四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

カテゴリ: スペイン

前回紹介したアルゼンチンのModular、スペインの渋谷系の代表と言えるLa Casa Azulなどをリリースしているレーベルが、Elefant Records。ここから新しく現れたPapa Topoは、スペイン出身のAdria ArbonaとPaulita Demaizからなる男女ユニット。

渋谷系というより、空耳というという観点からぜひ聴いてほしいのが、彼らのファースト・シングル『Oso Panda』(2010年)。

osopanda


スペイン語で「Oso」は「熊」ですから、「パンダ熊」。まあ、日本人はパンダには熊とかベアってつけませんけどね。あんまり可愛くないパンダが登場しますが、キャッチーなサビの「Oso Panda」がどうしょうもなく、絶対的に「おっさんパンダ」に聴こえます。



Papa TopoはLa Casa AzulのGuille Milkywayが全面協力しているようで、センス的にも近いものがあります。

タイトルからして怪しいのですが、Yulia Lisovichenko(ユリア・リソヴィチェンコ)を紹介します。彼女が生まれたのはシベリアのНижневартовск(ニジネヴァルトフスク)。さっぱり何処にあるか分からないですが、調べてみると、シベリアでも西の方。


スペイン語を上達させるために、スペインのバルセロナに1999年に移住。スペインで音楽活動を行ってきたユリアちゃんですが、そんな彼女の2006年の作品が「Japanese Guy」。タイトルからして、アネカの「Japanese Boy」を彷彿させるのですが、日本のマンガにインスパイアされた彼女、西洋人がもつオリエンタルな“間違った日本”を見事に表現しています。

西野カナちゃんの5月18日にリリースのシングル曲『Esperanza』には、ガツーンとやられました。

EsperanzaEsperanza
アーティスト:西野カナ
販売元:SME
(2011-05-18)
販売元:Amazon.co.jp
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もちろん、僕がBON BON BLANCOとか女性ヴォーカルのラテン歌謡に対する熱い想いを叶えてくれている事にも起因するのですが、やっぱり西野カナだと納得させられるこの曲を素直に称賛したいです。



どのような発想でこのスパニッシュ路線になったのか興味があります・・・
Madonnaの「La Isla Bonita」(Alizeeちゃんもカヴァーしていました)がオリジナルだとしたら、



Lady Gagaの「Alejandro」はその2.0 version(スペインというよりメキシコって歌詞に出てきますけど)と呼ばれ、



西野カナの「Esperanza」は2.5 日本版と言ったところでしょうか?

前回、「会いたくて 会いたくて 会えばいいじゃないか 西野カナ!」というタイトルで西野カナちゃんの会いたい症候群について書きました。「Esperanza」・・・タイトルからも想起できるように、スペインの情熱が伝わるフラメンコポップ。でも、歌詞から伝わるのは、情熱を超えた“情念”。希望(Esperanza)というタイトルには、「私がこんなに好きだから、貴方は私を好きになるべき」という絶対的意志を感じます。一見爽やかなサマーソングにこの情念をカモフラージュする西野カナは、頭脳派なのか、天然なのか?

前回は、スペインの渋谷系インディーポップ、La Casa Azulを紹介しましたが、今回もインディーポップ系。Souvenirというバンドです。ジャケには二人しか写っていないのですが、Patricia de la Fuente、J'aime Cristobal、Pablo Erreaからなる男女混合3人組のようです。彼らは不思議な事に、スペイン出身なのに、フランス語でほとんどの曲を歌っています。よって、フレンチテクノポップな雰囲気を醸し出しています。

結成して10年ほど経ち、『Points de Suspension』(2001年)、『Recto/verso』(2003年)、『Des Equilibres』(2005年)、『64』(2007年)、『Drums, Sex and Dance』(2009年)と現在まで5枚のフルアルバムをリリースしています。1stの『Points de Suspension』はほとんど話題にならなかったと思いますが、日本盤もリリースされています。最新作『Drums, Sex and Dance』は、テクノポップと言ってもいいサウンドですが、初期の作品はボサノバ的であったり、ギターポップ度も高いです。

