四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

2010年11月

クリスマスソングという以上にチャリティーソング(エチオピアの飢餓救済)として大ヒットしたのが、Band Aidの『Do They Know It's Christmas?』(1984年)。約300万枚を売った当時のイギリスのシングルのベストセラー記録を塗り替えました。ちなみにそれ以前は、200万枚を超えたWingsの『Mull of Kintyre(夢の旅人)』(1977年)。そして、ダイアナ妃追悼曲として500万枚近く売れたElton Johnの『Candle in the Wind 1997』(1997年)に記録は後に塗り替えられます。それ以降、記録は破られていません。6000万人程度のイギリスの人口を考えると、たぶん、これからも無いのではと。

dotheyknowitschristmas


この曲の作詞作曲は、Boomtown RatsのBob GeldofとUltravoxのMidge Ure。彼らの音楽性を考えると、割と意外なコンビですね。当時のイギリスのニューウェイヴからオールドウェイヴまで含めた豪華ゲストが集まりました。その後、USA For Africaの「We Are The World」などのチャリティーソングを生み出すきっかけにもなったのですが、この2曲、婉曲的なイギリスっぽさと直接的なアメリカっぽさを対比する上でも大変参考になる曲です。



Trevor Hornはプロデューサーとリミキサーとしてもクレジットされていますが、当初、「Do They Know It's Christmas?」のプロデューサーとしてGeldofがアプローチしたのですが、Hornの都合がつかなかったため、プロデュースはUreがやり、Hornは彼のロンドンのスタジオを無料で貸したという話もあります(同時にカラオケ録音の時にHornはちゃんとミキサーに座っていろいろ指示していたという情報もあります)が、実際のところはどうだったのでしょう? 当時の売れっ子プロデューサーとしてのHorn先生の人気ぶりが伺えます。

その後、1989年にBand Aid IIとして当時ユーロビート旋風を起こしていたStock Aitkin Watermanのプロデュースでリリース。最初に歌うのは、Kylie Minogueちゃん。



2004年にBand Aid 20がNigel Godrichのプロデュースで再度リリース。両者について言えますが、やはりオリジナルの域に行くのは難しい。まぁ、チャリティーとしての目的はある程度果たせたのだとは思いますが・・・



2005年にはカヴァー曲ではありませんが、アメリカのインディー系バンドが集まったThe North American Halloween Prevention Initiativeによる「Do They Know It's Hallowe'en?」という曲が作られていますが・・・コメントしづらい作品となっております。

クリスマスソング定番の次は、定番じゃないけど、私的に最高のクリスマスソングを紹介します。

The Damnedというパンクバンドをご存知でしょうか? 1976年にデビューし、Sex Pistols、The Clashと並んでロンドン3大パンクバンドの一つとされています。ポップでありながらも、スピード感があり、ゴシック・テイストもある、その後のムーヴメントにも影響が大だったバンドです。The Damnedのオリジナル・メンバーでベーシスト(後、ギターリスト)だったCaptain Sensible(Raymond Burns)というとぼけたおっさんがいます。パンクバンドに居たくせにソロでは超ポップで、ある意味パンク的な退廃とは対照的なポジティヴなメッセージを感じます。トニマンことTony Mansfieldのプロデュース作品にその傾向が顕著に見られます。ちなみにトニマンは、The DamnedのEP『Friday 13th』(1981年)もプロデュースしています。トニマン=Captainの代表作は、全英1位となった「Happy Talk」(1982年)がありますが、同じコンビで作られたクリスマスソングが、「One Christmas Song」(1984年)。アレンジはトニマン節が炸裂。PVには反戦的なメッセージが込められています。



この曲はもともとシングルのみでリリースされましたが、復刻版CD『The Power Of Love』(1983年)にボーナス・トラックとして追加されています。

Power of LovePower of Love
アーティスト:Captain Sensible
販売元:Cherry Red UK
(2009-08-25)
販売元:Amazon.co.jp
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クリスマスソングではないですが、クリスマスコンピには収録されたりする他にトニマンのプロデュース作としてAztec Cameraのウィンターソング「Walk Out To Winter」(1983年)を紹介します。Aztec CameraはRoddy Frameを中心に結成されたスコットランド出身のネオアコ系バンド。イントロでキュンとします! ちなみにこの曲に関しては、『High Land, High Rain』に収録のアルバム・ヴァージョンよりもシングル・ヴァージョン(PVに収録分)がお勧めです。



ちなみに『High Land Hard Rain』(1983年)、『Knife』(1984年)、『Stray』(1990年)、『Dreamland』(1993年)、『Frestonia』(1995年)の5枚のアルバムを収録したボックスセットは、なんと2,433円! ちなみに彼らのアルバム『Dreamland』(1993年)のプロデュースは、坂本龍一。

5CD ORIGINAL ALBUM SERIES BOX SET5CD ORIGINAL ALBUM SERIES BOX SET
アーティスト:AZTEC CAMERA(アズテック・カメラ)
販売元:Warner Music
(2010-02-27)
販売元:Amazon.co.jp
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あ〜、もうすぐ12月!12月はCDリリース数が多いです。

「『TRON:LEGACY』はUS盤か日本盤、どちらを買うべきか?」でも書きました。このDaft Punkのサントラに関しては僕もまだどれを買おうか迷っているのですが、第3の選択肢もあります。それはUS盤の2枚組。

Ost: Tron LegacyOst: Tron Legacy
アーティスト:Daft Punk
販売元:EMI Import
(2010-12-14)
販売元:Amazon.co.jp
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US通常盤も日本盤も22曲入りですが、こちらの2枚組のトラックリストを見ると、2枚目に5曲追加されています。値段はUS通常盤の約3倍(3,249円)ですが、気になります。

≪Disc 1≫
01. Overture
02. The Grid
03. The Son Of Flynn
04. Recognizer
05. Armory
06. Arena
07. Rinzler
08. The Game Has Changed
09. Outlands
10. Adagio For Tron
11. Nocturne
12. End Of Line
13. Derezzed
14. Fall
15. Solar Sailer
16. Rectifier
17. Disc Wars
18. C.L.U.
19. Arrival
20. Flynn Lives
21. Tron Legacy (End Titles)
22. Finale

≪Disc 2≫
01. Encom Part I
02. Encom Part II
03. Round One
04. Castor
05. Reflections

Daft Punkの次は、YMO。今年の夏フェス「WORLD HAPPINESS」でクリケイことCrystal Kayをゲストに迎えて、Sly & The Family Stoneの「Thank You For Talkin' To Me Africa」をカヴァーしましたが、クリケイの新譜『Spin The Music』にこの「Thank You For Talkin' To Me Africa」が収録されます。名義が凄いんです、Yellow Magic Orchestra feat. Crystal Kay!

Spin The MusicSpin The Music
アーティスト:Crystal Kay
販売元:ERJ
(2010-12-08)
販売元:Amazon.co.jp
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今月リリースのGROOVE UNCHANT(グルーヴあんちゃん)とアマリリスのアリスセイラーさんのインタヴュー記事をAll Aboutテクノポップに掲載予定なので、よろしくお願いします。

11月24日:DJ あばっと『TOKYO BOOTLEG 2010 MIXED BY DJ あばっと』Mix CD
11月24日:The Lowbrows『EMOTION』

12月1日:MAA『Ghost Enemy』Single;和製Lady Gaga
12月1日:V.A.『ロマンチスト〜THE STALIN・遠藤ミチロウTribute Album〜』Tribute
12月1日:GROOVE UNCHANT『NOTRE MUSIQUE』
12月3日:Q;indivi of Rin Oikawa『Happy Celebration』

12月7日:Daft Punk『Tron: Legacy』US盤;日本盤は12月15日発売
12月8日:FreeTEMPO『TENSE』Best Album
12月8日:POLYSICS『eee-P!!!』Mini Album
12月8日:Lady Gaga『The Singles』Box Set
12月8日:恵比寿マスカッツ『チヨコレイト/かわいい甲子園』Single
12月8日:ケラ&ザ・シンセサイザーズ『Body and Song』
12月8日:A-bee『CURRENTRIA』
12月8日:PAX JAPONICA GROOVE『Fantastical Adventure』
12月8日:MASTERLINK『Muziiic Store』
12月8日:Crystal Kay『Spin The Music』YMO feat.Crystal Kay「Thank You For Talkin’ To Me Africa」収録
12月10日:FLOPPY『Over Technology』

