四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

2011年05月

久しぶりの更新です。しばらく海外に行っておりまして、ソウルでK-POPネタなんかも仕入れてきたので、また後日まとめて紹介します。

では、本題に戻ります。エストニアの次のバルト三国特集は、ラトビアです。ラトビアは地理的にはエストニアの南、1991年にソ連から独立しました。首都リガは、バルト海の真珠と呼ばれる港町です。ソ連時代に多くのロシア人が特にリガに移住したため、現在も無国籍となるロシア人への処遇が問題となっています。

今回紹介するBrainStormを知る事になったのは比較的早い時期。元New Musikのトニー・マンスフィールド(Tony Mansfield)が、彼らをプロデュースしたから、僕も自然とBrainStormに興味を持ちました。90年代以降プロデュース業をそれほどしていないトニーがBrainStormを手掛けたのか興味深いです。BrainStormが結成されたのはまだソ連時代の1989年。デビュー・アルバム『Vairāk nekā skaļi (More than loud)』はラトビアがまだ独立して間もない1993年。

彼らが少なくともヨーロッパで注目を浴びるきっかけとなったのが、トニーのプロデュースでシングルカットもされた「My Star」という曲。2000年にリリースされたアルバム『Among The Suns』にも収録されています。
Among the SunsAmong the Suns
アーティスト:Brainstorm
販売元:EMI Import
(2005-08-30)
販売元:Amazon.co.jp
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この「My Star」は、甘すぎる甘味料のような中毒性の高い曲。トニーは最初ラトビア語ヴァージョンのデモを聴いたらしいですが、意味が分からないながらも、彼のイマジネーションは広がっていったようです。


偶然スウェーデンのテレビでBrainStromをで見たボブ・ディラン(Bob Dylan)が称賛したという逸話もあります。この曲でエントリーしたBrainStormはユーロビジョン2000で3位となり、ラトビアの音楽史上記録的なヒットとなりました。

ロシア・ウクライナといった旧ソ連圏では、セクシー・グループが一大勢力となっていますが、ここで疑問となるのは、エストニアにもその手のグループはいるのか? ウクライナのNikitAなどもエストニアでライヴ等をしているようですから、需要はあるはずです。

今回紹介するのは、カリニー(Kariny Joala)、モニカ(Monika Sjomgina)、グレテ(Grete Rammal)、カイリ(Kairi Sihi)から成るClick OKという4人組。エストニアは旧ソ連の中でも順応するのが早かったと思われ、1998年には『Lase lodvaks (Loosen Up)』というアルバムをリリースしています。
loosenup


「Oo on kuum (The Night Is Hot)」は、ラップ調なんだけれど、単なるディスコ・ソングには終わっていない不思議なエスニックな曲。


「Psuhhoterror (Psychoterror)」は出だしがEW&Fの「Boogie Wonderland」みたいなスクラッチとオケヒット連発の脱力ディスコに合わせて、4人のおねえちゃんが踊っています。場末のディスコ感が涙ぐましい。PV作る予算がなかったのですかねぇ〜。


ちなみに、一部のメンバーはBad Angelsというダンスユニットで活動しているようです。

四方:ニュー・シングル『レーザービーム/微かなカオリ』について対談しましょう。先ずは中途半端な1分52秒の「レーザービーム」のPVについて。


博士:足が・足が・・足が・・・

四方:何が言いたいんですか? 足がつるんですか?

博士:のっちが、大人になってる・・・
(おもわずパニック状態)

四方:そりゃ、まぁ、氷結飲んでいるぐらいですから。
確かにPVのアングルはいいです。

博士:というか三人が急に“女”になってます〜かしゆかちょっとパッツンも前髪をアレンジしてきてるし。

四方:確かにかしゆかのパッツンは微妙にラヴリーで、小悪魔度が上がっています。

博士:しかし、特にオチなしで後半スパっと終わっちゃうPVですよね。 結局、何をしたかったのかがわかりにくかった・・・。

四方:諸事情があってこうなったのでしょうが、近未来的な部分は好きです。

博士:YMOの「Camouflage」に似ているような気がするのですが・・・いかがでしょう?

