四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

カテゴリ: フランス

前回、「Tigersushiという名前はクールなんでしょうかね」という発言をしましたが、そのクールさはひねくれていて、あえてアンクールなモチーフでクールさを逆説的に表現している確信犯だと考えています。

「何が言いたいのか?」と言われる方もおられるでしょうが、Tigersushiを主宰するJoakimによるクリップを見て頂ければ、ニュアンスは伝わるか、さらに混乱するかのどちらかでしょう。

こちらのクリップは、同じフランスのValerieという懐古主義的集団にも通じる「Forever Young」。音的にはチルウェイヴっぽくもあります。



脱力エレクトロな「Find A Way」。クリップ中盤から出てくるの女子はとってもかわいいのだけど、周りにいる他の人たちがなんか変。



Joakimのアルバム『Nothing Gold』は味があって、なかなかの名盤。

Nothing GoldNothing Gold
アーティスト:Joakim
販売元:Tigersushi France
(2011-10-25)
販売元:Amazon.co.jp

Tigersushiというフランスのレーベルがあります。ネーミング的にも同じフランスのKitsuneと近いものがあります(笑)。やはり、日本由来の名前はフランス人的にはfrais(クール)なんでしょうかね。ゼロ年代初め、そうエレクトロクラッシュが流行っていた頃からやっていました。

Tigersushiの主宰者は、Joakim。彼が率いるJoakim & The DiscoのメンバーでもあるJuan De GuillebonがやっているのがDyE。このDyEのミュージッククリップ「Fantasy」に注目。音は、エレクトロというよりもレトロ感があるエレクトロポップ。クリップにアニメを使っているなと思いつつ、どうしてこんなにYouTubeのヒット数があるのだろうと不思議に思っていました。中盤から、ちょっとエッチな男女のお話は、ホラーへと展開していきます。ギャー、怖い。



Taki 183Taki 183
アーティスト:Dye
販売元:Tigersushi France
(2011-07-19)
販売元:Amazon.co.jp



では、引き続きフレンチロリータ特集です。00年代のフレンチロリータと言えば、アリゼ(Alizee)、80年代後半ではヴァネッサ・パラディ(Vanessa Paradis)が代表的。

ロリータ系の場合、じんわりと人気が出るというよりも、ロリータ度マックスのデビュー曲で一気に人気が出るパターンが普通です。アリゼもそうでしたが、ヴァネッサも。1987年、ヴァネッサのデビュー曲「夢見るジョー(Joe Le Taxi)」は、フランスで11週連続1位を記録しました。この曲は、基本レゲエですが、見事にシャンソン化され、イントロから鳥肌が立ちます。



Joe le taxi (1987) / Vinyl Maxi Single [Vinyl 12'']Joe le taxi (1987) / Vinyl Maxi Single [Vinyl 12'']
アーティスト:Vanessa Paradis
販売元:Import
(2000-01-01)
販売元:Amazon.co.jp
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そんな名曲ですから、フランス語圏以外でも当然カヴァー曲が存在します。日本人では、戸川純、元芸者さんの花代(Hanayo)、immiがカヴァーしています。Hanayoのカヴァーは、00年代のエレクトロクラッシュ系のコンピなんかにも入っており、ドイツなどでリリースされました。ジャケも攻撃的。



hanayo-joeletaxi

lapremierefoisフレンチロリータの新星、Lolitaちゃん、第2弾シングル『La Premiere Fois』をリリースしました。英語に訳すと「The First Time」。60年代のシャンソンにも同名の曲がありますが、この文脈では「初体験」という意味なのかな?

以前は単にLolitaと表記されていたのですが、Lolita Jolieとなっています。Jolieもファーストネームみたいだから、ロリータのジョリーちゃんという事なんでしょう。

相変わらず、冨永愛度が高いLolitaちゃんなので、背が高い印象があったのですが、PVを見る限り男性よりもかなり背が低いので、冨永愛クラスではないみたいです。途中で男性の声で「ハッ、ハッ」というのがちょっと余計です。いや、そんな事が言いたい訳ではなく、今回はオートチューン全開。



驚いたのが、3D版のPVも制作されています。でも、3Dサングラスが家にない! PVも3Dの時代になるのでしょうか?

