クリスマスソングという以上にチャリティーソング(エチオピアの飢餓救済)として大ヒットしたのが、Band Aidの『Do They Know It's Christmas?』(1984年)。約300万枚を売った当時のイギリスのシングルのベストセラー記録を塗り替えました。ちなみにそれ以前は、200万枚を超えたWingsの『Mull of Kintyre(夢の旅人)』(1977年)。そして、ダイアナ妃追悼曲として500万枚近く売れたElton Johnの『Candle in the Wind 1997』(1997年)に記録は後に塗り替えられます。それ以降、記録は破られていません。6000万人程度のイギリスの人口を考えると、たぶん、これからも無いのではと。

dotheyknowitschristmas


この曲の作詞作曲は、Boomtown RatsのBob GeldofとUltravoxのMidge Ure。彼らの音楽性を考えると、割と意外なコンビですね。当時のイギリスのニューウェイヴからオールドウェイヴまで含めた豪華ゲストが集まりました。その後、USA For Africaの「We Are The World」などのチャリティーソングを生み出すきっかけにもなったのですが、この2曲、婉曲的なイギリスっぽさと直接的なアメリカっぽさを対比する上でも大変参考になる曲です。



Trevor Hornはプロデューサーとリミキサーとしてもクレジットされていますが、当初、「Do They Know It's Christmas?」のプロデューサーとしてGeldofがアプローチしたのですが、Hornの都合がつかなかったため、プロデュースはUreがやり、Hornは彼のロンドンのスタジオを無料で貸したという話もあります(同時にカラオケ録音の時にHornはちゃんとミキサーに座っていろいろ指示していたという情報もあります)が、実際のところはどうだったのでしょう? 当時の売れっ子プロデューサーとしてのHorn先生の人気ぶりが伺えます。

その後、1989年にBand Aid IIとして当時ユーロビート旋風を起こしていたStock Aitkin Watermanのプロデュースでリリース。最初に歌うのは、Kylie Minogueちゃん。



2004年にBand Aid 20がNigel Godrichのプロデュースで再度リリース。両者について言えますが、やはりオリジナルの域に行くのは難しい。まぁ、チャリティーとしての目的はある程度果たせたのだとは思いますが・・・



2005年にはカヴァー曲ではありませんが、アメリカのインディー系バンドが集まったThe North American Halloween Prevention Initiativeによる「Do They Know It's Hallowe'en?」という曲が作られていますが・・・コメントしづらい作品となっております。