四方:「レーザービーム」は明るく、「Camouflage」は暗い(全体に『BGM』 は)ですが・・・似ていると言われれば、そうかなぁ〜程度。

博士:「微かなカオリ」はユーミンが作曲して、久石譲がアレンジして、声優役のアイドルが歌ってるジブリのテーマソングみたいな曲。


四方:えらく具体的ですね。僕、結構、この手の曲が好きなんです。実際、「レーザー」よりも個人的にはこっち。古典的なんだけれど、ほろっと来てしまう感じのメロディーが小気味いい。僕の中では、過去の作品としては「wonder2」なんかにも繋がります。

博士:すでにWeb上で「40〜50歳代のメインターゲットを狙ったのか?」とコメントした書き込みもちらほらあります。歌謡曲の影響をまだ多少引きずっていた90年代初頭のガールポップ・ブームの頃のあのメロディアスでお嬢さんっぽい感じ。

四方:そうか、僕たちがターゲット世代なんだ・・・まぁ、そこまで狙ったものかは判りませんが、“お嬢さんのノスタルジア”が実は好きなんだと確認できました。

博士:第一印象で「ユーミンっぽい」と感じたのもルーツが結構古いところにある印象だったのかもしれません。遊佐未森の「夏草の線路」を長調にしたようでもあります。

四方:アレンジは隔世の感がありますが、先ほどのお嬢さんっぽい感じは共通しますね。

博士:しかし、少なくともテクノ系の中田ヤスタカからこんな珠玉のメロディーが生まれてくるとは驚きです。

四方:でも、初期capsuleの曲調を振り返ると、決して意外ではないと思います。あ〜早くアルバムを出して欲しい。
レーザービーム/微かなカオリ(通常盤)レーザービーム/微かなカオリ(通常盤)
アーティスト:Perfume
販売元:徳間ジャパンコミュニケーションズ
(2011-05-18)
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レーザービーム/微かなカオリ(初回限定盤)(DVD付)
アーティスト:Perfume
販売元:徳間ジャパンコミュニケーションズ
(2011-05-18)
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四方:かなりブランクが空きましたが、久しぶりにPerfumeについて対談しましょう。新譜の話をする前にやはりPerfumeの「ポリリズム」が、ディズニー映画『Cars 2』の挿入歌に選ばれたというのは素直に嬉しいですね。

博士:このタイミングで「ポリリズム」というのは、以前提唱した「どんなスタイリッシュで日本人離れしたモデルも海外進出でゲイシャ・ガール的なアプローチを試みようとする」、つまり「海外進出の際はベタになる・・・」という法則にも合致しますね。

四方:PIXARにPerfumeファンがいた事から、日本のシーンで使われたとの報道もありますが、ディズニーは『TRON: Legacy』のDaft Punkといいテクノ贔屓です。Perfumeをテクノとして採用したかは、判りませんけど。

博士:『Cars 2』の予告編を見るとどうやら設定が「日本」みたいな感じですね。確かにゲイシャ、スモウレスラー的なステレオタイプは否めないのですが、最近はアキバや萌えが新たなるイメージとして定着しつつあるようで、擬人化したカーズ達が暮らす不思議なアキバが登場します。そんな日本のステレオタイプ的エレクトロ二クスと萌えの融合というのは、Perfumeはうってつけですよね。 特にアイドルの場合、日本人にとっては当たり前でも結構知らないうちに外国人にはわかりにくいお約束を作ってしまっている場合もあったりします。


四方:なかなかいい事を言いますね。日本のアイドルというのは日本だけの文脈、博士の言う所のお約束で成り立っている部分が大きいですから、これならグローバルに判りやすい。