12月15日:V.A.『CITY COVER BOOK』Tribute
12月15日:V.A.『Gossip』2CD
12月15日:V.A.『Kitsune Maison Vol.10: the Fireworks Issue』2CD;US盤は1月4日発売
12月15日:Michael Jackson『MICHAEL』「Behind The Mask」収録
12月15日:DECO*27『愛迷エレジー』
12月15日:Dave Stewart & Barbara Gaskin『Broken Records - The Singles [Special Edition] 』Remastering Reissue
12月15日:すきすきスウィッチ『忘れてもいいよ』Remastering Reissue
12月15日:V.A.『はっぴいえんどに捧ぐ+』Tribute
12月15日:アマリリス『アマリリス名曲大全集』

12月20日:Logic System『Electric Carnaval 1982 Logic System』
12月21日:EeL『Kung-Fu People Etcetera』
12月22日:Yapoos『ヤプーズ・デ・ラ・クルスの犯罪的人生』DVD
12月22日:Yapoos『HYS NOISE』DVD
12月22日:MiChi『LOVE is.』Single
12月22日:元気ロケッツ『"make.believe" 3D Music Clips e.p.』Blu-ray 3D
12月22日:DJ NOBU『"ON"』
12月22日:Neko Jump『化粧品売リ場ハ ドコデスカ? Neko Jump日本デビュー1周年記念盤〜ふたりいっしょに抱きしめたい!ビジュアルコレクション〜』CD+DVD
12月23日:ヒカシュー『人間の顔』紙ジャケ
12月24日:DJ KYOKO『XXX Reckless With Your Love』Mix CD

先生:Perfumeの『ねぇ』は予想通り、シングルチャート2位でした。まぁ、『love the world』以降、6枚連続、2位か1位ですから、売れなかった時代を考えれば、上出来と言えましょう。『ねぇ』のレヴューが終わって、「FAKE IT」についても対談しようと持ちかけた時、博士の反応は冷たかったですね。

博士:ブレイクビーツやサウンドエフェクト的な手法が一般的なクラブ系サウンドの中にあって唯一、あくまでもアレンジやメロディーで勝負していたヤスタカですが、最近従来の手の手法にある種「逃げる」様な傾向を感じてならなかったです。

先生:僕は「FAKE IT」は評価しています。Perfume云々と言うよりも、昨今のシングルのチャートというのには、正直、どうでもいい気分なのですが、そんな中、シングルCDの価値を少しでも上げてくれたのではないかと。で、もう一度、博士に「FAKE IT」を聴き直して欲しいとメールしたのです。

博士:「Original Instrumental」を聴いて倒れそうになりました。歌詞が軟弱なので、スルーしてしまいましたが、オケは凄いです。

先生:歌詞は、「〜的な」と女子言葉的なフレーズがやたらと出てきます。まあ、僕も日常的に使いますけどね。

博士:そのまま「War Head♪!!」とか適当な喋りをかぶせたら、それだけで曲として成立しそうな音圧です。

先生:今の人には分かりにくい例えですが・・・まぁ、いいでしょう。

博士:ヤスタカは確実に進化していますね。 「Dream Fighter」はオケだけ聞くと、明らかに唄が無いって感じがするのに対して、「ねぇ」も「FAKE IT」もまるでインスト曲として成立します。

先生:CD時代になってからは、B面と言うよりもカップリングと言うべきなのでしょうが、PerfumeのB面というのは、歴代見てみると、結構いいです。捨て曲ではなく、実験をしたり、A面にはしにくいけれど、Perfumeらしさを出そうという意図を感じます。

博士:結構「泣ける」曲が多かったりしますしね。

先生:「wonder2」とかね。先日、東京ドームのライヴをWOWOWで見直しましたが、初期なら「ジェニーはご機嫌ななめ」「Perfume」「コンピュータードライビング」等は今もライヴで盛り上がる曲です。

博士:独特の振り付けも期待できそうです。

先生:「FAKE IT」は立ち位置としては、「edge」とかに近いのかと。どちらにしても、Perfumeはカップリングも含めて楽しめます。全然関係ないですが、のっちって提灯ブルマが似合います。

来たる12月15日にMichael Jacksonのアルバム『Michael』がリリースされます。どうして、それがここで話題になるのか? 下のトラックリストを見てください。あの曰く付きのYMOのカヴァー曲「Behind The Mask」が収録されるからです。説明するまでもありませんが、この曲は、アルバム『Solid State Survior』(1979年)に収められていたYMOの代表曲の一つ。

MICHAELMICHAEL
アーティスト:マイケル・ジャクソン
販売元:ソニーミュージックジャパンインターナショナル
(2010-12-15)
販売元:Amazon.co.jp
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01. Hold My Hand (Duet with Akon)
02. Hollywood Tonight
03. Keep Your Head Up
04. (I Like) The Way You Love Me
05. Monster (Featuring 50 Cent)
06. Best Of Joy
07. Breaking News
08. (I Can't Make It) Another Day (Featuring Lenny Kravitz)
09. Behind The Mask
10. Much Too Soon

どうしてMichaelがYMO曲をカヴァーする事になったか? Michaelのプロデューサーと言えば、Quicy Jones。Quicyが気にいったため、「Behind The Mask」は、Michaelのアルバム『Thriller』(1982年)でカヴァーするはずだったのです。

この『Thriller』は人類史上最も多くの売り上げを記録した作品としてギネス世界記録として認定されており、今まで(2010年5月時点)全世界で1億500万枚の総売り上げを誇っています。

オリジナルの作詞をしたChris MosdellやYMOメンバーの発言からすると、強気のMichaelサイドと印税の配分について折り合いがつかず、お蔵入りとなった曰く付きの曲。『Thriller』に入っていたら、どれだけの印税が入ったのでしょう? まぁ、そんな生臭い話は置いておいて、当時、『Thriller』を買わなかった少数派の僕も、「Behind The Mask」があるのなら、買っていたでしょう。

しかし、MichaelのバンドでキーボードをしていたGreg Phillinganesが、アルバム『Pulse』(1984年)でこのマイケル・ヴァージョン「Behind The Mask」を収録。

パルス(紙ジャケット仕様)パルス(紙ジャケット仕様)
アーティスト:グレッグ・フィリンゲインズ
販売元:BMG JAPAN
(2008-09-24)
販売元:Amazon.co.jp
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また、Greg Phillinganesがエリック・クラプトンのバックバンドのメンバーであった事もあり、Eric Claptonもこの曲のカヴァーをアルバム『August』(1986年)に収録しました。教授自身もマイケル・ヴァージョンを元にしたセルフ・カヴァーをミニアルバム『Behind The Mask』(1987年)に収録しています。

オーガストオーガスト
アーティスト:エリック・クラプトン
販売元:ワーナーミュージック・ジャパン
(2006-08-23)
販売元:Amazon.co.jp
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今回、この「Behind The Mask」がどういった経緯で日の目を見る事になったのか、大変興味深いです。

前回に続き、しつこく「戦場のメリークリスマス(Merry Christmas Mr. Lawrence)」でしす。この曲については、All Aboutテクノポップにて「戦場のメリークリスマス」記事で「何故、この曲のカヴァーが多いのか?」という分析を行い、43曲のカヴァーを紹介しました。それ以降も「戦メリ」カヴァーは増殖中で、取りこぼしていたものも含めて紹介したいと思います。

教授自身も、オリジナル以外にも『Media Bahn Live』(1986年)、『Playing The Orchestra』(1988年)、『Coda』(1993年)、『1996』(1996年)、『/04』(2004年)、『Playing the Piano 2009 Japan』(2009年)等でセルフカヴァーをしています。iTune Storeでは、さらに複数の場所で録音されたライヴ曲を配信しています。全部そろえてどうする(?)とは思いますが・・・ 基本、ピアノversionです。でも、僕はワイングラス効果なのか、オリジナルに一番、愛着を感じます。

ごく最近もcommmonsからリリースされた『Christmas Songs』(2010年)にもリミックス「Merry Christmas Mr. Lawrence -re-modeled by Goro Ito-」が収録されています。