この辺りで趣向を変えて、フレンチロリータ。2011年、彗星のごとく現れたのフレンチロリータが、その名もロリータ(Lolita)。現在の年齢を知りませんが、年をとるとちょっと恥ずかしいかもしれません。ちなみに、ロシアにも結構お年を召されたロリータ(Лолита)という同名の歌手が居ます。

デビュー・シングルは、『Joli Garcon』・・・「かわいい男の子」って意味です。
Joli GarconJoli Garcon
アーティスト:Lolita
販売元:Pid
(2011-03-08)
販売元:Amazon.co.jp
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ロリータ系のシンガーにとっては、デビュー曲は大変重要。デビュー時が、ロリータとしては最盛期である可能性が高いのです。なかなかよく出来たフレンチハウス・シャンソン、基本、アリゼ(Alizee)の路線に近いです。


ロリータちゃん、フレンチ女子の割には、日本人と白人のハーフっぽい親しみやすい顔立ち。富永愛にも似ています。歴代のフレンチロリータと比べると、わりとがっちり体型というのも、21世紀のロリータって感じ。

こちらはリミックス。PVもリミックス仕様でよく出来ています。

フレンチ・シリーズを続けましょう。ウクライナのNikitAもインスパイアされたマッパPV「Baby Baby Baby」(2009年)で有名となったMake The Girl Danceです。当初、これはマッパで闊歩している3人の女子によるユニットだと、都合のいい勘違いをしていたのですが、残念な事にメンバーはGreg KozoとPierre Mathieuの男性二人。
Baby Baby BabyBaby Baby Baby
アーティスト:Make the Girl Dance
販売元:EMI
(2009-06-09)
販売元:Amazon.co.jp
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この名前は、Franz Ferdinandが宣言した「We are playing music to make the girl dance.」から。その縁もあってか、Make The Girl DanceはFranzの「Ulysses」のリミックスもしています。

Make The Girl Danceは、2011年に遂にデビュー・アルバム『Everything Is Gonna Be Ok in the End』をリリース。
エヴリシング・イズ・ゴナ・ビー・オーケー・イン・ジ・エンドエヴリシング・イズ・ゴナ・ビー・オーケー・イン・ジ・エンド
アーティスト:メイク・ザ・ガール・ダンス
販売元:キングレコード
(2011-10-26)
販売元:Amazon.co.jp
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アルバムにも収録されている「Broken Toy Boy」を紹介します。PVに登場するのはドリュー・バリモア(Drew Barrymore)似のフリーキーな女子。SEX STAR DOLLという通販サイトでMake The Girl Dace等身大人形を購入。ちなみに、Daft Punk人形もあって、Make The Girl Danceは人気がないのか、50%オフ。PVのエンディングはお楽しみ・・・

マーティン・ソルベグ(Martin Solveig)君の2006年のアルバム『ヘドニスト-快楽主義-(Hedonist)』から空耳ソングを紹介します。
ヘドニスト-快楽主義-ヘドニスト-快楽主義-
アーティスト:マーティン・ソルベグ
販売元:エイベックス・トラックス
(2006-12-13)
販売元:Amazon.co.jp
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リー・フィールズ(Lee Fields)をフィーチャリングした「Jealously」というタイトルの曲。聴いてみると、まるでジェームス・ブラウン(James Brown)のような曲。この人、ルックス的にももろジェームス・ブラウン。実際、ファンクの帝王、ジェームス・ブラウンのフォロワーとしてキャリアを始めたとのこと。


いちびって登場するマーティンは、リーからマイクを奪おうとしますが、取り押さえられます。で、聴いてもらえれば分かりますが、バックコーラスが歌う「Ahh, Jealousy」の部分が「ああ、いやらしぃ〜」にどうしても聴こえちゃいます。よって、邦題は空耳の通り。

