四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

タグ:YMO

前回のSandiiと同じパターンですが、高橋幸宏のソロアルバム『音楽殺人』もレコードがすり切れるほどというか、すり切れるまで聴きました。

音楽殺人音楽殺人
アーティスト:高橋ユキヒロ
販売元:キングレコード
(2009-03-25)
販売元:Amazon.co.jp
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テクノポップでありつつも、60年代的黄金ポップスの風格のある作品です。その風格を作り出している曲と言っても良いのが、「Stop In The Name Of Love」。



オリジナルは、Diana Rossがリードヴォーカルを務めるThe Supremes。そして、「Jimmy Mack」と同じMotownの制作チームHolland-Dozier-Hollandによる作品。1965年に発表されたこの曲は見事に全米1位となります。



アルティメイト・コレクションアルティメイト・コレクション
アーティスト:ダイアナ・ロス&シュープリームス
販売元:ユニバーサル インターナショナル
(2006-01-25)
販売元:Amazon.co.jp
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リミックス集もあります。

DIANA ROSS&THE SUPREMES REMIXESDIANA ROSS&THE SUPREMES REMIXES
アーティスト:オムニバス
販売元:ユニバーサル シグマ
(2007-06-27)
販売元:Amazon.co.jp
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この曲のカヴァーは海外にも数多く存在しますが、日本ではglobeもカヴァーしていますね。

先生:今回はチャクラについて対談しましょう。YMOが売れた時期、多くのニューウェイヴ〜テクノポップ系のバンドが登場しましたが、チャクラもその一つです。実際に売れたバンドはあまりいませんでしたが、音楽性で今でも十分評価に値するバンドは結構いたと思います。チャクラもそうです。

ポール:チャクラを初めて聴いたのは、徳間ジャパンが最初にCD化したときでした。なので、完全に後追いです。存在自体は、細野さんがプロデュースしたバンド、ということで知ってはいましたけど。メンバーはヴォーカルの小川美潮さん、ギターの板倉文(文明)さんを中心に、他はアルバムごとにメンバーが違ってますね。ドラムの横沢龍太郎さんは1stと2ndに参加、ベースの永田どんべえさんとキーボードの近藤達郎さんは2ndのみに参加。3rdでは、メンバーは二人だけで、他はゲスト扱いになってますね。

先生:当時、ニューウェイヴの一つの方向性として、エスニック、アジア、無国籍というがありましたが、チャクラもその流れだったと思います。

ポール:エスニックのブーム、ありましたね。チャクラは、いわゆる“業界ニューウェイヴ”一派として聴いたんですけど、ジャケや衣装だけがテクノっぽくて、出てくる音は普通のロックンロールだったりするバンドが多い中、惹かれる部分は多かったですね。ただ、“テクノポップ”かと言うとちょっと微妙かなとも思いましたが。でも、板倉さんは「テクノっていう概念はなかった」と言ってましたけどね。

先生:チャクラは渡辺プロダクションに所属していた事もあり、テレビ出演がありました。僕は見ていないのですが、「8時だよ!全員集合」にも出演したようです。こちらは別の番組だと思いますが、チャクラの「福の種」と「せんせい」のメドレーが見れます。ライヴ、生半可でなく上手いですね〜。



ポール:当時テレビ出演した映像は、いくつか見ました。「全員集合」の映像は、知人に見せてもらいましたよ。「福の種」を短いヴァージョンでやってましたね。とにかく美潮さんのかわいらしさにしか目が行きませんでしたね。化粧っ気がなくてナチュラルで、でも不思議ちゃんぽくて、魅力的でした。余談ですが、あがた森魚さんも一時期渡辺プロに所属していて、その頃「芸能人大運動会に出させられた」と言ってて驚きました。チャクラも、そういうタレントっぽいことをさせられたりしたのかな…?と思ってしまいます。

先生:森昌子の「せんせい」のカヴァーを聴いたら、ぶっ飛びますね。オリジナルはどうでもいいですが、この「せんせい」はカッコいいです。

ポール:驚異的に鮮明な画像で、しかも音もいい。すごいものが残ってましたね〜。ベースもギターも素晴らしい。しかし、ものすごいコード使ってギリギリのバランスでアレンジしてますね。さすがに歌いにくそうですけど、見事です。やっぱりうまいバンドですね。

先生:一緒に踊っている観客の若者達に、80年代を感じます。「福の種」で踊るのは、どちらかというと盆踊りのようになりそうですが・・・ ヒカシューのメンバーも観客に混じっていますね。

ポール:ヒカシューのメンバーはノリがいいですからね。この当時の別番組でテクノ御三家が出たときでも、ヒカシュー(巻上公一)とプラスチックス(チカ+立花ハジメ)はボンボン持って楽しそうに踊ってるのに、P-MODELのメンバーはただ傍観しているだけ…という事態もありましたし。

先生:山城新吾さんと芳村真理さんも映っていて、「夜ヒット」の司会で有名だった芳村さんは耳をふさいでいます。やはり、万人に理解される音楽ではないのですねぇ。

ポール:芳村真理さんが「素晴らしい!」とか言ったところで見てるこっちは逆に冷めそうですが…。でもこれは、しかるべきリアクションじゃないかなと思いますけどね。やっぱそうだよね、というか。

先生:そう言えば、先日、田原俊彦がTV出演した歌番組で久しぶりに芳村さんを見ました。
話を戻しましょう。チャクラは3枚のアルバム『CHAKRA』(1980年)、『さてこそ』(1981年)、『南洋でヨイショ』(1982年)を残して解散しました。3枚とも好きですが、2ndは細野晴臣さんがプロデュースしていますが、僕は矢野誠さんプロデュースの1stに思い入れがあります。ほとんど曲を作曲していた板倉文さんの力と小川美潮ちゃんとの化学反応が、素晴らしい。