『Cars 2』のサントラにもちゃんと5曲目に収録されています。1曲目は、あのCarsの「You Might Think」をWeezerがカヴァーしていますね。
Cars 2Cars 2
アーティスト:Soundtrack
販売元:Walt Disney Records
(2011-06-14)
販売元:Amazon.co.jp
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01. You Might Think Performed by Weezer
02. Collision Of Worlds Performed by Brad Paisley and Robbie Williams
03. Mon Caeur Fait Vroum (My Heart Goes Vroom) Performed by Benabar
04. Nobody’s Fool Performed by Brad Paisley
05. Polyrhythm Performed by Perfume
06. Turbo Transmission Score
07. It’s Finn McMissile! Score
08. Mater The Waiter Score
09. Radiator Reunion Score
10. Cranking Up The Heat Score
11. Towkyo Takeout Score
12. Tarmac The Magnificent Score
13. Whose Engine Is This? Score
14. History’s Biggest Loser Cars Score
15. Mater Of Disguise Score
16. Porto Corsa Score
17. The Lemon Pledge Score
18. Mater’s Getaway Score
19. Mater Warns McQueen Score
20. Going To The Backup Plan Score
21. Mater’s The Bomb Score
22. Blunder And Lightning Score
23. The Other Shoot Score
24. Axlerod Exposed Score
25. The Radiator Springs Gran Prix Score
26. The Turbomater Score

博士:おお、こんなのが出てるんですか?
でも、あのPuffyもジャン・レノ主演の「ワザビ」のエンディングで「これが私の生きる道」が使われていましたからね。音楽としてちゃんと何かストーリーに関与して来るのか、単に日本をイメージする効果音的に使われるのか・・・気になりますね。

四方:以前、「Perfume対談〜グラミー賞への道」という表題で博士とPerfumeの世界進出への提言をしましたが、もしかするとこれを機に本格的に世界進出って期待してしまいますね。

博士:我々の予言が当たる可能性も無きにしも非ずですね。

四方:まあ、予言と言うよりもあの時点では妄想ですけど。正直、Perfumeが日本の消費されるチャートでどうなるかというのは別にワクワクしないのですよね。アミューズや徳間にとっては重要な事でしょうけど。だから、あ〜ちゃんにぜひ、「次は世界」と言ってほしいですね。

「Tii (Way)」という曲で、2004年ユーロビジョンのエストニア代表となったNeiokosoを紹介します。


英語圏以外のアーティストを紹介する場合、悩むのが表記です。今回紹介するNeiokosoにも頭を痛めています。このBlogではエストニア語の一部の文字は表記できないのですが、「k」と「s」の後の「o」は「~」が「o」の上に乗っています。これってどう読むのか調べてみたところ、「非円唇のoである」と説明があるが、そんな発音を今までしたことないから、分からない。ネイオコソと読めそうな感じなのですが、ユーロビジョンでのグループ紹介を聴いてみる限り、ネィオクズに聴こえます。エストニア語に堪能な方がおられたら、ぜひ教えてください。

Neiokosoは、5人の女性(Diana、Astrid、Anu、Triinu、Kadri)と1人の男性(Peeter)からなるエストニア民族音楽団。しかもエストニア南部の言語、ヴォロ(Voro)語で歌われています。ヴォロ語は。エストニア語、フィンランド語、ハンガリー語と同じくウラル語族に属しており、その話者は7万人程度という希少な言語。ちなみにNeiokosoは英語で「Lasses」(スコットランド方言であまり使わない英語だと思います)という意味とあったので、「少女たち」とでも訳せばいいのでしょう。

ユーロビジョン曲でもあった「Tii」は、辺境からやってきたフォークソングがトライバルなクラブ・ミュージックで味付けされたような摩訶不思議な音楽。リミックスとビデオを含めて6曲入のシングル『Tii』が出ていて、ぜひ手に入れたい。
tii

エストニアのシンガーで日本でも知られている可能性があるのは、マーヤ(Maarja)。Marinaのエストニア語表記となりますから、それなりにポピュラーな名前なのでしょう。彼女のフルネームはMaarja-Liis Ilusで、同じ名前の元Vanila Ninja(ハードロック系)のMaarja Kiviと混同しないように注意しましょう。実際、マーヤも後にソロ・デビューした元Vanila Ninjaがマーヤと名乗った事に不快感を表明していたようです。ユーロビジョンには現在までエストニア代表として2回出場しています。

本国ではセカンド・アルバムにあたる『風をだきしめて(First In Line)』を1997年に日本盤としてリリース。タイトル曲「First In Line (風をだきしめて)」は、北欧のイメージがぴったりな爽やかなアコースティック・チューン。


森永の「カフェラッテ」のCMでは、マーヤの「A Need In My Life」が使われます。このCM、ウィノナ・ライダー(Winona Ryder)が出ていてる!


