズム運動」へのオマージュに違いないと・・・ ハルメンズとの出会いは?

松永:高校生の頃、ムーンライダーズなどの湾岸系から遡ってですね。
サエキさんは僕が中二の頃NHKで「ソリトン」という番組をやっていたので、既に存じ上げていました(余談ですが「ソリトン」は90年代に80年代の「YOU」的なサブカルチャー情報番組を目指したものだったらしいです。「ソリトン」シリーズをリアル中二病の時分に見てしまったことが、僕のその後の人格形成に少なからぬ影響を与えたことは言うまでもありません)

先生:当時テクノポップと呼ばれた人達の中では、異彩を放っていました。以前ZOLO系(ひねくれポップに近い)のバンドが好きな外国人の人にハルメンズを聴かせたら、感動していました(歌詞が分かったらもっと感動したかも)。

松永:ハルメンズのテクノポップは、いわゆる擬音で表されるような「ピコピコ」というよりは「ふにゃふにゃ」なんですよね(「ふにゃふにゃサイボーグ」って曲もありますね!)テクノポップ御三家のようにあからさまにソリッドではないし、尖った部分も何処となく弛緩している。この「ふにゃふにゃ」感がハルメンズ最大の特長であるように思います。
弛緩した未来観は当時の藤子不二雄的なSF世界というよりはレトロフューチャーな趣で、それも当時としては珍しかったのではと思います(過去未来折衷の様式は、上野耕路と戸川純、太田螢一で結成するゲルニカにも受け継がれていますね)。

先生:よこたんは2曲歌っていますね。「趣味の時代」は佐藤奈々子さんがコーラスで参加していた曲ですが、こちらのオリジナルは再度聴いてみたのですか?それとも意識しないために、そのままやってみたのですか?

浜崎:オリジナルも勿論拝聴いたしました。サエキさんからレコーディングの際に「伸び伸びといつものよこたんらしくやってくれ」と仰っていただいたので、オリジナルがどうとか関係なく全く新しい新曲のつもりで歌いました。「趣味の時代」はアーバンとの世界観とも近いものが合ったので楽しんでやれました。

松永:「趣味の時代」はいくつか頂いた候補の中から、僕が是非にとお願いしました。この男女ユニゾンによる狂気のテンションはアーバンギャルドにも通じる気がします。

先生:「ノスタル爺」はハルメンズの新曲なんですね! 今回のコラボの感想をぜひ聞かせてください。

浜崎:アーバンでやっているレコーディングの流れとは違ったものを経験でき、とても刺激的な体験でした。野宮真貴さんともお会いすることができ、夢のようなひと時でした。
「ノスタル爺」は未発表の新曲ということで、光栄でした。サエキさんのディレクションのもと、エキセントリックなニューウェイヴで凄く気に入っています。

先生:「ノスタル爺」は癖になる曲ですね。「ノスタルジィ〜♪」が頭の中でぐるぐるします。

松永:「ノスタル爺」は「時をかける老人」ともいえるような内容で、ミイラ化した「超高齢者」が多数発見される今の時代にピッタリな曲だと思います!

先生:「時をかける老人」・・・ウケます。
普通、老人とか爺とかはニューウェイヴの主人公にならないのですが、これがテーマとなるのがサエキマジックですね。最後にハルメンズで一番好きな曲は?

浜崎:やはり参加させて頂いた「趣味の時代」「ノスタル爺」は外せないですね。あとは「母子受精」とか。サエキさんの歌声が色っぽいです。

松永:全部いい!ですが「趣味の時代」「母子受精」の魅力は計り知れないです。母子受精された「街の落とし子」たちがゴムの都会を駆けるさまは、アーバンギャルドの原風景の一つでもあります。

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