CHAKRACHAKRA
アーティスト:チャクラ
販売元:アブソードミュージックジャパン
(2002-07-24)
販売元:Amazon.co.jp
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さてこそさてこそ
アーティスト:チャクラ
販売元:アブソードミュージックジャパン
(2002-07-24)
販売元:Amazon.co.jp
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南洋でヨイショ南洋でヨイショ
アーティスト:チャクラ
販売元:アブソードミュージックジャパン
(2002-07-24)
販売元:Amazon.co.jp
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ポール:僕はやっぱりYMO世代しては2ndかな〜。細野さんのカラーが強すぎるとも思うんですけど、ファンとしてはそこがいいなと。細野さんお気に入りの「いとほに」は、“ドレミファソラシド”を“いろはにほへと”に置き換えた歌詞が面白いです。

先生:1st収録の「マヌカン」はビートルズ中期のようなポップなんだけれど、演奏が絶妙にストレンジ!

ポール:1stシングルの「福の種」は音頭ですね。20歳そこそこの娘さんにこんなエロスな歌詞を歌わせるなんて…と思ったら美潮さんも歌詞書いた一人だったりしますね。実は他にも意外とけっこうエロスな歌詞の曲があるんですよね。で、「福の種」を作曲したベーシストの友貞一正(ガンちゃん)さんは、現在は住職さんになられたそうですね。人生わからないものです。

先生:「東京スウィート」は3部構成の8分以上のプログレ趣味が爆発する曲。

ポール:2曲目(というか2楽章?)の「オープンスペース」は、ちょっとフュージョン的なコード進行とかもありますね。2nd収録の「ミュンミュン」もフュージョンしてましたね。最初聴いたときは、同時期の教授を思わせるものを感じました。教授っぽいと言えば、3rd収録の「まだ」という曲。これはモロに教授っぽいポップスで大好き。美潮さんの声って、ヴォーカルももちろんいいですけど、この曲で聴かれるような多重コーラスもすごくいいんですよ。あ、教授と言えば、板倉さんはなぜか教授の『BEAUTY』にギターで1曲だけ参加してるんですよね。意外でした。

先生:聴き直して思ったのですが、ロリータよりも幼い美潮ちゃんの幼児のような声、不思議な言葉遣い、ストレンジな音楽性、でもポップ・・・相対性理論が好きな若者たちに聴いてもらったら、結構受けるのではないかと思います。

ポール:EPIC時代のソロ3作は、エヴァーグリーンなポップスで素晴らしいですよね。チャクラ時代とはまた違った、とっつきやすさがあると思います。そこから入って、チャクラに戻ってズブズブと深みにハマっていく…というパターンもいいかなと思います。

先生:チャクラの後の小川美潮ちゃんについても、また話し合いましょう。

あ〜、もうすぐ12月!12月はCDリリース数が多いです。

「『TRON:LEGACY』はUS盤か日本盤、どちらを買うべきか?」でも書きました。このDaft Punkのサントラに関しては僕もまだどれを買おうか迷っているのですが、第3の選択肢もあります。それはUS盤の2枚組。

Ost: Tron LegacyOst: Tron Legacy
アーティスト:Daft Punk
販売元:EMI Import
(2010-12-14)
販売元:Amazon.co.jp
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US通常盤も日本盤も22曲入りですが、こちらの2枚組のトラックリストを見ると、2枚目に5曲追加されています。値段はUS通常盤の約3倍(3,249円)ですが、気になります。

≪Disc 1≫
01. Overture
02. The Grid
03. The Son Of Flynn
04. Recognizer
05. Armory
06. Arena
07. Rinzler
08. The Game Has Changed
09. Outlands
10. Adagio For Tron
11. Nocturne
12. End Of Line
13. Derezzed
14. Fall
15. Solar Sailer
16. Rectifier
17. Disc Wars
18. C.L.U.
19. Arrival
20. Flynn Lives
21. Tron Legacy (End Titles)
22. Finale

≪Disc 2≫
01. Encom Part I
02. Encom Part II
03. Round One
04. Castor
05. Reflections

Daft Punkの次は、YMO。今年の夏フェス「WORLD HAPPINESS」でクリケイことCrystal Kayをゲストに迎えて、Sly & The Family Stoneの「Thank You For Talkin' To Me Africa」をカヴァーしましたが、クリケイの新譜『Spin The Music』にこの「Thank You For Talkin' To Me Africa」が収録されます。名義が凄いんです、Yellow Magic Orchestra feat. Crystal Kay!

Spin The MusicSpin The Music
アーティスト:Crystal Kay
販売元:ERJ
(2010-12-08)
販売元:Amazon.co.jp
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今月リリースのGROOVE UNCHANT(グルーヴあんちゃん)とアマリリスのアリスセイラーさんのインタヴュー記事をAll Aboutテクノポップに掲載予定なので、よろしくお願いします。

11月24日:DJ あばっと『TOKYO BOOTLEG 2010 MIXED BY DJ あばっと』Mix CD
11月24日:The Lowbrows『EMOTION』

12月1日:MAA『Ghost Enemy』Single;和製Lady Gaga
12月1日:V.A.『ロマンチスト〜THE STALIN・遠藤ミチロウTribute Album〜』Tribute
12月1日:GROOVE UNCHANT『NOTRE MUSIQUE』
12月3日:Q;indivi of Rin Oikawa『Happy Celebration』