マーティン・ソルベグ(Martin Solveig)君の続きです。マーティンは、90年代から活動していますが、最新アルバム『Smash』で遂に勢いがついて来た様子で、Madonnaの新作のプロデューサーの一人としても見染められています。Madonnaはプロデューサーの趣味がいいですからね。

彼のアンセム的ナンバーと言えるのが、シングルとしてもヨーロッパ全土を中心にヒットした「Hello」。こちらも前回紹介した「Big In Japan」と同じく、Dragonetteとのコラボ。ポロシャツとヘッドバンドがユニフォーム化しているマーティンですが、PV(長編と短編がありますが、長編を紹介)ではフレンチDJの大御所、ボブ・シンクレア(Bob Sinclar)とのテニスマッチ。マーティンはボブに最初ボコボコされますが・・・さて、エンディングは??? これがなかなかストーリー仕立てになっていて、とぼけたマーティン君はいい味を出しています。


こちらは、「Hello」が使用されたTrident VitalityガムのCM。


HelloHello
アーティスト:Martin Solveig
販売元:Mercury
(2010-11-23)
販売元:Amazon.co.jp
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暫く、辺境に偏っていたので、このあたりでちょっと西欧を攻めてみます。今回紹介するのは、フランスのDJ、マーティン・ソルベグ(Martin Solveig)。フランスはひところまでトレンドの中心とは言い難い国でしたが、Daft Punkやフレンチタッチ(なつかしい響き)以降、ハウス〜エレクトロはもうお国芸ですね。

同じフランスのデヴィッド・ゲッタ(David Guetta)と同じく、フィーチャリング大好きなマーティンですが、今回紹介するのもMartin Solveig & Dragonette feat. Idoling!!! 名義での「Big In Japan」。“Big In Japan”とは日本で人気があるけど本国ではそこまでは人気がなかったりするアーティスト。世界で売れる前のQueenやJapanやあまりフランス人が知らないクレモンティーヌとか(ちょっと次元が違いますが)。


Dragonette はカナダのエレクトロポップ・グループ。そして、Idoling!!!とは、日本のアイドル、アイドリング!!!です。個人的にはPerfumeをフィーチャリングして欲しかったけど、Perfumeではひねりがないし、AKB48では多すぎるし(ギャラも高いのかな)、アイドルリング!!!あたりが、マーティンの美的感覚としてはちょうどいい塩梅だったのかもしれません。このマーティン、なかなかとぼけたフランス人。憎めません。

スマッシュスマッシュ
アーティスト:マーティン・ソルベイグ
販売元:ケイエスアール
(2011-09-07)
販売元:Amazon.co.jp
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Daft Punkのサントラ『Tron: Legacy』は以前も紹介しましたが、このリミックス盤となる『Tron: Legacy Reconfigured』が発売されました。オリジナルの方は、サントラとしては上出来だと思うのですが、Daft Punkの作品としてはやはり映像が無い状態では物足りなさを感じました。まぁ、これはサントラの性格上しょうがないことですが。

Tron: Legacy ReconfiguredTron: Legacy Reconfigured
アーティスト:Various Artists
販売元:Walt Disney Records
(2011-04-05)
販売元:Amazon.co.jp
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さて、このリミックスなのですが、文字通り、“再構築 (Reconfigured)”されたと言える出来で、僕はこちらの方が楽しめます。オリジナルでは一番好きだったエレクトロ度の高い「Derezzed」は1:44という短い曲ですが、The Glitch Mobによるリミックスでは、4:22となり、エレクトロ度も更にパワーアップしています。



The Glitch Mobは意外な事にヨーロッパではなく、アメリカ、カリフォルニアのDJ集団ですが、この「Beyond Monday」の動画を見ていると、ぜひ一度ライヴを見たくなります。



他、Boys Noizeによる「End Of Line」やThe Crystal Methodによる「The Grid」のリミックスも相性よし。なお、「Tron: Legacy Soundtrack」の公式サイトでは、限定アイテムも買えるようです。