Christmas SongsChristmas Songs
アーティスト:オムニバス
販売元:commmons
(2010-11-17)
販売元:Amazon.co.jp
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先ずは、最近話題の宇多田ヒカルちゃん。UniversalからリリースされたUtada名義の方のアルバム『This Is The One』(2009年)に収録の「Merry Christmas Mr. Lawrence - FYI」。宇多田ヒカルって、a-haの「Take On Me」もそうですが、80年代カヴァーが結構好きみたいです。歌詞がないと宇多田ヒカルは歌えません。David Sylvianが歌った「Forbidden Colours」(曲は「戦メリ」)ではなく、新たに英語詞が作られ、バイオリン音が目立つカヴァーです。 ちなみにこの曲は、宇多田本人が自ら不買をほのめかすツイートをしたユニバーサルからの『Utada The Best』(2010年)にもちゃんと収録されています。

Utada The BestUtada The Best
アーティスト:UTADA
販売元:ユニバーサル インターナショナル
(2010-11-24)
販売元:Amazon.co.jp
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他、いくつか紹介します。
■ブラジルの女性ドラマー、Vera Figueiredoのアルバム『Vera Figueiredo』(1999年)に収録。
■Watergateの「Heart Of Asia」(2000年)。トランス系カヴァーは正直言って、きついのもありますが、これは聴けます。PVは「間違った日本」的センスに溢れています。
■R&B系のAlのちょっとスローな日本語歌詞付き「Merry Christmas Mr. Lawrence」(2003年)。
■メロディックハードコア系のFACTのアルバム『FACT』(2009年)に収録。
■クラシック・ヴァイオリニストの宮本笑里とヴォーカリストのJadeからなる日米合体ユニット、Saint Voxの「Merry Christmas Mr. Lawrence - Rocket Girl」(2009年)。ちなみに中田ヤスタカが、JadeのSweetbox名義での「Everything Is Gonna Be Alright」をリミックスしています。
■Aira Mitsukiの『Airaの科学』(2009年)に収録の「戦場のメリークリスマス」。歌詞はフレンチ。

クリスマスソング特集の第2弾は、教授の「戦場のメリークリスマス(Merry Christmas, Mr. Lawrence)」(1983年)。こちらもクリスマスソングの定番と呼べるでしょう。実際、インスト曲でタイトル以外に特にクリスマスと言っているわけではありませんが、この曲がかかると何故かクリスマス気分になります。同時に、ビートたけし扮するハラ軍曹が登場する映画のエンディングを思い出します。

戦場のメリー・クリスマス戦場のメリー・クリスマス
アーティスト:坂本龍一
販売元:ミディ
(1993-09-21)
販売元:Amazon.co.jp
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当時は知らなかったのですが、『UC YMO』のライナーノーツの「邂逅」の曲解説の中に以下のYMOメンバーの発言があります。

この頃、E-mu(イミュレーター)ってサンプラーが大活躍っす。『戦メリ』でも活躍のワイングラスのサンプルも随所に。


「どこにワイングラスのサンプルが使われているか?」が気になり、けろっぐ博士と古くからのテクノポップ仲間の一人なおみさん(男です)の考察をもとに、分析してみました。なお、3人のうちだれ一人として当事者から聞いたわけではないので、あくまでも僕たちの推測によるものだとご理解ください。より正確な情報をお持ちの方がおられたら、教えてください。

先生:聴いてみる限り、55秒あたりの「チャラチャラチャー♪」の少し硬い音がワイングラスのサンプリングなのかと?

博士:ご指摘どおり55秒あたりからの著名な主旋律の部分のスコーンと抜けるクリスタルな感じの音がサンプリングだと僕も思います。当時のシンセ事情を考えうるとDX-7、Fairlight CMI、E-muが考えられます。

先生:ライナーの発言からもE-muでしょうね。

博士:教授のサウンドが、『音楽図鑑』あたりから急に生っぽくなるのも上記のデジタルシンセの使用が原因です。本来、この主旋律の様に不規則倍音を含む(要するにガラスを叩くような抜ける音)を作るのはDX-7が得意なはずでが、発売時期(1983年5月)が「戦メリ」の公開(1983年5月28日)とほぼ同じですから、どちらしてもDX-7は使えそうにありません。またこの音色は確かに音程的にはやや甘い感じがします。その点からも完璧チューニングが売りのDX-7では出ない音だと思います。

なおみ:E-muはWinter Tourで使われています。E-mu1は1982年発売、そしてE-mu2は1984年の発売です。となると、「戦メリ」はこのE-mu1が使われたことになります。このE-mu1はサンプリングがひとつの音程しかできません。YMO関係者はシンクラヴィアを使ってないので、散開までE-muシリーズしか使ってないはずです。

先生:ワイングラスの音って探してみて、そうかなと思いますが、微妙ですよね。

なおみ:ワイングラスを叩く音を想像してこの「戦メリ」のメロディを聴くとかなり低いですよね? オリジナルの音よりかなり低い音を弾いてることになります。

先生:何で叩いたかは分かりませんが、確かに。

なおみ:一箇所(例えば”ラ”)でサンプリングされた音は、低くすると歪(ゆがみ)がでます。つまり低いところに行くと音は歪んだ(ゆがんだ)ものになります。これは当時困りモノだったのですけど。

先生:どこかチューニングがずれたような音ですよね。

なおみ:しかしそんな事をすると音痴になっちゃう。ピアノと一緒に鳴らしているので、低いところは違和感があるのだと思います。

博士:ワイングラスを叩いた音をイーミュレーターに入力すると、他のすべての音程を鍵盤上でしかも和音で演奏できるようになるという仕組みであることをまず理解してください。当時のサンプラーはサンプリングポイントが極端に少なく、少ないサンプリングポイントからすべての音階を無理やり作ると、サンプリングポイントから離れるほどピッチも甘くなります。戦メリの主旋律も何かそんな感じのピッチの甘さを感じます。

先生:逆に言えば、ワイングラスのサンプリングだけなら、あまりにもメロディとして不安定になってしまうという事ですね。

なおみ:だから、メインのメロディは、「ワイングラスとピアノ」の同時鳴らしの音だと思います。

博士:調律がしっかりしているピアノとユニゾンすることで倍音同士が微妙に、しかもランダムに不協和音を発生させ、より耳障りで強烈な音になるのです。トイピアノ(玩具のピアノ)を思い出してください。 非常に耳障りなキツイ音ですよね。また弾く鍵盤によって澄んだ音だったり、非常に耳障りな音だったりとランダムな「ムラ」を感じると思います。あれは倍音同士がランダムに干渉して高周波で干渉波(うねり)を出しているのです。その感じを調律して完璧な生ピアノと、音程がやや甘いサンプリングしたワイングラス音を使用する事で結果的に出しているのです。

先生:逆に当時の機器だったからあの独特に質感が出せたと・・・。教授のセルフカヴァーは基本ピアノversionですが、僕もやっぱりオリジナルが一番好きです。

博士:まさにそうなんです。もっとサンプリングレートの高い今のサンプラーだと、ワイングラスを叩いた音はワイングラスを叩いたままの綺麗な音がします。 当時のサンプラーはサンプリングレートが低く、明らかに音色が変化してしまい、サンプリングポイントが少なく無理に音程を作ると音程が怪しくなります。それを音程がしっかりした別の楽器とオクターブ音程であわせる事で、音痴な感じにならずに、音程に干渉によってランダムに有機的な音色変化が発生したと考えます。すなわち、当時の機材の不完全さとそれを駆使しようとする知恵から生まれたサウンドなのです。

先生:55秒までの部分は普通のシンセ音に聴こえますね。

なおみ:こっちは多分シンセです。音の立ち上がりが「うにぃょ」ってなっているのでこれはシンセだと思います。当時のサンプリングの技術でこれは多分できないです。

ハロウィンソング特集は、ほとんどコス特集となってしまいましたが、気分を変えてクリスマスソング特集をしましょう。

誰もが知る古くからのクリスマスソング「きよしこの夜」や「もろびとこぞりて」は、共に18世紀に作られた曲です。クリスマスソングは国内外問わず流行歌にも多いですが、上手くいけば、毎年のように流れる定番曲となります。商業的にという意味だけでなく、アーティスト自ら作った曲が、単に消費されず、毎年のように流れるというのは作った本人にとっても誇れる事でしょう。同時にクリスマスソングの定番になるだけの曲を作るのは至難の業です。90年代以降もクリスマスソングは発表され続けていますが、定番と呼ばれる曲の多くは80年代以前です。Mariah Careyの「恋人たちのクリスマス」(1994年)は例外的で、90年代以降の多くの曲はファン投票的に人気があるかもしれないけど、定番とまではなかなかいかないです。

