カレン族は、山岳民族全体の約半分を占めています(チェンライ山岳民族博物館のビデオによる)。タイには44万人くらい住んでいて、民族問題を抱えるミャンマーでは350万人くらいいます。ミャンマーに関する本も結構読みましたが、カレン族は頻繁に登場します。
同時にタイの山岳民族の中でもツーリズム的に重要な存在。
日本のテレビでもよく紹介しているのは、首長族としても知られるカレン族の支族の支族である3万人程度いるパダウン族。「パダウン」は「長い首」という意味。ツーリスト向けの村では、他の民族がどうせパダウン族のところでお土産を買うんでしょとちょっと妬まれる存在。この首輪で首が長くなる訳ではなく、肩が下がるだけです。超なで肩と行った方がいいでしょう。また、首輪は2、3年に一度、その道の専門家が取り替えてくれます(二つ目の写真では広がった首輪を僕が持っています)。
メーリムの首長族の村にいたパダウン族
タートンの首長族の村にいたパダウン族の女性と首輪
リングをしていないパダウン族と思われる女性に「どうして首輪をしていないの?」と訊いてみると、「妊娠してから嫌になってやめた」と言っていました。
メーリムの首長族の村
メーリムの首長族の村にいた子供たち(たぶんパダウン族)
タートンの首長族の村にいたパダウン族の女性たち
ちなみに男性はリングをしておらず、カラフルなチョッキがトレードマーク。柄はPaul Smithのような現代風から伝統柄まであるそうです。
タートンの首長族の村にいたパダウン族の男性
また、カヨー族もリングを装飾に使いますが、耳たぶの特大ピアスとひざ下・足首に使っています。ちなみに未婚の女性は基本白のトップスのようですが、子供の場合その限りではないのかと。
メーリムの首長族の村にいたカヨー族
タートンの首長族の村にいたカヨー族
エレファントキャンプの象使いの男性たちは、みんなカレン族(どの支族か知りません)。
エレファントキャンプの象使い
全ての支族を収録した訳ではないですが、民族は以下のように分類されます。
赤カレン族=カレニー族(Karenni)
> パダウン族(Padaung)=首長族=カヤン族(Kayan)[自称]
> カヨー族(Kayaw)=ブエ族(Bwe)=耳長族
白カレン族(White Karen)
> スゴー族(Sgaw)*
> ポー族(Pwo)*
*白カレン族に入れない研究者もいる
- 黒カレン族(Black Karen)
どうして首をあそこまで長くするのか? これには諸説あります。古い資料ですが、『世界の民族11(東南アジア大陸部)』(1979年、平凡社)によると・・・
(1) 首の長くした後、首輪を外すと自分で支えられなくなる。もし、女性が不貞を行った場合、首輪を外す事によって罰則的効果を生み出すという説。よって首輪は貞操の象徴。
(2) 首輪は装飾的意味合いもあるが、そして富と地位の象徴となる。首輪をつけた女性は高く評価される。
(3) パダウン族の発祥地には虎が多かった。女性を虎から守るため、虎に首を噛まれないように防具としてつけるようになった。
他にも、他の民族に奇異に見せる事によって、女性の略奪を防ぐなどがあります。
(1)については、首輪を長くしていて外している女性もおり、医学的にも肩が下がっているだけなので、罰則的効果については、僕は疑問です。また、とても長いのはかなりのお年の人だから、その心配もあまりないのでは? 貞操の象徴的意味はあるかもしれませんが・・・
(3)はなんだか物語的な後付け感がありますね。
同時に、首を長くする事が、現時点では自分たちの観光収入源となっている事も確かなので、由来ではないにしろ、今やっている理由としてはあるでしょう。
習慣としてして出来上がったものの理由の解明は難しいですが・・・今回現地で何度も彼女たちを見ていて、感じた事ががあります。首が長く見える首輪というのは、とても過剰な装飾で、その民族でない人には、最初は奇妙に見えるのかもしれません。基本、人間は、人間としての共通の美意識を共有しつつ、見慣れないものには抵抗を感じます。しかし、何度も見ているうちに、仲間(族)意識をもって文化的価値観な共有をしていく事で、それが美しいという感覚に変わるのではないかと。例えば、紫の服を来たパダウン族の女性、元々美人ですが、何度も見ていると、長く見える首となで肩は美の自己主張ではないかと感じるようになりました。
タートンの首長族の村にいたパダウン族の女性
パンクスやゴス系のファッション・髪型なども現代における過剰の美学なのかと。
National Geographicのパダウン族に関する動画
エコツーリズムの民族誌―北タイ山地民カレンの生活世界
著者:須永和博
販売元:春風社
(2012-10-29)
販売元:Amazon.co.jp
「遺された者こそ喰らえ」とトォン師は言った: タイ山岳民族カレンの村で
