『共産テクノ ソ連編』での一つの発見は、スポーツとテクノの親密な関係です。表現の自由が制限される中、80年代のエアロビクスやブレイクダンスのブームに便乗する形で、スポーツという大義名分のもと、電子音楽が作ろうとした人たちがいました。東欧でも、スポーツをテーマにしたテクノポップが存在します。そんな楽曲たちを僕は「スポーツテクノ」と呼ぶことにしました。

共産主婦はスポーツテクノでエアロビクス!

スポーツの祭典、オリンピックは、国家の威信をかけたイベントとして特に共産陣営では重要視されました。特に東ドイツはその先鋒として、1976年のモントリオールから1988年のソウル・オリンピックまで、メダル獲得数で米国を抜き、ソ連に続く第2位のポジションにいたのです。同時に東西ドイツ統一後、東ドイツの栄光の陰に潜む闇の部分として、国家によるドーピング・ システムに対する告発もなされましたが、最近になって、オリンピック選手強化のための電子音楽が存在したとの情報が明らかにされました。

映画スタジオ、DEFA (Deutsche Film- Aktiengesellschaft)でサウンドエディターとして働いていたMartin Zeichneteと言う東ドイツ人がいました。Kraftwerk、Cluster、Neu! などのクラウトロックのファン、そしてアマチュアのランナーでもあったZeichneteは、ウォークマンの前駆体となるStereobeltに着想を得て、クラウトロックをランナーのトレーニングに活用することを思いつきました。ある日、彼は政府に拉致され、オリンピック選手強化のための音楽を作るという極秘任務を言い渡されました。彼が製作したカセットテープは、約30年の年月を経て、Kosmischer Läufer として陽の目を見ることとなりました。現在まで『The Secret Cosmic Music Of The East German Olympic Program』としてVolume 1から3まで発表されています。

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The Secret Cosmic Music of the East German Olympic Program 1972-83, Vol. 1 [MP3 ダウンロード]



これらは虚構ではないかと疑うふしもありますが、こんな合法的ドーピングがあればなんて素晴らしいのでしょう。

Kosmischer Laufer