クリスマスソングの定番としてまず挙げたいのが、洋楽ならWham!の「Last Christmas」(1984年)。当然、僕自身の世代感からなので、そうでない人もいるとは思いますが。当時は、第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンと呼ばれた英国のアーティストに勢いがあった時期。そんな中、Wham!はニューウェイヴというよりも、ルックスも手伝ってホワイトソウル的アイドルでした。「Wham Rap (Enjoy what you do?)」(1982年)ではラップもしていました。

僕はこの「Last Christmas」のPVが大好きです。ドラマ仕立てになっており、ソバージュの彼女を巡る三角関係を描いています。Andrew Ridgeleyが今年の彼氏で、元彼のGeorge Michaelが去年のクリスマスに無邪気に雪合戦をしていた事を回想するという・・・哀しいラブソング。クリスマスソングに失恋や叶わぬ恋の歌が多いイメージにも一役買っています。



George Michael自身もセルフ・カヴァーしていますが、「Last Christmas」は定番と言えるだけあって、多くのカヴァー曲が存在します。アメリカン・アイドルならHillary Duff、Ashley Tisdale、Backstreet Boys、'N SYNCなど、ダンス系ならWhigfield、Yoo-Yoo、Cascada、Alcazar、The Cheetah Girlsなど、日本なら織田裕二、松田聖子、BoAやEXILEなどもカヴァーしています。

いくつか紹介しましょう。
日本で「Last Christmas」(1993年)でデビューした日米ハーフの女の子、Nadia Gifford。当時5歳ですが、これはずるい。



ドイツの着信メロのキャラ、Crazy Frogの「Last Christmas」(2006年)。



これはデビュー前だと思いますが、イギリスのエレクトロ歌姫、Little Bootsちゃんは他にもカヴァーを披露していました。



他、Darren Hayes(Savage Gardenヴァージョンもあり)、Billie Piper(スウェーデンの歌姫)、Erland Oye(Kings Of Convenience)、Volta Masters(ブレイク〜ハウス系)などがお勧めです。

では、シリーズ第2弾『ラップ歌謡 あの娘にカセットあげよう』(2010年)に話を移します。

ラップ歌謡 [第2弾] あの娘にカセットあげようラップ歌謡 [第2弾] あの娘にカセットあげよう
アーティスト:オムニバス
販売元:Pヴァイン・レコード
(2010-11-03)
販売元:Amazon.co.jp
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01. Real Fish「ジャンクビート東京」(1987年)
02. クレイジー・ケン「黒猫のファンク」(1995年)
03. 下町兄弟「War War!Stop It」(1997年)
04. 小島あやめ「あやめのドレミ」(2008年)
05. 山田邦子「邦子のかわい子ぶりっ子(バスガイド編)」(1981年)
06. 谷啓「怪奇ラップ現象」(1992年)
07. 星井七瀬「恋愛15シミュレーション」(2003年)
08. AKIRA(EMOTO+SAKATA)「ほいじゃが」(1985年)
09. さかなクンwith 山口瑠美「さかな de ラップ」(2004年)
10. なな子&BENCO「チューチューパッパ」(1984年)
11. L.L. BROTHERS「 L.L.ブラザーズのテーマ」(1991年)
12. Y.F.ZOMBIE COMPANY「12FRIENDS」(1989年)
13. C-C-B「ないものねだりのI Want You〜ゼイ肉Mix」(1987年)
14. 野坂昭如「Dani Earth (Drum'n'Bass Mix)[ダニアースの唄]」(1998年)
15. 野村沙知代「SUCH A BEAUTIFUL LADY」(1999年)
16. BRAND NEW MONKEYS「ヤングGO!GO!〜カセットは顔で選ぼう」(1995年)

オープニングは、Real Fishの「ジャンクビート東京」! Real Fishとは並行活動していたShi-Shonen(戸田誠司、福原まり、渡辺等、友田真吾)に矢口博康(Sax)と美尾洋乃(Violin)を加えて編成した、インスト中心のバンド。テクノポップなShi-Shonen対してReal Fishはニューウェイヴ的な文脈ですが、ラウンジや民族音楽の要素も備えた独自の音楽性を追求していました。そんな中、シングルとして出た『ジャンクビート東京』は、Real Fishとしては異色の作品。作詞作曲は、いとうせいこう・戸田誠司の共作で、ヴォーカルは桑田圭祐!

junkbeattokyo




以前、戸田誠司さんにインタヴューした時に聞いた話ですが、戸田さんがいとうせいこうさんの「東京ブロンクス」に衝撃を受けて、わがままで作った曲だと。また、桑田さんは、曲が気に入って、サザンに欲しいと言われたらしいです。詳しくは、インタヴュー記事をぜひ読んでください。

There She Goes Again〜戸田誠司さん



ちなみに戸田誠司さんは、いとうせいこうさんと再びコラボです。タナカカツキさん、鈴木光人さん、とくさしけんごさんと共にkappa名義で配信アルバム『よろよろ feat. いとうせいこう』を11月16日にOTOTOY限定からリリースしました。

前回紹介した『ラップ歌謡 フォローしてちょうだい』(2010年)に収録されている曲の中で、注目したいのがユリオカ超特Qのハゲのハゲによるハゲのためのラップ「HAGE=RAP〜ハゲ革命★始まりの合図」(2005年)。

Hage=Rap ~ハゲ革命★始まりの合Hage=Rap ~ハゲ革命★始まりの合
アーティスト:ユリオカ超特Q
販売元:PSC
(2005-11-30)
販売元:Amazon.co.jp
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歌詞も笑いをとるだけでなく秀逸だし、トラックもせつなさが溢れるし、なにせユリオカ超特Qのラップが上手くて、芸人の域を超えています! いや、これはラップ歌謡の革命! PVには、カツラボクサーこと小口雅之選手が出演しています。2005年の試合中にカツラがとれてしまったプロボクサーですが、モマーニという育毛剤を使用している小口選手は、「みてくれ!俺の変化を!」と訴えています。気になる方は、こちらを確認ください。



余談ですが、Amazon.co.jpでよく一緒に購入されている商品としてこのCDと柄沢怜奈とお兄ちゃんの『チンチンポンポン』 が選ばれています。なんとなく納得。

他にハゲを題材にしたラップと言えば、アルバム『KARATEKA』(1992年)に収録の電気グルーヴの「ザ・ケトルマン」もありますね。

11月の新譜情報でも紹介した『ラップ歌謡』を掘り下げてみます。全ての“歌謡”について言える事ですが、○○○歌謡というのは日本で独自に進化したジャンル。日本のガラパゴス化を憂う今日この頃ですが、このガラパゴス化は歓迎したいです。

テクノ歌謡の時にも、どこからどこまでがテクノで、テクノ歌謡とテクノポップの境界線は・・・という微笑ましい論点がありました。ラップ歌謡の場合、ラップという割とはっきりした歌唱法で判断ができます。問題は、ラップ歌謡なのか、日本のヒップホップ(J-HIP HOP)なのか、このあたりには多少のグレイゾーンはありそうです。J-RAPという呼称もありますね。

一通り、検証してから結論付けたいと思いますが、3つくらいの傾向が見えてきます。

1)ラップ歌謡にはノヴェルティーソングが多い
2)コメディアンが歌うラップ歌謡が多い
3)子供が歌うラップ歌謡が結構ある

では、シリーズ第1弾『ラップ歌謡 フォローしてちょうだい』(2010年)について話を進めましょう。

ラップ歌謡 [第1弾] フォローしてちょうだいラップ歌謡 [第1弾] フォローしてちょうだい
アーティスト:オムニバス
販売元:Pヴァイン・レコード
(2010-11-03)
販売元:Amazon.co.jp
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01. M.C.コミヤ「ケンタイキ」(1991年)
02. 安達祐実「どーした!安達」(1994年)
03. diEZEl from JPS「たまごっちフリーク」(1997年)
04. たんたろう「牛タン・ラップ」(2003年)
05. 若松市政&アフリカ「ストロングマシーンWe are No.1」(1985年)
06. YLA-MAGO「T YO ROCK」(1984年)
07. 砂東由香利「わい わい わい・・・」(1982年)
08. ザ・ナンバーワン・バンド「うわさのカム・トゥ・ハワイ」(1982年)
09. メッケ隊「STYLIST A GO-GO!! 」(1996年)
10. 桂ざこば「尽くさんかい」(1999年)
11. L.L.COOL J太郎「J.Said Kock You Out」(2003年)
12. ジャドーズ「IKASUMAN」(1986年)
13. minako「プラネット・オブ・ジ・エイプ」(1995年)
14. 五十嵐寿也「ぶっちぎりバトルハッカーズ」(1987年)
15. ユリオカ超特Q「HAGE=RAP〜ハゲ革命★始まりの合図」(2005年)
16. 深津絵里と中上雅巳「NIGHT-CLUBBING」(1991年)