12月7日:Daft Punk『Tron: Legacy』US盤;日本盤は12月15日発売
12月8日:FreeTEMPO『TENSE』Best Album
12月8日:POLYSICS『eee-P!!!』Mini Album
12月8日:Lady Gaga『The Singles』Box Set
12月8日:恵比寿マスカッツ『チヨコレイト/かわいい甲子園』Single
12月8日:ケラ&ザ・シンセサイザーズ『Body and Song』
12月8日:A-bee『CURRENTRIA』
12月8日:PAX JAPONICA GROOVE『Fantastical Adventure』
12月8日:MASTERLINK『Muziiic Store』
12月8日:Crystal Kay『Spin The Music』YMO feat.Crystal Kay「Thank You For Talkin’ To Me Africa」収録
12月10日:FLOPPY『Over Technology』

12月15日:V.A.『CITY COVER BOOK』Tribute
12月15日:V.A.『Gossip』2CD
12月15日:V.A.『Kitsune Maison Vol.10: the Fireworks Issue』2CD;US盤は1月4日発売
12月15日:Michael Jackson『MICHAEL』「Behind The Mask」収録
12月15日:DECO*27『愛迷エレジー』
12月15日:Dave Stewart & Barbara Gaskin『Broken Records - The Singles [Special Edition] 』Remastering Reissue
12月15日:すきすきスウィッチ『忘れてもいいよ』Remastering Reissue
12月15日:V.A.『はっぴいえんどに捧ぐ+』Tribute
12月15日:アマリリス『アマリリス名曲大全集』

12月20日:Logic System『Electric Carnaval 1982 Logic System』
12月21日:EeL『Kung-Fu People Etcetera』
12月22日:Yapoos『ヤプーズ・デ・ラ・クルスの犯罪的人生』DVD
12月22日:Yapoos『HYS NOISE』DVD
12月22日:MiChi『LOVE is.』Single
12月22日:元気ロケッツ『"make.believe" 3D Music Clips e.p.』Blu-ray 3D
12月22日:DJ NOBU『"ON"』
12月22日:Neko Jump『化粧品売リ場ハ ドコデスカ? Neko Jump日本デビュー1周年記念盤〜ふたりいっしょに抱きしめたい!ビジュアルコレクション〜』CD+DVD
12月23日:ヒカシュー『人間の顔』紙ジャケ
12月24日:DJ KYOKO『XXX Reckless With Your Love』Mix CD

来たる12月15日にMichael Jacksonのアルバム『Michael』がリリースされます。どうして、それがここで話題になるのか? 下のトラックリストを見てください。あの曰く付きのYMOのカヴァー曲「Behind The Mask」が収録されるからです。説明するまでもありませんが、この曲は、アルバム『Solid State Survior』(1979年)に収められていたYMOの代表曲の一つ。

MICHAELMICHAEL
アーティスト:マイケル・ジャクソン
販売元:ソニーミュージックジャパンインターナショナル
(2010-12-15)
販売元:Amazon.co.jp
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01. Hold My Hand (Duet with Akon)
02. Hollywood Tonight
03. Keep Your Head Up
04. (I Like) The Way You Love Me
05. Monster (Featuring 50 Cent)
06. Best Of Joy
07. Breaking News
08. (I Can't Make It) Another Day (Featuring Lenny Kravitz)
09. Behind The Mask
10. Much Too Soon

どうしてMichaelがYMO曲をカヴァーする事になったか? Michaelのプロデューサーと言えば、Quicy Jones。Quicyが気にいったため、「Behind The Mask」は、Michaelのアルバム『Thriller』(1982年)でカヴァーするはずだったのです。

この『Thriller』は人類史上最も多くの売り上げを記録した作品としてギネス世界記録として認定されており、今まで(2010年5月時点)全世界で1億500万枚の総売り上げを誇っています。

オリジナルの作詞をしたChris MosdellやYMOメンバーの発言からすると、強気のMichaelサイドと印税の配分について折り合いがつかず、お蔵入りとなった曰く付きの曲。『Thriller』に入っていたら、どれだけの印税が入ったのでしょう? まぁ、そんな生臭い話は置いておいて、当時、『Thriller』を買わなかった少数派の僕も、「Behind The Mask」があるのなら、買っていたでしょう。

しかし、MichaelのバンドでキーボードをしていたGreg Phillinganesが、アルバム『Pulse』(1984年)でこのマイケル・ヴァージョン「Behind The Mask」を収録。

パルス(紙ジャケット仕様)パルス(紙ジャケット仕様)
アーティスト:グレッグ・フィリンゲインズ
販売元:BMG JAPAN
(2008-09-24)
販売元:Amazon.co.jp
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また、Greg Phillinganesがエリック・クラプトンのバックバンドのメンバーであった事もあり、Eric Claptonもこの曲のカヴァーをアルバム『August』(1986年)に収録しました。教授自身もマイケル・ヴァージョンを元にしたセルフ・カヴァーをミニアルバム『Behind The Mask』(1987年)に収録しています。

オーガストオーガスト
アーティスト:エリック・クラプトン
販売元:ワーナーミュージック・ジャパン
(2006-08-23)
販売元:Amazon.co.jp
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今回、この「Behind The Mask」がどういった経緯で日の目を見る事になったのか、大変興味深いです。

前回に続き、しつこく「戦場のメリークリスマス(Merry Christmas Mr. Lawrence)」でしす。この曲については、All Aboutテクノポップにて「戦場のメリークリスマス」記事で「何故、この曲のカヴァーが多いのか?」という分析を行い、43曲のカヴァーを紹介しました。それ以降も「戦メリ」カヴァーは増殖中で、取りこぼしていたものも含めて紹介したいと思います。

教授自身も、オリジナル以外にも『Media Bahn Live』(1986年)、『Playing The Orchestra』(1988年)、『Coda』(1993年)、『1996』(1996年)、『/04』(2004年)、『Playing the Piano 2009 Japan』(2009年)等でセルフカヴァーをしています。iTune Storeでは、さらに複数の場所で録音されたライヴ曲を配信しています。全部そろえてどうする(?)とは思いますが・・・ 基本、ピアノversionです。でも、僕はワイングラス効果なのか、オリジナルに一番、愛着を感じます。

