四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

2011年09月

SweetYmotionを語る際、重要人物が居ます。プロデューサーで、自らNicitonというロックバンドでも活動していたChinbaaとして知られるChinbat Batmunkhです。モンゴルの小室哲哉みたいな存在。いかにもモンゴル男子という風貌ですが、ピアノの名手でもあります。

また、私生活でもSweetYmotionのメンバーでもある(何度でも書きますが、クリスタル・ケイに似た)Sarnaiと結婚しているようで、二人の間に子供もいます。これが証拠映像!


こちらは、SweetYmotion feat. Chinbaaとして「Turiin duulal(国歌)」、文字通りモンゴル国歌を壮大に歌っているPV。モンゴルの民族衣装は、男性も女性も強そうでカッコいいですね。

割と正統派というイメージのSweetYmotionですが、セクシー路線にも挑戦しています。それは、ロシアやウクライナというよりもアメリカのブラックミュージック系の匂いがします。アメリカ人ラッパーのTwilite Jonezをフィーチャリングした「You're So Sexy」。このJonez君、他にも作品を出していますが、この曲が一番YouTubeでヒット数を記録しているので、本国ではそれほど知名度はありません。アメリカ修行が長いせいもあるでしょうが、モンゴル女性の力強いセクシーさを感じるPVです。クリスタル・ケイ似のSarnaiも頑張っています。


こちらは、上記の曲も収録したSweetYmotionとしてのアルバム『Emotion』(2011年)。ジャケもセクシー!
emotion

モンゴリアンポップ第2弾は、SweetYmotionです。正確に言うと、2003年よりモンゴルからアメリカのシカゴにベースを移して活動するモンゴルの女性グループです。さらに正確にいうEmotionという名前でもともと活動して、途中でSweetYmotionに改名されました。メンバーはBogi(Болороо)、Sarnai(Сарнай)、Sundre(Сүндэрээ)。ひとり、ちょっと色グロのクリスタル・ケイに似ている人がいますが、彼女はSarnaiです。Emotion時代にはSolongoというメンバーもおり、4人組でした。彼女達は7歳の頃から、友達でウランバートルの音楽・ダンス学校に通う仲間でした。まるで、Perfumeみたいですね。こちらは、4人組だった頃のアルバム『Why』(2001年)。
why


モンゴルにはペンタトニック音楽祭というレコード大賞のようなイベントがあり、彼女達は見事、アルバム『The First Rain Comes At Night』(2000年)でベストアルバム大賞を受賞。ちなみに既に紹介したKiwiも2008年に受賞しています。

SweetYmotionは音楽的にはR&B的な要素が強いのですが、実際聴いてみると、純然たるR&Bでない曲の方が面白いです。「Sanahiin Ayalguu」は、最初はR&B曲かなと思わせておいて、後半からバンド・サウンドで熱唱し始め、衣装も含めて突然ハードロック化します。3人とも声が良く出て、モンゴル女性の逞しさに感服!

「戦国鍋TV」から、ももいろゴタイローに続いて、告知通りホトきんトリオを紹介します。ホトきんトリオ、名前からしてもイモ欽トリオのパロディーですが、メンバーが凄い。織田信長(長江健次=フツオ風)、豊臣秀吉(山口良一=ヨシオ風)、徳川家康(西山浩二=ワルオ風)の三大戦国武将。よく考えてみると、イモ欽トリオ自体が、たのきんトリオ(田原俊彦、近藤真彦、野村義男)のパロディーですから、パロディーのパロディー。パロディーの割には、ホトきんトリオのルックスは、イモ欽トリオよりいいのではないかと(笑)。

デビュー曲(いや、2曲出しているので知っているのは浅井三姉妹ぐらいで、ほとんどのグループはそうなんですけど)は、「ボクに取られてみまTENCA?」。


「TENCA」って、「天下」の意味ですが、分かる人に分かるダブルミーニングっぽいです。ここに登場するグループ、前回のももいろゴタイローも歌詞に「スカイ中分解」とか言葉遊びが多いです(作詞は放送作家でもある安部裕之)。

イントロは、原曲を知っている人なら明らかにニタリとする忠実なテクノ歌謡パロディー。でも、全体としては最初から最後まで似ている訳ではなく、全体として普通に良い曲という印象が残ります。

こちらは、元ネタのイモ欽トリオの「ハイスクール・ララバイ」(作詞:松本隆、作曲・編曲:細野晴臣)。

さて、従来のモンゴルのイメージを見事にぶち破ってくれたKiwiの3人組ですが、海外での公演もしています。これは韓国に習って、モンゴルもポップの分野で世界進出を狙っているのでしょうか? 2007年にはロシアのイルクーツク(Иркутск)、韓国のソウル、そして東京にも来ています。
こちらはソウルでの公演の広告。
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これが証拠映像!


