四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

カテゴリ: 書籍

友利昴さんが書いた『エセ商標権事件簿』を読み終えました。前作『エセ著作権事件簿』の続編となる過激権利主張ケーススタディーズ Vol. 2となります。500ページ近くの分厚い本ですが、前作同様に面白くていっきに読めました。
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商標権の範囲は国によって異なるようですが、言葉以外にもロゴ、シンボル、デザイン、色彩、モーションマークなどの視覚的なもの、サウンドや触感に対しても認められるケースがあります。本書においてもさまざまな業界での事例が紹介されています。僕自身、割とニュースとか見ている方だと思うのですが、知らなかった事例がほとんどです。顛末も含めて、ちゃんと報道されないケースも多いので、こういう形でまとめられていることには、商標権の理解を深めたり、理不尽な訴えを牽制するためにも意義があると思います。

音楽業界に関わるものだけをとっても以下のようなものが挙げられています(権利を訴えた側→訴えられた側)。

矢沢永吉パチンコ店事件:矢沢永吉→平和、パチンコ店経営会社23社
クリスタルキング事件:ムッシュ吉崎→田中昌之
ピンク・レディーdeダイエット事件:ピンク・レディー→光文社
MISIA事件:MISIA→タカラトミー
ELLEGARDEN事件:ELLE→ELLEGARDEN
グッチ裕三事件:グッチ・ジャパン・ホールディングス→小学館
ペンパイナッポーアッポーペン事件:アップル→エイベックス、ピコ太郎
ザ・ローリング・ストーンズ ベロマーク事件:The Rolling Stones→Acid Black Cherry
ミッキーマウス事件:ディズニー・エンタープライゼズ→deadmau5

明らかに金銭目的の悪巧みから、ブランド価値を守るため、感情的になってしまったなどその動機はさまざまですが、市場の健全な発展を支え、消費者と事業者双方に利益をもたらすという商標権の目的から逸脱している主張も見られ、人間が持つ「独占欲」には気をつけないといけないなと再認識させられました。また、不幸にも訴えられる側になった場合、商標権に対する正しい理解をもとに非がないのであれば、毅然とした対応をすることも大事ですね。

パブリブから『ゴシックメタル・ガイドブック』が発売されました。〈世界過激音楽〉のシリーズとしてなんと19冊目! 濱崎編集長のメタル愛を感じます。とは言うものの、僕はゴシックメタルには全く詳しくないのです。紹介されているバンドの中で知っているのは、当時バカ売れしたEvanesceceくらい。そんなアウェイ感があるジャンルですが、目次の後に書かれた「ゴシックメタルの音楽的背景と血脈の探究〜ルーツと周辺ジャンル」を読み始めて、一気に親近感が湧いてきました。

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端的に言うと、ゴシックメタルはべヴィメタルをルーツとするものの、もう一つの重要なルーツはニューウェイヴ〜ポストパンクから派生したゴシック的なバンドにあるということです。こちらで紹介されているのは、Joy Division、Siouisie & the Banshees、Bauhaus、The Cure、The Sisiter of Mercy、The Mission、Killing Joke、Cocteau Twins、Dead Can Dance、All About Eve、Depeche Mode、The Cult、Christian Death、Fields of the Nephilim。この辺りになると、僕にも馴染み深いバンドが多く、先日参戦してきたロサンゼルスでの「DARKER WAVES FES」のラインアップともちょい被ります。New Orderとしてですが、Joy Divisionの名曲「Love Will Tear Us Apart」は聴けたし、見れなったけど、Christian Deathも出演していました。短いブームだったポジティヴパンク、ダークウェイヴ、コールドウェイヴ、ドリームポップ(耽美系)などのサブジャンルとも被ります。

著者の阿久津孝絋さんは、日本のヴジュアル系がきっかけとなり、このゴシックメタルへとのめり込んだと書かれており、巻末のコラム「ゴシックメタルとタグ付けされたヴィジュアル系バンドたち」で、ヴィジュアル系とゴシックメタルの関係についての考察をされており、面白かったです。

というわけで、ゴシックメタルの御三家のParadise Lost、Anathema、My Dying Brideあたりから聴いてみます。

タイトルは、最近発売された書籍『ELECTRO BOOK 2010』から頂きました。最初、タワレコで積んであった表紙を見た時に、「あれっ?『TRON: LEGACY』のガイドブックでも出たのか?」と思ったのですが、手に取ってみると、所謂ディスクガイド本でした。

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どちらでも興味はあったのですが、ディスガイド本に弱い僕は早速購入。確かに、テクノポップ、テクノ、ニューウェイヴ、他クラブ系のディスクガイドはあったけど、エレクトロに特化したものは僕も他に知りません。

何がエレクトロでどこからどこまでをエレクトロとするかというのはなかなか悩ましい課題ですが、この本では、80年代のどちらかと言うと黒いエレクトロではなく、ゼロ年代のエレクトロを指しています。1997年からディスクガイドは始まります。これは、Daft Punkのデビュー・アルバム『Home Work』がリリースされた年ですね。この本でも書いていますが、確かのこのアルバムはエレクトロとは言い難い、当時どちらというとハウス(フィルターハウス)とされていた作品です。しかしながら、このアルバムをエレクトロの流れの中で扱うと事には僕も賛同します。



ゼロ年代初期に於いては、かなりのエレクトロクラッシュ系が紹介されています。あだ花的な扱いもされるこのジャンルですが、適正な評価をしていると思います。また、Soulwaxに関する見解にも激しく同意したいと思います。Soulwaxは『Night Versions』です!

紹介されているディスクですが、めちゃくちゃ所有率高いです(笑)!

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