四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

2011年08月

ウクライナのmamamusic特集続行です。

先週のロシア語の授業で、ウクライナ出身の先生に「mamamusicを知っていますか?」と聞いたところ、NikitAは知っていたのですが(でも、ロシアのユニットだと先生は思っていたみたい)、mamamusicは知りませんでした。

ここまで来ると、柳の下にどじょうが何匹いるか?を数える状態ですが、NikitAに続いてウクライナのオリガ・ゴルバチョワ&アルクティカ(Ольга Горбачева и Арктика)がやってくれました。名前が色々あってややこしいのですが、フロントの女性の名前は、オリガ・ゴルバチョワ(Ольга Горбачева)。アルクティカ(Арктика)というのは、ユニット名のようで、手下のリタ(Рита)とダーシャ(Даша)を引き連れて活動しています。

2010年に問題のPV「Нечего Терять (Nothing To Lose)」はリリースされました。さっそうと家の中から現れる歩き始めるオリガちゃん。全然予想しない展開から、いつのまにかマッパの後ろ姿が! 次に現れるのが手下の二人。もちろん、マッパになります。


ほぼ同時期かと思いますが、アルクティカとして3人でウクライナ版PLAYBOY誌に予想通りに登場!
playboy-arctica

2回に渡って特集したHOLLYWOOD FMですが、結成時はFMが付いていなく、ただのHOLLYWOODであった事が判明。メンバーもアレシャ(Алеся)とユーリャ(Юля)の二人に加えて、ブルーネットのカーチャ(Катя)も在籍していました。ブロンド、赤毛、黒髪(ブルーネット)というのは、スラブ圏での黄金トリオなのでしょうか?

HOLLYWOOD時代に、グループの名前からそのまま取った「Hollywood」をという曲があります。HOLLWOOD FMでは清純と挑発の融合という高度な試みをしていましたが、こちらは割と普通のセクシー路線です。サウンド的にはNikitAを思わせるちょっとエレクトロなダンス曲。パパラッチという歌詞だけが聞きとれます。


HOLLYWOODについて調べてみると、由来はハリウッド・セレブらしい。
僕が推測する対比も含めて、具体的には以下のようなイメージです。
パリス・ヒルトン(Paris Hilton)=アレシャ
リンジー・ローハン(Lindsay Lohan)=ユーリャ
ニコル・リッチー(Nikole Richie)=カーチャ
・・・うーん、ニコルは違うな。

最後に、何故かカンフーに励むHOLLYWOOD FMの二人。でも、胴衣が微妙にセクシーで、男の子は気が散ると思います。

mamamusicの公式サイトを見てみると、こんなショッキングな報告が・・・
Группа HOLLYWOOD FM лишилась девственности.
Group HOLLYWOOD FM lost her virginity.

それもあの愛苦しいと言ったユーリャが、ウクライナのプレイボーイ誌の表紙に。mamamusicに所属するということは、プレイボーイ誌に出るという鉄則があるのでしょうか?どうして、アレシャは登場せず、ユーリャだけなのかは謎です。アレシャは続編なのでしょうか?
playboy-hollywoodfm


等と・・・いっぱいの疑問を抱えつつ、同時にダメ押しのようにPV「Догола(Stripping Off)」を公開。しかも、世界進出を狙っているのか、「Stripping Off」というタイトルで英語版のPVも製作しています。タイトルからも想起できますが、もちろんセクシー路線です。


どうやら、彼女達のコンセプトは、“清純と挑発の融合”のようです。

НеАнгелы (NeAngeli)に続いて、同じくmamamusic所属のHOLLYWOOD FMを紹介します。最近、メンバーチェンジしちゃったNikitAおレーベルメイト。まるでアメリカ西海岸からやって来たような名前ですが、ウクライナです。ソ連時代はイデオロギー的に張り合ってきたアメリカですが、ウクライナ・ロシアにとってアメリカ、特にハリウッドというは未だに憧れの対象なのでしょうか? 僕にとっては、ハリウッドよりもウクライナやキエフの方が魅力的です。

HOLLYWOOD FMは、アレシャ(Алеся)とユーリャ(Юля)の二人。ブロンドのアレシャは23歳、赤毛のユーリャは2歳下の20歳そこそこ。ウクライナの女性って、美しい赤毛の人が多いですね。

デビュー・アルバムは『Доверчивая(Trust)』(2010年)・・・ウクライナにしては清純派に見えます。白黒のジャケは正直、彼女達の魅力を伝えきれていないと思います。PVでは、特にユーリャはもっと愛苦しい。
trust


アルバムのタイトル曲「Доверчивая(Trust)」からは、ウクライナの哀愁が伝わります。白いドレスを着た二人は天使のようです。でも、この二人が・・・次回に置いておきます。