最後に比較的最近と思われる「Candy Girl」(2008年)を紹介しておきます。曲のコンセプトから来るのでしょうが、今までのと比べるとアイドル然としています。動きはテクノ(笑)。


どうやら、Kiwiは最近活動をしていないようで、ナムーナーとアルターは脱退して、ブロンドのウカのみになっているとの記事がありました。再起動して、もう一度来日してほしいものです。

Kiwiの続きです。前回のデビュー・アルバム以降も、確認出来る限りその後2枚のアルバムを出しています。
『3 сэтгэл 1 хүсэл』(2008年)
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『Хүсэл』(2009年)
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キリル文字でしかもモンゴル語、なんのこっちゃらわからないですが、ジャケでも楽しんでください。

今回は2つのPVを対比してみましょう。

「Hojuu Uchral」は、エキゾチック・セクシーがコンセプトだと思われます。特にセクシー度に於いては、アラビアン・セクシーなナムーナーとジャパニーズ・セクシーなアルターが大奮闘。刀、刺青、風呂敷と日本アイテムも大活躍。


「Love Love Love」ではセクシーさは醸しだしつつも、純愛路線。3人の中ではアルターがいい。


巷ではK-POPブームが続いていますが、モンゴリアンポップを紹介します。J-POP、C-POP(中華圏ポップ)、K-POPの次はM-POPだ・・・と言ってもいまいち実感が沸きませんね。具体例を紹介して行きますが、僕のイメージとしては、ロシアンポップとK-POPが融合したような。地理的に近い中国とはあまり共通点は見受けられません。

モンゴル語はさっぱり分かりませんが、もともとは縦書きのモンゴル文字で書かれていた言語です。その後、ソ連の支援で中国からモンゴル人民共和国として独立し、1930年代にはラテン文字表記をしようとした時期もありましたが、1940年代からロシア語と同じスラブ語系のキリル文字が採用されました。ソ連崩壊後、モンゴル国となってから、モンゴル文字復興を企てるものの、断念。現在は、従来のキリル文字と新しく制定したラテン文字表記も混在するという混沌とした状態です。なんだか大変そう。

今回紹介するのは、Kiwi(Киви)という女子3人組。現在のメンバーは、ロシア人とのハーフのウカ(Ука)、黒人とのハーフのナムーナー(Намуунаа)、純モンゴル人のアルター(Алтаа)という国際色豊かなでもモンゴル国籍のユニット。ハーフの二人が目立っていますので、一見モンゴルのユニットには見えません。2004年に結成され、2007年くらいから本格的に活動していますが、純モンゴル人はメンバー交代が激しく、現在4人目。デビュー・アルバムは、『Хүслээ хэлнэ』(2007年)。
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僕が読める言語での整理された情報がないので、とにかく彼女達のPVを順不同で紹介して行きます。

結構インパクトの強い「Superstitious」は、まるで蒙古版バイアグラ(Виа Гра)と言いたくなる挑発的なPVのエレクトロディスコ。YouTubeのタイトルには「蒙古火辣三人美女混血組合」と中国語で説明が入っています。


曲によってサウンドの傾向は結構変化しますが、「Z Tone」は、えっ、これがモンゴルって思わせるロッキンエレクトロな曲。

アリビ(Алиби)の2姉妹ですが、結構芸歴が長い。結成されたのは2001年ですが、1998年からカプチーノ(Cappuccino)という4人組のグループで活動し、2枚のアルバムをリリースしています。カプチーノには、バイアグラ(Виа Гра)にもいたスヴェトラーナ・ラバダ(Світлана Лобода)も在籍していました。この頃はまだ二人とも10代半ばだったと思われます。
『Капли дождя (Raindrops)』(1999年)
『Девушка с востока (Girl from the East)』(2000年)

カプチーノの動画を探してみたのですが、古すぎたのか、見つかりませんでした。

アリビとして今までベストも含めて5枚をリリースしています。美人度がジャケで伝わらないのが残念。
『Да или нет』(2003年)
『С чистого листа』(2004年)
『Отражение души』(2006年)
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『Мелодия дождя』(2007年)
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『ALIBI. THE BEST』(2010年)

前回紹介した「Оригами(Origami)」があまりにもツボだったので、他の作品も調査したのですが、元々R&B的ポップが多く、正直なところ「Origami」に匹敵する曲はありませんでした。あえて選んだのは、「Сны о тебе (Dream Of You)」。曲というより、PVの艶めかしさに敬意を表して。


ちなみに「Origami」も含め、ほとんどのアリビの曲は、公式サイトで無料ダウンロードできます。やっぱり、ウクライナ!

