四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

2012年08月

明日は、マンモスでウクライナの曲をかけますので、ウクライナ特集を続けましょう。

既にアルクティカ(Арктика)として紹介していますが、最近は手下の二人とは一線を引いているようで、オリガ・ゴルバチョワ(Ольга Горбачева)名義としての活動が主体となっています。

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こちらは、オリガ・ゴルバチョワ&アルクティカ(Ольга Горбачева и Арктика)名義での、 軽快なダンスナンバー「Kleine」(2011年)。「Kleine」はロシア語でもウクライナ語でもなく、ドイツ語で「Little」という意味。ちなみにこの曲は、ウクライナの子供用トイレットペーパー「Kleine」の宣伝に使われています。でも、クリップは結構セクシーだったりします。 



また、オリガは、ウクライナの歌謡界の女王とも言えるイリナ・ビルィク(Ирина Билык)とのデュエット曲 「Не ревную (Don’t be jealous)」をリリースしています。なんだか意味深なタイトルの女の情念を感じるバラード。イリナについてはまた後日詳しく。

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7月にキエフに行って、彼女たちにもインタヴューする予定だったのですが、スケジュールが合わず、未遂に終わりました。次の機会には、ぜひお会いしたいお二人です。

ウクライナのMoon Recordsにコンタクトしたところ、インタヴュー出来たのが、Lavika (Лавика)というバンド。旧ドリカム状態の女子1名、男子2名。ヴォーカルの女の子の本名は、リュバ・ユナク(Любовь Юнак)ですが、バンド名と同じく、Lavikaと名乗っています。とってもキュートなLavikaちゃんですが、男性陣(ヴァーニャとアレックス)はユーモアがあって、親しみやすい人たち。

All Aboutでのインタヴュー記事はこちら。
Lavika〜キエフより愛をこめて

近日中に公開しますが、オリジナルの英語版はこちら。*
Lavika-From Kiev With Love

*英語版も用意したのですが、残念ながら掲載不可という判断が下り、今回は見合わせます。

YouTubeで動画を検索してみると、それほどヒットしていないのですが、Lavikaちゃんのソロ時代の曲「Подруга - Зубки (Girlfriend - Teeth)」はなかなか琴線に触れる曲。今のメンバーでもう一度、リメイクして欲しい。



こちらは、最新の「В Городе Весна (In The City Of Spring)」。相変わらず、Lavikaちゃんは可愛いのですが、この人たちの曲、他のウクライナ系ダンスポップとは違い、微妙なさじ加減で民族っぽいフォーキーさがあります。



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販売元:Moon Vinyl s.r.o.
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Perfumeがサマソニに初めて出演したのは、2007年。Dance Stageのオープニングアクト(大阪のみ)。今ほどの知名度がなかったPerfume、前の方で余裕で見れました。

自らいい加減、そのうちに飽きてしまうのではないかと思いつつ、やっぱり2012年のサマソニでPerfumeを見ている僕がいました。しかも、サマソニのメインステージであるOceanで。大阪では途中、落雷豪雨のため中断するというハプニングもありましたが、やっぱりPerfumeは楽しいのです。リリースしたばかりの新曲「Spending all my time」も期待通り3曲目にやってくれました。

シングル『Spending all my time』は、どうしてここが好きって分かるの?って言いたくなるほどにツボとついています。

Spending all my time (初回限定盤)(DVD付)Spending all my time (初回限定盤)(DVD付)
アーティスト:Perfume
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アーティスト:Perfume
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1) 反復の美学! これはテクノの美学でもあります。言い方を変えれば、同じことばかり最初から最後まで歌っている。でも、いいんです、これが好きなんです。逆説的には反復に耐える曲。

2) 指の動き! Daft Punkのパロディーで以前、Daft Handsという秀逸な動画を作った人がいましたが、それにインスパイアされたかは分かりませんが、この指の動きを注目し、振りにしてしまった(サマソニで実際のダンスを見ましたが、リズミカルでアクロバチックで素敵)。



3) 制服! 別に制服マニアではありません。この微妙な美しいターコイズブルー、襟元と袖元の赤いワンポイント。フェミニンないかり型フォルム。完璧です。しかも、彼女たちはサイキック少女!