先週からロシア語教室に通っています。ウクライナ出身の先生は、僕がウクライナの音楽が好きですと言うと、「バイアグラ(Виа Гра)?」と返してきました。やはり、バイアグラはウクライナの国民的英雄なのか(そういう事にしておきます)? でも、NikitAくらいは知っていましたが、他の人達の名前を言うと知りませんでした。

先生に「好きなウクライナのアーティストを教えてください」と日本語で聞いたところ(当然ですが、習い始めの僕はロシア語聞けるほどのレベルではない)、二つのバンドを教えてくれました。
Океан Ельзи (Okean Elzy)
Воплі Відоплясова (Vopli Vidopliassova)・・・こちらはウクライナ語表記。ウクライナ語は「и」ではなく、「i」を使うのね。なるほど。舌をかみそうな名前なので、VVと省略。

真面目な生徒を自負する僕は早速調べてみました。
Ukranian Guideというサイトがあるのですが、そこにウクライナのロックバンドのベスト5というのがあります。すると、Okean Elzyも Vopli Vidopliassovaもベスト5に入っているじゃないですか! 先生、わりと趣味がメジャー(笑)。

YouTubeでも視聴をしました。すると、VVの「Чіо Чіо Сан (Chio Chio San)」(2009年)という変なPVを発見。ほぼ歌舞伎化粧、和風KISSみたいな四人が、「さくら・・・」なんちゃらと歌っています。千代さんへ捧げた歌なのしょうか? とにかくちょっと間違ったエキセントリックな日本が楽しめます。このバンドは1986年、つまりウクライナがソ連だった頃から活動していますが、このような曲は珍しく、曲によってカラーが違います。
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NeAngeliの二人と一緒にアルバム『Долго не было Тебя (Long Time No You)』(2010年)に写っていた中央にいる女性は、新メンバーなのかと思ったのですが、イスラエルから特別ゲストとして迎えたDana Internationalであると判明。
longtimenoyou


こちらはDana Internationalのベスト盤。しかし、Amazon.co.jpでの中古価格設定、やけに高い!
It's All for the BestIt's All for the Best
アーティスト:Dana International
(2009-01-01)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る


彼女は、男子として生まれましたが、1992年に性転換手術を受けて心身ともに女性となりました。そして、1998年には、イスラエル代表としてユーロヴィジョン・コンテストに「Diva」という曲で出場し、見事に優勝を果たしました。また、2000年には来日も果たしており、日本のTV番組にも登場しています。


こちらは、2007年に発表されたDana InternationalとNeAngeliの夢の共演曲「I Need Your Love」。セクシーさでは負けていません、Danaちゃん。

НеАнгелы (NeAngeli)の続きです。
どうやら、mamamusicの所属アーティストは、プレイボーイ誌と提携しているようです。NikitA、А.Р.М.И.Я.もそうでしたが、2006年7月号の表紙にNeAngeliは登場。
playboy-neangeli


セカンド・アルバム『Долго не было Тебя (Long Time No You)』(2010年)のジャケでは、3人になっていますが、うーん・・・3人目が誰なんだ(?)と調べてみたら、面白い事を発見。こちらは次回に回します。
longtimenoyou


さて、このアルバム収録曲としてお薦めPVは、「Убей меня (Kill Me)」。スラーヴァとヴィクトリヤのお二人、女性としてはかなりの低音で、妙な迫力があります。美女二人は何故か密林の中にハンターとして入り込み、川の中ではお決まりのセクシーショットも披露してくれます。寒いイメージのあるウクライナやロシアには見えないですが、一体この密林、どこなんでしょう?

はい、またウクライナです!
以前、ウクライナ人のマークさんに教えてもらったНеАнгелы(NeAngeliまたはNeAngelyと表記される)という2人組。意味は、No Angels(天使じゃない)でしょう。ちなみにドイツにもユーロダンス系5人組でNo Angelsというのがいます。メンバーは、赤毛のスラーヴァ(Слава)と黒髪のヴィクトリヤ(Виктория)。ちなみにスラーヴァの好物は寿司(うなぎ)と緑茶。知った所で役には立たないでしょうけど。

彼女達のデビュー・アルバム『Номер один (Number One)』(2006年)は、mamamusicからリリースされました。mamamusicと言えば、あのNikitAをプロデュースしたユーリ・ニキティン(Юрием Никитиным)のレーベル。もちろん、プロデュースは、ユーリ。
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「Ты Из Тех Самых (You're One Of Those)」が最初のヒット曲ですが・・・バイアグラを意識したような二人はくねくね踊りながら、終盤にはロシア・ウクライナでは定番の手ブラの決めポーズ!