ちょっと日本ネタを差し込みます。超ローカル局が本当に頑張って製作しているTV番組「戦国鍋TV 〜なんとなく歴史が学べる映像〜」については、Perfumeパロディーの浅井三姉妹を以前、紹介しました。今まで番組の人気コーナー「MUSIC TONIGHT」では浅井三姉妹、兵衛'z(B’zのパロディー)以外は戦国時代という背景からも男性中心でジャニーズ・ネタ中心でしたが、男性ユニットなのに女性アイドルをパロディーした“ももいろゴタイロー”が登場していました(既にホトきんトリオに交代)。名前からしても、ももいろクローバー! でも、本家はももいろクローバーZに改名したけど、Zは付いていません。ゴタイローとは、豊臣政権末期の五大老(前田利家、徳川家康、宇喜多秀家、毛利輝元、上杉景勝)という大名たちを指します。曲は「ガギグゲゴタイロー」!


ももクロについては、僕の周りの人達にファンが多いのですが、僕自身はそれほど知りません。先月、ももクロ大好きな主催者のイベントにまわしてほしいと頼まれて、そこでいっぱいPVは見せてもらいましたけど。どうやら、「ゴゴゴゴゴゴ・・・タイロー」サビはももクロの「ココ☆ナツ」のサビ「ココココココ・・・ナツ」をパロったよう。この曲、ももクロの中では気になっていました。「マスカットココナッツバナナメロン」みたいなフルーツの名前が出てくる曲が好きなんです(笑)。


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次は、ホトきんトリオ。

欧米では昔から日本を題材にしたポップソングが出現します。その多くは、日本人からすると首をかしげたくなるような“勘違いの日本”である事が多いのですが、ウクライナもその例外ではありません。基本、和風テイスト、時折中華テイストをごちゃまぜになったサウンドに、到底日本で見かけないようなコスチュームで、外国人の視線でのステレオタイプ的な日本が題材となります。以前、バイアグラ(Виа Гра)の「Анти-Гейша (Anti Geisha)」(2009年)やВоплі Відоплясова (Vopli Vidopliassova)の「Чіо Чіо Сан (Chio Chio San)」(2009年)」を紹介しましたが、今回もその手の曲です。

アリビ(Алиби)というアンナ(Анна)とアリーナ(Алина)からなる姉妹ユニットによる「Оригами(Origami)」です。


アリビ(Алиби)とは多分、アリバイから来た外来語なのでしょう。折り紙で作ったようなコスチュームで、摩訶不思議な辺境の和風テクノポップがここに完成。ちなみにここでいう“辺境”は憧れの意味も込めています。普通、変てこな超白塗り化粧になるのですが、なかなか映えて見える化粧です(一部白塗りもあるけど)。彼女達の他のPVよりも不思議な魅力が伝わります。特にお姉さんのアンナ(ポスター左)が素敵で“恋心を抱く”!
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ゴルバチョワと聞くと、なんとなく政治家っぽい名前ですね。ゴルバチョフ書記長の夫人の名前は、ライサ・ゴルバチョワでした。ロシア語などのスラブ系の言語の場合、男性と女性で苗字が変わります。日本人には不思議ですね。シャラポフは男性だけど、シャラポワは女性。・チャイコフスキーは男性で、チャイコフスカヤは女性。

アルクティカのオリガ・ゴルバチョワ(Ольга Горбачева)の場合、微妙にライサ・ゴルバチョワ(Раиса Горбачёва)とは表記が違いますが・・・ ゴルバチョワがカタカナ表記としては一般的ですが、発音としては、ガルバチョーヴァの方が原語に近いようです。このあたり、悩むのでまたロシア語の先生に聞いておきます。

オリガはセクシーなだけではなく、ウクライナの音楽TV番組「M1」のキャスターとしても人気があります。そのコミュニケーション能力を買われて、オリガはキエフ市議会に立候補するという話がありました。しかしながら、結局mamamusicのプロデューサー、ユリィ・ニキティン(Юрий Никитин)が阻止したとの事。ティモシェンコ(Тимошенко)首相に続く、美人過ぎる政治家も見たかったです。でも、手下の二人はどうするつもりだったんだろう。議員秘書?

彼女は現在まで、アルクティカ(Арктика)名義で2枚のアルバムをリリース。
『Герои (Heroes)』 (2006年)
heroes

『Белая звёзда (White Star)』(2009年)
whitestar


最後にアルクティカのセクシー・ポーズ満載の「Пожалуйста (Please)」をお楽しみください。

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