フランス特集を続けましょう。既に一部の人たちの間では話題になったMake The Girl Danceの「Baby Baby Baby」(2009年)のセクシーPV。パリの街を全裸で闊歩する3人の女性、Make The Girl Danceのメンバーだそうです。PVだけが注目されてしまいますが、なかなかイイ曲。Daft Punkにも通じる反復の美学を感じるフレンチエレクトロ。フランス語というのも想像力を掻き立ててくれます



Baby Baby BabyBaby Baby Baby
アーティスト:Make the Girl Dance
(2009-06-09)
販売元:Amazon.co.jp
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このPVを元に作られたのが、ゲーム「Guitar Hero 5」のトレイラー。「Baby Baby Baby」(「Sexy Sexy」と歌うヴァージョンもあり)に乗せて、4人の女性が同じく全裸で闊歩。そこに割り込む太めの男性というパロディ設定になっています。



時系列的には、Fat Boy SlimのNorman Cookのプロジェクト、The BPA feat. David Byrne & Dizzee Rascal の「Toe Jam」が元ネタっぽいです。確かにDavid Byrneの声ですね。こちらのPVは70年代的なレトロ調。



実はこれだけではないのです、後日、マッパで闊歩するPV続編を紹介します。続く・・・

西ヨーロッパはイタリア、スペインと周遊してきましたが、このあたりでフランスについて書いていきます。フランスと言えば、Daft Punk、Air、Tahiti80などフレンチタッチからJusticeなどのフレンチエレクトロ勢と90年代終盤から俄然勢いがあります。もちろん、80年代のフレンチテクノポップの中にも素晴らしいアーティストが多数います。よって一気に紹介するには多すぎるので、じっくりとやって行くつもりです。

今回、紹介するのは、Antoine HillaireとFlo LyonettからなるJAMAICA。JusticeのXavier De Rosnay プロデュースで日本では2010年8月に『No Problem』をリリースしましたが、新参者ではなく、Poney Poneyという名義でやっていました。別にPony Pony Run Runというバンドもあるので、紛らわしから変えたのかなぁ〜。JAMAICAとしてもやっていますが、Poney Poneyとしてリリースされた「Cross Fader」は、ロッキンエレクトロ。

ノー・プロブレム 通常盤ノー・プロブレム 通常盤
アーティスト:ジャマイカ
販売元:ケイエスアール
(2010-08-18)
販売元:Amazon.co.jp
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もし好きなフレンチバンドを二つ挙げろと言われたら、迷いなく答えるのが、Daft PunkとPhoenix。「Daft PunkとPhoenixが一緒になったような・・・」という殺し文句で、買いました。

Daft Punkというよりもプロデューサーの影響からもJustice要素が少しだけ入った、インディーロック的サウンドですね。『Kitsune Maison 9』にも収録された「Short & Entertaining」は確かにPhoenixっぽい。



でも、どうしてJAMAICA? JAMAICAという名前からだけ判断すれば、レゲエとしか思えません。でも、レゲエのかけらもありません。超キャッチーな「I Think I Like U 2」のPVでは、JAMAICAのネーミングについても触れています。JAMAICAの固定観念を打破するような志ですかね。



国名が部分的についたバンドは多いですが、JAMAICA(フランス)以外にも国名そのものがバンド名になった比較的有名なバンドを挙げてみます。

Japan(イギリス)
America(アメリカ)
U.K.(イギリス)
Soviet(アメリカ)

必ずしも、国名とバンド出身国は一致しません。Japanと言えば、1月4日にJapanのベーシストだった Mick Karn氏が亡くなりました。ご冥福をお祈りします。

オリジナルの『TRON』に続き、12月17日公開の『TRON: LEGACY』に話を移しましょう。昨年からいろいろな情報が流れていましたが、遂にDaft Punkの新曲「Derezzed」をバックにしたトレイラーも公開されました。



この映画におけるDaft Punkの起用は、ドンピシャすぎて、期待しすぎてしまいます。Daft Punk自ら監督を務めた『Electrorama』(2006年)というロードムーヴィーを公開していますが、このサントラはTodd RungdrenやBrian Enoなどの音源が使用されており、Daft Punkを聴きたかった人達には正直、不完全燃焼となるものでした。それだけに、さらに期待は高まってしまうのですが、公開音源を聴く限り、Daft Punk節が炸裂しそうな予感です。