ごく最近もcommmonsからリリースされた『Christmas Songs』(2010年)にもリミックス「Merry Christmas Mr. Lawrence -re-modeled by Goro Ito-」が収録されています。

Christmas SongsChristmas Songs
アーティスト:オムニバス
販売元:commmons
(2010-11-17)
販売元:Amazon.co.jp
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先ずは、最近話題の宇多田ヒカルちゃん。UniversalからリリースされたUtada名義の方のアルバム『This Is The One』(2009年)に収録の「Merry Christmas Mr. Lawrence - FYI」。宇多田ヒカルって、a-haの「Take On Me」もそうですが、80年代カヴァーが結構好きみたいです。歌詞がないと宇多田ヒカルは歌えません。David Sylvianが歌った「Forbidden Colours」(曲は「戦メリ」)ではなく、新たに英語詞が作られ、バイオリン音が目立つカヴァーです。 ちなみにこの曲は、宇多田本人が自ら不買をほのめかすツイートをしたユニバーサルからの『Utada The Best』(2010年)にもちゃんと収録されています。

Utada The BestUtada The Best
アーティスト:UTADA
販売元:ユニバーサル インターナショナル
(2010-11-24)
販売元:Amazon.co.jp
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他、いくつか紹介します。
■ブラジルの女性ドラマー、Vera Figueiredoのアルバム『Vera Figueiredo』(1999年)に収録。
■Watergateの「Heart Of Asia」(2000年)。トランス系カヴァーは正直言って、きついのもありますが、これは聴けます。PVは「間違った日本」的センスに溢れています。
■R&B系のAlのちょっとスローな日本語歌詞付き「Merry Christmas Mr. Lawrence」(2003年)。
■メロディックハードコア系のFACTのアルバム『FACT』(2009年)に収録。
■クラシック・ヴァイオリニストの宮本笑里とヴォーカリストのJadeからなる日米合体ユニット、Saint Voxの「Merry Christmas Mr. Lawrence - Rocket Girl」(2009年)。ちなみに中田ヤスタカが、JadeのSweetbox名義での「Everything Is Gonna Be Alright」をリミックスしています。
■Aira Mitsukiの『Airaの科学』(2009年)に収録の「戦場のメリークリスマス」。歌詞はフレンチ。

クリスマスソング特集の第2弾は、教授の「戦場のメリークリスマス(Merry Christmas, Mr. Lawrence)」(1983年)。こちらもクリスマスソングの定番と呼べるでしょう。実際、インスト曲でタイトル以外に特にクリスマスと言っているわけではありませんが、この曲がかかると何故かクリスマス気分になります。同時に、ビートたけし扮するハラ軍曹が登場する映画のエンディングを思い出します。

戦場のメリー・クリスマス戦場のメリー・クリスマス
アーティスト:坂本龍一
販売元:ミディ
(1993-09-21)
販売元:Amazon.co.jp
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当時は知らなかったのですが、『UC YMO』のライナーノーツの「邂逅」の曲解説の中に以下のYMOメンバーの発言があります。

この頃、E-mu(イミュレーター)ってサンプラーが大活躍っす。『戦メリ』でも活躍のワイングラスのサンプルも随所に。


「どこにワイングラスのサンプルが使われているか?」が気になり、けろっぐ博士と古くからのテクノポップ仲間の一人なおみさん(男です)の考察をもとに、分析してみました。なお、3人のうちだれ一人として当事者から聞いたわけではないので、あくまでも僕たちの推測によるものだとご理解ください。より正確な情報をお持ちの方がおられたら、教えてください。

先生:聴いてみる限り、55秒あたりの「チャラチャラチャー♪」の少し硬い音がワイングラスのサンプリングなのかと?

博士:ご指摘どおり55秒あたりからの著名な主旋律の部分のスコーンと抜けるクリスタルな感じの音がサンプリングだと僕も思います。当時のシンセ事情を考えうるとDX-7、Fairlight CMI、E-muが考えられます。

先生:ライナーの発言からもE-muでしょうね。

博士:教授のサウンドが、『音楽図鑑』あたりから急に生っぽくなるのも上記のデジタルシンセの使用が原因です。本来、この主旋律の様に不規則倍音を含む(要するにガラスを叩くような抜ける音)を作るのはDX-7が得意なはずでが、発売時期(1983年5月)が「戦メリ」の公開(1983年5月28日)とほぼ同じですから、どちらしてもDX-7は使えそうにありません。またこの音色は確かに音程的にはやや甘い感じがします。その点からも完璧チューニングが売りのDX-7では出ない音だと思います。

なおみ:E-muはWinter Tourで使われています。E-mu1は1982年発売、そしてE-mu2は1984年の発売です。となると、「戦メリ」はこのE-mu1が使われたことになります。このE-mu1はサンプリングがひとつの音程しかできません。YMO関係者はシンクラヴィアを使ってないので、散開までE-muシリーズしか使ってないはずです。

先生:ワイングラスの音って探してみて、そうかなと思いますが、微妙ですよね。

なおみ:ワイングラスを叩く音を想像してこの「戦メリ」のメロディを聴くとかなり低いですよね? オリジナルの音よりかなり低い音を弾いてることになります。

先生:何で叩いたかは分かりませんが、確かに。

なおみ:一箇所(例えば”ラ”)でサンプリングされた音は、低くすると歪(ゆがみ)がでます。つまり低いところに行くと音は歪んだ(ゆがんだ)ものになります。これは当時困りモノだったのですけど。

