四方宏明の“音楽世界旅行” [共産テクノ部]

四方宏明の“音楽世界旅行” [共産テクノ部]

EASTECHNO:『共産テクノ 東欧編』の発売を記念して、共産テクノの動画を中心に紹介!

2018年08月

8月 31日

日韓で人気のハンガリーのニュートン・ファミリーのメンバーによるオリンピック・ソングとは?

『共産テクノ 東欧編』で扱った4ヶ国の中で最も開かれた共産主義国家は、ハンガリーでした。ニュートン・ファミリーという名前を聞いて、聞き覚えがあるそこそこの年配の人もいるのではないでしょうか? 本国ハンガリー以外で特に成功したのは日本と当時まだハンガリーとは国交がなかった韓国でした。 ニュートン・ファミリーについては課外活動の方が面白いのですが、メンバーのEva Csepregiはゴルバチョフを褒めまくる『O.K. Gorbacsov(Clap Your Hands For Michael Gorbatsjov)』を1988年に発表します。ちょっとThe Art Of Noiseっぽい。
O.K. Gorbacsov


O.K. Gorbacsov [MP3 ダウンロード]



彼女は、あのミュンヘンディスコのDschinghis Khanのメンバー、Leslie MandokiとEva And Leslieとしてコラボレーションを行いました。実は、Leslieは1975 年にミュンヘンに渡ったハンガリー人です。1988年のソウルオリンピック記念シングルとして『KOREA』(1987年)を発表しました。 韓国民謡の「アリラン」から始まるイタロディスコ的サウンドとなっています。
Korea


Korea (Hungarian Version) [feat. Leslie Mandoki] [Song for the Olympic Games '88 in Seoul] [MP3 ダウンロード]



この曲を知っている人、もしかすると、少女隊のファンもしくはかなりのアイドル通かもしれません。少女隊は「KOREA」のカヴァーを日本と韓国でリリースしています。「少女隊は韓国のテレビ放送で初めて日本の歌を歌った歌手であり、韓国でも人気があった」とのことです。
Korea


KOREA (日本語バージョン) [MP3 ダウンロード]


8月 29日

サンプラー「Muzix 81」 を開発したハンガリーのテクノポップ・ユニット

ハンガリーでPanta Rheiというバンドが1974年に結成されました。クラシック風味もあるプログレ系に分類できますが、ジャズロック的な要素も強く、シングルとしてリリースされた「Mandarin」という曲は、テクノ、ファンクそしてフュージョンが混ざったような初期のテクノポップ的な風合いが感じられます。こちらは、彼らの1979年にテレビでの演奏。



このPanta Rhei、1983年に突然、P.R. Computerと改名し、さらにテクノポップ化を推し進めます。デビュー作となった『P.R. Computer』は8万枚程度のヒット作となりました。

P.R.Computer



このアルバムは単なるリリースではなく、メンバーの一人、物理学者でもあるAndras Szalayが開発した「Muzix 81」をデモンストレーションするための広告塔でもありました。流石、理数系に強いハンガリーです。「Muzix 81」は、正確にはホームコンピュータ「Sinclair ZX81」に繋がれたシークエンサー、エフェクトプロセッサー、サンプラーを兼ね備えたシステムです。約300台が生産され、彼ら以外の楽曲制作にも使用された。Boney Mが使うという話もあったらしい。
8月 28日

エル・ムージカと呼ばれるポーランドの電子音楽

版元ドットコムでも本の内容のアナウンスを昨日よりしていますが、本日より『共産テクノ 東欧編』がAmazonで予約できるようになりました。ちなみにカバーは東ドイツのホーネッカー書記長、ポーランドのmuselというシンセ、スロバキアのスロバキア放送ビルで構成されています。ハンガリーも入れたかったのですが、これだと思えるのが無く、断念しました。ハンガリーの皆さん、ごめんなさい。

共産テクノ 東欧編


今日のテーマはエル・ムージカ(El-Muzyka)。ポーランド語で「Electronic Music」つまり「電子音楽」を指します。このような名称が存在していたこと自体、知りませんでしたが、ポーランドでは一つのジャンルとなっていたことが窺えます。幸運にもポーランドに滞在中、二人のエル・ムージカの先駆者、Marek BilińskiとWładysław Komendarekに取材することができました。先ずは、Bilińskiを紹介します。ワルシャワ郊外にある彼のスタジオ兼自宅に伺いましたが、僕よりも少し年上の彼は、ハンサムで温厚な紳士!

BilińskiはBankというアートロック系のバンドのキーボード奏者として活動後、1982年エル・ムージカに専念すべく、ソロとして現在まで活躍をしています。彼は、70年代に冨田勲、Jean-Michel Jarre、Tangerine Dream... に出会い、電子音楽に魅了されていきます。電子音楽家として冷戦時代の共通の悩みは、いかにしてシンセサイザーなどの電子楽器を西側から手に入れるかです。東ドイツやポーランドには国産のシンセサイザーが80年代中盤あたりから出始めるのですが、まだ完成度が低かったようです。そこで活躍したのが、ポロニアと呼ばれる米国に移民したポーランド人です。Bilińskiもポロニアのコネクションにより西側製シンセサイザーを入手したのです。

こちらは、彼の作品の中ではニューウェイヴ色が強い「Ucieczka Z Tropiku (Escape from the Tropics)」 です。



こちらは、2012年に作られたドラムンベース仕様リミックス。



Amazonでもアナログ盤『Best Of The Best』が購入できます。

Best Of The Best

Best Of The Best [Analog] [LP Record]
8月 26日

東ドイツ・オリンピック選手強化のためのスポーツテクノ

『共産テクノ ソ連編』での一つの発見は、スポーツとテクノの親密な関係です。表現の自由が制限される中、80年代のエアロビクスやブレイクダンスのブームに便乗する形で、スポーツという大義名分のもと、電子音楽が作ろうとした人たちがいました。東欧でも、スポーツをテーマにしたテクノポップが存在します。そんな楽曲たちを僕は「スポーツテクノ」と呼ぶことにしました。

共産主婦はスポーツテクノでエアロビクス!

