四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

カテゴリ: アルゼンチン

先ずは、このジャケットを見て欲しい。これぞ、スポーツテクノ!

Pulse 4


アルゼンチンのEl Club de la Computadora(コンピュータ・クラブ)による『Pulse 4』というアルバム。2014年にリリースされ、Bandcampでなんとフリーダウンロードできます



モスクワで取材できたアンドレイ・ラジオノフ&ボリス・チハミロフ(Андрей Родионов и Борис Тихомиров)のお二人が、スポーツテクノの元祖です。

共産主婦はスポーツテクノでエアロビクス!

この「スポーツ&ミュージック」シリーズが好きすぎると思われる人たち(Nicolas Marino, Facundo Barrera & Luciana Sayanes)による謎のプロジェクトです。オマージュ具合が凄まじい。

ソ連の元国営レーベル、メロディヤ(Мелодия)は現在も存在していますが、Facebookではメロディヤ自身によって、今までの「スポーツ&ミュージック」シリーズに加え、この『Pulse 4』が並べられています。

Sports & Music


是非、今後もスポーツテクノを極めて欲しいものです。

これまでもいくつかの海外の渋谷系っぽいアーティストを紹介してきましたが、特集を再開します。おさらいとして、今まで紹介したのは今回のも含めてこんなの

La Casa Azul(スペイン)
Pato Fu(ブラジル)
VIP200およびDoktor Zoil(イタリア)
My Little Airport(香港)

傾向としてラテン系が多い。じゃ、まずラテン系から行きましょう。今回、プッシュしたいのは、アルゼンチンのModular。アルゼンチンの首都、ブエノスアイレスで2000年に結成された5人組のバンド。Modularとは、Moogのヴィンテージ・シンセ、Modular Systemsから。渋谷系と言ってもサウンド的には多様ですが、彼らの場合、60年代サイケデリックなスペースラウンジとでも言いましょうか・・・アルゼンチン版Stereo Labと言った方が分かりやすいかな。

現在まで6枚のアルバムをリリースしていますが、5枚目のアルバム『Fantasias De Un Robot Psicodelico(ロボットのサイケデリックな空想)』(2009年)から「Playa Biquini(ビキニ・ビーチ)」のPVを見てください。60年代的美学に基づいたレトロフューチャーな世界観で統一されています。



Fantasias De Un Robot PsicodelicoFantasias De Un Robot Psicodelico
アーティスト:Modular
販売元:Elefant Spain
(2009-07-14)
販売元:Amazon.co.jp
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こちらは、最新アルバム『Sinfonias Para Terricolas』(2011年)から「Zapatofono(靴の電話)」。基本的な世界観は同じ。あえて言えば、サイケデリックを強調。



Sinfonias Para TerricolasSinfonias Para Terricolas
アーティスト:Modular
販売元:Elefant Spain
(2011-11-01)
販売元:Amazon.co.jp
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アルゼンチンですが、スペインの名門インディポップ・レーベル、Elefant Recordsからリリースされているのも納得です。

ファナ・モリーナの次は、同じくアルゼンチンのロリ・モリーナ(Loli Molina)ちゃん。別にロリとファナに血縁関係はありませんが、ファナがロリ・モリーナを2007年のブエノスアイレス・フォーク・フェスティバルに招待しています。ブエノスアイレスは、人口300万人を超えるアルゼンチンの首都。近郊部を含めると1300万人となる世界でもトップクラスの都市圏です。タンゴ、フォルクローレくらしか音楽的イメージがないのですが、アルゼンチン音響派以外にもきっといろいろなシーンがあるのではないかと・・・一度、訪れてみたいです。

彼女のデビュー・アルバムは、『Los Senderos Amarillos』(2008年)。

Los Senderos AmarillosLos Senderos Amarillos
アーティスト:Loli Molina
販売元:Bmg
(2008-11-24)
販売元:Amazon.co.jp
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「Hasta El Mar」などを聴いてみると、ファナと比べあくまでもアコギを主体とした歌モノとしてのポップです。それ以上に、ロリだから、ロリータ・ヴォイスとまでは言いませんが、エンジェル・ヴォイスは彼女の武器でしょう。



面白いのは、Culture Clubの「Karma Chameleon(カーマは気まぐれ)」のカヴァーを試みている事。オリジナルは、Culture Clubの最大のヒットとなり、全米1位になった唯一の曲ですが、シンプルながら原曲の良さを伝えるカヴァーです。

変なジャケって、皆さんは好きですか? グロテスクとかではなく、奇妙なやつ。ちょっと気味悪いと言ってもいいかもしれません。不気味ジャケとでも呼びましょう。僕は気味悪い思いながら、その中に何かがあるに違いないと想像できたりするので、好きです。

女性アーティストを主役にしたものなら、ビョーク(Bjork)の『Homogenic』とかエミリー・シモン(Emilie Simon)の『Emilie Simon』とか。まぁ、後者は不気味エロ可愛いですけど。

ホモジェニックホモジェニック
アーティスト:ビョーク
販売元:USMジャパン
(2006-12-20)
販売元:Amazon.co.jp
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エミリー・シモンエミリー・シモン
アーティスト:エミリー・シモン
販売元:Rambling Records
(2005-07-06)
販売元:Amazon.co.jp
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前回のチリのハビエラ・メナ(Javiera Mena)ちゃんの『Mena』のジャケもちょい不気味で、同じデザイナーによるファナ・モリーナ(Juana Molina)の『Un Dia』(2008年)も不気味ジャケ認定します。こちらは彼女の5枚目の作品です。

Un DiaUn Dia
アーティスト:Juana Molina
販売元:Domino
(2008-10-07)
販売元:Amazon.co.jp
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ジャケが不気味なら、きっとPVも不気味なのではと期待したところ・・・タイトル曲の「Un Dia」のPVはやっぱり、不気味。



肝心のサウンドですが、ファナはアルゼンチン音響派の代表的アーティストのひとり。日本でゼロ年代前半から使われ始めたアルゼンチン音響派という言葉ですが(音響派自体は90年代だったと)、音響派という言葉はあまり海外では認知されていないと思います(訳語も不明・・・Sonic Freak?)。まぁ、ジャンルじゃないという意見もありますが、ポストロックやエレクトロニカに近い・・・彼女の場合は、より生楽器の要素が強いフォークトロニカ的曲が多いですが、アヴァンギャルドやトライバルな部分も感じます。アルゼンチンのビョークとか呼ぶ人もいます。

高橋幸宏、レイ・ハラカミが、2006年の彼女の来日公演でサポートをしていたというのは、ナルホドなのですが、平井堅のアルバム『Ken's』に参加していたというのは、結構意外。

ミュージシャンになる前、ファナはコメディー女優だったらしい。アルゼンチンのトレイシー・ウルマン(Tracy Ullman)のような存在だったのだろうか・・・

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