先生:どこかチューニングがずれたような音ですよね。

なおみ:しかしそんな事をすると音痴になっちゃう。ピアノと一緒に鳴らしているので、低いところは違和感があるのだと思います。

博士:ワイングラスを叩いた音をイーミュレーターに入力すると、他のすべての音程を鍵盤上でしかも和音で演奏できるようになるという仕組みであることをまず理解してください。当時のサンプラーはサンプリングポイントが極端に少なく、少ないサンプリングポイントからすべての音階を無理やり作ると、サンプリングポイントから離れるほどピッチも甘くなります。戦メリの主旋律も何かそんな感じのピッチの甘さを感じます。

先生:逆に言えば、ワイングラスのサンプリングだけなら、あまりにもメロディとして不安定になってしまうという事ですね。

なおみ:だから、メインのメロディは、「ワイングラスとピアノ」の同時鳴らしの音だと思います。

博士:調律がしっかりしているピアノとユニゾンすることで倍音同士が微妙に、しかもランダムに不協和音を発生させ、より耳障りで強烈な音になるのです。トイピアノ(玩具のピアノ)を思い出してください。 非常に耳障りなキツイ音ですよね。また弾く鍵盤によって澄んだ音だったり、非常に耳障りな音だったりとランダムな「ムラ」を感じると思います。あれは倍音同士がランダムに干渉して高周波で干渉波(うねり)を出しているのです。その感じを調律して完璧な生ピアノと、音程がやや甘いサンプリングしたワイングラス音を使用する事で結果的に出しているのです。

先生:逆に当時の機器だったからあの独特に質感が出せたと・・・。教授のセルフカヴァーは基本ピアノversionですが、僕もやっぱりオリジナルが一番好きです。

博士:まさにそうなんです。もっとサンプリングレートの高い今のサンプラーだと、ワイングラスを叩いた音はワイングラスを叩いたままの綺麗な音がします。 当時のサンプラーはサンプリングレートが低く、明らかに音色が変化してしまい、サンプリングポイントが少なく無理に音程を作ると音程が怪しくなります。それを音程がしっかりした別の楽器とオクターブ音程であわせる事で、音痴な感じにならずに、音程に干渉によってランダムに有機的な音色変化が発生したと考えます。すなわち、当時の機材の不完全さとそれを駆使しようとする知恵から生まれたサウンドなのです。

先生:55秒までの部分は普通のシンセ音に聴こえますね。

なおみ:こっちは多分シンセです。音の立ち上がりが「うにぃょ」ってなっているのでこれはシンセだと思います。当時のサンプリングの技術でこれは多分できないです。

神戸テクミー(テクノポップ・ミーティング)では、テクノポップのテーマを選んで、そのテーマに基づいた選曲で楽曲を紹介するという試みを行っています。8月21日にミニスタジオで行われた神戸テクミー vol.5では、僕のパートはコンピューターをテーマにしました。テクノポップのコンセプトとしてよく使われるのは、科学技術系。テクノ=テクノロジーですから、当然ですね。前回のテーマに選んだロボットに負けず劣らず、コンピューターというのも頻繁に使われるモチーフです。

コンピューターをコンセプトにした楽曲は数多くありますが、コンセプト・アルバムにまでしてしまったのは、God Of Technopop、Kraftwerkの『Computer World』(1981年)ですね。

Computer WorldComputer World
アーティスト:Kraftwerk
Mute(2009-08-20)
おすすめ度:5.0
販売元:Amazon.co.jp
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01. Computer World
02. Pocket Calculator
03. Numbers
04. Computer World 2
05. Computer Love
06. Home Computer
07. It's More Fun To Compute

ジャケットからも「テクノは黄色である!」という一つのイメージを作るだけの力を感じます。このアルバムが発売された1981年という時代背景を考えると、すでにPCは発売されていましたが、コンピューターは個人が所有するものというよりも、まだ研究者や専門家が使うものでした。自分自身の体験としても、初めて自分で使ったコンピューターは1983年頃のApple II(発売は1977年)。このアルバムより少し後になります。「Pocket Calculator」も広義の解釈でコンピューターとなり、一般の人達にとっては、電卓の方が身近にあるコンピューターだったと言えましょう。ちなみにコンピューターは電子頭脳というイメージですが、その法律上の呼称は電子計算機となります。

このアルバム、Kraftwerkの代表作的な扱い方をされている感覚が無いのですが、歴史に残るセルフミックス・アルバム『The Mix』(1991年)にて、『Computer World』から「Computer Love」「Pocket Calculator」「Dentaku」(「Pocket Calculator」の日本語ヴァージョン)、「Home Computer」と4曲も選ばれているので、メンバーも意外と気にいっているアルバムなのかと思います。

Kraftwerkの影響を受けた人達は数え切れませんが、Komputerという3人組をご存知でしょうか? 最初、バンド名からドイツ語かと思ったのですが、ドイツ語でもComputerはComputer。イギリスのユニットです。メンバーの名前からすると、どうやら同じMute系のI Start CountingとFortran 5のメンバーが被っています。新人を装った彼らのデビュー・アルバム『The World Of Tomorrow』(1997年)に収録の「Komputer Pop」は、Kraftwerkの『Computer World』に入っていても全く違和感のない曲となっています。「Bill Gates」なんていう曲もあって、こっちは「Man Machine」です。

World of TomorrowWorld of Tomorrow
アーティスト:Komputer
Mute U.S.(1997-11-18)
おすすめ度:4.0
販売元:Amazon.co.jp
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札幌出身のやぎというバンドが、「Computer Love」を彼らの2枚目のアルバム『プール』(1992年)に収録しています。Kraftwerkと同名曲ですが、カヴァーではありませんし、別にKraftwerkっぽい訳でもありません。女子ヴォーカルの脱力系ニューウェイヴ。ちなみに彼らのデビュー・アルバム『iL NEiGE』(1989年)は、あがた森魚がプロデュース。ジャケは、太田螢一(ゲルニカ)によるキモカワ系。

pool


以前、All Aboutテクノポップで「YMOとゲーム音楽」いう記事を書きましたが、YMOとコンピューターと言えば、「Computer Game」。「Mark Gamble Micro-Mix」なんていうのもありましたね。

