四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

カテゴリ: カヴァー曲

ファナ・モリーナの次は、同じくアルゼンチンのロリ・モリーナ(Loli Molina)ちゃん。別にロリとファナに血縁関係はありませんが、ファナがロリ・モリーナを2007年のブエノスアイレス・フォーク・フェスティバルに招待しています。ブエノスアイレスは、人口300万人を超えるアルゼンチンの首都。近郊部を含めると1300万人となる世界でもトップクラスの都市圏です。タンゴ、フォルクローレくらしか音楽的イメージがないのですが、アルゼンチン音響派以外にもきっといろいろなシーンがあるのではないかと・・・一度、訪れてみたいです。

彼女のデビュー・アルバムは、『Los Senderos Amarillos』(2008年)。

Los Senderos AmarillosLos Senderos Amarillos
アーティスト:Loli Molina
販売元:Bmg
(2008-11-24)
販売元:Amazon.co.jp
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「Hasta El Mar」などを聴いてみると、ファナと比べあくまでもアコギを主体とした歌モノとしてのポップです。それ以上に、ロリだから、ロリータ・ヴォイスとまでは言いませんが、エンジェル・ヴォイスは彼女の武器でしょう。



面白いのは、Culture Clubの「Karma Chameleon(カーマは気まぐれ)」のカヴァーを試みている事。オリジナルは、Culture Clubの最大のヒットとなり、全米1位になった唯一の曲ですが、シンプルながら原曲の良さを伝えるカヴァーです。

来たる12月15日にMichael Jacksonのアルバム『Michael』がリリースされます。どうして、それがここで話題になるのか? 下のトラックリストを見てください。あの曰く付きのYMOのカヴァー曲「Behind The Mask」が収録されるからです。説明するまでもありませんが、この曲は、アルバム『Solid State Survior』(1979年)に収められていたYMOの代表曲の一つ。

MICHAELMICHAEL
アーティスト:マイケル・ジャクソン
販売元:ソニーミュージックジャパンインターナショナル
(2010-12-15)
販売元:Amazon.co.jp
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01. Hold My Hand (Duet with Akon)
02. Hollywood Tonight
03. Keep Your Head Up
04. (I Like) The Way You Love Me
05. Monster (Featuring 50 Cent)
06. Best Of Joy
07. Breaking News
08. (I Can't Make It) Another Day (Featuring Lenny Kravitz)
09. Behind The Mask
10. Much Too Soon

どうしてMichaelがYMO曲をカヴァーする事になったか? Michaelのプロデューサーと言えば、Quicy Jones。Quicyが気にいったため、「Behind The Mask」は、Michaelのアルバム『Thriller』(1982年)でカヴァーするはずだったのです。

この『Thriller』は人類史上最も多くの売り上げを記録した作品としてギネス世界記録として認定されており、今まで(2010年5月時点)全世界で1億500万枚の総売り上げを誇っています。

オリジナルの作詞をしたChris MosdellやYMOメンバーの発言からすると、強気のMichaelサイドと印税の配分について折り合いがつかず、お蔵入りとなった曰く付きの曲。『Thriller』に入っていたら、どれだけの印税が入ったのでしょう? まぁ、そんな生臭い話は置いておいて、当時、『Thriller』を買わなかった少数派の僕も、「Behind The Mask」があるのなら、買っていたでしょう。

しかし、MichaelのバンドでキーボードをしていたGreg Phillinganesが、アルバム『Pulse』(1984年)でこのマイケル・ヴァージョン「Behind The Mask」を収録。

パルス(紙ジャケット仕様)パルス(紙ジャケット仕様)
アーティスト:グレッグ・フィリンゲインズ
販売元:BMG JAPAN
(2008-09-24)
販売元:Amazon.co.jp
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また、Greg Phillinganesがエリック・クラプトンのバックバンドのメンバーであった事もあり、Eric Claptonもこの曲のカヴァーをアルバム『August』(1986年)に収録しました。教授自身もマイケル・ヴァージョンを元にしたセルフ・カヴァーをミニアルバム『Behind The Mask』(1987年)に収録しています。

