四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

2012年11月

11月24日、昨日の話ですが、「Perfume World Tour 1st」のシンガポール公演を見てきました。と言っても、映画館でのライビューイングです。シンガポールはよく行くのであわよくばと思いつつ、残念ながら日程があいませんでした。シンガポール在住のPerfumeファンのLinちゃんとこの前お話をした時、彼女も会場が小さいので、申し込みに落ちて、チケット入手できなーいと嘆いていました。「ヤフオクとかは?」と訊くとそんなのないと・・・



映画館で生中継って正直どうなんだろうと思いつつ、物は試し的に見に行きました。 音響はあまり低音が響かず小さめでそこは物足りなかったですが、 海外での反応を知るという点で十分楽しめました。気になるのは、言葉の壁。やはり、あ〜ちゃんの力量と云いましょか、観客に通訳(日本語➡シングリッシュ)を依頼したりして、英語・日本語を交えながら、コミュニケーションは見事に成り立っていました。

我田引水となりますが、2008年に「Perfume対談〜グラミー賞への道」という記事を書きました。世界に認められないとダメだとは言いませんが、世界に認められることはやはり意義があります。認められるとまで言わなくても、面白がってもらったらいい。僕自身もこのブログをやっていて、日本以外の音楽的にまだ世界的に認知されていなけど、面白いと思える人たちを知ってもらいたい・・・そこにちょっと意義を感じています。

Perfume Global Compilation LOVE THE WORLD(初回限定盤)(DVD付)Perfume Global Compilation LOVE THE WORLD(初回限定盤)(DVD付)
アーティスト:Perfume
販売元:徳間ジャパンコミュニケーションズ
(2012-09-12)
販売元:Amazon.co.jp


K-POPがアジア諸国で流れ、PSYの「江南スタイル」が世界的なヒットとなりました。自分の中にはそれほど民族主義者的なところはないと思っていましたが、やっぱりちょっと悔しい。Perfumeや同じくWorld Tour宣言をしたきゃりーぱみゅぱみゅには、そこそこのチャンスがあるとふんでいます。頑張ってください!

あ、久しぶりに真面目な事を書きました。

前回紹介したSPANKERSがリミックスをしていた事から偶然発見したんですが、僕の好きなセンスなので紹介します。オランダのWTF!の「Da Bop」。WTF!とは「What The Fuck!」という意味のスラングだと思われます。

Da BopDa Bop
アーティスト:Wtf
販売元:Kontor
(2012-06-12)
販売元:Amazon.co.jp


モノクロームでレトロな映像。モチーフはソ連っぽく、ロシア語で歌っています。オランダのチャートにも入った小ヒット。



これは元ネタがあって、それが渋い。1965年、ソ連時代に流行ったエディータ・ピエーハ(Эдита Пьеха)の「Наш сосед(うちのお隣さん)」という曲。ロシアでは有名な曲らしく、ロシアのおねえちゃん三人組、Fabrica(Фабрика)もカヴァーしています。



tenshinorakugaki日本では、 ダニエル・ビダル(Daniele Vidal)が1969年にカヴァーしたフレンチポップ版「天使のらくがき (Aime Ceux Qui T'aiment)」の方が知られているでしょう。日本語ヴァージョンを聴いていただきましょう。でも、歌詞はオリジナルからかけ離れた内容。

SPANKERSは、パオロ・オルテリとルーク・デグリーからなるイタリア出身のDJ。『恋のマイアヒ』を大ヒットさせたと自負するavexがちゃんと日本盤と日本公式サイトも作っていますが、どれほど日本で知名度があるでしょう?

