四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

2010年12月

2010年最終記事となります。音楽記事サイトらしく2010年のオリコンチャートを振り返ってみましょう。

シングル・ベスト10
1位:AKB48『Beginner』
2位:AKB48『ヘビーローテーション』
3位:嵐『Troublemaker』
4位:嵐『Monster』
5位:AKB48『ポニーテールとシュシュ』
6位:嵐『果てない空』
7位:嵐『Lφve Rainbow』
8位:AKB48『チャンスの順番』
9位:嵐『Dear Snow』
10位:嵐『To be free』

これを見ていると、AKBと嵐が日本を席巻!!!と言うべきなのでしょうが、シングル・チャートというのは“買い支え”の指標と言った方がいいでしょう。まぁ、かわいいですけど(嵐の事ではない)。

アルバム・ベスト10
1位:嵐『僕の見ている風景』
2位:いきものがかり『いきものばかり〜メンバーズBESTセレクション〜』
3位:西野カナ『to LOVE』
4位:FUNKY MONKEY BABYS『ファンキーモンキーベイビーズBEST』
5位:Mr.Children『SENSE』
6位:安室奈美恵『PAST<FUTURE』
7位:東方神起『BEST SELECTION 2010』
8位:いきものがかり『ハジマリノウタ』
9位:福山雅治『THE BEST BANG!!』
10位:木村カエラ『5years』

相変わらず、日本のアルバム・チャートはベスト盤が強いですね。会いたくて 会いたくて 会えばいいじゃないかの西野カナちゃんは、3位と大健闘であります。

ちなみにシングル、アルバムのオリコン50位以内に入ったCDで僕が買ったのは、2枚あります。
ひとつは、Lady Gagaの『The Monster』(14位)。
もうひとつは、Lady Gagaの『The Remix』(41位)です(笑)。
輸入盤で買っている人も多いでしょうから、『The Monster』はベスト10に入ってもいい位の売上枚数でしょう。

「Poker Face (LLG vs GLG Remix)」のリミックスPVです。


レコード大賞の方を見てみましょう・・・

日本レコード大賞:EXILE『I Wish For You』
最優秀歌唱賞:近藤真彦『心 ざんばら』
最優秀新人賞:スマイレージ『夢見る 15歳」』
最優秀アルバム賞:いきものがかり『ハジマリノウタ』

と、大変コメントしづらい状況です。
個人的には、Lady Gagaでいいのではと思います。

テクノポップやエレクトロ系に限って言えば、海外でも日本でも一息ついた感があります。このあたりで、新しい動きの模索が始まるのではないかと思っています。個人的には、トロピカリズムやトライバルなものを取り入れたエレクトロ(&ポップ)系とかが推しです。

2010年、みなさま、ご愛読ありがとうございました。カウントダウン終了後に、元旦記事もアップいたします。

Paola & Chialaに続き、僕のCDラックから発掘されたのが、In-Gridの『In-Tango』(2003年)。

In-Tango EpIn-Tango Ep
アーティスト:In-Grid
(2004-01-20)
販売元:Amazon.co.jp
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こちらはジャケ違い。

In-TangoIn-Tango
アーティスト:In-Grid
販売元:Golden Dance Class.
(2005-07-05)
販売元:Amazon.co.jp
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In-Gridちゃんは、イタリア北部出身。本名はIngridであのIngrid Bergmanから両親が命名しました。イタリア人ですが、ほとんどの曲はフランス語で歌っています。彼女のデビュー・シングル『Tu Es Foutu』(2002年)は、ヨーロッパ全土でヒットとなりました。

2ndシングル「In-Tango」もそこそこヒットしたようですが、タイトル通りタンゴ調のダンスナンバー。タンゴの発祥地と言えば、アルゼンチンですが、元々スペインやイタリアからの移民が由来の踊りとされていることからも、イタリアでも好きな人は多いのでしょう。日本でも有名な「黒猫のタンゴ」の原曲もイタリア発「Volevo un gatto nero(黒猫が欲しかった)」ですから。



『In-Tango』のCDを買った理由が、以前紹介したイタリアのエレクトロDJ、Benny Benassi がリミックスした「Sfaction Mix」がカッコよかったから。これは、Bennyの代表作でもあるブリブリ・エレクトロ「Satisfaction」とマッシュアップしたようなエレクトロタンゴとなっております。

中南米音楽旅行はひとまず切り上げて、イタリアにちょっと戻ります。イタリアなのに、どうしてカーマストラと不審に思われている方もいるでしょう。CDラックから発見して思い出したのが、Paola e Chiara(パオラ・エ・キアラ)のシングル『Kamasutra』(2003年)。ローマに行った際、買ったと思うのですが、なんで買ったのかいまいち思い出せない・・・たぶんジャケ買いですかね(笑)。

kamasutraKamasutra
アーティスト:Paola & Chiara
販売元:Columbia

販売元:Amazon.co.jp
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Paola & Chiaraとも英語表記されることもある、イタリアの美人姉妹。イタリアのPuffyと呼ぶ人もいるみたいですが、個人的には違うと思います。イタリアの叶姉妹でもない。僕はブルーネットのパオラ姉さんの方が好みですね。1997年のサンレモ音楽祭でデビューし、現在も活動を続けています。ソングライティングも演奏もこなせる、しかもセクシーな美人姉妹。イタリアの伝統的なポップスというよりも、ラテン風味が強く、スペイン語、英語でも歌唱します。

では、『Kamasutra』に話を戻しましょう。カーマストラ(Kama Sutra)とは、「愛(カーマ)の教え(ストラ)」という意味で、古代インドの性典の事です。インドの文化は神秘に満ち溢れています。インド風イントロから始まるこの曲にはPVがちゃんとあって、これが凄いんです。セクシーPV大賞というのがあれば、勝手にノミネートしてグランプリを差し上げます。PVのためなら、裸体も辞さない迫真の演技! 流石、イタリア美人姉妹。



「Kamasutra (Dance Rebel Mix)」も収録したベスト盤『Greatest Hits Paola & Chiara』(2005年)もございます。

Greatest Hits Paola & ChiaraGreatest Hits Paola & Chiara
アーティスト:Paola & Chiara
販売元:Sony/Bmg Italy
(2005-03-04)
販売元:Amazon.co.jp
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2010年04月19日に試運転を開始した“テクノポップ定点観測”ですが、12月27日までの記事のランキングが判明したので、ここで紹介させていただきます。このランキングは、ブログ形式で掲載されているSherpa Blogと転載されているlivedoorニュース内の記事の合計を集計したものです。

1位は・・・なんと、しず風! しず風ってそんなに人気があったのか! testuさん、ありがとう!