オーガストオーガスト
アーティスト:エリック・クラプトン
販売元:ワーナーミュージック・ジャパン
(2006-08-23)
販売元:Amazon.co.jp
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今回、この「Behind The Mask」がどういった経緯で日の目を見る事になったのか、大変興味深いです。

前回に続き、しつこく「戦場のメリークリスマス(Merry Christmas Mr. Lawrence)」でしす。この曲については、All Aboutテクノポップにて「戦場のメリークリスマス」記事で「何故、この曲のカヴァーが多いのか?」という分析を行い、43曲のカヴァーを紹介しました。それ以降も「戦メリ」カヴァーは増殖中で、取りこぼしていたものも含めて紹介したいと思います。

教授自身も、オリジナル以外にも『Media Bahn Live』(1986年)、『Playing The Orchestra』(1988年)、『Coda』(1993年)、『1996』(1996年)、『/04』(2004年)、『Playing the Piano 2009 Japan』(2009年)等でセルフカヴァーをしています。iTune Storeでは、さらに複数の場所で録音されたライヴ曲を配信しています。全部そろえてどうする(?)とは思いますが・・・ 基本、ピアノversionです。でも、僕はワイングラス効果なのか、オリジナルに一番、愛着を感じます。

ごく最近もcommmonsからリリースされた『Christmas Songs』(2010年)にもリミックス「Merry Christmas Mr. Lawrence -re-modeled by Goro Ito-」が収録されています。

Christmas SongsChristmas Songs
アーティスト:オムニバス
販売元:commmons
(2010-11-17)
販売元:Amazon.co.jp
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先ずは、最近話題の宇多田ヒカルちゃん。UniversalからリリースされたUtada名義の方のアルバム『This Is The One』(2009年)に収録の「Merry Christmas Mr. Lawrence - FYI」。宇多田ヒカルって、a-haの「Take On Me」もそうですが、80年代カヴァーが結構好きみたいです。歌詞がないと宇多田ヒカルは歌えません。David Sylvianが歌った「Forbidden Colours」(曲は「戦メリ」)ではなく、新たに英語詞が作られ、バイオリン音が目立つカヴァーです。 ちなみにこの曲は、宇多田本人が自ら不買をほのめかすツイートをしたユニバーサルからの『Utada The Best』(2010年)にもちゃんと収録されています。

Utada The BestUtada The Best
アーティスト:UTADA
販売元:ユニバーサル インターナショナル
(2010-11-24)
販売元:Amazon.co.jp
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他、いくつか紹介します。
■ブラジルの女性ドラマー、Vera Figueiredoのアルバム『Vera Figueiredo』(1999年)に収録。
■Watergateの「Heart Of Asia」(2000年)。トランス系カヴァーは正直言って、きついのもありますが、これは聴けます。PVは「間違った日本」的センスに溢れています。
■R&B系のAlのちょっとスローな日本語歌詞付き「Merry Christmas Mr. Lawrence」(2003年)。
■メロディックハードコア系のFACTのアルバム『FACT』(2009年)に収録。
■クラシック・ヴァイオリニストの宮本笑里とヴォーカリストのJadeからなる日米合体ユニット、Saint Voxの「Merry Christmas Mr. Lawrence - Rocket Girl」(2009年)。ちなみに中田ヤスタカが、JadeのSweetbox名義での「Everything Is Gonna Be Alright」をリミックスしています。
■Aira Mitsukiの『Airaの科学』(2009年)に収録の「戦場のメリークリスマス」。歌詞はフレンチ。

ハロウィンソング特集は、ほとんどコス特集となってしまいましたが、気分を変えてクリスマスソング特集をしましょう。

誰もが知る古くからのクリスマスソング「きよしこの夜」や「もろびとこぞりて」は、共に18世紀に作られた曲です。クリスマスソングは国内外問わず流行歌にも多いですが、上手くいけば、毎年のように流れる定番曲となります。商業的にという意味だけでなく、アーティスト自ら作った曲が、単に消費されず、毎年のように流れるというのは作った本人にとっても誇れる事でしょう。同時にクリスマスソングの定番になるだけの曲を作るのは至難の業です。90年代以降もクリスマスソングは発表され続けていますが、定番と呼ばれる曲の多くは80年代以前です。Mariah Careyの「恋人たちのクリスマス」(1994年)は例外的で、90年代以降の多くの曲はファン投票的に人気があるかもしれないけど、定番とまではなかなかいかないです。