Drums Sex & DanceDrums Sex & Dance
アーティスト:Souvenir
販売元:Jabalina
発売日:2009-03-24
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2曲目の「Ta machine」はタイトルからしてもテクノです。サウンドもKraftwerkっぽくもあり、同時にギターバンドとして生楽器との折衷具合がオツであります。



3曲目の「Monkey see monkey do」・・・ジャマイカ由来の言い廻しらしいですが、サル真似という意味でしょう。こちらは、ニューウェイヴ的なロケンロールなんですが、ピコピコもしていてカワイイ。

All About テクノポップにて「BACK TO THE エイプリルズ」というエイプリルズのインタヴュー記事を昨日掲載しましたが、そこでも話題となったLa Casa Azulを紹介します。

Elefant Recordsからリリースされた『Modapop』(2003年)というスペインのインディーポップ系コンピレーションがあります。スペイン語で「Moda」は「ファッション」という意味ですから、おしゃれポップみたいな意味でしょう。ジャケからもスペインの渋谷系みたいな内容を期待した人もいるかと思います。全体的にはアコースティック、ギターポップ、エレクトロポップが混合していますが、渋谷系というのは大体当たっていると思います。その中で聴いた事がある名前はその時点では、Camera Obscuraくらいでした。その中で、特に渋谷系的だと思ったのが、La Casa Azul(「青い家」という意味)というバンド。60年代的で、ちょっとピコピコしていて、胸キュンで、とにかくカワイイのです。「Vamos a volar」なんかは、シティーポップを経由した渋谷系っていう感じです。

Modapop: Fantasia VeraniegasModapop: Fantasia Veraniegas
アーティスト:Various Artists
販売元:Elefant / Dln
発売日:2004-06-29
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La Casa Azulはバンドと言いましたが、実質上、プロデューサーと名乗っているGuille Milkywayのソロ・プロジェクトで、バンドメンバーはアンドロイドのような存在のようです。La Casa Azulの代表的なヒット曲として、絶対的におススメなのが、アルバム『La Revolucion Sexual』(2007年)にも収録されているタイトル曲「La Revolucion Sexual」。60年代的モチーフにしたテクノポップ x ギターポップmeetsユーロディスコに仕上げた名曲です。おバカなんだけれど、泣けるメロディーという変幻自在のポップは、日本人受けする事間違いなし。っていうか、怪しい日本語も出てきて、きっと日本のポップカルチャーが大好きなんでしょう。



Revolucion SexualRevolucion Sexual
アーティスト:La Casa Azul
販売元:Elefant Spain
発売日:2007-11-20
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日本のエイプリルズのアルバム『Back To The Future Music』(2009年)にも、La Casa Azulのカヴァー「La Nueva Yma Sumac」が、収録されています。オリジナルは前述の『La Revolucion Sexual』の1曲目です。僕はあまりのハマり具合に最初、エイプリルズのオリジナルだとばかり思っていました。La Casa Azulのアルバムを先ず買うのであれば、『La Nueva Yma Sumac』(2009年)をお薦めします。これには、「La Revolucion Sexual」のオリジナルに別ヴァージョン(日本語で歌ってるのもあり)、同じく「La Nueva Yma Sumac」のオリジナルにエイプリルズのヴァージョンなど、La Casa Azulの美味しいところが楽しめます。



La Nueva Yma SumacLa Nueva Yma Sumac
アーティスト:La Casa Azul
販売元:Elefant
発売日:2009-10-26
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「恋のマカレナ」に続いて、スペイン発のフラメンコポップとして大ヒットしたのは、Las Ketchupの「Asereje」です。別名「The Ketchup Song」。フラメンコポップとユーロディスコが合わさったような妙に癖になる曲。2002年の事ですから、まだ覚えておられる人もいるでしょう。メンバーは、Lola、Pilar、Lucia、Rocio からなる4人姉妹。僕は黒髪のLuciaちゃんが好きです。お父さんは、El Tomate(ザ・トマト)の名前で知られるフラメンコギタリスト、 Juan Munoz(ファン・ムネス)。トマトの娘だから、ケチャップという事みたいです。プチトマトじゃないんですね。最小年だったRocioは、お母さんの許しが出ず、大ヒット時点では一緒に活動していませんでした。PVは複数のヴァージョンがあるようです。