スリーシックスファイヴスリーシックスファイヴ
アーティスト:スパンカーズ
販売元:avex trax
(2012-06-20)
販売元:Amazon.co.jp


avexは、2010年にヒットした「Sex On The Beach(恋のセックス・オン・ザ・ビーチ)」の方に押しているようです。しかし、昇天ソングって・・・Sak Noelの「Loca People」とかそういう系統ですかね。



everyoneisadj僕が注目したいのは、こっち。「Everyone’s A DJ(みんなDJのうた)」。基本的に延々と「○○はDJ」と唱えているんですが、クリップの出来がいい! ゴーストバスターならぬDJバスターが乱造されるDJを退治します。2 many dj’sな時代、あながちフィクションではないですね。いや、退治までされないでしょうが・・・

本当はもっと早くに書くべきだったのですが、PSY(本名:パク・ジェサン)の「江南スタイル(Gangnam Style)」は、世界中を席巻していますね。韓国初の世界規模の大ヒット。英国も含めヨーロッパの殆どの国で1位、他国(英国を除いて)の楽曲がヒットするハードルが高いアメリカでも、ビルボード2位という快挙です。YouTubeでは再生回数7億回を突破。



この曲がどうしてここまでの大ヒットになったかについては、海外も含めていろんなところで書かれています。列挙してみるとこんな感じ。

○LMFAOなどの流行のEDM的パーティーサウンド
○K-POP的リフを駆使した中毒性
○真似したくなる馬ダンス
○ユーモアに富んだ完成度が高いクリップ
○YouTubeという媒体、その加速効果
○著名ミュージシャンによる拡散効果
○パロディーによる拡散効果
○アメリカのメディアにも対応できるPSYの語学力
○エンターテイメント産業輸出を国策とする韓国

根底にPSYの動画も含めた楽曲の力があり、上に挙げた特性が複合的に加速要因となったと考えますが、英語圏にいないアーティストの場合、Lady GagaやMaroon 5がヒットするようなものではなく、別の特殊要素が必要ではないかと。PSYがある意味、わかりやすい韓国男性ステレオタイプとして(ここで動画は重要)、「Gangnam Style」という「意味が分からない外国語」を歌う異文化の雰囲気(エキゾチズム)を西洋人にも分かるレベルで表現したというのが、大きいと僕は考えます。

これは、K-POPが流行っている日本で、この曲があまり流行っていない(現在のところ)理由にもなると考えます。日本であまりプロモーションをしていない、日本語版がないとかいう理由もあるのでしょうが(領土問題による両国の緊張が理由というのには僕は否定的です)、日本で流行っている主流のK-POPの人たちは、東方神起、超新星、KARA、少女時代など美男美女指向のアイドル的存在。曲が好きというのもあるでしょうが、誰々が好きというのが大きな購入動機になっていると思われます。その点では、PSYは枠外。また、「Gangnam Style」からのエキゾチズムは、日本人にはその近距離感からも訴求力が弱いのかと。

ちなみに、僕は好きですよ。オリジナルも良いけど、特に、featuring 4minuteのキム・ヒョナ ver.「お兄さんはぴったり私のスタイル」(笑)。



Gangnam Style (Single - Enhanced CD)Gangnam Style (Single - Enhanced CD)
アーティスト:Psy
販売元:Bertus
(2012-11-06)
販売元:Amazon.co.jp


ODINA Vol.10 ~2012年K-POP10大事件~PSY MYNAMEODINA Vol.10 ~2012年K-POP10大事件~PSY MYNAME
販売元:エイチ・シー・ピー
(2012-11-29)
販売元:Amazon.co.jp

Tokyo Coolest Soundをやっているパトリックさんに「 四方さんっぽいネタ」として教えてもらったのですが、9nine(ナインナインではなく、ただナインと読む)の『イーアル ! キョンシー feat. 好好! キョンシーガール』を紹介。テレビ東京系列ドラマ「好好!キョンシーガール〜東京電視台戦記〜」の主題歌です。