クリスマスソングの定番としてまず挙げたいのが、洋楽ならWham!の「Last Christmas」(1984年)。当然、僕自身の世代感からなので、そうでない人もいるとは思いますが。当時は、第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンと呼ばれた英国のアーティストに勢いがあった時期。そんな中、Wham!はニューウェイヴというよりも、ルックスも手伝ってホワイトソウル的アイドルでした。「Wham Rap (Enjoy what you do?)」(1982年)ではラップもしていました。

僕はこの「Last Christmas」のPVが大好きです。ドラマ仕立てになっており、ソバージュの彼女を巡る三角関係を描いています。Andrew Ridgeleyが今年の彼氏で、元彼のGeorge Michaelが去年のクリスマスに無邪気に雪合戦をしていた事を回想するという・・・哀しいラブソング。クリスマスソングに失恋や叶わぬ恋の歌が多いイメージにも一役買っています。



George Michael自身もセルフ・カヴァーしていますが、「Last Christmas」は定番と言えるだけあって、多くのカヴァー曲が存在します。アメリカン・アイドルならHillary Duff、Ashley Tisdale、Backstreet Boys、'N SYNCなど、ダンス系ならWhigfield、Yoo-Yoo、Cascada、Alcazar、The Cheetah Girlsなど、日本なら織田裕二、松田聖子、BoAやEXILEなどもカヴァーしています。

いくつか紹介しましょう。
日本で「Last Christmas」(1993年)でデビューした日米ハーフの女の子、Nadia Gifford。当時5歳ですが、これはずるい。



ドイツの着信メロのキャラ、Crazy Frogの「Last Christmas」(2006年)。



これはデビュー前だと思いますが、イギリスのエレクトロ歌姫、Little Bootsちゃんは他にもカヴァーを披露していました。



他、Darren Hayes(Savage Gardenヴァージョンもあり)、Billie Piper(スウェーデンの歌姫)、Erland Oye(Kings Of Convenience)、Volta Masters(ブレイク〜ハウス系)などがお勧めです。

11月の新譜情報でも紹介した『ラップ歌謡』を掘り下げてみます。全ての“歌謡”について言える事ですが、○○○歌謡というのは日本で独自に進化したジャンル。日本のガラパゴス化を憂う今日この頃ですが、このガラパゴス化は歓迎したいです。

テクノ歌謡の時にも、どこからどこまでがテクノで、テクノ歌謡とテクノポップの境界線は・・・という微笑ましい論点がありました。ラップ歌謡の場合、ラップという割とはっきりした歌唱法で判断ができます。問題は、ラップ歌謡なのか、日本のヒップホップ(J-HIP HOP)なのか、このあたりには多少のグレイゾーンはありそうです。J-RAPという呼称もありますね。