ケチャップ娘がやってきた!ケチャップ娘がやってきた!
アーティスト:ラス・ケチャップ
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル(2002-12-18)
おすすめ度:4.5
販売元:Amazon.co.jp
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タイトルの「Asereje」ってスペイン語っぽいですが、Google翻訳しても訳してくれません。歌詞にもある「Asereje ja de je de jebe tu de jebere・・・」というのは全くでたらめなスペイン語で、Sugarhill Gang の「Rapper's Delight」の歌詞がそう聞こえたという、大ヒット曲の割にはいい加減な感じがよろしいですね。「Rapper’s Delight」は初のラップ・シングルとされる有名曲で、あまりヒップホップに詳しくない人でも聴き覚えがあるかもしれません。Chicの「Good Times」のベースラインのフレーズが引用されており、同じく引用したと思われるBlondieの「Rapture」にも共通するものがあります。

この手の大ヒット曲は必ずと言っていいほど、日本では便乗組が出ます。期待を裏切らないですね~。ネーミングもスペイン語っぽくSOLTOMATINAが「フリフリ!~魔法のケチャップダンス~」というカヴァーをしています。Las Ketchupがいなかったら現れなかったユニットです。「スタコラサッサー」って歌うところが素敵(笑)。日本には珍しいラテン系アイドルユニットのBon Bon Blancoがカヴァーしてもよかったと思うんだけどな~。



フリフリ!~魔法のケチャップダンス~ (CCCD)フリフリ!~魔法のケチャップダンス~ (CCCD)
アーティスト:SOLTOMATINA
ソニーレコード(2003-01-22)
販売元:Amazon.co.jp
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スペインと言えば、フラメンコですね。元々はスペイン南部のアンダルシア地方に伝わる芸能です。本場で見たフラメンコは、思った以上に動きが激しく感動しました。でも、スペイン人に聞いたら、みんなフラメンコ踊るわけでもないようです。

今回紹介するのは、伝統的なフラメンコではなく、フラメンコのテイストを取り入れたスペイン発フラメンコポップ。スペインから世界的にヒットした曲としては、Los del Rioの「La Macarena(恋のマカレナ)」が有名です。「恋のマイアヒ」など困った時は、現代に「恋の〜」とつけてしまう安直なタイトル。日本語って便利ですね。大ヒットしたおかげで、中古で安く購入できます。

Shall we マカレナ?Shall we マカレナ?
アーティスト:ロス・デル・リオ
BMGビクター(1996-07-24)
おすすめ度:3.5
販売元:Amazon.co.jp
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Los del Rioは、1966年にデビューしたAntonio Romeo Monge とRafael Ruizのスペインのおっちゃん二人組。これだけ聞くと、あんまりヒットしそうにない。しかし、アメリカでも大ヒットし、ビルボード14週連続一位という記録的な偉業を達成。1993年リリースですが、実際にヒットしたのは1996年の事でした。アメリカでヒットしたのは、Bayside Boys Remixのヴァージョンで、おねえちゃんのセクシーダンスもそのヒットに貢献しました。やっぱり、困った時はおねえちゃん頼みです。Bayside Boys自体は、このマカレナ仕事以外それほど目立ったヒットというのは無いようです。



こちらは、1996年のクリスマス向けにリリースされた「Macarena Charismas」です。「Jingle Bell」などのX’masソングとマッシュアップしています。また、おねえちゃんが登場。



日本でも、リズム歌謡のサブセグメントとして、フラメンコを題材にしたもの(フラメンコ歌謡)が結構ありますが、西郷輝彦(最近Macコメンテイターとしてよく登場する)の「星のフラメンコ」をリミックスしておねえちゃんに踊ってもらったらどうでしょう?