サントラ『Tron: Legacy』の発売は、US盤が12月7日、日本盤が12月15日。それ以上に気になるのが、US盤が1,134円、日本盤が2,600円(本日のAmazon.co.jpでの価格)。円高の影響でさらに内外格差は広がり、日本盤は2倍以上の値段になっています。日本盤は初回限定仕様とありますが、よっぽど特典にでも価値がないと、US盤に流れてしまいそうです。

Tron LegacyTron Legacy
アーティスト:Various Artists
販売元:Walt Disney Records
(2010-12-07)
販売元:Amazon.co.jp
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トロン:レガシー オリジナル・サウンドトラックトロン:レガシー オリジナル・サウンドトラック
アーティスト:サントラ
販売元:WALT DISNEY RECORDS
(2010-12-15)
販売元:Amazon.co.jp
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もう一つの選択肢を紹介します。サントラ用の公式サイトで買えるCD+Digital Album+Tron Posterのセットが$34.98(海外送料別)。ポスターはもちろん、Daft Punkの二人がヘルメット姿で決めてくれています。

世の中の流行とは全く関係なく、「コンピューターポップ」第2回目です。

「テクノポップの起源はなんなのか?」という問いに答えるべく、All Aboutテクノポップで「テクノポップの起源」という記事を以前書きました。詳しくは記事にありますが、やはりKraftwerkの『Autobahn』(1974年)、Hot Butterによる「Popcorn」(1972年)または、68年ごろから72年ごろまでのPerry & KinglseyやMartin Dennyなどによるモーグ・サウンドあたりが妥当な所でしょう。もちろん、何がテクノで何がポップという解釈で意見が分かれる部分もあるでしょう。

その後、『YMO GLOBAL』という本の仕事でテクノ歌謡のルーツを探ってみたのですが、そこで僕が行きついた結論は、France Gallの「Der Computer Nr. 3」(1968年)がテクノ歌謡の起源である。しかも、そのテクノ歌謡はテクノポップの起源とされる楽曲群よりも早かった! これについても当然異論があるでしょう。第一、France Gallは歌謡じゃないし・・・でも、40年以上前にこんな曲があったという事実は多くの人に知って欲しい。



France Gallと言えば、Serge Gainsbourgが育てた元祖フレンチロリータ。「夢みるシャンソン人形(Poupee de cire, poupee de son)」(1965年;ユーロビジョンのグランプリを獲得し、日本でもヒット)や「アニーとボンボン(Les sucettes)」(1966年;意味深なダブルミーニング)が代表曲となりますが、このドイツ語でリリースされた「Der Computer Nr. 3」も忘れてはいけません。この曲は、Sergeが絡んでおらず、フランスでの人気が下降気味だったGallがドイツでの活動に力を入れた時期に発売されたものです。ドイツ語の歌詞をWeb翻訳してみると、「コンピュータNo.3に自分に相応しい彼氏を見つけさせる」といった内容です。歌詞からも電子音のSEからもテクノポップの精神を感じます。意図的ではないのかもしれませんが、ぎこちない踊りや無反応な観客にも(笑)。

この曲はドイツ語と言う事もあってか、普通のベスト盤には収録されていませんが、彼女のドイツ語音源を集めた『En Allemand』(1998年)やiTunes Storeにて購入できます。

En AllemandEn Allemand
アーティスト:France Gall
Telefunken(1998-05-12)
おすすめ度:5.0
販売元:Amazon.co.jp
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また、ドイツ語音源には、「Ich liebe dich - so wie du bist」「Mein Herz Kann man nicht kaufen」といった Georgio Moroderの作品も収録されています。



調べてみると、「Der Computer Nr. 3」には結構な数のカヴァーが存在します。 De Bietというオランダのバンドもカヴァーしています。こちらもモンドなテクノポップ!