けろっぐ博士とのPerfume対談がそこそこ読まれているとは予想していましたが、最近掲載したBON-BON BLANCOも堂々の2位。再評価してあげてください。

他にも意外だったのは、ポール・フランクさんと対談したチャクラやゲルニカの記事。チャクラは「せんせい」に反応があったのか!

「戦メリ」関連記事も二つBest 10入り。ブラジルのディスコパンク・バンド、CSSが何故か10位に・・・不思議です。

1:【アイドル対談】しず風はメンバーチェンジできない

2:日本(2)〜BON-BON BLANCOはどうして売れなかったのだろう?

3:【Perfume対談】ねぇねぇねぇ

4:【テクノポップ対談】チャクラが歌った「せんせい」

5:【Perfume対談】Perfumeは巨大な東京ドームを克服できたのか?

6:X'mas (2)〜「戦メリ」のワイングラス・サンプリング分析

7:【テクノポップ対談】懐かしのゲルニカの「スイートキッス」CM

8:X'mas (3)〜『Utada The Best』にも入っている宇多田ヒカルの「戦メリ」

9:【Perfume対談】「FAKE IT」に見るシングルB面のうまみ

10:ブラジル(4)〜セクシーにうんざり・・・CSS

12月23日、前日に告知しましたEAM2010に行って来ました。神戸北野のmini studioが主催となる本イベント、今回が第一回となります。

eam2010


場所は、京橋のベロニカ。大阪の京橋というとどちらかと言えば、庶民的な風情が漂います。しかし、ベロニカは80年代のバブルの面影も感じるゴージャスなハコ。ハコと言うより、キャバレーっぽい。

beronica


盛り沢山なゲストを迎えた長丁場のイベントでしたから、年長者への配慮という訳ではないでしょうが、立見ではなく着席できたのが、有り難かった。では、写真を追いながらライヴレポートします。

何故か入り口にいる二人。A.C.E.かと思った(笑)。

nise-ace


以前、神戸テクミーにも来てくれたNaganoさん率いるニューウェイヴ・バンド、The FLICKS。

flicks


DJぎゃとしても知られる遊女ハルキヤさんは、沢尻エリカになりきり、ステージをのた打ち回っていた・・・お陰でちゃんと写真撮れなかった(ごめん)。

haruhiya


保山ひャン(元モダンチョキチョキズ)は、何故かYMOの「Rydeen」を笛で生演奏!

hozan


アニソン界のゴシック女王コンビ、MONALINAでございますわ。

monalina


テクノポップとトランペットの融合を図る瀬戸一成さん。いつも元気いっぱい! バックは次に登場のわをん。

seto


わをんによるウッドベース、クラリネット、アコーディオン、テルミン、のこぎり(2種類)の生演奏。楽器としてののこぎりの素晴らしさを初体験。

wawon


僕が大好きなバンド、ショコラータのキーボーディストだった渡辺蕗子さんのソロライヴ。ショコラータ・ナンバーにガムランのクリスマスソングなどを堪能。

watanabe


会場であった時は、かなり出来上がっていた松前公高さん。それでもライヴができる松前さんは凄い。

matsumae


安井さんは数日前まで風邪で不調だったけど、復活。この日のA.C.E.は、ステージで挑発的だった!

ace


おかげで、盛り上がった。

ace2


何故か、A.C.E.風のニューウェイヴ眼鏡着用のぶどう÷グレープのくみんこちゃん。A.C.E.とコラボしてほしい。

budogrape


この日は、ぶどう÷グレープに男性陣は、松前さんとライヴ前に京橋で飲みに行ってしまう。当然、ライヴトークのネタとなる。

budogrape2


この日のライヴのトリとなったミンカ・パノピカは熱かった! エイジさんはアイドル。

minka


他、DJタイム(tsumamiさん、noriさん、チーム・メルヘソ、hondatronさん、小西健司さん)も交えて、4時過ぎから始まったEAM2010は10時過ぎに無事に終了。ぜひ、関西の恒例クリスマス・イベントとして来年もやってください。

以前、「Saori@destinyで学ぶバイレファンキ」でバイレファンキの話をした時にちょっとだけ紹介した、Cansei de Ser Sexyについて。タイトルの「セクシーにうんざり(Got Tired of Being Sexy)」というビヨンセ(Beyonce)発言を由来とするブラジルはサンパウロ出身のバンド。みんなCSSって呼びます。

2003年に結成されたCSSは、メンバー交代もありますが、基本ガール・バンドって印象です。正確には、バンドの音楽的要であるアドリアーノ・シントラ (Adriano Cintra)君は男性。女子の中で一人男性で嬉しいのか、大変なのかと思ったりもするのですが、アドリアーノ君はゲイですから、みんなお友達って感じなのですかね。

リード・シンガーの通称Lovefoxxxちゃんの本名は、ルイザ・ハナエ・マツシタ。祖父母は日本人の日系3世。ハナエちゃんって、親近感が沸きますね。

現在まで、1st『Cansei de Ser Sexy』(2006年)と2nd『Donkey』(2008年)の2枚のアルバムがリリースされ、KSRからの日本盤もあります。サマソニ2007、フジロック2008、サマソニ2009とコンスタントに来日もしており、サマソニ2009の来日記念盤的なリミックス+未発売音源集『Donkey Party: Bate Cabelo』(2009年)もお勧めです。