一通り、検証してから結論付けたいと思いますが、3つくらいの傾向が見えてきます。

1)ラップ歌謡にはノヴェルティーソングが多い
2)コメディアンが歌うラップ歌謡が多い
3)子供が歌うラップ歌謡が結構ある

では、シリーズ第1弾『ラップ歌謡 フォローしてちょうだい』(2010年)について話を進めましょう。

ラップ歌謡 [第1弾] フォローしてちょうだいラップ歌謡 [第1弾] フォローしてちょうだい
アーティスト:オムニバス
販売元:Pヴァイン・レコード
(2010-11-03)
販売元:Amazon.co.jp
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01. M.C.コミヤ「ケンタイキ」(1991年)
02. 安達祐実「どーした!安達」(1994年)
03. diEZEl from JPS「たまごっちフリーク」(1997年)
04. たんたろう「牛タン・ラップ」(2003年)
05. 若松市政&アフリカ「ストロングマシーンWe are No.1」(1985年)
06. YLA-MAGO「T YO ROCK」(1984年)
07. 砂東由香利「わい わい わい・・・」(1982年)
08. ザ・ナンバーワン・バンド「うわさのカム・トゥ・ハワイ」(1982年)
09. メッケ隊「STYLIST A GO-GO!! 」(1996年)
10. 桂ざこば「尽くさんかい」(1999年)
11. L.L.COOL J太郎「J.Said Kock You Out」(2003年)
12. ジャドーズ「IKASUMAN」(1986年)
13. minako「プラネット・オブ・ジ・エイプ」(1995年)
14. 五十嵐寿也「ぶっちぎりバトルハッカーズ」(1987年)
15. ユリオカ超特Q「HAGE=RAP〜ハゲ革命★始まりの合図」(2005年)
16. 深津絵里と中上雅巳「NIGHT-CLUBBING」(1991年)

ラップ歌謡というと90年代というイメージが強いのですが、80年代のトラックが6曲も収録されています。初めて知るラップ歌謡、CDを持っていたけれど再発見したラップ歌謡など、選曲者のこだわりと愛情を感じる内容となっています。

オープニングは、M.C.コミヤによるM.C. Hammerの「U Can't Touch This」の日本語カヴァー。この曲はラップ歌謡にコメディアンが多いという代表的なパターンで、M.C.コミヤはコント赤信号の小宮孝泰。シングルになった「遣唐使です〜ちょっと目立たない〜」もありますが、ミニアルバム『プリーズ・コミヤ・ドント・ハーテム』(1991年)に収録の「ケンタイキ」の方を収録。ちなみにこのアルバム・タイトルも本家の『プリーズ・ハマー・ドント・ハーテム』(1991年)から頂いていますが、ジャケも忠実にコピー。これは、単にコメディアンが流行りネタに便乗したという域を超えています。赤信号では一番目立たない存在の小宮さんが、突然輝いた記念盤でもあります。

kommierM.C.コミヤ/プリーズ・コミヤ・ドント・ハーテム
販売元:株式会社EMIミュージック・ジャパン
(1991-07-05)
販売元:Amazon.co.jp
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プリーズ・ハマー・ドント・ハーテムプリーズ・ハマー・ドント・ハーテム
アーティスト:M.C.ハマー
販売元:EMIミュージック・ジャパン
(2007-10-03)
販売元:Amazon.co.jp
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長くなってしまったので、続く・・・

ボリウッド映画「Disco Dancer」はまだ続きます。突っ込みどころ多いですから。「Jimmy Jimmy Aaja Aaja」という曲では、しょんぼりしている男性を励ますように女性がにこやかに踊っています。



実は、この曲の元ネタは、Ottawanというフランスのディスコ・ユニットの「T'es OK!(You're OK)」(1980年)。ディスコフリークの方ならご存知かもしれませんが、Ottawanの「D.I.S.C.O.」(1980年)はヨーロッパで大ヒットしました。彼らの曲は、Daniel VangardeとJean Klugerのチームが製作していますが、VangardeはDaft PunkのThomas Bangaltarの実父です。



D.I.S.C.O.D.I.S.C.O.
アーティスト:Ottawan
販売元:Delta
(2008-04-08)
販売元:Amazon.co.jp
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「Jimmy Jimmy Aaja Aaja」は、20年以上たって、スリランカ出身の女戦士、M.I.A.が2ndアルバム『KALA』(2007年)で「Jimmy」というタイトルでカヴァー。インドではなくスリランカですが、M.I.A.の少女時代の思い出の曲。やはり、「Disco Dancer」はニューウェイヴだったんですね。



カラカラ
アーティスト:M.I.A.
販売元:ホステス
(2010-02-24)
販売元:Amazon.co.jp
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アジア圏2カ国目はインド。韓国も継続していきますが、インドも並列で始めます。インドをモチーフにした日本のテクノポップなどはありますが、インドとテクノポップってなんだか結びつきそうで、結びつかない。でも、意外な事にインドはテクノポップの影響下に80年代初期からあったのです。独自の解釈で独自の進化(退化?)を遂げたものですが・・・