前回のt.A.T.u.記事にて元t.A.T.u.のリェーナ(Лена)のソロ・デビューに関するコメントを頂いたので、早速書いてみます。

リェーナはt.A.T.u.解散後ソロの準備をアメリカでしているとのニュースは知っていたのですが、8月5日にiTunesにてシングル『Never Forget』(カップリングは「Stay」でデジタルブックレット付)が日本を含めて世界配信を開始しました。
neverforget


なんだか思わせぶりなタイトルですが、やはり歌詞は長年の相方であったユーリャ(Юля)に捧げられたもの。PVは、t.A.T.u.時代のPV「Snowfalls」(以前こちらで紹介)で描かれたバイクの爆発事故の続編です。爆発事故で死んだ二人の死体のシーンから始まります。ユーリャの死体はマネキンだと思われます・・・これはユーリャを登場させるための苦肉の策だったのでしょうか? ちなみにユーリャの死体に部分ぼかしが入る修正版とそうでない年齢制限が入る無修正版があります。


ソロ・デビューに以前のメンバーを登場させるというのは、ほぼ無いパターンですが、これは意外とすぐに二人でやり始めるのではないかと、デビュー早々に思ってしまいます。楽曲的にはそれほどテクノではない後期t.A.T.u.路線。やはりイワン時代の初期t.A.T.u.の衝動には至りません。

ちなみにリェーナはメキシコのエレクトロポップ・バンド、Belanovaとコラボしてリリースする予定だとか。なんだかロシアとメキシコって結びつかないですが、またフォローしてみたいと思います。

解散したt.A.T.u.を偲んで、t.A.T.u.のデビュー前の作品について書きます。

最近まで知らなかったのですが、『Поднебесная No. 1 (Underheaven No. 1)』というコンピが2004年にリリースされていました。
underheavenno1


t.A.T.u.のプロデューサーとしても知られるイワン・シャポヴァロフ(Иван Шаповалов)のプロジェクト、ポデネベスナヤ(Поднебесная)から命名されたものです。このプロジェクトの意図は、元々t.A.T.u.のセカンド・アルバムを製作するためのもので、リアリティ・ショーとしてTV番組としても放映されましたが、残念な事にイワンとt.A.T.u.はこの製作中に袂を別ち、番組も断ち切れとなりました。

「Prostye Dvizheniya (Простые движения)」をバックにこの番組のクリップらしきものが残っています。イワン本人も登場し、東京ドーム公演の様子なども覗えます。


肝心のこのコンピCDですが、厳密にはt.A.T.u.は収録されていません。代わりにレーナのソロver.「Belochka (Белочка)が収録されています。


他には、以前紹介したn.A.T.o.、t.A.T.u.に加入するのではと噂があったカーチャ・ネチャエヴァ(Катя Нечаева)、スキンヘッド(女子)のマーシャ・マカロヴァ(Маша Макарова)等の作品が収録さています。音楽的にはよく言えばバラエティに富んだ、悪く言えば統一性が無い、イワンはサウンド自体にはほとんど関与していないのではと思わせる内容です。

アルバムにも収録のマーシャの「Хуй Войне (Dick War)」は、ゴスメタル! マーシャはその後、マーシャ・イ・メドヴェージ(Маша и Медведи)というバンドで活動していましたが、解散したようです。

テクノな文脈でジェニーと言えば、Perfume、いやジューシィ・フルーツの「ジェニーはご機嫌ななめ」ですが、スプツニ子(Sputniko!)ちゃんのジェニーは、「カラスポット☆ジェニー」。

スプツニ子ちゃんには以前「スプツニ子さん〜彼女はサイエンス」でインタヴュー記事を掲載させてもらいましたが、理系女子とアートが繋がるとこんなに凄い事になるんだとニンマリさせてもらいました。
sputniko1


生理マシーン、寿司ボーグ、チンボーグなどと独創的過ぎるガジェットを作りだす彼女の発想には脱帽します。そして、今回はカラスボット。ボットはロボットですから、カラスロボット。これさえあれば、人とうまく交流できない理系女子だって、カラスと交信できます。


カラスボットは先にこのようなヴィジュアルが製作され、今回の動画作品となった訳ですが、次はチンボーグでよろしく☆スプ子ちゃん!
jenny


スプ子ちゃんのコメントは彼女のBlogで。
iTunesでも配信中!