ロリータ産出国と言えば、France Gall、Charlotte Gainsbourg、Lio(正確にはベルギー)、Vanessa Paradis、Aleeze等を擁するフランスです。厳密に言うと、映画ならフランス以外にもロリータ系女優は結構います。今回は、スペインのロリータ、Cathy Claret(キャシー・クラレ)を紹介。でも、Cathyの場合、スペインを活動拠点にしているものの、フランスに生まれ、ジプシーのごとく家族と共に各地を転々としてきたという意味では、純粋にスペインとは言い切れないですけどね。

『Cathy Claret(あなたに)』(1990年)は、ベルギーのCrepusculeからリリースされた彼女のファースト・アルバム。聴き所は、やはり2曲目のフレンチウィスパーmeetsボサノバ曲「Loli Lolita」。この曲は、2001年のカフェ系コンピ『Crepuscule For Cafe Apres-Midi』に収録されています。ロリータと言ったものの、彼女はこの時点で既に26歳。ジャケだけ見たら、16歳くらいに見えますもんね。しかも、多くの曲は彼女自身によるものですから、世間でロリータとされている人とは一線を画しています。

cathyclaret

あなたに
アーティスト:キャシー・クラレ
ビクターエンタテインメント株式会社(1990-03-21)
販売元:Amazon.co.jp
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このアルバムは中身が濃く、他にも語るべき曲があります。「Le Lundi Au Soleil(陽だまりの中の月曜日)」は、Claude Francois(クロード・フランソワ)の大ヒット曲のカヴァーです。この曲は、クロードのトリビュート・アルバム『CLO CLO Made In Japan』でも、サエキけんぞうさんがカヴァーしています。



「Porque, Porque(なぜ なぜ)」は、アルバム発売前の1986年にリリースされたシングルです。



この曲は、日本のフレンチウィスパー、早瀬優香子がアルバム『薔薇のしっぽ』で彼女自身の選曲としてカヴァーしています。

その後、Cathyはセカンド『SOLEIL Y LOCURA(風に抱かれて)』(1991年)をリリースし、現在も活動を続けています。

Miguel Bose(ミゲル・ボセ)は、Ana Torrojaと同じく、トニマンがプロデュースしたスペインの歌手です。Anaとは違い、La Movidaではなく、スペイン芸能界の出身です。イタリアの女優を母親に、スペインの闘牛士を父親にもつセレブな家庭に育ちました。1971年に俳優を始め、1975年に歌手に転向します。日本でも、シングル『Give Me Your Love』というシングルを1980年に出しています。ちょうど同じ時期にスペインでヒットしたのが、「Morir de Amor」。さしずめ、スペインの王子様のようなアイドル的風格が漂います。



『XXX』(1987年)はトニマンがプロデュース、キーボード、ギター、プログラミングしています。元Naked EyesのRob Fisherもキーボード、プログラミングで参加。この時期になると、「The Eighth Wonder」のPVをみても、アイドルというよりもちょっとワイルドになってきています。トニマンによるスペイン歌手のプロデュースとしては、Ana Torrojaよりも10年くらい早いです。MiguelがAnaに、「トニマンいいよ」って紹介したんでしょうかね?



XXX (Spanish)XXX (Spanish)
アーティスト:Miguel Bose
Warner Music Latina(1989-07-20)
販売元:Amazon.co.jp
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2000年には、スペインのスーパースターの夢の共演と言ってもいい、コンサート・ライヴCD『Girados』をリリースしています。先に紹介した「The Eighth Wonder」のタイトルを変えた「Duende」などからは、スペインでの二人の人気が伺えます。



GiradosGirados
アーティスト:Miguel Bose
Warner Music Latina(2000-10-24)
販売元:Amazon.co.jp
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前回はMecanoについて書きましたが、Mecanoは1993年に停止します(正式な解散は1998年)。Cano兄弟はソロへと、Ana Torroja(アナ・トローヤ)は休養に入ります。休養を終えたAnaは、1997年にTony Mansfieldのプロデュースによりソロとしてのデビュー作『Puntos Cardinales』をリリース。Tony Mansfieldは日本ではトニマンの愛称で親しまれ、テクノポップを語る上では欠かせない人です。New Musikとして活動し、数々のプロデュースを行い(その中にはa-haの「Take On Me」の初期作も含まれる)、高橋幸宏などとも親交がありました。トニマンについてはまた別の機会にじっくり語りたいです。