キョンシーと言えば、その昔、ドラマ「来来!キョンシーズ」の主題歌として秋山絵美が歌った『キョンシー!!』は、松本=細野作のテクノ歌謡。「イーアル ! キョンシー」は、インドネシアの高速ダンスミュージック、FUNKY KOTA(現在はFUNKOTと呼ばれる事が多い)アレンジ。日本のFUNKOTの第1人者(第2人者はいるのか?)、高野政所によるもの。Saori@destinyやPerfumeのFUNKOTリミックスのようなものはありましたが、ガチのアイドルとしては確かに初めてのFUNKOTというのが貴重。



買うのなら、ジャケ的にもリミックス的(「イーアル!キョンシー feat.好好!キョンシーガール Ver. FUNKOT ASLI」収録)にも初回生産限定盤B(キョンシー盤)をお勧めします。

イーアル!キョンシー feat.好好!キョンシーガール/Brave(初回生産限定盤B)(キョンシー盤)(DVD付)イーアル!キョンシー feat.好好!キョンシーガール/Brave(初回生産限定盤B)(キョンシー盤)(DVD付)
アーティスト:9nine
販売元:SME
(2012-11-14)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る


9nine(でも、現在は5人組)は、Perfumeのあ〜ちゃんの妹の西脇彩華ちゃんがいるので、名前は知っていました。付け加えれば、ドラマの主演をし、CMでも見たりする川島海荷ちゃんはどこかエキゾチックかわいい。ちなみに海荷ちゃんは、広末涼子の「MajiでKoiする5秒前」もカヴァーしています。

MajiでKoiする5秒前MajiでKoiする5秒前
アーティスト:Umika as Yamako
販売元:アニプレックス
(2010-07-14)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る


昨日、クロアチアの日本大好き女子、エリE.(エリーと読む)ちゃんのインタヴュー記事(クロアチアのエリE.ちゃん〜私はヘンタイです)を載せましたが、彼女にPerfume、きゃりーぱみゅぱみゅ、黒色すみれ、アーバンギャルドのミュージッククリップを見てもらい、その感想を訊いてみました。予想したとおり、全てに好反応。そして、やはり、きゃりーについてはもとから知っていたようで、「PONPONPON」は彼女を虜にして、皆に見せまくっていたようです。まだサンプルは少ないものの、外国人特に日本のサブカル好きには受けるきゃりーちゃんです。

きゃりーのサードシングル(「PONPONPON」はシングルCDとしてのリリースはなし)となる『ファッションモンスター』も『つけまつける』(7位)、『CANDY CANDY』(8位)に続き、5位といい位置につけました。

ファッションモンスター(通常盤/初回プレス分)ファッションモンスター(通常盤/初回プレス分)
アーティスト:きゃりーぱみゅぱみゅ
販売元:ワーナーミュージック・ジャパン
(2012-10-17)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る




この曲は、g.u.とのタイアップですが、先日ショップを覗いてみたところ、以前より活気がありました。正直、g.u.は設立当初、どうしょうもない感じのブランドでしたが、地道に立て直しを計り、きゃりー効果で低価格でありつつもオシャレ感を出そうとするブランドの意図にはぴったりだったのでしょう。もちろん、お客さんがみんなきゃりー予備軍のような感じではありませんでしたけど。UNIQLOに頼りすぎるファーストリテイリングとしては、なんとかg.u.を躍進させたいのかと。きゃりーちゃんの立ち位置を考えると、g.u.もUNIQLOのように世界展開した場合、そのまま使えそうでね、この手。

ほとんど一発ネタの域なのですが、アジャリーヤ・ブッサバ(อาจารียา บุษบา)の「Katah Koh Jai(คาถาขอใจ)」のクリップです。ルクトゥーン系です。はい、何回聴いても、「指名ちょうだい」にしか聴こえません。

shimechodai




本当に「指名ちょうだい」と歌っていると思い込んでいたのですが、この元ネタは緑茶のCM「 新芽ちょうだい」! これでアジャリーヤのクリップに最初に緑の芋虫が出てきて、全体的に緑色だらけであることも合点が行きました。



↑このページのトップヘ