ラップ歌謡というと90年代というイメージが強いのですが、80年代のトラックが6曲も収録されています。初めて知るラップ歌謡、CDを持っていたけれど再発見したラップ歌謡など、選曲者のこだわりと愛情を感じる内容となっています。

オープニングは、M.C.コミヤによるM.C. Hammerの「U Can't Touch This」の日本語カヴァー。この曲はラップ歌謡にコメディアンが多いという代表的なパターンで、M.C.コミヤはコント赤信号の小宮孝泰。シングルになった「遣唐使です〜ちょっと目立たない〜」もありますが、ミニアルバム『プリーズ・コミヤ・ドント・ハーテム』(1991年)に収録の「ケンタイキ」の方を収録。ちなみにこのアルバム・タイトルも本家の『プリーズ・ハマー・ドント・ハーテム』(1991年)から頂いていますが、ジャケも忠実にコピー。これは、単にコメディアンが流行りネタに便乗したという域を超えています。赤信号では一番目立たない存在の小宮さんが、突然輝いた記念盤でもあります。

kommierM.C.コミヤ/プリーズ・コミヤ・ドント・ハーテム
販売元:株式会社EMIミュージック・ジャパン
(1991-07-05)
販売元:Amazon.co.jp
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プリーズ・ハマー・ドント・ハーテムプリーズ・ハマー・ドント・ハーテム
アーティスト:M.C.ハマー
販売元:EMIミュージック・ジャパン
(2007-10-03)
販売元:Amazon.co.jp
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長くなってしまったので、続く・・・

80'sリヴァイヴァル集団のVALERIEについて以前、All Aboutで2回特集しました。
VALERIE〜フレンチエレクトロ集団
VALERIE〜THE NEW 80'S

『VALERIE AND FRIENDS』(2009年)というValerieのコンピレーションに「Eyes Like The Ocean」という曲で参加していたのが、今回紹介するFuturecop!。彼らはValerieに所属している訳ではなく、80’sリヴァイヴァルを志す同志(Friends)という扱いだったのでしょう。出身もフランスではなく、イギリスのマンチェスター。

VALERIE AND FRIENDSVALERIE AND FRIENDS
アーティスト:オムニバス
販売元:NURBS/THISTIME
(2009-08-19)
販売元:Amazon.co.jp
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ジャパニーズエレクトロ、80kidzのリミックス集『THIS IS MY WORKS』(2009年)においてもFuturecop!の「Class Of 1984 (80kidz)」が収録されています。

THIS IS MY WORKSTHIS IS MY WORKS
アーティスト:エイティーキッズ
販売元:ケイエスアール
(2009-12-16)
販売元:Amazon.co.jp
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Futurepop!のデビュー・フルアルバム『It's Forever, Kids』(2010年)は、表ジャケだけでなく、裏ジャケ、中ジャケでアニメ的なモチーフを使用しています。ニート(Manzur Iqbal)とクラブDJ(Peter Carrol)から成る凸凹ユニットなどと呼ばれています。

It's Forever,KidsIt's Forever,Kids
アーティスト:フューチャーコップ!
販売元:CLUSTER SOUNDS
(2010-11-03)
販売元:Amazon.co.jp
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オープニングを飾るのが、80年代ティーンエイジャー映画的PVが製作された近未来型インスト曲「Transformers」。日本人リミキサーのKiyoshi Sugoによるリミックスも収録されています。



「1988 Girls」などはValerieのテイストにも通じる80年代映画のクリップを集めて作った動画が、YouTubeで公開されています。これは、TNUCというカリフォルニアの職人が作ったものです。80年代、音楽はイギリスのニューウェイヴとアメリカの映画がシンクロしていたんだなぁと・・・感慨深いですね。

先生:ハルメンズ→8 1/2→野宮真貴と行きましたが、ここではハルメンズにも関連するゲルニカについて語り合いましょう。

ポール:とりあえずメンバー紹介させていただきます。まずヴォーカルの戸川純さん。当時は女優のタマゴで8 1/2のファン。自ら作った上野耕路氏のファンクラブのただひとりの会員でした。ハルメンズが解散し、予定していたPhewのプロデュースも坂本教授に奪われ、さてこれからどうしようと思っていた時、久保田慎吾氏に聞かされたテープに入っていた、戸川さんが歌う「蘇州夜曲」に衝撃を受け、戸川さんをこのユニットに誘った張本人、上野耕路氏。作曲とすべての演奏を担当。そして、作詞とアートワーク、あとコンセプトメーカー的な役割も担っていたと思われる太田螢一氏の3人。太田氏の名前で思い出すのは、坂本教授が「サウンドストリート」で「オオタキ・エイイチじゃないですよ、オオタ・ケイイチですからね」と言っていたことですね。妙に耳に残ってます。

先生:ポールさん、記憶めちゃくちゃいいですね! ゲルニカの動画を探してみたんですが、結構出てきます。高橋幸宏・細野晴臣両氏がゲルニカを紹介するという貴重な動画があります。これはゲルニカとして初TV出演だったようで、戸川純ちゃん以上に上野耕路氏がどう見ても挙動不審。「蘇州夜曲」をちょっとだけやって、「復興の唄」へと・・・いや、戦後を思い出します。



ポール:この番組、リアルタイムで見てましたよ。たしか同じ番組でホストが違う回もあったと思うんですが、そっちは盛り上がってるんですよ、普通にワーッて。でも細野さんと幸宏氏のときは、客席が妙に静かで、異様な雰囲気でした。正直、見ててつらかったような記憶があります。というか、どう受け止めていいかわからなかったのかもしれないですね。笑っていいのかいけないのか。ギャグっぽいことやっても、ドッとウケるわけでもないし、ドヨドヨ〜…と周りを気にしつつ笑う感じというか。誰かが「YMOのライヴは職員室に行く感じ」と言ってた人がいましたが、それに近いのかもしれない。上野氏のしゃべり方は、『音版ビックリハウス ウルトラサイケビックリパーティー』のときと一緒ですね。あれは作ったキャラじゃなかったんだな。

先生:現在、ゲルニカのカヴァーした「蘇州夜曲」は、CD Box『GUERNICA IN MEMORIA FUTURI 〜ゲルニカ20周年記念完全盤〜』(2002年)に収録されていますが、このBoxは家宝にしたいです。ゲルニカの3枚のアルバム『改造への躍動』(1982年、)『新世紀への運河』(1988年)、『電離層からの眼差し』(1989年)に未発表音源も含めたまさにゲルニカの集大成です。

GUERNICA IN MEMORIA FUTURI~ゲルニカ20周年記念盤~GUERNICA IN MEMORIA FUTURI~ゲルニカ20周年記念盤~
アーティスト:ゲルニカ
販売元:インペリアルレコード
(2002-12-04)
販売元:Amazon.co.jp
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ポール:僕の持ってるのは、もうプラケースになってる再プレス盤のやつでした。それでも入手困難でしたね。ライヴとかデモ音源とかリハーサル音源まで入ってて、素晴らしいですね。

先生:これが出る前、「蘇州夜曲」聴きたさにCRAGALE RECORDSからの『NEO POPS 1982』というCD(CD-R)を買いました。これは夢音で行われたライヴ録音テープをCD-R化したもので、トイレットペーパーのパッケージがジャケです(笑)。

neopops1982


ポール:あの三軒茶屋のインディーズ系レコード屋、FUJIYAMAのページに載ってますね。

先生:シングルになった『銀輪は唄う』はちゃんとPVもあるんですね。当時、見た覚えがないのですが、作詞作曲編曲、演奏、歌唱、映像、全てにおいて完璧と言える作品だと思います。ただ、懐メロっぽい曲を作ってみたとかいうレベルではなく、聴く者を時代に吸い込む力がありますね。

ginrinwautau




ポール:このシングル、最初に聞いたときは「あれ、シンセじゃないのか〜」と、ちょっとガッカリした覚えがありますね。でも、今でもデモテープをそのままレコード化してしまった『改造への躍動』(歌は録音し直してあるそうです)に対して、「やっぱり新録したかった」と言う上野氏が、本当にやりたかったことはこっちなんでしょうね。よく神保町に行く自分にとっては、B面「マロニエ読本」のほうが好きだったりします。歌詞がまたいいんですよ。

