四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

2011年10月

モンゴルの三人娘、3 Ohin(3 Охин)については、モンゴル語で書かれた記事がネット上にありますが、便利な翻訳ツール(モンゴル語→英語は一応可能ですが、語彙が少ない)もなく、ほとんど暗号を解読するような状態。もともとは縦書きのモンゴル文字があったのですが、社会主義時代にソ連の影響下にあったモンゴルはロシア語などと同じキリル文字が採用され、現在も主流となっています。でも、携帯でメールする時にはキリル文字は入力が難しいため、ラテン文字(英語と同じ)を使っています。

レーニン像の破壊はソ連崩壊の象徴的出来事でしたが、ウランバートルではレーニン像が残っています。旧共産圏で今も残存するレーニン像のひとつです。キリル文字で「Ленин(レーニン)」と表記されています。
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こちらは、キリル文字で書かれたザハ(市場)の看板。スリが多いので貴重品は車に置いて、ぶらぶらしました。
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話を3 Ohinに戻しましょう。モンゴル語が読めなくとも、PVがメディアの主体の現代、映像から彼女達のダイナマイトぶりは伝わります。

「Dachhuu(Дачхуу)」のPVでは、ヒップホップ三人娘は銀箔(白黒なので、金箔なのかもしれない)を纏い、露出度が極限に達します。韓国なら間違いなく放送禁止になるでしょう。ロシア・ウクライナ(あと、リトアニアもね)についても言える事ですが、旧共産圏の国々(イスラム圏を除く)の自由化は、このタイプの表現の自由に関してはまるでタガが外れたような状態。もともと大らかな文化だったということもあるでしょう。この曲は、「Pepsi Artist Of The Month」として飲料水とのタイアップとなっております。

実は先週末、モンゴリアンポップの実情を知るために北京に行ったついでにモンゴルの首都、ウランバートルへ行ってきました。北京からMIATことモンゴル航空で2時間弱。モンゴルは意外と近いです。モンゴリアンポップを紹介しながら、ウランバートル音楽紀行もいたします。

夜中に到着し、翌朝は雪!
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Hi-Fi Recordsというモンゴルのタワレコのようなショップ。ノミン百貨店にも小さな支店があります。CDの値段は、₮7,500〜12,500(日本円にして、¥450〜750、₮1,000 = ¥60)と円高のせいもあって、ついつい買いまくり。
*モンゴルの通貨単位はトゥグルグ (₮)。
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Kiwi、SweetYmotionに続きモンゴル三人娘特集。その名も、三人娘! モンゴル語で、3 Ohin(3 Охин)。どう読むかって? 「グルワン・オヒン」。モンゴル語で「3」は「Гурван(グルワン)」で、「オヒン」は娘。ただ、モンゴル人に「グルワン・オヒン」の発音をしてもらったところ、到底そのようには聞こえませんでした。あまり役に立たない語彙がまた増えました。ちなみのこれらの3グループ、モンゴル人に尋ねてみた所、よく知っていました。でも、どうして日本人が知っているの???ってい意外な顔されました。

3ohinメンバーは、ジャケ(タイトル不明)の左から順番に、
Anu(Ану)、
Solo(Соло)、
Ana(Ана)。

では、三人娘の代表曲と思われる「Hot Disco」のPVをご覧ください。モンゴルはヒップホップが盛んな国。民族的にも親和性が確かに高そう。ヒップホップ系のエレクトロディスコとしてなかなかの出来。モダンなモンゴルは、日本とも中国とは大きな距離感があります。どちらかと言えば、韓国に近いですが、モンゴルにはダイナマイト級破壊力がその民族の血からあふれ出ています。

ロシア・ウクライナで、t.A.T.u.以降の現象なのか、以前紹介したLeonaちゃんとかスクールものも結構あります。Вика Антонова(ヴィカ・アントノヴァ)ちゃんの「Николя(ニコラヤ)」のPVは、スクールバスのシーンから始まる。


彼女に関する情報がネット上にほとんどなく、確認が取れていないのですが、このPVを録った時、ヴィカちゃんはまだ12歳!との情報があります。最近の女子は総じて早熟ですが、この前までランドセルしょっていたような女子(ウクライナにランドセルがあるかは知らない)とは思えません。

こちらは既に成熟してしまったヴィカちゃんのジャケ。
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ロシア・ウクライナのシンガーは結構学歴がある人が多いです。Ри(リ)ちゃんも北ロンドン大学で外交と国際関係の修士号を習得し、外交官のキャリアを目指していたのですが、芸能に専念するために断念したようです。

そんな彼女のバックグランドから作られたと思われるのが、「РУССКИЙ ЛОНДОН (Russian London)」。ラッパーのXLDELUXEをフィーチャリングして、民族音楽とはまた違うサウンドに挑戦しています。