先ず紹介したいのは、あのBugglesの「ラジオスターの悲劇」のカヴァー。



いや、大っぴらにカヴァーと言っていないので、インスパイアというべきかもしれませんが。曲名は「Koi Yahan Nache Nache」(「Auva Auva Koi Yahan Nache」という表記もあります)。ヒンディー語かなと思って、Google翻訳してみましたが、翻訳不可能でしたが、動画のテロップからすると、「Somebody dance there」という意味なのでしょうか? メロディーはほぼ「ラジオスターの悲劇」で、バックの女性コーラスも「オーオーオーオゥ」と原曲に忠実ですが、アレンジは70年代ディスコ。そこにインド特有の風味が加わって、奇天烈なオリエンタルディスコとなっています。本家「ラジオスターの悲劇」を聴いたインド人は、「Nache Nache」のカヴァーだと思っているのでしょうか?



この曲は、1982年のボリウッド映画「Disco Dancer」から。この映画は突っ込みどころ満載なので、続編もお楽しみに。

スペインの次はどこにしようかなぁと考えていたんですが・・・オランダ王国にしましょう。オランダは1650万人くらいの人口。以前、よくヨーロッパ渡航の際、KLMに乗っていたので、アムステルダムは何度か行った事があります。オランダってHollandと言ったり、Nederlandと言ったり、Dutchと言ったり、呼び名が多いです。Dutchと言えば、「Double Dutch」。お笑いコンビの名前にもなっていますが、Malcolm McLarenの「Double Dutch」・・・これは二人のオランダ人ではなく、二本の縄を使った縄跳びの呼び名です。



話が妙な方向にそれましたので、戻します。オランダと言えば、古くは、「Venus」(1969年)や「Never Marry Railroad Man(悲しき鉄道員)」(1970年)等の世界的ヒットで知られるThe Shocking Blueが思い浮かびます。Ladytronの『Softcore Jukebox』というDJ Mixにも「Send Me A Postcard」が収録されていました。Shocking BlueなどのバンドはNederpopと呼ばれるらしいです。この「Venus」、意外にオランダ本国では最高位3位にしかならかなったのです。しかし、アメリカ、他の多くのヨーロッパ諸国では1位になっています。日本でもオリコン2位。



オリジナルの「Venus」のリミックスとしてお薦めなのが、『Soul Source REMIXED FEVERS』(2005年)に収録の福富幸宏さんによる「Venus (Yukihiro Fukutomi Remix)」です。

ソウル・ソース・リミックスド・フィーバーズソウル・ソース・リミックスド・フィーバーズ
アーティスト:オムニバス
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:2005-03-02
おすすめ度:3.0
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その後、1977年にLipstiqueのディスコ系カヴァー等がありますが、再ブレイクは約17年後。そして、「Venus」は、1986年にユーロビート路線に乗っかったBananaramaによってカヴァーされ、再び大ヒットしました。これは、彼女達が初めてStock Aitken Watermanと組んだ最初の作品でした。ユーロビートの影響下にあった日本でも、長山洋子、黒沢ひろみ、荻野目洋子などが、Shocking BlueというよりもBananaramaヴァージョンの「Venus」カヴァーをしました。



オランダの話からイギリスのBananaramaの話になってしまいました。Bananaramaは、その後Siobhan Fahey抜けて、一時新メンバーが加入していた時期があります。現在もKeren Woodward、Sarah Dallinの二人で活動しています。

All Aboutで行ったアーバンギャルドのインタヴュー記事「アーバンギャルドの証明」の番外編Part 2です。

少女三部作の三作目『少女の証明』(これからも少女シリーズは続くのだろうか?)から「プリント・クラブ」のPVも公開されました。

少女の証明少女の証明
アーティスト:アーバンギャルド
販売元:前衛都市
発売日:2010-10-08
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では、アーバンギャルドの浜崎容子さん(akaよこたん)と松永天馬さんにハルメンズについて聞いてみましょう。

先生:この度は、ハルメンズの再発と同時にリリースされるサエキ×Boogie theマッハモータースの『21世紀さんsings ハルメンズ』に参加されましたが、どのようなきっかけで?