先生:この曲が使用された「スイートキッス」のCMは見覚えがあります。ゲルニカのようなマニアックな志向のユニットがCMに使われたのは画期的です。この時代、セブンアップ飲料という会社名ですね。



ポール:これ、リアルタイムでは見た覚えがないんです。ただ、¥ENレーベルのファンクラブ「¥EN友会」に入ってまして、そのファンクラブのイベントで¥ENひるがた会(¥ENゆうがた会に当選しなかった人たちのための追加公演)ていうのがあったんですよ。そこでビデオ上映会があって、そのとき初めて見たような記憶がありますね。上野氏のアップのとき、客席で笑いが起こってました。

先生:ゲルニカの3枚のアルバム、やはり、¥ENからリリースされた1st『改造への躍動』が時代的にもテクノ度一番高いですね。2nd以降のオーケストラ・アレンジも好きですが・・・

改造への躍動(紙ジャケット仕様)改造への躍動(紙ジャケット仕様)
アーティスト:ゲルニカ
販売元:Sony Music Direct
(2006-02-22)
販売元:Amazon.co.jp
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ポール:『改造への躍動』は、リアルタイムで買いましたよ。でも当時小学5年生ぐらいで、何だかよくわからなかったんです。前例がなかったですし。でも抵抗もなかったですけどね。「カフェ・ド・サヰコ」はテクノっぽくてすぐ好きになりましたね。しかし、1stをリリースした1982年当時の3人の年齢、戸川さんが21歳、上野氏が22歳、太田氏が25歳、ってなんなんでしょう。上野氏はもっと年上かと思ってたんですけど、戸川さんのひとつ上だったんですね。22歳であんなものすごい曲書いてたなんて、とんでもないっスねぇ。2ndと3rdも濃くて好きですけど、思い入れも含めて1stがいちばん好きですね。

先生:ゲルニカって、大好きなんですけど、同時に聴き過ぎると、精神的にふっと落ち込んでしまいそうな魔力がありますね。「潜水艦」とか(笑)。当然、それも含めてゲルニカの良さだと思うんですけど。

ポール:2ndと3rdは特に、鑑賞するような感じでかしこまって聴いちゃうような、堅苦しさがありますね。1stとの違いはなんなんでしょうね。戸川さんがうまくなりすぎたからかな?

先生:最後に、ゲルニカの公式サイトを紹介しておきます。太田螢一氏のアートワークも含め、カッコいいサイトです。

ポール:おぉ。「サウンドール」に載ってた太田氏の連載漫画を思い出しますね。いやー、好きですね、太田氏の気持ち悪良いイラストは。ヒカシューの『うわさの人類』とか、少年ホームランズ『少年ホームランズ』、やぎ『IL NEIGE』それぞれのジャケ、みんな好きです。一度見たら頭から離れないインパクト。戸川さんがゲルニカに対して「まったく後継者がいない」と言ってましたけど、太田さんの画風もそうですよね。まったく独特。

先生:tetsuさんには大阪か東京で会う事が多いですが、名古屋は本拠地ですよね。

tetsu:今は名古屋ですね。どこの方ですか?とかよく言われますけどね。

先生:じゃ、しず風に続いて、名古屋の原奈津子ちゃんのお話をしましょう。彼女にはAll Aboutでインタヴューさせてもらいました。正確には、彼女の出身地は、日本のデンマークと呼ばれる安城市ですけど。

tetsu:デンマークだったんですか(笑)。ご本人から聞いた記憶があったようななかったような・・・
ご本人は、I LOVE安城っぽいMCをされることもあります。私自身、安城に行ったことは、今年AKBの総選挙を映画館に観に行ったことぐらいで、それ以外ないです。名古屋の映画館がいっぱいだったので行っちゃいました。

先生:彼女の所属サークルは、誉天満宮(凄い名前!)ですが、そこからは『HOMA-10』(2010年)というアイドル満載のオムニバスCDも出ていますね。ここには他にテクノポップ系アイドルはいるのでしょうか?

homa10


tetsu:今は『HOMA-10+』という続編も出ています。でも、テクノポップアイドルと言っているのは、ハラナツさんだけです。ONE★TOPPSも月の華三姉妹Rwも解散しちゃいましたし・・・ 基本そのアルバムの作曲された曲はテクノポップ調ですよ。

homa10plus


先生:今まで、『シンデレラガール』『スキップLaTaTaTaTa♪』『Shooting☆Star』がリリースされていますが、僕は2ndの『スキップ・・・』が一番好きかな。
tetsuさんは? 彼女の場合は元気あふれる歌い方に特徴がありますね。どちらかと言えば、80年代的。

skiplatatatata


tetsu:「I wish you're here」が好きです。いちばんカッコよくないですか?

先生:見逃していました! なかなか奈津子ちゃんらしい曲。前述の『HOMA-10』に収録されている曲ですが、公認非公式PVもありますね。



ライヴは、Zoo Stationと言うハコを中心にやっているみたいですね。僕は言ったことないのですが、どんなハコですか? ここは誉天満宮が所有しているんですか?

tetsu:小さな商業ビルの最上階にあるほんと小さい箱です。誉天満宮でなくて、主にハラナツさん等の作曲しているTAKUYAさんが店長やっている店というだけだと思います。たぶんですが・・・

先生:インタヴューでも質問したのですが、岐阜ラジオでレギュラーパーソナリティをしているとの事ですが、聴かれた事はありますか?

tetsu:すみません。ほんと私、ラジオとかあまり興味ないんです。ライヴの現場さえあれば満足なもので・・・ 今もあるのかなぁ・・・

先生:彼女のプロフィールを見ていると、ちょっと変で、面白いのかなと。
例えば・・・
最近ハマっているものは? フラフープ・本気ハンカチ落とし
Sですか?Mですか? どMです!でも最近?ww
○○なタイプです 天才と変態の間・・・とか


tetsu:ハラナツさんはですね。黙ってると、ほんとカワイイというかキレーな娘なんですよ。モデルのお仕事だって普通にやってますしね。振付も自分でやってるみたいですし、彼女からは、これまでと違うアイドルの姿を見せてやるっていう意気込みを感じるんですよ。 素の原奈津子なのか作っているのかわかりませんが、残念キャラというかコミカルなキャラを全面に出してやってるわけですよ。単純に凄い娘だなって思いますよ。普通じゃないですから。普通「奈津子サイテー」コールを要求するとか有り得ない(笑)。

先生:好感度がアップするいい話をありがとうございます。期待が膨らむ奈津子ちゃん。
では、次のテクノ系アイドルさんを紹介してください。まだ、名古屋系はあるんですか?

tetsu:もうそろそろ、大阪に行っちゃいましょう。次はMari7さんです。

先生:あ、tetsuさんも居たTECHROCKで僕もちょっとだけお会いしたMari7ちゃんですね。

博士:いよいよ出ました『ねぇ』 。
しかし、今年になってペースが速いですねぇ。

ねぇ(初回限定盤)(DVD付)ねぇ(初回限定盤)(DVD付)
アーティスト:Perfume
販売元:徳間ジャパンコミュニケーションズ
(2010-11-10)
販売元:Amazon.co.jp
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ねぇ(通常盤)ねぇ(通常盤)
アーティスト:Perfume
販売元:徳間ジャパンコミュニケーションズ
(2010-11-10)
販売元:Amazon.co.jp
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先生:(ちょっと嫌な予感)

博士:毎回注目のPVはなかなかの秀作ですねぇ。
シンプルながらシックな色調で統一された非常に綺麗な仕上がりねぇ。
前回の「VOICE」がキッチュな感じを狙うあまり、ちょっとチープな印象になってしまってたのに対し、かえってクールに決まりましたねぇ。
色調の統一は前々作「不自然なガール」にも通じますねぇ。



先生:(ちょっとうざい)
NATURAL BEAUTY BASICというスポンサーの意向もあるとは思いますが、原色が無い色使いが季節感も醸し出しています。今年の冬はピーコートが町に溢れそうです。ミリタリーに限りませんが、基本的に制服っぽい私服は好きです。