この曲を追加して『風をだきしめて+1』として1998年に再発されています。
風をだきしめて+1風をだきしめて+1
アーティスト:マーヤ
販売元:マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
(1999-05-19)
販売元:Amazon.co.jp
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日本特別盤としてミニアルバム『Heart』を1998年にリリース。北欧ならばという人選か、カジヒデキ「ハートじかけのオンガク」をカヴァーした「Sing With Your Heart」も収録。
heartHEART
アーティスト:マーヤ
販売元:マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
(1998-11-26)
販売元:Amazon.co.jp
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彼女の公式サイトの更新は2010年1月で止まっていて、現在あまり活動されていないようです。

ゴスロリ少女のバイブル的存在の『不思議の国のアリス』。2010年にティム・バートン(Tim Burton)監督により映画からされましたが、映画にインスパイアされたイメージ・サウンドトラック『Almost Alice』にも当然のごとく、ケルリ(Kerli)ちゃんは収録されています。
Almost AliceAlmost Alice
アーティスト:オムニバス
販売元:AMC
(2010-04-14)
販売元:Amazon.co.jp
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正直、このサントラ自体は寄せ集め感があって、それほど高く評価できないのですが(それでも、ビルボード5位)、ケルリちゃんの「Tea Party」は努力の跡が見られます。


他、このサントラにはTokio Hotelの「Strange」のゲスト・ヴォーカルとしても参加しています。

ティム・バートンもファンである日本のゴスロリ代表の黒色すみれも『Alice In The Underground』という映画をモチーフにしたアルバムを出していました。こちらの方が映画の世界観としてはを共有しているのではないかと思いました。
ALICE IN THE UNDER GROUNDALICE IN THE UNDER GROUND
アーティスト:黒色すみれ
販売元:黒色すみれ
(2010-05-19)
販売元:Amazon.co.jp
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ケルリ(Kerli)ちゃん、エストニア出身だけあって、ここまで5枚のシングルは本国エストニアで1位になっています。2007年にEP『Kerli』をリリース後、2008年にアルバム『Love Is Dead』をリリースし、エストニアで1位、アメリカのビルボードで126位となり、エストニア出身アーティストとしては初のビルボード200位以内を記録しました。
Love Is DeadLove Is Dead
アーティスト:Kerli
販売元:Island
(2008-07-08)
販売元:Amazon.co.jp
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アルバム『Love Is Dead』のジャケは、日本のゴスロリ少女にも受けそうな、ブライス系。日本のユニバーサル・ミュージックも「北国のレディー・ガガ!?」と紹介しています。でも、日本盤は出ていません。

このアルバムから2曲紹介しましょう。アルバム・タイトル曲でもある「Love Is Dead」のPVに登場するのは、年老いたケルリちゃん。こちらも2008年公開なのでどちらが先かわかりませんが、映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」のようにだんだん若返って行きます。子供にまではなりませんけど・・・


一番注目を浴びたと思われる「Walking On Air」では、アルバムのジャケを実写したようなゴスロリ・ワールド。サウンド的にはビョーク(Bjork )風エレクトロニカですが、Tommy heavenly6に近い描写です。

今回紹介するのは、ケルリ(Kerli)ちゃん。5000人程しか住んでいないエストニアの小さな町、エルヴァ(Elva)で生まれた現在24歳。まだ、生まれた時は、エストニアは独立しておらず、ソ連に属していましたが、当時の様子を彼女が語っています。「お金がなくてもクリエイティヴになれる」といい事を言っています。