ORICONでのインタヴューを読んでみると、今回の曲、最初は英語のみだったんですね。英語が部分的に入るJ-POPはスタンダード化していますが(逆に入れないのが難しい)、日本語がはいる英語メインの歌詞にちょっと疑問を持っていたんです。Perfumeが日本語を入れてと後で頼んだという話・・・なるほど。

マドンナのおかげで、現状が広く認知されるに至っていますが、ロシアのバンクガールズ、Pussy Riotについて書きます。

先ずこちらが、8月7日にマドンナ姐さんが彼女のモスクワで行われたコンサートでPussy Riot解放を訴えたスピーチ。



で、Pussy Riotって? 分かりやすく言えば、ロシア女子によるロシア版Sex Pistols(少なくとも名前的には)。極めて政治的で、反プーチンを鮮明に出しています。

そして、これがPussy Riotのうち3人のメンバーが逮捕されることになった、今年2月21日で行われたモスクワの救世主教会でのパンク祈祷。「プーチンを追い出して」と神様にお願い。オリジナルの動画にはBGMはありませんが、こちらはBGM入り。



8月17日にフーリガン罪のかどで、懲役2年の厳しい判決がくだされました。彼女たちの行動は、暴挙、敬虔な信者にとっては冒涜かもしれませんし、別に支持するつもりありません。同時に、今回の事件はロシアの権力構造の現状を伝える役割を果たしました。個人的には教会も寛大な対応することによる“大きなチャンス”を逃したと思います。

こちらでは、Free Pussy RiotTシャツを販売。

次は、リェーナの方を紹介します。

リェーナ・カーチナ(Лена Катина)の方は、Clark Owenとのコラボ曲「Melody」をリリース。Clark Owenって知らなかったので、調べてみるとイギリスのトランス系アーティスト。もともとはエレクトロだったようですが、この曲からもトランス色が強いです。

melodyMelody
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美メロ・トランスになっており、このあたりで路線変更かと思わせる内容です。前回紹介したユーリャと今回のリェーナの作品を比べる限りにおいては、僕の趣向から言えば、ユーリャです。

同時に同じコラボ作品でも、こちらのメキシコのエレクトロポップ・バンド、Belanovaとの作品の方に、可能性を感じます。ぜひ、次回は彼らのバックの全面的にリェーナのヴォーカルでのヴァージョンが聞きたいです。

Sueno Electro IISueno Electro II
アーティスト:Belanova
販売元:Universal Latino
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リェーナの動向はこちらで詳しくレポートされていますので、ぜひ読んでください。
Lena Katina Japan 公式ファンサイト 

t.A.T.u.が解散して久しいですが、ユーリャ・ヴォルコヴァ(Юля Волкова)とリェーナ・カーチナ(Лена Катина)の二人はソロ活動に精を出しています。

先ずはユーリャの最近の作品「Давай закрутим землю (Didn’t Wanna Do It)」から。t.A.T.u.時代からセンセーショナルなクリップを作ってきましたが、こちらもその伝統を見事に引き継いだ欲望が渦巻く南国ダンスナンバー。クリップでは、男に裏切られた真面目そうなメガネ女子を欲望の世界へ誘います。クリップばかりに目がいってしまいますが、サウンド的にもちょっとひねっていて好きです。

Didn't Wanna Do It [Explicit]Didn't Wanna Do It [Explicit]
販売元:JV Production
(2012-08-21)
販売元:Amazon.co.jp
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もう一つのクリップは、ロシアでは有名な男性歌手、ディマ・ビラン(Дима Билан)とのデュエット曲「Любовь - Сука (Back To Her Future)」。これは、Eurovision 2012でロシア代表としてエントリーし、ブラナヴァのおばあちゃん達こと、ブラナヴスキェ・バブーシキ(Бурановские Бабушки)に敗れた曲。

『MUSIC MAGAZINE』を読んでいて、偶然見つけたライヴ・・・あのTrevor Horn先生が来日! 元10ccのLol CremeなどとProducersとして(これは後で誤解だと分かる)!

producers


The Bugglesに始まるTrevor Horn信者としてはいてもたってもいられません。会場はBillboard Live Tokyo!お、偶然、その日まで別件で東京いるぞ、俺と、喜び勇んで、Billboardに電話すると8月6日のチケットがまだある! The Bugglesの再結成ライヴ的なものは今までロンドンで確か2回ほどあって、マジで渡英を考えたこともありますが、こんなチャンスは二度ないかも。期待に胸は膨らみます。

僕が観たのは、8月6日の1stステージ(8月5日、6日で一日2公演)。電話予約の際、ステージに近い所で観たいと行ったら、自由席に。結果、テーブル席のステージのほぼ中央、前から2列目を確保。あまり、前で見ることに執着しない人なのですが、この日は別。

メンバーからしてProducersの曲を中心に一部TrevorやLolの曲をやるのかという予想を嬉しく裏切り、The Bugglesを核に出血大サーヴィスなセットリスト。最初、Trevorが出てきて、水色の当時のウェリントン型メガネ(実際、33年前のメガネだと言っていました・・・欲しい)をしているのを見て、予感はしたのですが、1曲目から「ラジオスターの悲劇」ですもん。もちろん、お姉ちゃん(KirstenとKate)がちゃんと「アーアーアッ」とバックコーラス(この二人は後にも大活躍)。

2曲目は、何故か「Two Tribes」のインスト。4曲目の10ccの「Rubber Bullets」の後にTrevorが「Russian girls」とか前振りを。そう、t.A.T.u.の「All The Things She Said」を二人のお姉ちゃんが歌います。そこまでやるか!