このアルバムに収録され、シングルもリリースされた「A Contratiempo」は、スペインではシングルチャート1位となり、アルバムも1位になっています。これは、Bette Midlerの「Bottomless」のスペイン語カヴァー。テクノポップというよりもラテンポップのバラードと言った方がいい曲ですが、原曲と聴き比べてみると、やっぱりトニマン的アレンジが効いています。他、トニマンらしさが感じられる曲としては「Tal Para Cual」もお勧めです。



Puntos CardinalesPuntos Cardinales
アーティスト:Ana Torroja
RCA Intl(1997-08-12)
販売元:Amazon.co.jp
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この後、Andres LevinとArto Linsayがプロデュースに参加した2作目『Pasajes de un Sueno』(1999年)からは、「Ya No Te Quiero」もヒットしました。その後もコンスタントにリリースをし、現在まで活動を続けています。

Anaはもう50歳の大台に乗っていますが、老けませんね。そして、2010年9月21日には新作『Sonrisa』をリリース! 2作目と同じAndres Levinのプロデュースですが、タイトル曲の「Sonrisa」は軽快なアップテンポな曲に仕上がっています。



sonrisa

Sonrisa
アーティスト:Ana Torroja
(2010-09-21)
販売元:Amazon.co.jp
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La Movidaから生まれたバンドとして一番成功し、また本国スペイン以外でも認められたのは、Mecano(メカーノ)です。Nacho CanoとJose Maria Cano兄弟に紅一点Ana Torrojaからなるドリカム状態。同名のバンドがオランダにも居ましたので、間違えないようにしましょう。名前からしてテクノなイメージを醸し出していますが、彼らがテクノなエッジを効かせていたのは、1枚目から3枚目あたりです。それ以降はラテンポップというジャンルで語った方がいいでしょう。ラテンポップと言った場合、スペインだけでなく、ラテンアメリカを含めたスペイン語及びポルトガル語圏のポップとなります。日本で有名なのは、Julio Iglesias(フリオ・イグレシアス)ですね。

Mecanoのデビュー盤となった『Mecano』(1982年)でお薦めなのは、「Me Cole En Una Fiesta」。Mecano好きの山根君曰く、「ハイスクール ララバイ」と「ラジオスターの悲劇」を足して2で割ったような名曲だと。ポップなメロディー、ピコピコなアレンジ、そして、キュートなAnaちゃんのヴォーカルに魅了されます。



Mecano (Reis)Mecano (Reis)
アーティスト:Mecano
Sony U.S. Latin(2005-08-23)
おすすめ度:5.0
販売元:Amazon.co.jp
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「Barco a Venus」を収録したセカンドの『Donde Esta El Pais De Las Hadas』(1983年)もほぼ同様の路線となりますが、サードの『Ya Viene el Sol』(1984年)では、Fairlight CMIを導入しました。注目したいのは、日本を題材にしてPVも制作された「Japon」。技術大国日本というイメージをインダストリアルなアレンジでサウンド化しています。可笑しいのは、3人とも学生服を着用している点。昔、Policeも学生服を着ていましたが、Anaちゃんにはセーラー服を着て欲しかった。このアルバムには、Thomas Dolbyも参加しています。



驚いたのは、ほとんどのMecanoのオリジナルアルバムが、現在Amazon.co.jpにて700円台で買えてしまいます。円高の影響なのでしょうか? Mecanoの全体像をつかむには、2枚組ベスト『Ana Jose Nacho』(1998年)というのもありますが、オリジナル(特に初期3枚)を買うのもこの値段ならありです。

Ana Jose NachoAna Jose Nacho
アーティスト:Mecano
Sony U.S. Latin(1998-03-24)
おすすめ度:4.0
販売元:Amazon.co.jp
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前回、お話したLa Movidaの続きとなりますが、スペインのニューウェイヴ界の女王として君臨したのが、Alaska(本名はOlvido Gara )。スペインでは『La Movida & Alaska』という伝記が出版されるほどの伝説の人物です。La Movidaは音楽だけでないとの話をしましたが、映画界に於いての最重要人物がPedro Almodovar(ペドロ・アルモドーバル)監督。彼の監督デビュー作『Pepi, Luci, Bom y otras chicas del monton(ペピ、ルシ、ボンとその他大勢の娘たち)』でBom役を演じたのが、Alaskaです。