彼女は、14歳の時、15歳が出場資格の最少年齢だった「Americal Idol」のバルト三国版「Baltic Song Contest Fizz Superstar」に年齢を偽って応募、そして優勝。それがデビューのきっかけとなるのですが、レーベルとの契約破棄などの問題もあり、ここまで来るのに紆余曲折がありました。

現在、KerliちゃんはIsland Def Jamとの契約し、アメリカを中心に活動していますが、彼女の最新シングルが『Army Of Love』。アメリカ・ビルボードのダンス・チャートでは見事に1位に輝いています。サウンドは、(古いですが)KC and the Sunshine Bandの「That's The Way」をエレクトロにしたみたい。PVのイメージからLADY GAGAみたいだとの意見もあるようですが、近未来型ゴスロリ少女(いや、おねえさんか?)として大成してほしいものです。
armyoflove

ユーロビジョン2011年のファイナルは5月14日。歌謡曲的ものからアイドル、民族的、わりとコンテンポラリーなものまで多種多様ですが、がんばっている小国や新興国を応援したくなります。こちらは、43国のエントリーのダイジェストです。


ユーロビジョンは大衆志向が強いため、揶揄されることもある音楽祭ですが、日本も参加してほしいものです。Wikipediaを読んでみると、ユーロビジョンの参加資格は必ずしも地理的にヨーロッパ圏ある必要がないのですが、大会に参加できるのは、欧州放送連合の正加盟局である事が条件。旧ソ連、北アフリカ、中近東の一部は参加資格があるようですが、加盟曲の規定を見る限り、欧州放送地域外で、欧州評議会の加盟国でもない日本はやっぱり無理みたいですね。

じゃ、アジアでユーロビジョンにようなアジアビジョンをやればいいじゃないか? いや、実際にその計画はあったのです! 諸事情でアジアビジョンとは名乗れなかったのですが、アワー・サウンド - アジア・パシフィック・ソング・コンテスト(Our Sound, the Asia-Pacific Song Contest)という企画が威勢よくブチ上げられたのは、2008年です。選考方法などはユーロビジョンのフォーマットを採用との触れ込み。ユーロビジョンがヨーロッパ各国の国営・公共放送局によって運営されるのに対して、アワー・サウンドはシンガポールのAsiavision というベンチャーが運営。放送局じゃなくて大丈夫か、ちょっと心配ですね。

2009年にシンガポールで開催という予想がありましたが、2010年11月にインドのムンバイで開催と発表されました。しかも、少なくともポップスでは先行している日本も韓国が不参加。うーん、雲行きが怪しくなってきました。


2011年の現在、アワー・サウンドは開催されていません。残念な事にオーガナイザーからの延期についての公式発表もないまま、投げ出してしまったようです。これでは延期というよりも立ち消えと言った方がいいでしょう。

当然、オーガナイザーの運営能力の問題もあったのかと思いますが、ヨーロッパ以上にまとまり難いアジア・パシフィックという地域の事情を十分考慮しての戦略(例えば、日本と韓国を先ず取り込む)がなかったのだと思います。

一度でいいから生で見たいと思っているのが、ユーロビジョン・ソング・コンテスト(Eurovision Song Contest)。1956年に始まったヨーロッパの歌の祭典。ソ連が解体して以降、中欧、東欧、ソ連から独立した国々の参加も増えて、2011年ユーロビジョン参加国は43カ国。今年の開催地はドイツ・デュッセルドルフで、決勝は5月14日。
Eurovision Song Contest 2011Eurovision Song Contest 2011
アーティスト:Eurovision Song Contest 2011
販売元:EMI Import
(2011-04-26)
販売元:Amazon.co.jp
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2011年のエストニア代表は、ゲッター・ジャーニ(Getter Jaani)。エストニア語は判らないので、よみがなは自信なし。ちなみにGoogle翻訳をしてみると、「ジョン・ゲッターロボ」と訳されてしまいます(笑)。エストニアの首都、タリン生まれの18歳。エストニアの「Eesti otsib superstaari (Estonia is looking for a favourite song)」というアイドル・オーディション番組で認められ(途中で落ちたみたいですけど)、歌手デビュー。フルアルバム『Rockefeller Steet』を5月1日にリリース(Amazon.co.jpでMP3で購入できます)。
rockfellerstreet