博士:アーティストの複製が登場するのはマドンナの「Frozen」やカイリー・ミノーグの「Come Into My World」などを思い起こさせます。クルクルとオルゴール人形の様に踊るPerfumeは実に可愛い。

先生:カイリーの「Come Into My World」のPVは、僕も大好きです。和製カイリー、片瀬那奈の「Babe」のPVでは複製はありませんでしたが、カイリーをオマージュしていました。
東京ドームでも披露した「ねぇ」のダンスは見ごたえがありました。3人でないとできないし、難易度もかなりアップしています。

博士:そうです、あ〜ちゃんも言ってた「アルゴリズムたいそう」ダンスですね。座った状態から体制を変えずに一気にすっと立ち上がったり・・・一見地味な動きですが超人的なテクニックを要するんですよ。 間奏の超高速ステップも見逃せない。

先生:NHK教育の「ピタゴラスイッチ」のアルゴリズムたいそうって、CDまで出ているんですね〜。Perfume ver.よりも簡単そうですが・・・

NHKピタゴラスイッチ アルゴリズムたいそうNHKピタゴラスイッチ アルゴリズムたいそう
アーティスト:いつもここから
販売元:ワーナーミュージック・ジャパン
(2003-06-25)
販売元:Amazon.co.jp
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博士:ただ映像処理的には最後の詰めがやや甘い気もしました。合成の切り代わりがややブツ切りな感じがする点。せっかくならシームレスな感じで虚像が増える仕掛けとか、虚像が作ったブリッジの間を実像が潜り抜ける・・・とかまでやってほしかった。

先生:中田ヤスタカは「ねぇ」というフレーズが好きですねぇ。
「Dream Fighter」では・・・「ねぇ みんなが言う普通」
「575」では・・・「ねぇねぇ今なにしてるの?」
と、「ねぇ」が良く出てきます。
「ねぇ」って日本語独自の表現で、英語などでそれに相当する言葉が思い浮かびません。
Google翻訳すると「Hey」とか出てくるけど、「ねぇ」の甘えている感じがない。でも、「Honey」でもないし・・・

博士:サビは「plastic smile」、Aメロ〜Bメロは「Dream Fighter」に近い感じですねぇ。

先生:自己循環してしまうのは、しょうがないでしょう。要所要所でエレクトロな音を混ぜつつ、ポップスとして綺麗に成立しています。フラゲの日、11月9日づけで、2位。1位は嵐ですが、最近のチャートは嵐とAKB48で占領されているのが、今の日本の現状ですねぇ。

Aira Mitsukiちゃんが11月17日にフルアルバムとしては、3作目となる『???(スリークエスチョン)』(2010年)をドロップします。2007年夏にデビューして以来、コンスタントにシングル&アルバムをリリースしてきたAiraちゃんですが、もう3年以上になるんだと思うと感慨深いです、と当事者でもない僕が言ってしまうと感情移入しすぎかもしれませんけど。

まぁ、なんとジャパネスクなジャケなんでしょう。意図的とも思えるこのフェイク感。まさかとは思いますが、ツアーはこのコスで、次はギターを弾くとか? なお、「Rainbow」はDVD付初回盤のみ、「last love」は通常盤のみ収録です。この「last love」、ご本人も気にいっているようですが、僕も好きです・・・何気ないけど、せつな系でキューン。

???(スリークエスチョン)(初回限定盤)(DVD付)???(スリークエスチョン)(初回限定盤)(DVD付)
アーティスト:AIRA MITSUKI
販売元:D-TOPIA UNIVERSE
(2010-11-17)
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???(スリークエスチョン)???(スリークエスチョン)
アーティスト:AIRA MITSUKI
販売元:D-TOPIA UNIVERSE
(2010-11-17)
販売元:Amazon.co.jp
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1曲目の「TRAIN TRAIN」は、ラッパーの環ROY(たまきろい)とコラボ。前回のミニアルバム『6 FORCE』からもエレクトロ・ヒップホップの前兆はありましたが、既に七尾旅人や□□□ともコラボしている環ROYですから、ヒップホップ・リスナーでなくても違和感はないでしょう。

既に先行PVも公開されている小沢健二の「愛し愛されて生きるのさ」(1994年)のカヴァーですが、原曲がネオアコ的だったのに対し、Aira ver.は渋谷系的なものは残しながらもテクノに変換しています。



今まで、アルバムの約半分くらいはかなり悲痛や苦悩が感じさせ、場合によっては出口が無い詞だったのですが、今回は全体的にポジティヴなんです。少し悩みつつも、一生懸命乗り越えようとする・・・例えば、「321」や「WHY TWO?」。



ラストを飾るのが、「LOVE Re:」。作曲のクレジットはHAN JAE HO、KIM SEUNG SOO、AN JUN SUNGというKARAなどのK-POPを手掛けている人達ですが、意外とアルバムにしっくりと収まっています。

テクノポップ〜エレクトロなテイストを基調としつつも、今回のアルバムでもAiraちゃん相変わらずのチャレンジ精神を発揮しています。このアルバムをひっさげて、来年1月から始まるツアーも楽しみです。

Aira Mitsuki LiVE TOUR 2011 『???』
日時/会場:
1月9日(日) 神奈川・川崎セルビアンナイト
1月10日(月・祝) 千葉・柏PALOOZA
1月16日(日) 愛知・名古屋SPIRAL
1月22日(土) 大阪FANJtwice
1月23日(日) 兵庫・神戸チキンジョージ
1月30日(日) 東京・恵比寿LIQUIDROOM

80年代OMDの話の後は、14年ぶりの新作『The History Of Modern』(2010年)について書きます。OMDは1996年にほぼ活動停止。その後、Andy McCluskeyはAtomic Kittenなどに曲を提供し、裏方に専念していました。

しかし、2006年にはOMDとしての活動を再開し、2007年よりツアーを開始し、『OMD Live: Architecture & Morality & More』(2008年)というライヴ・アルバムもリリースしました。

LiveLive
アーティスト:Orchestral Manoeuvres In The Dark
販売元:Eagle
(2008-12-24)
販売元:Amazon.co.jp
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僕にとって最近の一大ニュースだったBugglesの再結成ライヴ(2010年9月28日)のスペシャル・ゲストにOMDが出演。他にも、Alison Moyet(Yazoo)、Claudia Brucken(Propaganda)が登場しました。あ〜、行きたかった!!!

さて、OMDの新作の出来は? 正直なところ、80年代が全盛だったアーティストが復活して、当時を知るリスナーが納得できる作品をリリースする事は少ないです。そんな中、彼らの新作は変に時代に媚びることなく、OMD節を貫いている良作だと思います。メランコリーなテクノポップを作らせたら、俺達にはかなわないとの意気込みが伝わるのが、「Sister Marie Says」。どことなくメロディーは「エノラ・ゲイの悲劇」。PVでは、イギリス人然とした少女の不遇な日常が歌われています。なお、このアルバムは全英チャートで28位まで行きました。



ジャケは、過去のOMDやNew Orderの作品を手掛けてきたPeter Savilleによる幾何学模様!

History of ModernHistory of Modern
アーティスト:Omd
販売元:Bright Antenna
(2010-09-28)
販売元:Amazon.co.jp
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OMDの14年ぶりの新作『The History Of Modern』がリリースされました。80年代の代表的な英国のエレポップ・バンドですが、当時、Orchestral Manoeuvres in the Darkって長ったらしい名前だなと思いつつ、3文字アクロニムにELOやYMOを投影していました。先ずは、80年代のOMDについて語ります。メンバー移動がありましたが、濃い眉毛が特徴のAndy McCluskeyとPaul Humphreysが中心メンバー。

彼らの代表曲と言えば、“悲劇”の名曲「エノラ・ゲイの悲劇(Enora Gay)」(1980年)。この曲で、広島に原爆を投下したのは爆撃機の名前(同時に機長のお母さんの名前)は「エノラ・ゲイ」だと知りました。「エノラ・ゲイ、昨日は家に居るべきだったんだよ」「エノラ・ゲイ、こんな風に終わらせるべきじゃなかっただよ」と・・・心痛な歌詞です。人類史上の悲しい出来事をテーマにしながら、メランコリーだけど、こんなにポップな曲を作ってしまうところにイギリス人らしさと感じます。