YMOのメンバーが関わったコンピューターポップと言えば、「コンピューターおばあちゃん」。作詞作曲は伊藤良一さん。元々は、アルバム『COSMORAMA』で小田啓義さんの編曲でコズミック・インベンションが歌いました。

cosmorama

コズモラマ(COSMORAMA)
アーティスト:コスミック・インベンション
ビクターエンタテインメント(1994-12-01)
販売元:Amazon.co.jp
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有名なのは「NHKみんなのうた」で採用された酒井司優子さん(東京放送児童合唱団)が歌い、教授がプロデュース・編曲したヴァージョンです。その後も、POLYSIX、DENPA!!!などがカヴァーをしています。この「コンピューターおばあちゃん」の映像は、今もNHKで放送され、DVD化もされていますが、不適切な表現が含まれていたとして一部を手直しすると発表しました。再度、その映像を見てみると、確かに水着や露出的な映像がサブミリナル効果のように挿入されています。先ずは気付かないなかなかウィットに富んだ確信犯的映像です。

computerobachan


教授と言えば、「マイクロソフトI.E.4.0 Theme」もやっていましたね。

コンピューターポップ・・・続く

先日、宇宙ヤングの笹公人さんとお会いしました。笹さんと言えば・・・
金星の王女わが家を訪れてYMOを好んで聴けり

などの独自の短歌を詠む歌人でもあります。
最近、和田誠さんと『連句遊戯』という本も出されました。怪奇、SF、芸能、歌謡等・・・自由な発想で連句が繰り広げられます。

連句遊戯連句遊戯
著者:笹 公人
白水社(2010-07-15)
販売元:Amazon.co.jp
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笹さんと話していて、話題に挙がったのが、YMOのコピーバンド、Chiba MO。YMOのカヴァーをした人達となると、最近のKeaneとかも含めて膨大になるのですが、YMOのコピーバンド(またはカヴァーバンド、トリビュートバンド)となると限られてきます。有名どころと言えば、2枚のアルバムをリリースしたYセツ王。他にもO-Setsu-Y、.EXE等のバンドも活動していました。OMYは、カヴァーというよりもYMO風(BeatlesのパロディーとしてのRutlesみたいな)。最近なら、『Hatsune Miku Orchestra』(2009年)をリリースした“HMOとかの中の人”。

Chiba M Oは、ITSUKIさん (Key/Vo)、HIDEさん (Guitar)、OTAさん (Bass)、MIYA さん(Drum/Arrange/Prog)の4人編成。YMOは3人ですが、ライヴをする前提で考えるとこの編成の方が正解でしょう。ITSUKIさんは女性ですが、YMOのライヴでのアッコちゃん的存在と捉えていいでしょう。3人にこだわり過ぎると、ギターはゲストみたいになってしまいますから。

Chiba M Oのオフィシャルサイトでは、現在、9つの動画が公開されています。YMOのファースト・アルバムからのカヴァーが多く、その中でも気にいったのが、「Mad Pierrot」のPV。完全に再現するというよりも、原曲の良さ(例えば初期のフュージョン色)を保ちつつ、音色が素敵なカヴァーをしています。ITSUKOさんのチャイナドレスも更によし(笑)。



ぜひ、トリビュート・アルバムも作ってほしいものです。

たまにはYMOネタをしましょう。All Aboutテクノポップで「YMOの遺伝子」というシリーズものをやってきました。基本、YMOカヴァーを特集していると考えてもらっていいです。
 
この記事を読んだdouyakuさんとい方から興味深いメールを頂きましたので、頂いた情報を元に一般のリリースでは見つからないYMOカヴァーを紹介します。

事の発端は、Wei Wei Wuu さんが、アルバム『Nomad』(2006年)にて「The End of Asia」のカヴァーをしている事をdouyakuさんが発見。そこから芋づる式になんと「Rydeen」も彼女が演奏していて、しかしその音源は市販のCDで無く、「楽譜」の模範演奏として付属しているCDがあるという事に行きついたのです。

NOMAD(遊牧民)NOMAD(遊牧民)
アーティスト:ウェイウェイ・ウー
販売元:ワーナーミュージック・ジャパン
発売日:2006-01-25
おすすめ度:5.0
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ここからは、douyakuさんが私に宛てて送ってくれた文章を紹介します。

現在、動画投稿ブームと「初音ミク」のおかげで打ち込みや生演奏でYMOをPlayする人が増えました。一昔前(DTMという言葉もハードも無かった頃)、MIDIデータはマニアックな人のための物でしたが、YMO関連では、1993年にRolandからFDに入ったデータとして『YMOスーパー・クラシックス』が売り出されました。

YMOスーパークラシックス
販売元:ドレミ楽譜出版社
発売日:1998-12-10
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YMOスーパー・クラシックス(RolandのAtelier Visionにあるダウンロード版)

1995年には2作目の『YMOスーパー・クラシックス2』が発売されました。

YMOスーパー・クラシックス(RolandのAtelier Visionにあるダウンロード版)

なんとその後本家から、『YMO SELFSERVICE』という名前でMP3データ(129曲分!)やマルチトラックの音素材を収録したCD-ROMがALFA/ASKから1998年にリリースされました。なんと気前の良い!また、先見の明がある配慮だったのでしょうか。改めてYMOの偉大さが確認されます。
*一部、四方が加筆しております。

selfservice
 
その後、MIDIデータや楽譜はいろいろ発売されましたが、私のような演奏できない人はあまり面白い物ではありません。そこで、面白い物といえば前述の「模範演奏」です。

古くは、1986年にドレミ楽譜出版社から出た『ELECTONE YMO SOUND』ですが、なんとアレンジ・演奏は、向谷実さん! おまけに「Cosmic Surfin’」を向谷さんがエレクトーンで弾いた模範演奏の「ソノ・シート」がついてます! 以前、NHK教育TVで向谷さんと松武秀樹さんがセッションし話題になりましたが、昔から縁があるようです。この本も「協力:アルファ・レコード」となってます。

その後、私が知る限りでは・・・

『Rittor Music ソロ・ギターのしらべ』(2000年)
最近、押尾コータローさんがコンサートで「ギター一本YMOメドレー」を披露して動画サイトで話題になりましたが、こちらで演奏した南澤大介さんも結構うまい!