カンセイ・ジ・セール・セクシー(デラックスエディション)カンセイ・ジ・セール・セクシー(デラックスエディション)
アーティスト:CSS
販売元:KSR
(2007-06-27)
販売元:Amazon.co.jp
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ドンキードンキー
アーティスト:CSS
販売元:ケイエスアール
(2008-07-09)
販売元:Amazon.co.jp
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ドンキーパーティー:バッチ・カベーロドンキーパーティー:バッチ・カベーロ
アーティスト:CSS
販売元:ケイエスアール
(2009-06-17)
販売元:Amazon.co.jp
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初期の面白い曲は、1stアルバムにボーナスとして収録されている「Meeting Paris Hilton」。ビヨンセ、パリス・ヒルトン・・・セレブが好きなのでしょうか? LCD Soundsystemの「Daft Punk Is Playing At My House」的なモチーフも感じます。

彼らの代表曲と言えば、1st収録の「Let's Make Love and Listen to Death from Above」ですが、Death from Above 1979というディスコパンク系バンドをネタにしています。ポルトガル語で歌っている曲もあるらしいですが、CSSは基本英語で歌唱、ブラジル的なルーツよりもディスコパンク的かつヘタウマ的魅力に溢れたバンドだと思います。Lovefoxxxちゃんのインタヴューでも、ブラジル音楽あまり聞かないって言っています。2nd収録の「Left Behind」も「Move」あたりでは、エレクトロ度が増し、洗練された感もありますが、やっぱりカッコいいCSS。

スペインの渋谷系として、La Casa Azulを紹介しましたが、それよりも前から活動していたブラジルの渋谷系、Pato Fuについて書きます。

Pato Fuって不思議な名前です。猫のガーフィールドの技の名前は、Cat Fu(Kung Fuをもじったのでしょう)。それをさらにもじって、Pato(あひる)Fuとなりました。Pato Fuはリオでもサンパウロでもなく、ブラジル内陸部のベロ・オリゾンチで1992年に結成されました。

Pato Fuをブラジルの渋谷系として紹介していますが、ルーツとして影響を受けたのは、オス・ムタンチス(Os Mutantes)というブラジルのトロピカリズモ運動における重要バンド。1966年にデビュー時、ムンタチスは当時ブームだったサイケデリックロック色が強かったバンドです。

Pato Fuは1993年から現在まで9枚のスタジオ・アルバムをリリースしていますが、Pato Fuの代表作かつ渋谷系の色彩が強いアルバムが、『Isopor』(1999年)。

ISOPOR (2008 edition)ISOPOR (2008 edition)
アーティスト:PATO FU
販売元:有限会社大洋レコード
(2009-01-14)
販売元:Amazon.co.jp
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その中でも日本語で歌唱した異色ナンバーが、「Made In Japan」。Pizzicato Five的なおしゃれサウンド、テクノポップ(フューチャーポップと言ってもいい)的なSF・ロボット的なモチーフを使いながらも、原爆と深刻なテーマを扱い、ある種日本贔屓的な意味合いも感じます。このあたりはやはり、紅一点ヴォーカルのフェルナンダ・タカイ(Fernanda Takai)が、日系ブラジル人であることにも関係しているのでしょう。顔を見ると、日本人以外の血も入っているのかとは思いますが・・・



最新アルバム『Musica de Brinquedo』(2010年)でも、日本語で歌っています。Pizzicato Fiveの代表曲、そして野宮真貴さん(フェルナンダとは共演もしています)のデビュー・アルバムにも収録されていた「ツイギー・ツイギー」を収録。タイトルどおり、「おもちゃの音楽」のような魅力がいっぱいです。

musicaMusica de Brinquedo
アーティスト:Pato Fu
販売元:Rotomusic
(2010-08-30)
販売元:Amazon.co.jp
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中南米音楽・日本編の第2弾は、ボンブラことBON-BON BLANCO(スペイン語で「いけてるじゃじゃ馬娘」)。AKB48などなど、多人数アイドル・グループがシングル・チャートを席巻している昨今の日本ですが、実のところいまいち僕は着いていけていません。未だに、AKB48をアキバ48などとつい読んでしまう。そんなアイドル・グループ花盛りの日本ですが、ボンブラはそれほど売れませんでした。

2002年にシングル『愛 WANT YOU!!』でデビューし、2009年に解散してしまったボンブラ。リード曲も陽気なラテン系で乗れる曲なのですが、カップリングは、Miami Sound Machineの「Conga」とラテン路線を明確に出しています。

ラテン歌謡は、日本の歌謡曲の歴史をたどれば、ひとつのジャンルとして確立されているのですが、アイドル・グループとしては稀有なラテン・パーカッション(マラカス、ティンバレス、ボンゴ、コンガ)を武器にしています。他にココナッツ娘。くらいですから、ラテンが多いなーと感じたのは。ソロ、グループのアイドルでラテン歌謡を単体としてリリースすることはあるのですが、ここまでラテンにこだわったアイドルは珍しい。音楽性に一貫性を持ったアイドルとしてPerfumeが珍しく売れたテクノポップ・アイドルだったように、ボンブラにもラテン系アイドルとして売れてほしかったです。

正確に言うと、ボンブラは全然売れなかった訳ではありません。人気アニメ「ONE PIECE」オープニングテーマ『BON VOYAGE!』(2004年)は、8位まで行きました。Perfumeの「ポリリズム」が7位でしたから、あんまり変わらない。

2曲目のシングル曲「だって、女の子なんだもん!」は、なかなか完成度の高い。どこかで聴いたようなフレーズ(終盤は、「君の瞳に恋している」)をうまく駆使しています。SANTOS ANNAちゃんは歌唱力もあるし、マラカスのMAKOちゃんが飛び跳ねてやけに頑張っている(動画見てください!)。



敢えて言えば、ボンブラにはバイレファンキ、電子クンビアなどのより実験的なラテン歌謡にも挑戦してほしかった。だからと言って、売れるとは言いませんが・・・

B3 Master Pieces 2002-2004 (初回生産限定盤)B3 Master Pieces 2002-2004 (初回生産限定盤)
アーティスト:BON-BON BLANCO
販売元:コロムビアミュージックエンタテインメント
(2004-03-24)
販売元:Amazon.co.jp
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12月18日に毎月恒例の神戸テクノポップ・ミーティング(テクミー)がありました。今回は33のオカノアキラさんとトークをしてまいりました。オカノさんのお陰で、結構面白かったようです。