1998年には、『The OMD Singles』様にSasha Remixも制作されました。こちらのPVはよりメッセージ性が強まっています。



他にもヒット曲や好きな曲がいっぱいあるOMDですが、個人的に好きなのが「Telsa Girls」(1984年)。過剰な音作りが80年代を極めています。



OMDのベストアルバムは複数出ていますが、お勧めなのはDVDもついた『Messages』(2008年)。

Messages: Greatest Hits (Bonus Dvd)Messages: Greatest Hits (Bonus Dvd)
アーティスト:OMD
販売元:Emd Int'l
(2008-08-21)
販売元:Amazon.co.jp
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オリジナルの『TRON』に続き、12月17日公開の『TRON: LEGACY』に話を移しましょう。昨年からいろいろな情報が流れていましたが、遂にDaft Punkの新曲「Derezzed」をバックにしたトレイラーも公開されました。



この映画におけるDaft Punkの起用は、ドンピシャすぎて、期待しすぎてしまいます。Daft Punk自ら監督を務めた『Electrorama』(2006年)というロードムーヴィーを公開していますが、このサントラはTodd RungdrenやBrian Enoなどの音源が使用されており、Daft Punkを聴きたかった人達には正直、不完全燃焼となるものでした。それだけに、さらに期待は高まってしまうのですが、公開音源を聴く限り、Daft Punk節が炸裂しそうな予感です。

サントラ『Tron: Legacy』の発売は、US盤が12月7日、日本盤が12月15日。それ以上に気になるのが、US盤が1,134円、日本盤が2,600円(本日のAmazon.co.jpでの価格)。円高の影響でさらに内外格差は広がり、日本盤は2倍以上の値段になっています。日本盤は初回限定仕様とありますが、よっぽど特典にでも価値がないと、US盤に流れてしまいそうです。

Tron LegacyTron Legacy
アーティスト:Various Artists
販売元:Walt Disney Records
(2010-12-07)
販売元:Amazon.co.jp
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トロン:レガシー オリジナル・サウンドトラックトロン:レガシー オリジナル・サウンドトラック
アーティスト:サントラ
販売元:WALT DISNEY RECORDS
(2010-12-15)
販売元:Amazon.co.jp
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もう一つの選択肢を紹介します。サントラ用の公式サイトで買えるCD+Digital Album+Tron Posterのセットが$34.98(海外送料別)。ポスターはもちろん、Daft Punkの二人がヘルメット姿で決めてくれています。

先ずはCMです。


東京ドーム公演「1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11」(2010年11月3日)セットリスト

01. シークレットシークレット(2009年)
02. 不自然なガール(2010年)
03. GAME(2008年)
04. ワンルームディスコ(2009年)
MC
05. ナチュラルに恋して(2010年)
06. love the world(2008年)
07. I still love U(2009年)
08. 575(2010年)
着替え
09. Perfumeの掟
10. VOICE(2010年) 
11. コンピューターシティ(2006年)
12. エレクトロワールド(2006年)
MC
13. パーフェクトスター パーフェクトスタイル(2006年)
14. Dream Fighter(2008年)
15. The best thing(2008年)〜セラミックガール(2008年)〜lovefool(2010年)
16. ジェニーはご機嫌ななめ(2003年)
17. コンピュータードライビング(2005年)
18. Perfume(2006年)
19. チョコレートディスコ(2007年)
20. Puppy Love(2008年)
21. wonder2(2006年)
<アンコール>
MC
22. ねぇ(2010年)
23. ポリリズム(2007年)  

先生:前回の対談でPerfumeが5万人キャパの東京ドームを埋め切れるのかと余計な心配をしながら話し合いましたが、見事にドームは埋まりましたね。

博士:今回は流石に5万人動員とあってか、なかなか知った人に出会わなかったですね。この年になると時間がたつのが早いのかコスプレーヤーもかなり入れ替わっていました。

先生:確かに。かしゆかのソックリさん(以前、All Aboutに出て頂いたちなゆかちゃんとは違う方)はクローンのように似ていましたね。

博士:オープニングから凝った演出で来ましたね。花道最端からせり出すやまるでウエディングドレスのような純白のドレスで花道をまるでヴァージンロードの様に歩いていく。中央のテントまで到達するとテントはぱっと散って演奏スタート。衣装はまるでリメイクされたかっこいいコスチューム。『TRON』を思い出しました。

先生:選曲的は、最新アルバム『トライアングル』は少なめに、メジャーデビューから最新シングルまでバランスをとっていましたね。個人的にはトリの「wonder2」とCM曲「lovefool」などが嬉しかったです。

博士:タイトルからしても、今までの活動の集大成という感じですね。ちょっと間隔があきましたが、今までのツアーの千秋楽という解釈も出来るでしょう。球場はすさまじいですね。カメラがアーティストにパンしても背景から観客が見切れない。人の海というより人の壁。オリンピックスタジアムのEL&Pを思い起こしました。往復音速で1秒位ずれるのでアンコールのタイミングが合わないんですよ。本当に驚異ですね。

先生:ドームでは、よっぽどいい席でない限り、Perfumeメンバーは肉眼では誰かの区別もつきにくいくらい点になってしまいますが、それを克服しようとする創意工夫がありましたね。会場は、正面にあるメインステージの大きなモニター、中央の立体的に配置されたモニター、周囲のモニターとモニターで張り巡らされていました。

博士:今回の演出で一つ気が付いたのがモニターを単にライヴ映像の拡大するためだけでなく、演出として使用しているという点。これは前回のアリーナ、代々木でも箱に仕掛けたモニターに写る虚像にメンバーの様に絡むという演出が斬新だったのですが、今回はその意図がより具体的でした。

先生:「575」までは割と淡々と流れて行きましたが、その後に来ましたね!

博士:毎回お馴染みに着替えコーナーでは、2007年にやった「感謝!感激!ポリ荒らし!〜あらためまして、Perfumeです〜」でやった「Perfumeの掟」が帰ってきました!

先生:「Perfumeの掟」は嬉しい誤算でした。あのマネキンが出てきたときに、「まさか」と思ったのですが、その「まさか」でしたね。モニターにもYasutaka Nakata (capsule)のクレジットが表示されましたね。その前のインストはクレジットが無かったので、他の人かと思いますが、聴き覚えがありません。

博士:かしゆかのソロダンスではモニターに移った等身大のかしゆか映像がまるでバックダンサーの様にフォローし、以前から気になっていたバックダンサーの必要性に対するPerfumeなりの回答だと思いました。

先生:歌わないで踊るだけのPerfumeって、演出がよければ、十分楽しめます。あ〜ちゃんがレーザー機関銃で客席に銃を向けるシーンは、本当に素敵な演出でした。撃たれたかった。

博士:正面の一番大きなモニターはモニターではなく完全に正面から撮影したときの背景として使用されており、エレクトロワールドではお馴染みのPVから人間を消去した背景ヴァージョンだったのが印象的でした。

先生:この手があるかと感心しました。PVの出来がいいPerfumeだからこそ出来る技です。

博士:この演出は今後もっと積極的に使用したら面白いのではないかと私は考えます。例えば、花道最端には2枚の等身大モニターが設置されて、そこに残り2人のメンバーの虚像が投影され、絶えず3人のフォーメーションが花道最端で存在するとか。生演奏では不可能ですが、秒単位まで演奏サイズを特定できるPerfumeのスタイルでは作りこめば可能な演出だと言えるでしょう。

先生:他の最近のドーム・ライヴを見ていたら、比較した上での考察ができたのですが、期待を超えてくれた部分も多かったです。

博士:サインボール蒔き、ゴンドラ乗り等々、アイドルのライヴでのエンターテーメントをよく研究して来た感じもします。 近未来3部作前後からの往年のファンにとって「アイドル化への危惧」みたいなのが毎回のテーマでしたが、「アイドルなんだ!」と割り切ってみるとこれはすさまじい破壊力を持ったアイドルという事になります。

先生:以前の対談で「純粋に一つの頂点を狙った記念公演的意味合いの方が強いのだと思います」と発言しました。確かに、あ〜ちゃんが泣いたりすると、その意味合いも感じましたが、同時にドームという難関をトータルな演出で楽しませようというPerfume及びスタッフの意気込みも伝わり、いい結果になっていたと思います。

博士:で、マカオで開催される「Mnet Asian Music Awards」には行くのですか?

先生:Perfumeに以前から世界進出をするべきだと主張している僕としては、スケジュールが合うのなら行きたいのですが、その日はあいにく用事あって無理です。まぁ、今後の展望についてはまた日を改めて話し合いましょう。

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