ユーロビジョンでのエントリー曲は、「Rockefeller Street」。ケイティ・ペリー(Katy Perry)の「California Gurls」あたりを思わせる、最近のエレクトロを取り入れたアメリカン・アイドル路線です。


ケイティ・ペリーを知らない人のために、「California Gurls」のPVも参考資料として紹介しておきます。グラマーなバービーちゃん。

ロシア・ウクライナのポップについて調査をしてまいりましたが、この辺りで旧ソ連の他の国に探訪してみます。旧ソ連でありながらも、文化圏的には北欧と言えるバルト三国。バルト三国と言っても、エストニア、ラトビア、リトアニアとそれぞれ文化的背景は違うのですが、先ずは、バルト三国の中で一番北に位置するエストニア。

エストニアはバルト三国の中でも一番経済状況がよく、2011年にはクローンからユーロへの通貨移行を果たしました。あのSkypeを発明したのもエストニアで、国内ではWiFiが整備されたインターネット先進国。首都タリンには、フィンランドのヘルシンキから船で約2時間。

エストニアの音楽は一部の例外を除き、あまり日本には紹介されていませんが、僕の中でのエストニアのイメージにぴったりのユニットがいます。Ruth SelirandとJana TakelからなるPixie Twinsという女子デュオ。

2003年に『Valgus ja Varjud』というアルバムをリリース。
valgusjavarjud


アルバムのオープニング曲でもある、彼女達の代表曲は、「Raske Loobuda (Hard To Give Up)」。トラッドでどこか哀愁があってメロディアス・・・エストニアも北欧なんだなぁと思わせる曲です。他、アルバム収録曲にはドリミィー系エレクトロポップ曲も多し。


その後、エストニアのコンピ用に数曲発表しましたが、残念ながら、現在は目立った活動しておらず、これが唯一のアルバムとなります。

前回はXSの話からティモシェンコ元首相の話になってしまいましたが、XSの話の続きです。XSのセカンド・アルバム『Дефлорация (Defloration)』は、2008年にリリースされました。
defloration


ファーストでは、R&B調主体だったのですが、セカンドではよりローカル色や民族色が強くなりサウンドの幅も広がり、セクシー度も上がっています。個人的には大変好ましい。多彩な曲の中でも注目したのは、「Эдем и Ад (Eden And Hell)」。どこか日本の歌謡曲の構造にも通じる哀愁が漂うバラード。


あと気になったのが「Любити-платити (Loving-Play)」という曲。この曲のサビがNik Kershawの「The Riddle」に似すぎています。

アーニャ(ジャケで一番左)以外の二人のメンバーは、レーラ(Лера)とエフゲーニャ(Евгения)に代わります。XSは「Playboy」誌にも登場しているのですが、メンバー交代の理由がヌード拒否であったという記述もあります。僕は、ティモシェンコの三つ編みをしていた子(ナターシャ)が好きだったのですが、脱退してしまいました。
xs-plaboy


2009年にリリースされたPV「Силиконовые мозги (Silicone Brain)」では、セクシー路線が確固たるものとなります。これが功を奏したのか、携帯でヒットしました。


なお、XSの多くの曲は、公式サイトにて無料ダウンロードできます。ウクライナですから(笑)。

XSの続きです。ウクライナと言えば、美しすぎる首相としても有名なユーリヤ・ティモシェンコについては以前も書きましたが、「Юля(ユーリア)」(2006年)をという応援歌を歌っています。センターのブロンド女子(ナターシャ)はティモシェンコ元首相のトレードマークの三つ編みでPVに登場! アクロバティックな男性コサックダンサーとも共に踊ります。残念ながら、この曲はアルバムに何故か収録されていません。