ちなみにオカノさんは、2011年1月10日に「OKANO AKIRA NEW YEAR ROCK FESTIVAL」を梅田シャングリラで行います。安井さんのA.C.E.も登場します。自分の名前が付いたフェスをするとは、凄いオカノさん。フライヤーの写真がやけにかっこいいオカノさん。

okanoakira


もうひとつライヴ告知ですが、明日は、京橋ベロニカで「ministudio creative presents“EAM2010”イーム音楽祭2010」。ministudioとはテクミーが行われている安井さんのスタジオです。

当然、A.C.E.も出ますが、渡辺蕗子(ex.Cioccolata) 、ぶどう÷グレープ、松前公高、保山ひゃん(ex.モダンチョキチョキズ) 、ミンカ・パノピカ、わをん、瀬戸一成、遊女ハルキヤ(a.k.a.DJぎゃ)、TheFLICKS、MONALINA、Mine、Unyo303と盛りだくさんなラインナップです!ライヴレポも予定しています。

そのテクミーにも参加していただいた方を今日は紹介します。unaiさんです。unaiさんを連れてきた瀬戸一成さんは、以前アルバム『ブラックでいこう』を紹介した、テクノポップとトランペットの融合を図る希少なトランペッターです。

unaiさんが持ってきてくれたのは彼女の2008年リリースのライヴアルバム『bossabient-live at sunhall』。

bossabient01. this quiet place
02. yukue
03. pygmy's grave
04. rhythm
05. everything I know
06. headphones
07. 落下
08. polka dots and sparks
09. kilt
10. 砂の上の娘

タイトルにBassabientとあるようにBossaとAmbientの融合。これはありそうで、なかった組み合わせ。unaiさんの甘いヴォーカルにギター、トランペット、テルミンが不思議な調和をしています。もちろん、トランペットには瀬戸さんも参加。

先生:今回はチャクラについて対談しましょう。YMOが売れた時期、多くのニューウェイヴ〜テクノポップ系のバンドが登場しましたが、チャクラもその一つです。実際に売れたバンドはあまりいませんでしたが、音楽性で今でも十分評価に値するバンドは結構いたと思います。チャクラもそうです。

ポール:チャクラを初めて聴いたのは、徳間ジャパンが最初にCD化したときでした。なので、完全に後追いです。存在自体は、細野さんがプロデュースしたバンド、ということで知ってはいましたけど。メンバーはヴォーカルの小川美潮さん、ギターの板倉文(文明)さんを中心に、他はアルバムごとにメンバーが違ってますね。ドラムの横沢龍太郎さんは1stと2ndに参加、ベースの永田どんべえさんとキーボードの近藤達郎さんは2ndのみに参加。3rdでは、メンバーは二人だけで、他はゲスト扱いになってますね。

先生:当時、ニューウェイヴの一つの方向性として、エスニック、アジア、無国籍というがありましたが、チャクラもその流れだったと思います。

ポール:エスニックのブーム、ありましたね。チャクラは、いわゆる“業界ニューウェイヴ”一派として聴いたんですけど、ジャケや衣装だけがテクノっぽくて、出てくる音は普通のロックンロールだったりするバンドが多い中、惹かれる部分は多かったですね。ただ、“テクノポップ”かと言うとちょっと微妙かなとも思いましたが。でも、板倉さんは「テクノっていう概念はなかった」と言ってましたけどね。

先生:チャクラは渡辺プロダクションに所属していた事もあり、テレビ出演がありました。僕は見ていないのですが、「8時だよ!全員集合」にも出演したようです。こちらは別の番組だと思いますが、チャクラの「福の種」と「せんせい」のメドレーが見れます。ライヴ、生半可でなく上手いですね〜。



ポール:当時テレビ出演した映像は、いくつか見ました。「全員集合」の映像は、知人に見せてもらいましたよ。「福の種」を短いヴァージョンでやってましたね。とにかく美潮さんのかわいらしさにしか目が行きませんでしたね。化粧っ気がなくてナチュラルで、でも不思議ちゃんぽくて、魅力的でした。余談ですが、あがた森魚さんも一時期渡辺プロに所属していて、その頃「芸能人大運動会に出させられた」と言ってて驚きました。チャクラも、そういうタレントっぽいことをさせられたりしたのかな…?と思ってしまいます。

先生:森昌子の「せんせい」のカヴァーを聴いたら、ぶっ飛びますね。オリジナルはどうでもいいですが、この「せんせい」はカッコいいです。

ポール:驚異的に鮮明な画像で、しかも音もいい。すごいものが残ってましたね〜。ベースもギターも素晴らしい。しかし、ものすごいコード使ってギリギリのバランスでアレンジしてますね。さすがに歌いにくそうですけど、見事です。やっぱりうまいバンドですね。

先生:一緒に踊っている観客の若者達に、80年代を感じます。「福の種」で踊るのは、どちらかというと盆踊りのようになりそうですが・・・ ヒカシューのメンバーも観客に混じっていますね。

ポール:ヒカシューのメンバーはノリがいいですからね。この当時の別番組でテクノ御三家が出たときでも、ヒカシュー(巻上公一)とプラスチックス(チカ+立花ハジメ)はボンボン持って楽しそうに踊ってるのに、P-MODELのメンバーはただ傍観しているだけ…という事態もありましたし。

先生:山城新吾さんと芳村真理さんも映っていて、「夜ヒット」の司会で有名だった芳村さんは耳をふさいでいます。やはり、万人に理解される音楽ではないのですねぇ。

ポール:芳村真理さんが「素晴らしい!」とか言ったところで見てるこっちは逆に冷めそうですが…。でもこれは、しかるべきリアクションじゃないかなと思いますけどね。やっぱそうだよね、というか。

先生:そう言えば、先日、田原俊彦がTV出演した歌番組で久しぶりに芳村さんを見ました。
話を戻しましょう。チャクラは3枚のアルバム『CHAKRA』(1980年)、『さてこそ』(1981年)、『南洋でヨイショ』(1982年)を残して解散しました。3枚とも好きですが、2ndは細野晴臣さんがプロデュースしていますが、僕は矢野誠さんプロデュースの1stに思い入れがあります。ほとんど曲を作曲していた板倉文さんの力と小川美潮ちゃんとの化学反応が、素晴らしい。

CHAKRACHAKRA
アーティスト:チャクラ
販売元:アブソードミュージックジャパン
(2002-07-24)
販売元:Amazon.co.jp
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さてこそさてこそ
アーティスト:チャクラ
販売元:アブソードミュージックジャパン
(2002-07-24)
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南洋でヨイショ南洋でヨイショ
アーティスト:チャクラ
販売元:アブソードミュージックジャパン
(2002-07-24)
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ポール:僕はやっぱりYMO世代しては2ndかな〜。細野さんのカラーが強すぎるとも思うんですけど、ファンとしてはそこがいいなと。細野さんお気に入りの「いとほに」は、“ドレミファソラシド”を“いろはにほへと”に置き換えた歌詞が面白いです。

先生:1st収録の「マヌカン」はビートルズ中期のようなポップなんだけれど、演奏が絶妙にストレンジ!

