イタリアは一段落したので、次は情熱の国、スペインです。70年代末から80年代にかけてニューウェイヴは全世界的ムーヴメントでした。イタリアにもあったし、札幌にもあったし、スペインにもありました。

スペインは西欧だから自由な国というイメージが一見ありますが、1975年までフランキスモと呼ばれたフランシスコ・フランコの独裁政権下にありました。正式に民主主義体制に移行したのは1978年で、その順調な移行から「スペインの奇跡」と呼ばれました。フランコ政権陥落後、スペインのユース・カルチャーは花開くわけです。そのムーヴメントをLa Movida Madrilena(日本語に訳すと「マドリッドの喧騒」)またはNueva Ola(ニューウェイヴ)と呼びました。これはマドリッドで起こった音楽だけでなく、芸術、映画、演劇などに渡る文化運動でした。音楽的には、ドイツにはNeue Deutsche Welle(ドイツのニューウェイヴ)があったように、スペインのニューウェイヴと呼んでもいいでしょう。

そのあたりの動きを捉えたコンピレーションの一つが、『La Otra Movida』。fnacというフランスやスペインで見かけるチェーンレコード店が製作したものです。ニューウェイヴ的な曲もありますが、オールドウェイヴ的ロックも含めてLa Movidaだったようです。やはり、独裁政権が長かった故、ポップカルチャー的にはタイムラグが起こり、混沌としてしまったのでしょう。

laotramovida


そんな状況下、スペインでもテクノポップと認識されているバンドが、Aviador Dro(正式にはEl Aviador Dro Y Sus Obreros Especializados)。ちなみにスペイン語で、テクノポップは「Tecno-pop」です。メンバーは後に減ったようですが、7人組の時代もあったようです。彼らの代表曲「Nuclear Si」(1983年)は、タイトルからして原子力に関する歌だと思われますが、Kraftwerkの「Radioactivity」あたりに通じる世界です。



「La television es nutritiva」(1982年)では、DEVOやPOLYSICSを思わせるユニフォームを纏い、ロボットのようなカクカクした動きがイカスぜ!



80年代からかなりの数のリリースをしていますが、2枚組CD『Todos Sus Singles Y EP's 1982-1998』では、彼らの80年代・90年代の音源を収録しています。これはスペインに行った際、買ったのですが、日本では手に入れにくいようです。

aviadordro


こちらはAmazon.co.jpにジャケ入りで唯一あったアルバム。

Confia En Tus MaquinasConfia En Tus Maquinas
アーティスト:Aviador Dro
Subterfuge
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