四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

カテゴリ:共産テクノ > ソ連 - ウクライナ

「ソ連カルカル7」にご来場の方々、ありがとうございました。

2回目となる「共産テクノ」では、「共産歌姫」について語ります。テクノな視点で女帝からアイドルまで、ロシア、ウクライナ、そして火星まで!

…こんな紹介文で6組の共産歌姫を紹介ました。

1. ソ連の最高権力歌姫・・・アーラ ・ プガチョワ(Алла Пугачёва)

2. ウクライナには美魔女な歌姫・・・ソフィーヤ・ロタール(София Ротару)

3. ウズベクにはファンキー歌姫・・・ナタリヤ・ヌルムハメドヴァ(Наталья Нурмухамедова)

4. ソ連領火星のエキセントリック歌姫・・・ジャンナ・アグザラワ(Жанна Агузарова)

5. 共産フレンチウィスパー歌姫・・・オリガ・ヴァスカニヤーン(Ольга Восконьян)
*この曲におそろし庵のカーチャが反応してくれて、自動車を擬人化した歌詞を解説してくれました。

6. ウクライナのアイドル&エロス歌姫姉妹・・ルーシャ(Руся)&ナターシャ・カラリョーヴァ(Наташа Королёва)

ほとんどの歌姫たちについてはすでに書いていますが、ウクライナの歌姫姉妹についてはまだなので書きましょう。

まずは姉のルーシャ。「Русалонька(人形姫)」では民族衣装が似合う隣のお姉さんタイプ。



デビュー曲「Жёлтые тюльпаны(黄色いチューリップ)」では妹のナターシャはまだ初々しさが残りますが、エロスの将来性がすでに垣間見れます。



2013年にはウクライナとロシアという二つの国で生きることになった姉妹は、「Рейс Киiв - Москва(キエフ=モスクワ便)」という曲を発表しました。この後、皮肉にも姉妹それぞれの国は泥沼の紛争になってしまいました。

Москва


ソ連ではスペースディスコ系バンドが多いですが、ウクライナにもいます。彼らの名は、ディスプレイ(Дисплей)。スペースディスコとロックが折衷のようなサウンドで、バンド形態でしたが、最後は夫婦にのみが残りました。

彼らの「Робот - суперчеловек(ロボット=スーパーマン)」をソ連初のテクノポップと呼ぶ人もいます。デビュー・アルバム『Волна перемен(変化の波)』に収録されているのが、これです。コンセプトもKraftwerk然としたロボ声もテクノポップと呼んでもいいでしょう。しかし、この作品は1985年なので、ソ連初というのはちょっと言い過ぎかなと。しかし、よく調べてみると、この曲は1982年にAPCという名前だった頃、演奏されていたのです(VKで聴けます)。ただ、この時点のアレンジは、テクノポップというよりもディスコポップ。

Волна перемен




2枚目の『Дисплей(ディスプレイ)』からの「Динамо(ディナモ)」は、ウクライナのサッカーチーム、FCディナモ・キエフのアンセムソングです。それほどテクノではないですが、ちょっとレゲエっぽいリズム。

Дисплей




サッカーもスポーツ、そしてエアロビクスもソ連では重要な体力増強のためのスポーツでした。ディスプレイはエアロビクスのためのスポーツテクノも手がけていますが、これはまた今度、特集します。

前述のフォルム(Форум)の「Улетели листья(葉が飛んだ) 」を含んだ盗作疑惑曲についてはAll Aboutで書きました。決して、正義感で糾弾するつもりはありません。あくまでも当時の社会現象として捉えて頂ければ幸いです。

この曲は、ウクライナを代表する歌姫、ソフィーヤ・ロタール(София Ротару)が、1987年のアルバム『Монолог о любви(愛のモノローグ)』でカヴァーしています。ジャケットでの髪型も逆立っています!

Монолог о любви




こちらの「Театр(シアター)」の方が楽曲的にはニューウェイヴ。



80年代日本でも石川セリ、太田裕美、藤真利子などはニューウェイヴ化していましたが、それに近いノリなんでしょう。

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