今回はクリスマスらしくないクリスマスソング特集です。クリスマスと言えば、冬のイメージ。雪が降って、国で言うならフィンランドとかがピッタリです。だいたい大体サンタクロースのコスを暑い時期に着るのは辛い。でもそれは北半球だけの話で、南半球ならクリスマスは夏。熱帯ならいつでも夏のようなもの。

E.S. Islandのアルバム『Funny Inspiration From Solar Music』(1982年)に「真夏のクリスマス」という曲があります。E.S. Islandは、じゅんとネネのネネとズーニーブーの高橋英介という異色の組み合わせのテクノポップ・バンド。琉球音楽の要素も取り入れて、「真夏のクリスマス」は基本レゲエです。おニャン子クラブの「夏のクリスマス」(1985年)や桑田佳祐の「Merry X'mas In Summer」(1986年)よりも早かった夏のクリスマスソングでもあります。

テクノ歌謡DX(7)FUNNY INSPIRATION from SOLAR MUSICテクノ歌謡DX(7)FUNNY INSPIRATION from SOLAR MUSIC
アーティスト:E.S.Island
販売元:Pヴァインレコード
(2000-06-25)
販売元:Amazon.co.jp
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その流れで紹介したいのが、平沢進with島崎和歌子の「アフリカのクリスマス」。P-MODELの平沢進と島崎和歌子はどう考えても異色の組み合わせです。この曲が収録されたのは、ポリドールから出た『White Album '90』(もちろん1990年)。当時、両者ともポリドール(現在はユニバーサルの傘下)に所属していた以外は何も共通点が見えない希薄な関係。島崎和歌子の他の楽曲も、ちゃんと聴いたわけではないですが、作家からしても、テクノポップに匂いは全くしません。島崎和歌子が実はP-MODELのファンだったとかだったら、すごくいい話なんですけどね。

whiteホワイト・アルバム’90
アーティスト:オムニバス
販売元:ユニバーサル ミュージック株式会社
(1990-11-10)
販売元:Amazon.co.jp
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『White Album '90』は廃番ですが、『for winter music Lovers~TECHNOPOP Xmas』(2009年)にも収録されています。

for winter music Lovers~TECHNOPOP Xmasfor winter music Lovers~TECHNOPOP Xmas
アーティスト:オムニバス
販売元:ソニー・ミュージックダイレクト
(2009-11-11)
販売元:Amazon.co.jp
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さて、この「アフリカのクリスマス」ですが、アイドル・ソングとしての妥協を許さない完成度です。島崎和歌子が「アーフリカのクリスマス」とつぶやき始め、その後、感動的な重厚な平沢サウンドが炸裂します。クリスマスソングとしても歌詞はあり得ない展開。クリスマスツリー、イエス様、マリア様に虫、ジャングル、ザンビアの滝の音が混在する摩訶不思議な世界。作詞は、平沢進と彼が昔プロデュースしたShampooという女性二人組の京野昌美が担当しています。こんなクリスマスソングが世の中に一つくらいあってもいい。