ポール:1stシングルの「福の種」は音頭ですね。20歳そこそこの娘さんにこんなエロスな歌詞を歌わせるなんて…と思ったら美潮さんも歌詞書いた一人だったりしますね。実は他にも意外とけっこうエロスな歌詞の曲があるんですよね。で、「福の種」を作曲したベーシストの友貞一正(ガンちゃん)さんは、現在は住職さんになられたそうですね。人生わからないものです。

先生:「東京スウィート」は3部構成の8分以上のプログレ趣味が爆発する曲。

ポール:2曲目(というか2楽章?)の「オープンスペース」は、ちょっとフュージョン的なコード進行とかもありますね。2nd収録の「ミュンミュン」もフュージョンしてましたね。最初聴いたときは、同時期の教授を思わせるものを感じました。教授っぽいと言えば、3rd収録の「まだ」という曲。これはモロに教授っぽいポップスで大好き。美潮さんの声って、ヴォーカルももちろんいいですけど、この曲で聴かれるような多重コーラスもすごくいいんですよ。あ、教授と言えば、板倉さんはなぜか教授の『BEAUTY』にギターで1曲だけ参加してるんですよね。意外でした。

先生:聴き直して思ったのですが、ロリータよりも幼い美潮ちゃんの幼児のような声、不思議な言葉遣い、ストレンジな音楽性、でもポップ・・・相対性理論が好きな若者たちに聴いてもらったら、結構受けるのではないかと思います。

ポール:EPIC時代のソロ3作は、エヴァーグリーンなポップスで素晴らしいですよね。チャクラ時代とはまた違った、とっつきやすさがあると思います。そこから入って、チャクラに戻ってズブズブと深みにハマっていく…というパターンもいいかなと思います。

先生:チャクラの後の小川美潮ちゃんについても、また話し合いましょう。

前回のBomba Estereoでも紹介した電子クンビア・コンピ『Cumbia! Bestial』(2010年)にも収録されているMexican Institute of Sound略してMISについて書きます。

MISはカメリオ・ララ(Camilo Lara)のソロ・プロジェクトですが、凄いのはEMIメキシコの副社長という点。インディーレーベルなら分かるのですが、メジャーの副社長を務めながら、アーティスト活動。EMIメキシコ所属のアーティストはこんな凄い副社長がいるとかえってやりにくいのではないかと思ってしまいます。

MISのリリースはEMIではなく、Bomba Estereoと同じ、電子クンビア系レーベルとも言えるNacional Records。これまで、『Mejico Maxico 』(2006年)、『Pinata』(2007年)、『Soy Sauce』(2009年)と3枚のアルバムをリリース。

ソイ・ソースソイ・ソース
アーティスト:MIS(メキシカン・インスチチューテ・オブ・サウンド)
販売元:NACIONAL RECORDS/MUSIC CAMP, Inc.
(2009-04-19)
販売元:Amazon.co.jp
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MIS自体クンビアだけでなく、ラテン系エレクトロ(ニカ)と捉えていいと思いますが、『Soy Sauce』のオープニング・トラックは、「Cumbia」。これがユーモラスかつ洗練されていて、かっこいいんです。



2曲目の「Alocatel」は、『FIFA10 サウンドトラック』ともなっている脱力系ラテン・エレクトロ。副社長、素敵!



12曲目の「Sinfonia Agridulce」は、どっかで聴いた事があると思ったら、The Verveで有名になった「Bittersweet Symphony」(1997年)でした。MISはとぼけたカヴァーをしていますが、原曲はStaple Singersの「This May Be the Last Time」。風貌も含めて、さしずめ、メキシコのFPMって感じです。

では、本題の電子クンビア(デジタルクンビア)について話を進めましょう。2008年頃から注目され始めたこのジャンル、オランダ人のディック・エル・デマシアド(Dick El Demasiado)が電子クンビアの父とされており、2000年頃からコツコツと取り組んでこられたようです。彼の『Sus Cumbias Lunaticas y Experimentales』(2009年)はその集大成。

クンビア・ルナティカ/エクペリメンターレクンビア・ルナティカ/エクペリメンターレ
アーティスト:ディック・エル・デマシアド
販売元:utakata records
(2009-07-01)
販売元:Amazon.co.jp
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最近は、電子クンビアのコンピレーションも増えてきており、『Cumbia! Bestial』(2010年)では、コロンビアだけでなく、メキシコ、アルゼンチン、アメリカ、オーストラリアなどの世界の電子クンビアを選曲しています。

クンビア・ベスティアルクンビア・ベスティアル
アーティスト:オムニバス
販売元:BARRIO GOLD RECORDS/MUSIC CAMP, Inc.
(2010-09-12)
販売元:Amazon.co.jp
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このコンピにも収録されている、クンビアの故郷とも言えるコロンビア発の電子クンビア・バンドが、Bomba Estereo! コロンビアのクンビアとエレクトロを融合させた様式は、自らエレクトロトロピカルと呼んでいます。アルバム『Vol. 1 』(2006年)でデビューし、セカンド『Estalla』はアメリカではタイトルが『Blow Up』(2009年)と改名されリリース。