久しぶりに日本の話題を。きゃりーぱみゅぱみゅが中田ヤスタカ・プロデュースで『PONPONPON』をリリースというニュースを聴いた時、正直新鮮味はありませんでした。青文字系雑誌(脱コンサバ、原宿っぽいやつらしい)を読むわけもない僕はきゃりーぱみゅぱみゅ自体知らなかったせいもあって、なんとなくオシャレ系女子の仕事をしたのかなぁ程度の記憶でした。


でも、「PONPONPON」のPVを見て、第一印象は覆りました。サウンド的には中田プロデュースのMEGっぽくもあるんですが、どPOP的完成度を感じます。それ以上に彼女のキャラを120%活用した映像の秀逸さに拍手したい。今や日本人のステレオタイプである“かわいさ”を強調しつつ、さりげなく不気味で混沌とした世界を作り上げています。

YouTubeのコメント欄を見てみると、やたらに英語のコメントが多い。海外のiTunesチャートでも健闘しているようですが、やはりこのあたりが世界が期待しているCOOLいやCRAZY(いい意味で)JAPANなんだと。

8月17日にはミニアルバム『もしもし原宿』も発売!
もしもし原宿(初回限定フォトブック仕様)もしもし原宿(初回限定フォトブック仕様)
アーティスト:きゃりーぱみゅぱみゅ
販売元:ワーナーミュージック・ジャパン
(2011-08-17)
販売元:Amazon.co.jp
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フィンランドのPVをサーチしていて、偶然発見したのがMunamiesの「Pomppufiilis」。Munamiesとは、フィンランド語で「タマゴ男、タマゴ君」・・・そんな感じ。英語ではEggyとなるようです。本名はRiku Niemisen。このタマゴ君、身長は60cm。当たり前ですが、お母さんはチキンママ。

ヘルシンキで録ったと思われるこのPV、タマゴ君は街中で飛び跳ねています。周りの人たち、警察官も消防士も皆で飛び跳ねます。正直、このタマゴ君の歌い方は気色悪い。でも、憎めない。いつのまにか癖になる。


英語版「Bouncy Feeling」もリリースされ、吹き替えPVもありますが、やはりフィンランド語の方が気色悪くていいです。

「タマゴ君の世界」と題した『Munamiehen maailma』(2011年)も好評発売中なんですが、日本で買うのは難しそうです。
munamies

UKが出版元のグローバルな雑誌「MONOCLE」というのがあります。ビジネスからカルチャーまで世界中の都市の話題を集めた、読んでいるとコスモポリタンになった気分になる雑誌です。
Monocle [UK] August 2011 (単号)Monocle [UK] August 2011 (単号)
販売元:DIP
(2011-06-28)
販売元:Amazon.co.jp
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「MONOCLE」8月号では、生活の質という点から、世界の都市のランキングを発表しています。1位に輝いたのは、フィンランドのヘルシンキ。2位以下、チューリッヒ、コペンハーゲン、ミュンヘン、メルボルンと続きます。ちなみに日本では、東京(9位)、福岡(16位)、京都(21位)が入っています。かなり主観的な基準だとは思いますが、確かにヘルシンキは物価が高いのを除けば、治安もいいし住みやすそうです。

ヘルシンキに滞在している時に、ミュージックTVでよく流れていたPVが、Haloo Helsinki!というバンドの「Maailman toisella puolen」。Elli、Jere、Leo、Jukkaの紅一点の4人組。YouTubeのPV視聴が地域指定になっているで、PVが紹介出来ないのが大変残念ですが、音だけでも聴いてください。時折レコード会社等の意向でこのような小細工をしていることがありますが、地域指定する意味が分からない。


この曲は、彼らの3枚目のアルバムにあたる『III』から。
III


フィンランド語なので意味は不明ですが、PVはバンドの名前にも相応しく、ヘルシンキで撮影されて、旅の気分を盛り上げてくれました。アルバム全体はどちらかと言えばポップロックですが、この曲はアコースティックとエレクトロニックがうまくかみ合ったメロディアスで耳残りがよろしい。

イギリスに「X Factor」という歌手デビューを目指すオーディションTV番組があります。この番組はイギリスだけではなく、ヨーロッパを中心に同じフォーマットで展開しています。審査委員には、Kylieの妹、Dannii Minogueも居ます。そのフィンランド版X Factorを足場にデビューをした歌姫がLeena Ihmemaassa(本名:Leena Tirronen)。ちなみにIhmemaassaとはWonderlandという意味。

彼女は、優勝した訳ではなく、3位に甘んじたのですが、めでたくSonyと契約し、アルバム『Leena Ihmemaassa』(2010年)でデビュー。
leena


このアルバム、ヘルシンキのスーパー内のCDコーナーで物色している際、買ったのですが、何も予備知識は無し。でも、このカメラ女子的ジャケが気にいったので、所謂ジャケ買い。カメラ女子ジャケと言えば、他にもドイツのAnnett Louisanもお薦め(また紹介します)。

アルバム収録曲としては、北欧エレクトロポップ的「Routa (Frost)」が気にいって、紹介したかったのですが、残念ながらPVがありません。よって、PVが製作された「Piru (Devil)」を紹介。確かの悪魔っぽい顔の男性とデートしているように見えます。

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