著者:吉田 清
販売元:晶文社
(2012-04-06)
販売元:Amazon.co.jp
同時にタイの山岳民族の中でもツーリズム的に重要な存在。
日本のテレビでもよく紹介しているのは、首長族としても知られるカレン族の支族の支族である3万人程度いるパダウン族。「パダウン」は「長い首」という意味。ツーリスト向けの村では、他の民族がどうせパダウン族のところでお土産を買うんでしょとちょっと妬まれる存在。この首輪で首が長くなる訳ではなく、肩が下がるだけです。超なで肩と行った方がいいでしょう。また、首輪は2、3年に一度、その道の専門家が取り替えてくれます(二つ目の写真では広がった首輪を僕が持っています)。
メーリムの首長族の村にいたパダウン族
タートンの首長族の村にいたパダウン族の女性と首輪
リングをしていないパダウン族と思われる女性に「どうして首輪をしていないの?」と訊いてみると、「妊娠してから嫌になってやめた」と言っていました。
メーリムの首長族の村
メーリムの首長族の村にいた子供たち(たぶんパダウン族)
タートンの首長族の村にいたパダウン族の女性たち
ちなみに男性はリングをしておらず、カラフルなチョッキがトレードマーク。柄はPaul Smithのような現代風から伝統柄まであるそうです。
タートンの首長族の村にいたパダウン族の男性
また、カヨー族もリングを装飾に使いますが、耳たぶの特大ピアスとひざ下・足首に使っています。ちなみに未婚の女性は基本白のトップスのようですが、子供の場合その限りではないのかと。
メーリムの首長族の村にいたカヨー族
タートンの首長族の村にいたカヨー族
エレファントキャンプの象使いの男性たちは、みんなカレン族(どの支族か知りません)。
エレファントキャンプの象使い
全ての支族を収録した訳ではないですが、民族は以下のように分類されます。
赤カレン族=カレニー族(Karenni)
> パダウン族(Padaung)=首長族=カヤン族(Kayan)[自称]
> カヨー族(Kayaw)=ブエ族(Bwe)=耳長族
白カレン族(White Karen)
> スゴー族(Sgaw)*
> ポー族(Pwo)*
*白カレン族に入れない研究者もいる
- 黒カレン族(Black Karen)
どうして首をあそこまで長くするのか? これには諸説あります。古い資料ですが、『世界の民族11(東南アジア大陸部)』(1979年、平凡社)によると・・・
(1) 首の長くした後、首輪を外すと自分で支えられなくなる。もし、女性が不貞を行った場合、首輪を外す事によって罰則的効果を生み出すという説。よって首輪は貞操の象徴。
(2) 首輪は装飾的意味合いもあるが、そして富と地位の象徴となる。首輪をつけた女性は高く評価される。
(3) パダウン族の発祥地には虎が多かった。女性を虎から守るため、虎に首を噛まれないように防具としてつけるようになった。
他にも、他の民族に奇異に見せる事によって、女性の略奪を防ぐなどがあります。
(1)については、首輪を長くしていて外している女性もおり、医学的にも肩が下がっているだけなので、罰則的効果については、僕は疑問です。また、とても長いのはかなりのお年の人だから、その心配もあまりないのでは? 貞操の象徴的意味はあるかもしれませんが・・・
(3)はなんだか物語的な後付け感がありますね。
同時に、首を長くする事が、現時点では自分たちの観光収入源となっている事も確かなので、由来ではないにしろ、今やっている理由としてはあるでしょう。
習慣としてして出来上がったものの理由の解明は難しいですが・・・今回現地で何度も彼女たちを見ていて、感じた事ががあります。首が長く見える首輪というのは、とても過剰な装飾で、その民族でない人には、最初は奇妙に見えるのかもしれません。基本、人間は、人間としての共通の美意識を共有しつつ、見慣れないものには抵抗を感じます。しかし、何度も見ているうちに、仲間(族)意識をもって文化的価値観な共有をしていく事で、それが美しいという感覚に変わるのではないかと。例えば、紫の服を来たパダウン族の女性、元々美人ですが、何度も見ていると、長く見える首となで肩は美の自己主張ではないかと感じるようになりました。
タートンの首長族の村にいたパダウン族の女性
パンクスやゴス系のファッション・髪型なども現代における過剰の美学なのかと。
National Geographicのパダウン族に関する動画
エコツーリズムの民族誌―北タイ山地民カレンの生活世界
著者:須永和博
販売元:春風社
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「遺された者こそ喰らえ」とトォン師は言った: タイ山岳民族カレンの村で
著者:吉田 清
販売元:晶文社
(2012-04-06)
販売元:Amazon.co.jp