ブロウ・アップブロウ・アップ
アーティスト:ボンバ・エステーレオ
販売元:NACIONAL RECORDS/MUSIC CAMP, Inc.
(2009-06-21)
販売元:Amazon.co.jp
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お勧めのトラックは、ずばり「Fuego」。単に電子化したクンビアではなく、エレクトロやレゲエ・ダブを昇華し、ディスコパンクなどにも通じる衝動があります。4人組ですが、いい意味で荒削りなリリアーナ(Liliana Saumet)という女性ヴォーカルも大事なポイント。どこにでもいそうなおねえちゃんという感じも良し。



2009年には来日していたようで、知っていたら見に行きたかった・・・

デジタルクンビアの方が一般名だと思いますが、響きが好きなので電子クンビアについてこれから書こうと思います。でも、その前にクンビアおよび日本に波及したクンビア歌謡の古い話をします。よって、中南米特集なのに日本です。クンビアはコロンビア生まれの「ズンチャズンチャ」の2拍子のビートを基調としたダンスミュージック。

その起源は古く、黒人が南米大陸にアフリカから来た19世紀後半と考えられています。実際に広まったのは1950年代以降で、1965年にはメキシコのカルメン・リベロ楽団による「赤いスカートのクンビア(La Pollera Colora)」がヒットします。



面白い事にその勢いは、同年日本にまで波及します。前述の「赤いスカートのクンビア」をカップリングした金井克子は「踊るクンビア娘」を、ラテン歌謡を多く歌った御影あい子も「クンビアをうたおう」、そして弘田三枝子は紅白歌合戦でも歌った「恋のクンビア」をリリースし、1965年はクンビア歌謡イヤーとなります。こんな時代でも、日本の歌謡界は世界のムーヴメントの中にいたのですね〜。確かにこの時代、ラテン歌謡なるものが、多かった気がします。僕自身、生まれてはいましたが、あまりにも幼少だったため、確かな記憶はありませんが。ボックスセット『激熱 ラテン歌謡 オーレ!』には、紹介したクンビア歌謡も収録したラテン歌謡の集大成です。

激熱 ラテン歌謡 オーレ!(CD)【演歌・歌謡曲 CD】【マラソンP10】
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後で気が付いたのですが、弘田三枝子は、2006年に「恋のクンビア21」というセルフ・リメイクをMICO Loves CUMBIA BROS.名義で行っています。いや、40年経っても圧倒的なパワーを感じます。



恋のクンビア21恋のクンビア21
アーティスト:MICO Loves CUMBIA BROS.
販売元:コロムビアミュージックエンタテインメント
(2006-11-01)
販売元:Amazon.co.jp
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ファナ・モリーナの次は、同じくアルゼンチンのロリ・モリーナ(Loli Molina)ちゃん。別にロリとファナに血縁関係はありませんが、ファナがロリ・モリーナを2007年のブエノスアイレス・フォーク・フェスティバルに招待しています。ブエノスアイレスは、人口300万人を超えるアルゼンチンの首都。近郊部を含めると1300万人となる世界でもトップクラスの都市圏です。タンゴ、フォルクローレくらしか音楽的イメージがないのですが、アルゼンチン音響派以外にもきっといろいろなシーンがあるのではないかと・・・一度、訪れてみたいです。

彼女のデビュー・アルバムは、『Los Senderos Amarillos』(2008年)。

Los Senderos AmarillosLos Senderos Amarillos
アーティスト:Loli Molina
販売元:Bmg
(2008-11-24)
販売元:Amazon.co.jp
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「Hasta El Mar」などを聴いてみると、ファナと比べあくまでもアコギを主体とした歌モノとしてのポップです。それ以上に、ロリだから、ロリータ・ヴォイスとまでは言いませんが、エンジェル・ヴォイスは彼女の武器でしょう。



面白いのは、Culture Clubの「Karma Chameleon(カーマは気まぐれ)」のカヴァーを試みている事。オリジナルは、Culture Clubの最大のヒットとなり、全米1位になった唯一の曲ですが、シンプルながら原曲の良さを伝えるカヴァーです。

変なジャケって、皆さんは好きですか? グロテスクとかではなく、奇妙なやつ。ちょっと気味悪いと言ってもいいかもしれません。不気味ジャケとでも呼びましょう。僕は気味悪い思いながら、その中に何かがあるに違いないと想像できたりするので、好きです。

女性アーティストを主役にしたものなら、ビョーク(Bjork)の『Homogenic』とかエミリー・シモン(Emilie Simon)の『Emilie Simon』とか。まぁ、後者は不気味エロ可愛いですけど。

ホモジェニックホモジェニック
アーティスト:ビョーク
販売元:USMジャパン
(2006-12-20)
販売元:Amazon.co.jp
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エミリー・シモンエミリー・シモン
アーティスト:エミリー・シモン
販売元:Rambling Records
(2005-07-06)
販売元:Amazon.co.jp
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前回のチリのハビエラ・メナ(Javiera Mena)ちゃんの『Mena』のジャケもちょい不気味で、同じデザイナーによるファナ・モリーナ(Juana Molina)の『Un Dia』(2008年)も不気味ジャケ認定します。こちらは彼女の5枚目の作品です。

Un DiaUn Dia
アーティスト:Juana Molina
販売元:Domino
(2008-10-07)
販売元:Amazon.co.jp
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ジャケが不気味なら、きっとPVも不気味なのではと期待したところ・・・タイトル曲の「Un Dia」のPVはやっぱり、不気味。



肝心のサウンドですが、ファナはアルゼンチン音響派の代表的アーティストのひとり。日本でゼロ年代前半から使われ始めたアルゼンチン音響派という言葉ですが(音響派自体は90年代だったと)、音響派という言葉はあまり海外では認知されていないと思います(訳語も不明・・・Sonic Freak?)。まぁ、ジャンルじゃないという意見もありますが、ポストロックやエレクトロニカに近い・・・彼女の場合は、より生楽器の要素が強いフォークトロニカ的曲が多いですが、アヴァンギャルドやトライバルな部分も感じます。アルゼンチンのビョークとか呼ぶ人もいます。

高橋幸宏、レイ・ハラカミが、2006年の彼女の来日公演でサポートをしていたというのは、ナルホドなのですが、平井堅のアルバム『Ken's』に参加していたというのは、結構意外。