彼女がNacho Canut 達と結成したのが、Alaska y Los Pegamoides。スペイン語で「y」は「&」と同義となりますから、Alaskaが主役的立場を務めるバンドです。「Horror en el Hipermercado」(1980年)はデビュー時のものですが、Ramonesっぽいパンクです。



1982年になってAlaska y Dinaramaに改名。『No es pecado』(1986年)のジャケのAlaskaは、Boy GeorgeとBow Wow WowのAnnabellaを足して2で割ったような感じになっています。ちなみにジャケでチェーンソーを抱えているように見えますが、実はチェーンソーではなく、枝切り機らしいです。

No Es PecadoNo Es Pecado
アーティスト:Alaska Y Dinarama
(2008-01-22)
販売元:Amazon.co.jp
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このアルバムに収録の「A Quien Le Importa」を聴いてみると、サウンドも方もよりダンス寄りとなり、ラテン風Pet Shop BoysかDead Or Aliveって感じです。



1990年になって、AlaskaはNachoと二人でFangoriaを結成。明らかにホラー映画に影響を受けた名前です。イタリアでもそうでしたが、スペインのニューウェイヴの人達も息が長く、現在も現役バリバリでムンムンです。Alaskaは他のアーティストとのコラボも行っており、Miguel Boseと「Amante Bandido」(2007年)をデュエット。Miguel Boseについては後日、触れる予定です。

イタリアは一段落したので、次は情熱の国、スペインです。70年代末から80年代にかけてニューウェイヴは全世界的ムーヴメントでした。イタリアにもあったし、札幌にもあったし、スペインにもありました。

スペインは西欧だから自由な国というイメージが一見ありますが、1975年までフランキスモと呼ばれたフランシスコ・フランコの独裁政権下にありました。正式に民主主義体制に移行したのは1978年で、その順調な移行から「スペインの奇跡」と呼ばれました。フランコ政権陥落後、スペインのユース・カルチャーは花開くわけです。そのムーヴメントをLa Movida Madrilena(日本語に訳すと「マドリッドの喧騒」)またはNueva Ola(ニューウェイヴ)と呼びました。これはマドリッドで起こった音楽だけでなく、芸術、映画、演劇などに渡る文化運動でした。音楽的には、ドイツにはNeue Deutsche Welle(ドイツのニューウェイヴ)があったように、スペインのニューウェイヴと呼んでもいいでしょう。

そのあたりの動きを捉えたコンピレーションの一つが、『La Otra Movida』。fnacというフランスやスペインで見かけるチェーンレコード店が製作したものです。ニューウェイヴ的な曲もありますが、オールドウェイヴ的ロックも含めてLa Movidaだったようです。やはり、独裁政権が長かった故、ポップカルチャー的にはタイムラグが起こり、混沌としてしまったのでしょう。

laotramovida


そんな状況下、スペインでもテクノポップと認識されているバンドが、Aviador Dro(正式にはEl Aviador Dro Y Sus Obreros Especializados)。ちなみにスペイン語で、テクノポップは「Tecno-pop」です。メンバーは後に減ったようですが、7人組の時代もあったようです。彼らの代表曲「Nuclear Si」(1983年)は、タイトルからして原子力に関する歌だと思われますが、Kraftwerkの「Radioactivity」あたりに通じる世界です。



「La television es nutritiva」(1982年)では、DEVOやPOLYSICSを思わせるユニフォームを纏い、ロボットのようなカクカクした動きがイカスぜ!



80年代からかなりの数のリリースをしていますが、2枚組CD『Todos Sus Singles Y EP's 1982-1998』では、彼らの80年代・90年代の音源を収録しています。これはスペインに行った際、買ったのですが、日本では手に入れにくいようです。

aviadordro


こちらはAmazon.co.jpにジャケ入りで唯一あったアルバム。

Confia En Tus MaquinasConfia En Tus Maquinas
アーティスト:Aviador Dro
Subterfuge
販売元:Amazon.co.jp
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