歌詞は分からないのですが、映像からロンドンに対するイメージが伝わります。制服姿のリちゃん、ちょっと無理した感じが可愛いです。

今回登場するウクライナ出身のロシアで活動する歌姫は、Ри(リ)。ロシア語系の女性名はほとんどа(ア)かя(ヤ)で終わるので、ニックネームみたいなもんですかね。本名はМаргарита Смелянская-Галицкая(マルガリータ・スメルヤンスカヤ−ガリーチカヤ)と長くて覚えられない。野性的美しさを持つルックスから、ウクライナのシャキーラ(Shakira)と呼びたいです。そう言えば、オバマ大統領はシャキーラ をヒスパニック系の教育特別委員に任命しましたね。

肩書は歌手、モデル、ダンサー。ロシア・ウクライナと言えばバレエの本場ですが、本格的にバレエも学んでいたようです。彼女のシングル「Майя каменных джунглей (Stone Jungle Maya)」。Mayaとはマヤ文明のマヤのようです。モデルだけあって、踊る姿も妖艶なのですが、サウンド的にもトラッド系の民族音楽を取り入れたダンスミュージックとなっており、なかなか聴きごたえがあります。


モデルという肩書からも当然と言える展開なのですが、ロシア版Playboy誌にも登場。やはり、音楽業界とPlayboy誌は協力関係にあるようです。
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ロシアのモーバイル娘、いやモバイル・ブロンズ(Мобильные блондинки)を調査してみると、やはり日本のアイドル・グループとのギャップに驚きます。日本では普通、アイドルは脱がないし、脱いだ頃は脱アイドルまたはアイドルからの転落を意味する事が多いです。もちろん、日本にもセクシー・アイドルというジャンルもあるのですが、それは歌うアイドルとしては亜流で、ロシア・ウクライナではあくまでも主流はC.C. GIRLSが最低ラインみたいな。

さて、この5人の娘たちの名前は、レーナ(Лена)、ユーリャ(Юля)、アレシャ(Алеся)、マーシャ(Маша)とアントニーナ(Антонина)。ロシア・ウクライナではアイドルの登竜門的の存在となるPLAYBOY誌(2008年)の表紙にも期待通り登場! ロシアに日本のようなアイドル雑誌はなさそうですが、PLAYBOY誌がほぼその役割を担っています。
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ナース・コスチュームでクマのバックバンドで踊るヘナヘナ・ディスコ「Плюшевый мишка (Teddy Bear)」は、なかなか癖になります。


サウンド的にもブリブリ・エレクトロ「Новый кот (New Cat)」では、セクシービームを撒き散らしています。肉食系アイドルは、動物タイトルの曲が好きみたい。

勝手にロシアのモーニング娘。と呼んでいるのが、モバイル・ブロンズ(Мобильные блондинки)。ロシア語の発音でカタカナ表記したら、モビルヌィエ・ブロンヂンキのような感じですが、意訳表記しておきます。でも、携帯ブロンド娘??って・・・その割にデカイです。

何故そう呼びたくなるかは、「А что я такого сказала (And What I Have Said)」を聴いてください!


うーん、部分的にですが、「LOVEマシーン」に似ています。「LOVEマシーン」はロシアにまで広がっていたのか? でも、「LOVEマシーン」も、Bananarama版(オリジナルはShocking Blue)の「Venus」が元ネタっぽいですから、ルーツを同じとして似ているだけかもしれません。

元バイアグラ(Виа Гра)のアーニャことアンナ・セドコーヴァ(Анна Седокова)の続きです。さて、ウクライナやロシアの歌姫は必ずと言っていいほど「PLAYBOY」「MAXIM」といった男性誌に登場します。アーニャも例外ではありません。ソロ活動に合わせて、2006年に発行されたアーニャが表紙を飾ったPLAYBOY誌は記録的な売り上げを収めたとの事。
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こちらは2010年のMAXIUM誌。
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肝心の音楽の話に戻りましょう。初期の曲はどちらかというと凡庸だったのですが、「Драма (Drama)」(2010年)ではエレクトロに接近し、いい意味の貫禄が出てきました。


最新リリースとなる「Ревность (Jealousy)」では、ダンサーをバックにタンゴを取り入れています。


アルバムも発売される予定!

バイアグラ(Виа Гра)及びメンバーのソロ活動については一通り網羅したつもりだったのですが、大事なメンバーについてまだ書いていませんでした。

バイアグラが来日した時の最強メンバーの一人、茶髪のアンナ・セドコーヴァ(Анна Седокова、Anna Sedokova)です! 愛称はアーニャ。アーニャは、2004年にウクライナのサッカー選手とめでたくゴールイン(出来ちゃった婚)し、バイアグラを引退します。

一体、アーニャはどうしているのかと、彼女の公式サイトに行ってみると、彼女は自叙伝「Искусство Соблазнения (The Art Of Seduction)」を出版している事が判明。自伝記によると、アーニャは離婚し、仕事もアパートも車もお金もない状態に追い込まれます。しかも、娘と莫大なローンを抱えて・・・。
theartofseduction


しかし、そんな状況の中、アーニャはソロとしてのキャリアを再スタートさせ、カムバックしました。ソロとしてのデビュー曲はちょっとしんみりした「Моё Сердце (My Heart)」。


がんばれ、働くお母さん、アーニャ!

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