四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

カテゴリ: チリ

proetomamamusic CEOのユリィ・ニキティン氏にインタヴューした時、アルミヤー(А.Р.М.И.Я)とHollywood FMは活動をやめた訳ではないけど、mamamusicから離れたと聞きました。

アルミヤー(“軍”と意味ですね)は、現在NikitAで活動するユーリャ・カヴタラヂャエ(Юлия Кавтарадзе)がいたグループ。ファーストアルバムのジャケの一番右にいるのが、ユーリャです。

チリ出身(スウェーデンに住んでいるらしいけど)のDJ Mendezとのコラボで作った「Люби меня (Love me)」(2011年)が、mamamusicとしては最後の曲のようです。スポーツがコンセプトの要素であるグループですから、馬も乗りこなせるようです。



mamamusicを離れたアルミヤー、どうなることかと心配したのですが、クリップを公開したばかりの「Я Клянусь (I swear)」(2012年)を見て、ちょっと安心(笑)。近未来的イルミネーションもかっこいい。尼さんのような全身タイツに、金粉ヌードと相変わらず趣向を凝らしています。

中南米アイドル発掘シリーズ・・・いや、そんなつもりで始めたつもりはないのですが、そんな感じになってしまっています。今回はブラジルではなく、世界の果て、チリからやってきたハビエラ・メナ(Javiera Mena)ちゃんです。チリと言えば、ラテンアメリカの細長い国ですが、音楽的にはフォルクローレくらいしかイメージが沸きません。そんなチリの首都サンティアゴに、エレクトロガールがいるとは、なかなかの驚き。世の中はフラット化しているんですね。

音楽大学の作曲科で学んだハビエラちゃんは、2003年にフランシスカ(Francisca Villela)ちゃんと二人でPrissaというユニットで活動を始めます。ソロ・デビュー前の習作と言える作品が、YouTubeやMySpaceで公開されており、期待通りのエレクトロポップ。いい意味でのインディー感があったりして、コスも可愛い。MySpaceには、Giorgio Moroder、Pet Shop Boys、Mecano、Matia Bazar等に影響を受けたとあります。特に後者二つは渋いですね。



2006年にアルバム『Esquemas Juveniles』でデビュー。

Esquemas JuvenilesEsquemas Juveniles
アーティスト:ハビエラ・メナ
販売元:FELICA /Art Union Recordings
(2007-05-30)
販売元:Amazon.co.jp
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アルバム全体から比類なる才能を感じるわけですが、「Yo no te pido la luna」は、不思議な魅力に溢れています。典型的なラテンではなく、チリのエミリー・シモン(Emilie Simon)って感じです。黒髪で親しみやすいルックスもいいですね。



最新作となる自らの姓をタイトルとした『Mena』(2010年)、ジャケが目を引きます。僕自身、ジャケ買いした側面もあるのですが、デビュー作と同じくアルゼンチンのアレハンドロ・ロス(Alejandro Ros)がアートワークを手掛けています。他にも、フアナ・モリーナ(Juana Molina)等、多くの南米のアーティストのジャケや他のグラフィックデザインも手掛ける売れっ子らしいです。

MENAMENA
アーティスト:ハビエラ・メナ
販売元:Felica
(2010-10-13)
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さて、このセカンドはデビュー作を超えたと断言したい。日本なら、ワールドミュージックにコーナーに置いてあるCDですが、別にそのような枠組みに関係なく、お薦めしたい作品です。琴線に触れるメロディーと臨場感にあふれるアレンジで、曲ごとに色々な表情を見せてくれます。欧米の80年代ディスコ、エレクトロポップやエレクトロニカからの影響は伺えますが、それが彼女の個性と重なって、オリジナルな世界を構築しています。PVが既に公開されている「Hasta La Verdad」では、髭を生やしたおちゃめなハビエラちゃんなのです。



7曲目の「Sufrir」では、自らファンと公言するLadytronのDaniel Huntも参加しています。久しぶりに誉めちぎった感がありますが、ハビエラちゃんのせいでチリに行きたくなりました。行けないかもしれないから、日本に来てほしい。

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