8曲目の「Living In The Plastic Age」はもう嬉しすぎて涙目。



ちなみにアンコール前のラストも、The Bugglesの「Johnny On The Monorail」。

TrevorがYesをやる時に、「Yes時代は僕の人生で一番無惨だった頃」と言ったのは感慨深い。僕は、Trevor時代(メンバー及びプロデューサー)のYesが一番好きですよという少数派。そして、Lolが歌った訳ではないけど、10ccの「I’m Not In Love」もとサーヴィス攻撃は続きました。

割とすぐに戻ってきたアンコールでやったのは、Will.i.am & Nicki Minajによる「ラジオスターの悲劇」の歌詞を変えた「Check It Out」というサーヴィスぶり。Trevor先生、このカヴァーは好きみたい。



そして、最後の最後はTears For Fearsの「Everybody Wants To Rule The World」。これはギターのPhil Palmerが関わっていたことからという薄いつながり。結果、Producersの曲は最後までなし。まぁ、いいか。サーヴィスし過ぎの内容とも言えますが、素直に嬉しい。これは人生における記憶に残り続けるライヴです。

唯一、悔しかったのは、ステージ後サイン・写真大会になった 2ndステージは見れなかったこと!

Made in Basing StreetMade in Basing Street
アーティスト:Producers
販売元:Pid
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僕が好きなバンドのひとつにPhoenixというフレンチグループがいます。今まで、彼らのライヴを見たのは、Dior Hommeの限定ライヴも含めて2度だけですが、彼らの作る曲は実に巧妙で、ロックバンドでありながらも、ひねくれたブリティッシュポップ、そしてフレンチエレクトロな味わい(曲による)もあります。

Phoenixファンの友だちから、二日前にメールが来ました。
「スウェーデンのThe Royal Conceptってバンド知ってる? Phoenixにここまで似ているとはわざと?」

その2時間後、僕はタワーレコードにいました。店内では凄く好みの曲が流れています。Phoenixの新曲かと思い、チェックしてみると、これが噂のThe Royal Concept!という奇妙な偶然。

5曲入りミニアルバム『The Royal Concept EP』をさっそく聴いてみると、サウンドもそうなんですが、声質と歌い方がもろPhoenix。これは偶然なのか、いや、きっと確信犯と僕は確信しています。ちまたでは、Phoenix+The Strokesとも言われていますが、僕の中では、Phoenix 95%。これは褒め言葉。

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Royal Concept Ep
アーティスト:Royal Concept
販売元:Republic
(2012-07-24)
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「Gimme Twice」のクリップも、女子たちが意味も無く演奏のじゃまをしたり、得体の知れなさもよし。

Krataeと同じく、R-Siamからのかわいい系ルークトゥン・アイドルグループのBlueBerryを紹介。Girlyberryというアイドルグループもいますが、別物。

この子達が意外と掘り出し物。先ずは、「CHIMI CHIMI(ชิมิ ชิมิ)」のPVを見てください。



chimichimiルークトゥンをベースにしながらも、微妙に流行を取り入れて、まぁ、エレクトロ〜ヒップホップと言えない事もないです。でも、アレンジが最高にベタベタで、妙な安心感を感じます。タイの田舎の場末のディスコに行ったら、こんなの感じなのでしょうか(行った事ない)?

それ以上に、この3人の見た目はヤンキーっぽいケバさがありますが、可愛くて実は性格がいいみたいなキャラクターに惹かれます。

これは、日本の演歌界も参考にしてほしいものです。

ウクライナに取材に行ってきました。いろいろ立て込んでいて、まだ何も書けていませんが、また後ほどレポートする予定です。

では、前回のタイのルークトゥン系を続けます。日本でも以前、勝手にネオ演歌とかいう呼び方で楽曲を紹介した事がありますが、ルークトゥンも時代の流れで変化しているようです。

Kratae(カテーまたはクラテーとカタカナで表記される)ちゃんは1987年生まれの元ムエタイ選手。ムエタイ選手としては、女子45kg級のチャンピオンにもなっています。

kratae3歌手としても幼少の頃から才能を発揮し、14歳の時にタイのKPNアワード、ルークトゥン部門で優勝。R-Siam(RSのルークトゥン系サブレーベル)からソロとしては既に4枚目のアルバムをリリース。2009年の「บอกมาเลย (Come and talk)」を聴いてみると、演歌的なベタさが全面に出ています。



kratae4最新アルバムに収録のタイトル曲『รักนะฉึก ฉึก(愛してチュクチュク)」を聴くと、かなりモダンなダンスミュージックになっています。ベタさもありますが、それがある種トライバル感を生み出しています。ここまで来るとルークトゥンとの境界線が難しいですが、タイの若者も聴いているんでしょうかね。

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