ミュージシャンになる前、ファナはコメディー女優だったらしい。アルゼンチンのトレイシー・ウルマン(Tracy Ullman)のような存在だったのだろうか・・・

iPadもともとは電子書籍目的で買ったつもりなんですけど、まだ読みたい書籍が限られているため、2、3冊有料ダウンロードをしたくらいで、あまり電子書籍用としては活躍していません。

ちょっとしたメールを見たり、ネットサーフィンをする以外は、大きなiPodとして音楽・動画用に使う事が多いです。毎月第3週に神戸北野のmini studioで行われる神戸テクミーというイベントでトークをする際、Dock接続でもっぱら動画をプロジェクターに映し出しをするのにiPadは活躍しています。

以前、iPadのDJアプリはSonorasaurus Rexを買いましたが、iTunes音源が使えなかったりしたので、使わずじまい(その後のアップデートでiTunes音源にも対応しました)。Mixrというのが発売されると知り、待っていたのですが、djayというアプリを発見し、カスタマー評価の内容もなかなかいいので、早速購入。価格は2,300円。



まだ試している段階ですが、結構使えそうな予感です。

気にいった点としては・・・
1)iTunesのライブラリーの曲がそのまま選曲できる
2)直観的に判るインターフェースになっており、ターンテーブルにジャケ写が出てくる
djay

3)AUTOMIXを使えば、BPMを合わせて勝手に繋いでくれる(これは別にDJしない人でもMIXを聴くために重宝すると思います)

改良点としては・・・
1)DRM保護された音源はプレイ不可で、iTunes PlusでDRMフリーにアップグレードが必要(元の値段の30%チャージされる)・・・これはAppleの問題と言った方がいいでしょう
2)ヘッドフォーンを使うにはAudio Spilt Adapterが必要(Dock接続すると使えない)
3)一部のジャケは読み込めなかった
4)EFFECTが無い(スクラッチは出来ますが、しないし)
5)短いトラックだと、次の曲を読み込む時間がない

要望はあるものの致命的な欠点はありません。現時点の結論としては、2,300円という値段を考えると、買う価値ありとします。

中南米アイドル発掘シリーズ・・・いや、そんなつもりで始めたつもりはないのですが、そんな感じになってしまっています。今回はブラジルではなく、世界の果て、チリからやってきたハビエラ・メナ(Javiera Mena)ちゃんです。チリと言えば、ラテンアメリカの細長い国ですが、音楽的にはフォルクローレくらいしかイメージが沸きません。そんなチリの首都サンティアゴに、エレクトロガールがいるとは、なかなかの驚き。世の中はフラット化しているんですね。

音楽大学の作曲科で学んだハビエラちゃんは、2003年にフランシスカ(Francisca Villela)ちゃんと二人でPrissaというユニットで活動を始めます。ソロ・デビュー前の習作と言える作品が、YouTubeやMySpaceで公開されており、期待通りのエレクトロポップ。いい意味でのインディー感があったりして、コスも可愛い。MySpaceには、Giorgio Moroder、Pet Shop Boys、Mecano、Matia Bazar等に影響を受けたとあります。特に後者二つは渋いですね。



2006年にアルバム『Esquemas Juveniles』でデビュー。

Esquemas JuvenilesEsquemas Juveniles
アーティスト:ハビエラ・メナ
販売元:FELICA /Art Union Recordings
(2007-05-30)
販売元:Amazon.co.jp
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アルバム全体から比類なる才能を感じるわけですが、「Yo no te pido la luna」は、不思議な魅力に溢れています。典型的なラテンではなく、チリのエミリー・シモン(Emilie Simon)って感じです。黒髪で親しみやすいルックスもいいですね。



最新作となる自らの姓をタイトルとした『Mena』(2010年)、ジャケが目を引きます。僕自身、ジャケ買いした側面もあるのですが、デビュー作と同じくアルゼンチンのアレハンドロ・ロス(Alejandro Ros)がアートワークを手掛けています。他にも、フアナ・モリーナ(Juana Molina)等、多くの南米のアーティストのジャケや他のグラフィックデザインも手掛ける売れっ子らしいです。

MENAMENA
アーティスト:ハビエラ・メナ
販売元:Felica
(2010-10-13)
販売元:Amazon.co.jp
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さて、このセカンドはデビュー作を超えたと断言したい。日本なら、ワールドミュージックにコーナーに置いてあるCDですが、別にそのような枠組みに関係なく、お薦めしたい作品です。琴線に触れるメロディーと臨場感にあふれるアレンジで、曲ごとに色々な表情を見せてくれます。欧米の80年代ディスコ、エレクトロポップやエレクトロニカからの影響は伺えますが、それが彼女の個性と重なって、オリジナルな世界を構築しています。PVが既に公開されている「Hasta La Verdad」では、髭を生やしたおちゃめなハビエラちゃんなのです。



7曲目の「Sufrir」では、自らファンと公言するLadytronのDaniel Huntも参加しています。久しぶりに誉めちぎった感がありますが、ハビエラちゃんのせいでチリに行きたくなりました。行けないかもしれないから、日本に来てほしい。

ブラジルを続けましょう。ペルラちゃんに続いて、ケリーちゃん。当時若干17歳だったケリー・キー(Kelly Key)は、2001年にアルバム『Kelly Key』でデビュー。アルバムはブラジル国内だけでミリオンセラー(当然チャート1位)となりました。

Kelly KeyKelly Key
アーティスト:Kelly Key
(2007-10-16)
販売元:Amazon.co.jp
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国内だけでなく、同じポルトガル語圏のポルトガル、スペイン語ヴァージョン(『Kelly Key en Espanol』)は翌年にリリースされ、アルゼンチンやチリでも成功を収めます。シングル「Baba」のPVでは、学校の先生を誘惑する魔性の女子高生を演じ、ブラジルのセックスアイコンとして登場しました。年齢的にはロリータと言ってもいいのかもしれませんが、十分大人の色気を感じます。



モデル出身のケリーちゃん、私生活でもセレブらしくゴシップも提供してくれています。プレイボーイ誌の表紙も飾りました。2度の結婚を経て、現在2児の母。最初の結婚相手は、ファンキ歌謡でデビューしたLatino。彼は「恋のマイアヒ」のポルトガル語カヴァーとかもやっていた人。