スポーツの祭典、オリンピックは、国家の威信をかけたイベントとして特に共産陣営では重要視されました。特に東ドイツはその先鋒として、1976年のモントリオールから1988年のソウル・オリンピックまで、メダル獲得数で米国を抜き、ソ連に続く第2位のポジションにいたのです。同時に東西ドイツ統一後、東ドイツの栄光の陰に潜む闇の部分として、国家によるドーピング・ システムに対する告発もなされましたが、最近になって、オリンピック選手強化のための電子音楽が存在したとの情報が明らかにされました。

映画スタジオ、DEFA (Deutsche Film- Aktiengesellschaft)でサウンドエディターとして働いていたMartin Zeichneteと言う東ドイツ人がいました。Kraftwerk、Cluster、Neu! などのクラウトロックのファン、そしてアマチュアのランナーでもあったZeichneteは、ウォークマンの前駆体となるStereobeltに着想を得て、クラウトロックをランナーのトレーニングに活用することを思いつきました。ある日、彼は政府に拉致され、オリンピック選手強化のための音楽を作るという極秘任務を言い渡されました。彼が製作したカセットテープは、約30年の年月を経て、Kosmischer Läufer として陽の目を見ることとなりました。現在まで『The Secret Cosmic Music Of The East German Olympic Program』としてVolume 1から3まで発表されています。

secretcosmicmusic1


The Secret Cosmic Music of the East German Olympic Program 1972-83, Vol. 1 [MP3 ダウンロード]



これらは虚構ではないかと疑うふしもありますが、こんな合法的ドーピングがあればなんて素晴らしいのでしょう。

Kosmischer Laufer

8月 25日

チェコハウス創始者とその兄が英国でリリースした隠れテクノポップ

チェコスロバキアでの最大のヒット曲と言われるのが、Stanislav Hložek & Petr Kotvald のアイドル的男性デュオによる「Holky z naši školky(幼稚園か らの少女たち)」(1983 年) です。

Holky z naši školky



その編曲を手がけたのが、Jindřich Parmaです。1988 年に Parma は自らがリーダーとなる Hipodrom を結成し、デビュー・アルバム『Pražský Haus(プラハ・ハウス)』を1990年にリリース。これは、チェコスロバキアで最初のハウスとされています。

Pražsky Haus



Parma、女性ボーカリスト、振付師、そして3人のダンサーからなります。ハウスと言っても、シカゴハウスとかではなく、ちょっと下世話なユーロハウスと言うべきでしょうが… その後もParmaはヒップホップ、ハードコアテクノと先取りの精神で邁進していきます。

Parmaに は、2歳 年 上 の 兄、 Eduard Parma Jr.がいます。兄の Parma Jr. は、ニューウェイヴ全盛期の1982 年 に シ ン グ ル『King Kong In Hong Kong』を英国でリリースしています。これは僕のお気に入り! 中華風メロディーで始まるニューウェイヴ味もある隠れたテクノポップ名曲なんです。

King Kong In Hong Kong

8月 22日

『共産テクノ 東欧編』発売!東欧のポップコーン

2016年の『共産テクノ ソ連編』に続き、約2年をかけて、第二弾となる『共産テクノ 東欧編』を出版します。これを機に、「共産テクノ部」も再開し、書籍と連動する形で動画や音源を紹介していきます。

eastechno-chirashi


『ソ連編』でもテクノポップの ルーツとされる Gershon Kingsley(又は Hot Butter)の「Popcorn」のカヴァー曲を紹介しましたが、東欧でもカヴァーは発表されました。東ドイツの国営レーベルのAmigaよりHot Butter と同じ1972 年に、Orchester Volkmar Schmidtが早くも発表しています。意外と流行には敏感なんです。



チェコスロバキアも結構早い。Skupina Aleše Sigmunda(Aleše Sigmundのグループ)が1973年にカヴァーに挑戦しています。





08

変わり種は、Olympic のベーシスト兼リードボーカルあった Jiří Kornのカヴァー。1973年に新たに歌詞が加えられ、「Jako Mandle Pražené(ロースト アーモンドとして)」として発表されています。オリジナルでは無いけど、この曲に合わせて踊っている変な動画がありました。



このJiří Kornという人、80年代になってエレクトロポップ化し、「Karel Nese Asi Čaj(カレルはお 茶を持ち歩く)」(1985年)は過剰なアレンジのエレクトロ歌謡となっています。



もう一つは、1989年の「Miss Moskva」。これは、ミス・モスクワの審査員になった奇妙な夢についての曲ですが、登場するミス・モスクワが多少なりともビッチっぽいのは気のせいだろうか?

プロフィール

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Hiroaki Shikata


四方宏明
テクノポップを中心としたレコード蒐集癖からPOP ACADEMYを1997年になんとなく設立。2001年よりAll Aboutにてテクノポップのガイドを担当してます。Twitterで更新のお知らせ中。

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