ティモシェンコ元首相は従来の首相のイメージを覆す美女だと僕も思いますが、彼女は相当のやり手のようです。政治家になる前は、海賊版ビデオの製作・販売で財をなし、さらにガスの王女と呼ばれるほどの富豪となったとあります。また最近では、脱税、温室効果ガス余剰排出枠の日本への売却代金に対する不正流用の疑惑も投げかけられました。正直、何が真実で何が策略なのか分からないのですが、(ユシチェンコ)大統領候補に毒が盛られたという疑惑が投げられるウクライナで政治家としてやっていくにはタフでないとやっていけないのでしょう。間違いない真実は、ユーリア・ティモシェンコの美貌は彼女の武器である。

最後にティモシェンコ元首相の2009年に来日した模様をご覧ください。

今回紹介するのは、ウクライナの女子3人組、XS。調べてみると、他にもフィンランドのガールズ・バンド、イギリスのパンク・バンドにも同名のユニットがあります。ウクライナのXSとは、Extra Smallではなく、X-Solutionという意味らしい。

XSは2004年に結成され、結成時のメンバーはアーニャ(Аня)、ナターシャ(Наташа)、エレーナ(Елена)の3人。バイアグラしかり、ウクライナのセクシー・ユニットの基本は3人です。最初に披露されたPVは「От Тебя (From You)」。


デビュー・アルバムは、『Sучки подружки (Suchki Girlfriend)』ですが、ロシア語・ウクライナ語に「S」ってないはずなので、「Sучки」の意味が分かりません。
suchki


「Диего (Diego)」は、アルバム・ジャケと同じ構図とコスで製作されたイケイケ・ダンスチューン。アルバム収録曲もサウンド的に、ディスコ〜R&B色が強いです。

またウクライナに戻ります。ウクライナのいけないお姐さんこと、NikitAのダーシャとユリアの二人が、新しいPVを引っ提げて登場です。タイトルは「Искусаю (Bite)」、日本語に訳すと、「ガブリ」とかがいいのかなぁ。


昨今、日本男子の草食化現象が話題になっておりますが、そんな草食系男子にぜひ見てほしいのがこのPV。食べているのは、肉類だけではありませんが、この豪快な食いっぷり。お行儀悪いと説教をする気持ちも飛んでしまいそうな、野生の迫力を感じます。でも、金魚食べちゃうのは、ちょっと可哀想・・・ 最後に出てくる獲物も気になります。二人乗り自転車に乗っている場面などは、Lady Gagaにも負けていない。

こちらは、ふざけて録ったと思われる、超ひょうきんなNikitAのアホなシーン。コマネチ!

戦国鍋TVは限られた予算と全然有名でない出演者だけでもこんなに面白い番組が作れるのだと実証してくれました。

この番組を熱烈に僕に推薦してくれたけろっぐ博士とのメールのやりとりを紹介します・・・

博士:浅井三姉妹の新曲いよいよ発売「アザイドロップ」です。

先生:「AZAISM」に続くは、「アザイドロップ」とは意表を突かれました。流れからすると「アザイファイター」とかに行きそうなのですが、初期Perfumeの「ビタミンドロップ」へと回帰するとは!

博士:だって戦国ですものね!!
ファイターでぴったりだったのに!!


1作目は中田ヤスタカっぽく感じましたが、2曲続くと作曲者の個性みたいなのが見えて来ました。

先生:浅井三姉妹だけではないですが、戦国鍋TVの「ミュージック・トゥナイト」では、奥村愛子さんの作曲クレジットを良く見ます。実は、彼女アルバムは3枚ほど持っており、僕は隠れファンだったりします。 別にテクノポップの人でもないのですが、ポップが判っているとても器用な人なのでしょう。


前作の「AZAISM」(しかも、3 versions)を収録した『戦国鍋TV ミュージック・トゥナイト ~なんとなく歴史が学べるCD』も発売されています。
戦国鍋TV ミュージック・トゥナイト ~なんとなく歴史が学べるCD~(DVD付)戦国鍋TV ミュージック・トゥナイト ~なんとなく歴史が学べるCD~(DVD付)
アーティスト:(V.A.)
販売元:キングレコード
(2011-03-23)
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『戦国鍋TV辞典』も発売中!
なんとなく歴史が学べる 戦国鍋TV辞典なんとなく歴史が学べる 戦国鍋TV辞典
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