『巫 謝慧(ウェイウェイ・ウー) 二胡曲集 Nomad~遊牧民 CD付』(2007年)
二胡の「Rydeen」と言えば、サントリー・ウーロン茶「音韻調」のCMが思い出されますが、残念ながらそちらの演奏者は、陳暁雁(チン・シャオイエ)さんです。違うのですが、癒されるのは同じ? ちなみにウェイウェイ・ウーさんは「Rydeen」のカヴァーをしたaminさんのお姉さんです。

巫 謝慧(ウェイウェイ・ウー) 二胡曲集 Nomad~遊牧民 CD付巫 謝慧(ウェイウェイ・ウー) 二胡曲集 Nomad~遊牧民 CD付
販売元:河合楽器製作所・出版事業部
発売日:2007-08-24
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『キーボードマガジン やっぱりJAZZが弾きたい!(お手本CD付) 』(2007年)
JAZZYな「Rydeen」が入ってます。

キーボードマガジン やっぱりJAZZが弾きたい!(お手本CD付)キーボードマガジン やっぱりJAZZが弾きたい!(お手本CD付)
著者:斉藤 修
販売元:リットーミュージック
発売日:2007-03-08
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『やさしいピアノソロ 坂本龍一スペシャル(CD+楽譜集)』(2009年)
「Citizens Of Science」のピアノソロって!

CD+楽譜集 やさしいピアノ・ソロ坂本龍一スペシャルCD+楽譜集 やさしいピアノ・ソロ坂本龍一スペシャル
著者:デプロMP
販売元:デプロMP
発売日:2009-06-20
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『大人が始めるピアノソロ 坂本龍一 名曲集 模範演奏CD付』(2010年) 
上の物と似てます。いかにも教科書って感じの演奏です。

大人が始めるピアノソロ 坂本龍一 名曲集 [模範演奏CD付] (大人が始めるピアノ・ソロ)大人が始めるピアノソロ 坂本龍一 名曲集 [模範演奏CD付] (大人が始めるピアノ・ソロ)
著者:久 隆信
販売元:シンコーミュージック
発売日:2010-03-17
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Winds Score [参考音源CD付] RYDEEN (YMO)
ブラスバンド用の楽譜がフルパート載ってます。最近ブラバン甲子園のCDで「Rydeen」が出ましたがこちらの方が古いです(演奏はあっさりしてます)。

以上、douyakuさんからのメールを元に、YMOカヴァー特集でした! douyakuさん、ありがとうございました!

6月は、Aira Mitsuki、Mizca、immi、MEG、MiChiとエレクトロガールズのリリース続きます。フランスのエレクトロガールズも負けていません。Emilie Simon、Uffie(マイアミ出身だけどね)もアルバムをリリース!

ymosukitaYMOの写真集『Yellow Magic Orchestra X SUKITA』も6月25日(予定)発売! 当初計画よりもページ数も増えて、600ページ前後となります。楽しみ〜


6月2日 Aira Mitsuki『6 FORCE』ミニアルバム
6月2日 Mizca『ダメよ?』CDS
6月2日 鈴木慶一『Keiichi Suzuki: Music for Films and Games』2CD
6月2日 鈴木慶一『映画 アウトレイジ』OST
6月4日 Emilie Simon『The Big Machine』

6月9日 Chemical Brothers『Further(時空の彼方へ)』
6月9日 Christina Aguirela『Bionic』
6月9日 AA=『#2』
6月9日 Cargo『MURUA: nu romantics-rocked by cargo』Mix CD

6月16日 DJやついいちろう『ATARASHII YATSU!』Mix CD
6月16日 immi 『Spiral』

6月23日 MEG『MAVERICK』
6月23日 MiChi×the telephones『WoNdeR WomaN』CDS
6月23日 UA『KABA』
6月23日 80kidz『Spoiled Boy』CDS
6月23日 iLL『∀』
6月23日 M.I.A.『MAYA』
6月25日 Uffie『Sex Dreams And Denim Jeans』
6月25日 Yellow Magic Orchestra+鋤田正義『Yellow Magic Orchestra X SUKITA』写真集

6月29日 Q;indivi+『ACACIA;』
6月30日 Shinichi Osawa『SO2』
6月30日 篠原ともえ『スーパーモデル 15th Anniversary Edition』
6月30日 Crystal『Made In Japan "Future" Classics』Mix CD

先日は、バイレファンキの記事でSenor Coconutを少しだけ紹介しましたが、今回はATOM名義でMASAKI SAKAMOTO(坂本昌己)氏とコラボ作品を紹介します。