B.I.O.S.というドイツのユニットのシングル『Der Computer Nr.3』(1996年)

dercomputernr3


日本のHi-Posiのシングル『そなえよつねに』(2000年)のカップリング「コンピュータNo.3」・・・Hi-Posiは現在活動していませんが、なかなかイイ目の付けどころしています!

そなえよつねにそなえよつねに
アーティスト:Hi-Posi
ヒートウェーヴ(2000-06-21)
販売元:Amazon.co.jp
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Ed Bangerの歌姫、Uffie(アフィ)ちゃんの事を知ったのは、Justiceのアルバム『†』(2007年)でのゲストヴォーカル参加した「The Party Tthhee Ppaarrttyy)」。フランス娘だとばかり思っていたら、本名はAnna-Catherine Hartleyでマイアミ生まれのアメリカ娘。でも、幼少から香港に移り住み、その後気に入ってしまったフランスに居ついてしまったようです。


こちらは彼女が18歳のころ(2006年)のインタヴュー。Uffieちゃん、「F**K」って言いすぎ。


 

今まで、多くの12”を中心としたシングルはリリースされていましたが、アルバムのリリースは今年まで延び延びとなって、遂に20106月に『Sex Dreams And Denim Jeans』日本盤リリース(本国フランスでは3月リリース)の運びとなりました。


sexdreamsanddenimjeanssexdreamsanddenimjeans2

poptheglock彼女のデビュー・シングル『Pop The Glock』。まだPerfumeもブレイクしていなかった2006年の話。「Glock」って聞き慣れない単語だと思って調べてみると、オーストラリア製の拳銃のメーカー名。自分で「Bad ass bitch」とか「I’m X-rated」なんて歌っています。Uffieちゃん、カワイイ顔して過激です。ジャケは、Ed Bangerらしいアメコミ風が素敵。

 






firstlove残念ながら、PVはないのですが、Uffieちゃんのシングルでも好きなのが、『F1rst Love』。エレクトロ系のラヴソングってあんまりないのですが、最初の甘いメロディーで殺される即死チューン。







 

addsuvそして、本アルバムからの最新12“シングルが『ADD SUV』。The NeptunesN*E*R*DのメンバーであるPharrell Williamsが参加しています。









 


上記の曲に加えて、日本盤の場合、リミックス4曲を加えて計18曲と長年待った甲斐がある内容となっています。その間に、Uffieちゃんも結婚・離婚・出産とローラーコースターのような人生を送っています。子供がいようがいまいが、彼女から溢れる奔放さはいったい何なのでしょう?脱ぎっぷりもいいUffieちゃんですが、それはセクシーさをアピールするアメリカのショービズ系の人達は明らかに違う空気です。

 

Uffieちゃんは、最強とも言えるEd Banger系布陣(FeadzMr, OizoSebastian)に、マドンナのプロデューサーとしても知られる元Taxi Girl(フレンチ・テクノポップのバンド)のMirwaisがプロデューサーとして参加。Uffieちゃんのラップは声量のある本格的ラップではありません。実際、僕はヒップホップ系のラップを好んで聴くわけではなく、ラップが多すぎるエレクトロ系には戸惑いもあるのですが、Uffieちゃんのラップは逆に普通のラップではないからイイ。あくまでもキュートに、フレンチ・ウィスパー系に覚える感動に近いんです。

 

201087日(東京)&8日(大阪)で行われるSUMMER SONIC 2010にも参加! ちなみに87(大阪)にはAira Mitsukiちゃんの参加も決まりました。

thebigmachine今日は、ニュー・アルバム『The Big Machine』をリリースしたばかりのEmilie Simon様について。Emilie様に関しては、2006年に「小悪魔な才女〜エミリー・シモン」というタイトルで記事を書かせてもらっています。自分で言うのもなんですが、デビュー以来彼女を遠距離ながら慕い続けています。最近、プロモーションのため来日されましたが、東京まで会いに行けなかった自分が残念で仕方ありません。インストアで撮ったらしいEmilie様とのツーショット(正確にはスリーショットでしたけど)写真を友人が送りつけてきたのを見て、さらに残念な気分なりました。Emilie様とのツーショットなら家宝にしたいものです。