ケリーグッズなども販売されていたようですが、2005年のアルバム『Kelly Key』(どうして、デビュー・アルバムと同じタイトルなのでしょう?紛らわしい!)に収録の「Barbie Girl」・・・そう、北欧のユーロダンス・ユニット、Aquaの1997年のヒット曲カヴァーです。割と忠実なカヴァーですが、北欧のバブルガムに陽気なラテン系が入って、これがなかなかいいんです。





現在まで、6枚のスタジオ・アルバム(2011年に新作がリリース予定)、4枚のコンピレーション(確認した分だけですが・・・)、1枚のライヴ・アルバムとブラジルでは結構な人気アイドルのケリーちゃんですが、音楽的にはR&Bっぽいポップからバブルガムなダンスポップ。でも、どこかブラジリアン・ガールの力強さを感じる日本にはいないタイプですね。

また欧州・アジアに戻る予定ですが、しばらく音楽世界旅行は中南米に向かいたいと思います。中南米音楽については僕自身それほど精通しているわけではなく、世の中にはもっと詳しい人もいます。そこで、テクノ〜エレクトロ的中南米音楽を中心に紹介して行きます。その中でも、先ずはアイドル的センスもあるラテン系ガールズから。

「Saori@destinyで学ぶバイレファンキ」でも書いたバイレファンキ(またはバイリファンキ)。ファンキカリオカとも言われるブラジル産のジャンルですが、先日、ブラジル人と音楽の話していて、「バイレファンキとかいいですね」と言ったら、日本人からその言葉が出る事自体が意外だという反応をされました。たぶん、サンバとかボサノヴァとか言う事を期待されていたのでしょう。

バイレファンキは急に起こったムーヴメントではなく、ブラジルでは1970年代にすでに始まっていました。もともとは音楽ジャンルというよりもパーティの呼称としてそう呼んでいました。1980年代終盤に頭角を現したDJ Marlboro(タバコの銘柄ですね)がバイレファンキの立役者とされています。同時に、バイレファンキは貧困層向けというイメージがあったり、犯罪組織が利用しようとしたりと、ブラジルでも偏見と闘ってきました。良識のあるアーティスト達の努力の結果だと思いますが、90年代半ば以降、バイレファンキは徐々に市民権を得ていきます。その象徴的な出来事として、ペルラ(Perlla)ちゃんを紹介。

リオのファヴェーラ(ブラジルのゲットー)に居た事もあるペルラちゃんは、前述のDJ Marlboroにデモテープを渡し、彼がラジオでエアプレイしたところ、反響を得て、デビューとなりました。彼女は来日していますが、日本でバイレファンキのショーをした初めてのアーティストとされています(裏は取っていませんが・・・)。ペルラちゃんの「Tremendo Vacilao(ためらい)」は、DJ Marlboloが選曲したファンキ系コンピレーション『Bem Funk Brasil』(2006年)に収録されていますが、シングルとしてもブラジル国内で1位となりました。



Bem Funk BrasilBem Funk Brasil
アーティスト:Various Artists
販売元:Som Livre
(2006-08-26)
販売元:Amazon.co.jp
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同年、ペルラちゃんは、DJ Marlboloのプロデュースによりデビュー・アルバム『Eu Vou』(2006年)をリリース。日本盤も出ており、帯には「ファンキカリオカ界のスーパーアイドル」と紹介されています。確かにコアなバイレファンキやファンキカリオカとは違います。MPB(Musica Popular Brasileira=ブラジルの流行歌)にファンキ的な要素が入っていると言う方がいいでしょう。ファンキ歌謡でしょうかね。タイトル曲の「Eu Vou(踊りにいかせて)」は、「エルボー(肘)」って空耳で聴こえますが、これがなかなか癖になるポップなファンキ。Caetano Velosoのカヴァー曲「Totalment Demais」は、ブラジルのTVドラマ「Cobras e Lagartos」の挿入歌です。



エウ・ヴォウエウ・ヴォウ
アーティスト:ペルラ
販売元:JAPAN TRADITIONAL CULTURES FOUDATION(V)(M)
(2007-06-21)
販売元:Amazon.co.jp
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翌年には『Mais Perto』(2007年)もリリースしていますが、近々サード・アルバムの予定もあるようです。

Mais PertoMais Perto
アーティスト:Perlla
販売元:Deckdisc Brasil
(2007-10-01)
販売元:Amazon.co.jp
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タイトルは、最近発売された書籍『ELECTRO BOOK 2010』から頂きました。最初、タワレコで積んであった表紙を見た時に、「あれっ?『TRON: LEGACY』のガイドブックでも出たのか?」と思ったのですが、手に取ってみると、所謂ディスクガイド本でした。

CROSSBEAT Presents エレクトロ・ブック2010 (シンコー・ミュージックMOOK)CROSSBEAT Presents エレクトロ・ブック2010 (シンコー・ミュージックMOOK)
販売元:シンコーミュージック・エンタテイメント
(2010-11-25)
販売元:Amazon.co.jp
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どちらでも興味はあったのですが、ディスガイド本に弱い僕は早速購入。確かに、テクノポップ、テクノ、ニューウェイヴ、他クラブ系のディスクガイドはあったけど、エレクトロに特化したものは僕も他に知りません。

何がエレクトロでどこからどこまでをエレクトロとするかというのはなかなか悩ましい課題ですが、この本では、80年代のどちらかと言うと黒いエレクトロではなく、ゼロ年代のエレクトロを指しています。1997年からディスクガイドは始まります。これは、Daft Punkのデビュー・アルバム『Home Work』がリリースされた年ですね。この本でも書いていますが、確かのこのアルバムはエレクトロとは言い難い、当時どちらというとハウス(フィルターハウス)とされていた作品です。しかしながら、このアルバムをエレクトロの流れの中で扱うと事には僕も賛同します。



ゼロ年代初期に於いては、かなりのエレクトロクラッシュ系が紹介されています。あだ花的な扱いもされるこのジャンルですが、適正な評価をしていると思います。また、Soulwaxに関する見解にも激しく同意したいと思います。Soulwaxは『Night Versions』です!

紹介されているディスクですが、めちゃくちゃ所有率高いです(笑)!

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