ATOM氏の事を知ったのは、HAT。HATは、Haruomi Hosono(細野晴臣)、Atom Heart、Tetsu Inoue(テツ・イノウエ)からなるユニットとして、Daisyworldから『Tokyo-Frankfurt-New York』(1996年)、『DSP Holiday』(1998年)という2枚のアルバムを出しています。

aroundtheworldSenor Coconutとしては、Kraftwerk(『El Baile Aleman(Plays Kraftwerk)』)、YMO(『Plays YMO』)、Daft Punk(『Around The World』)などをラテン・カヴァー。僕のCDコレクションにラテン系と言えるものが少しだけでもあるのは、Senor Coconutのせいです。Senor CoconutのPVはあまりありませんが、『Around The World』に収録のTrioのカヴァー「DA DA DA」を紹介しておきます。




thebirthofaciton2007年にはSurtek Collective (Senor Coconut +Orginal Hamster)としては『Birth Of Aciton: アシトン降臨: 心の中でダンスしてね!』という変な作品もリリースしています。アシトンとはアシッド+レゲトンの融合です。ATOM氏の真剣にアホなことを高いクオリティでやる姿勢には、ほんとに感心します。大人の茶目っけですね。




endotones一方のMASAKI SAKAMOTO氏ですが、Kawatory氏とのユニット、SL@yRe&The Feminine Stoolξ名義でアルバム『Phut Cr@ckle Tokyo [K]』(2005年)をリリース後、ソロ名義で『ENDOTONES』(2007年)をリリース。それぞれのリリースの際、All Aboutでインタヴュー(「SL@yRe&The Feminine Stoolξ」「坂本先生にインタヴュー」)をしております。インタヴューでも触れていますが、SAKAMOTO氏は、現役神経内科医。


aliensymphonySAKAMOTO氏の前回のソロアルバムの際、既にAtom氏が関わっていました。その延長線上で3年の歳月をかけて作られたのが、5月19日発売のコラボ・アルバム『Alien Symphony』。やはりATOM氏が加わったせいで、一癖も二癖もある作品に仕上がっています。コシミハルさんのヴォーカルも聴け、次々に風景が変わっていくようなサウンドスケープの世界が堪能できます。ちょっとYMO風な部分もあったりします。僕の所有するCDの中ではメガミックスものを除いては、最高の曲数となる41曲入りのアルバムです。41曲は9章になり、iTunesに入れるなら、トラックを章ごとにまとめた方がいいです。




エイリアン・シンフォニーエイリアン・シンフォニー
アーティスト:アトム・ハート アンド マサキ・サカモト
販売元:ミュージックマイン
発売日:2010-05-19
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KeaneというUKのスリーピース・バンドをご存知でしょうか? 『Hopes And Fears』 (2004年)、『Under the Iron Sea』(2006年)、『Perfect Symmetry』(2008年)という3枚のアルバムをリリースし、全てのアルバムが全英1位を成し遂げています。彼らのデビュー・シングル「Somewhere Only We Know」は、ピアノを基調にしたUKバンドらしい泣きも入ったメロディアスな曲。音楽雑誌なら、『CROSSBEAT』や『snoozer』とかに出てくるバンドです。



thenighttrainそんな彼らが、4枚目としてリリースしたのが、8曲入りミニアルバム『The Night Train』。またもや、全米1位。何故僕がそんな事を書いているか? YMOの「以心電信」をカヴァーしたからです。しかも、日本のバイレクトロの先駆者的存在、TIGARAHをフィーチャリングして! カヴァーはメインのソングライターのTom Champlinのアイデアですが、リードヴォーカルのTim Rice-Oxleyが「以心電信」に関してインタヴューに答えています。




日本人がKeaneのような大物バンドのヴォーカルとして起用されるのは、素直に嬉しいですね。慶応出身の才女、TIGARAH(虎という意味らしい)は、バイレファンキの本場、ブラジルに2003年単身で乗り込み、その後、L.A.でも活動を経てデビュー。MySpaceのインタヴューでは、「和製M.I.A.と呼ばれていたけど、最近は和製Lady Gagaと呼ばれるの・・・」と流暢な英語でインタヴューに応えていました。おおお、和製Lady Gagaをマジで目指してほしいものです。

tigarah2009年の4月にミニアルバム『TIGARAH!』をリリース。1曲目の「Space Travel」は、New Orderの「Blue Monday」ネタでニタリとします。同曲のリミックス曲「Space Travel RMX」はDoes It Offend You, Yeah? というバンドの Morgan Quaintance のDaft Punk風リミックス。ミニアルバムの曲は、「Supa Gurl RMX」を除いてヴァージョン違いもありますが、フルアルバムに収録されています。これだけでミニアルバムに価値が出ています。




thefunkeira続いて8月にフルアルバム『The Funkeira goes BANG!』というなかなか早いペース。やはり一押しは、闘う女に相応しい「Girl Fight」でしょう。女子プロレスのリング入場曲に誰か使ってください。『ジョジョの奇妙な冒険ストーンオーシャン』が映画化されたりしたら、主題歌にも使えそう。


話をKeaneに戻しましょう。『The Night Train』 というアルバムは、「以心電信」が入っているから買ったというのが本音ですが、僕が持っているKeaneのイメージを遥かに凌駕するものでした。「以心電信」の英語ヴォーカル部分はTim、日本語部分はTIGARAH。TIGARHAの歌唱は彼女のソロと比べると意図的にフラットです。テクノポップ的な部分も残しつつ、Keaneサウンドに上手く仕上げています。他の曲も、彼らの今の気分なのか、エレクトロやヒップホップ的な要素も取り混ぜて、いい意味で折衷的な哀愁のUKロックが楽しめます。7曲目「My Shadow」のイントロがどうしても「ロッキーのテーマ」に聴こえます(笑)。

ザ・ナイト・トレイン-夜行列車-ザ・ナイト・トレイン-夜行列車-
アーティスト:キーン
販売元:ユニバーサル インターナショナル
発売日:2010-05-12
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TIGARAH!TIGARAH!
アーティスト:TIGARAH
販売元:ファイルレコード
発売日:2009-04-10
おすすめ度:4.0
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The Funkeira goes BANG!The Funkeira goes BANG!
アーティスト:TIGARAH
販売元:ユニバーサル・シグマ
発売日:2009-08-05
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