 

 

theflowerbookフランス人のEmilie様、今までのアルバムでもフランス語に加えて、英語で歌っていましたが、『The Big Machine』では全曲英語。2006年に今までの2枚のオリジナル・アルバム『Emilie Simon』『Vegetal』とサントラ『La Marche de l'Empereur(皇帝ペンギン)』から選曲した全米進出のアルバム『The Flower Book』(写真)をリリースしたことからも、フランスだけではなく、世界制覇と狙っていると思われます。また、彼女自身がNew Yorkに移り住んだ事も影響しているのでしょう。

 

英語詞であること以上に、このアルバムを聴いて感じたのは、うわぁ!Kate Bush!!! 先日紹介したMarina & The Diamondsでも同じような事を言っていましたが、今、Kate Bush的なものが再評価されているのでしょうか? シングル曲でもある1曲目「Rainbow」と2曲目「Dreamland」は、どちらかというと今までのEmilie様の趣があるのですが、3曲目の「Nothing To Do With You」がとってもKate節。凄く声が伸びるのです。サウンドはデビュー時の宅録エレクトロからより生楽器も増えていますが、エレクトロなサウンドは根底にあります。フランス的なものが確かに弱まった感がありますが、彼女がどこまでKate Bushを意識したかは別として、この新しい路線も僕としては歓迎します。

 

YouTubeを検索すると、かなりの数のEmilie様の動画が出てきますので、一部紹介します。僕としては、3曲目をぜひ聴いてほしい。







ビッグ・マシーンビッグ・マシーン
アーティスト:エミリー・シモン
販売元:Rambling Records
発売日:2010-06-04
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The Flower BookThe Flower Book
アーティスト:Emilie Simon
販売元:Milan
発売日:2006-11-07
おすすめ度:3.0
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mountainmoutainilfaittoutgrisエレクトロガールをいろいろと紹介していきますが、この方、ちょっと変わっています。ずばり変です。Kumi OkamotoことKumisolo。と言っても新人ではなく、3人なのに、何故かDuetと紛らわしい名前のThe Konki Duetという日仏露女子3人組の日本人メンバー。Konkiって、「根気」なんでしょうか? The Konki Duetとしては、2005年にアルバム『Il Fait Tout Gris(曇り空の日に)』、2006年に『Mountain Mouton』をリリースしています。Kumisoloは、Crazy Curlというユニットのメンバーでもあるようです。


正直、これまで紹介したエレクトロガールとは一線を画しています。80年代初期、ニューウェイヴの時代に“へたうま”や脱力系とかいう表現がありましたが、その世界が根源にあると感じます。それが、渋谷系(Tratorriaとか)、bungalow やHCFDM(Happy Charm Fool Dance Music)なんかを通過して、キッチュなストレンジ系テクノポップになった・・・とか説明したら分かってもらえたのではないでしょうか?

myloveforyou日本では2009年12月にリリースされたKumisonoのアルバム『My Love For You is A Cheap Pop Song』ですが・・・1回目は変だなぁ、2回目もやっぱり変だなぁ、3回目くらいでだんだん中毒になります。振り向いてくれないウォッカ好きの男性に捧げた「Vodka」、脱力ディスコ「Nasty Boy」、フランス語と日本語がほどよくミックスされた「Cheap Pop Song」。脱力系元祖とも言えるThe Waitressの「I Know What Boys Like」のカヴァーもやっていますので、オリジナルを紹介。




こちらのPVも製作された「Danse Music」もやっぱり力が抜けます。



drinkもう一つ、秀逸なカヴァーがあります。「Tactics」と題された、ジューシィ・フルーツの「恋愛タクティクス」・・・最初聴いた時、どこかでこれ聴いた事があると思ったんですが、粋なカヴァーしてくれます。ちなみに下の動画は、2009年に半分再結成されたジューシィ・ハーフの「恋愛タクティクス」です。Perfumeの「ジェニー」も好きだけど、ジューシィは、「ジェニーはご機嫌ななめ」だけではないのです。

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