21世紀さんsingsハルメンズ21世紀さんsingsハルメンズ
アーティスト:サエキけんぞう&Boogie the マッハモータース
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:2010-10-20
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浜崎:サエキさんご本人から直々にオファーをいただいたときは驚きました。メンバーが好きで影響受けているバンドさんから、まさかご指名いただけるとは。このような機会は滅多に無いと思い、喜んで受けさせていただきました。

松永:僕とサエキさんは僕が一ファンの時から細々面識はあったのですが、昨年「DRIVE TO 2010」のオファーを頂けた辺りからより親密にさせて頂いております。
ちなみに今回、僕はアルバム収録のライナーノーツを書かせていただきました。長年ハルメンズへと温めていた熱をぶちまけた内容となりました。

先生:松永さんがハルメンズ好きであると断定しています。(意識的か無意識かは別にして)アーバンの「リボン運動」はきっとハルメンズの「リズム運動」へのオマージュに違いないと・・・ ハルメンズとの出会いは?

松永:高校生の頃、ムーンライダーズなどの湾岸系から遡ってですね。
サエキさんは僕が中二の頃NHKで「ソリトン」という番組をやっていたので、既に存じ上げていました(余談ですが「ソリトン」は90年代に80年代の「YOU」的なサブカルチャー情報番組を目指したものだったらしいです。「ソリトン」シリーズをリアル中二病の時分に見てしまったことが、僕のその後の人格形成に少なからぬ影響を与えたことは言うまでもありません)

先生:当時テクノポップと呼ばれた人達の中では、異彩を放っていました。以前ZOLO系(ひねくれポップに近い)のバンドが好きな外国人の人にハルメンズを聴かせたら、感動していました(歌詞が分かったらもっと感動したかも)。

松永:ハルメンズのテクノポップは、いわゆる擬音で表されるような「ピコピコ」というよりは「ふにゃふにゃ」なんですよね(「ふにゃふにゃサイボーグ」って曲もありますね!)テクノポップ御三家のようにあからさまにソリッドではないし、尖った部分も何処となく弛緩している。この「ふにゃふにゃ」感がハルメンズ最大の特長であるように思います。
弛緩した未来観は当時の藤子不二雄的なSF世界というよりはレトロフューチャーな趣で、それも当時としては珍しかったのではと思います(過去未来折衷の様式は、上野耕路と戸川純、太田螢一で結成するゲルニカにも受け継がれていますね)。

先生:よこたんは2曲歌っていますね。「趣味の時代」は佐藤奈々子さんがコーラスで参加していた曲ですが、こちらのオリジナルは再度聴いてみたのですか?それとも意識しないために、そのままやってみたのですか?

浜崎:オリジナルも勿論拝聴いたしました。サエキさんからレコーディングの際に「伸び伸びといつものよこたんらしくやってくれ」と仰っていただいたので、オリジナルがどうとか関係なく全く新しい新曲のつもりで歌いました。「趣味の時代」はアーバンとの世界観とも近いものが合ったので楽しんでやれました。

松永:「趣味の時代」はいくつか頂いた候補の中から、僕が是非にとお願いしました。この男女ユニゾンによる狂気のテンションはアーバンギャルドにも通じる気がします。

先生:「ノスタル爺」はハルメンズの新曲なんですね! 今回のコラボの感想をぜひ聞かせてください。

浜崎:アーバンでやっているレコーディングの流れとは違ったものを経験でき、とても刺激的な体験でした。野宮真貴さんともお会いすることができ、夢のようなひと時でした。
「ノスタル爺」は未発表の新曲ということで、光栄でした。サエキさんのディレクションのもと、エキセントリックなニューウェイヴで凄く気に入っています。

先生:「ノスタル爺」は癖になる曲ですね。「ノスタルジィ〜♪」が頭の中でぐるぐるします。

松永:「ノスタル爺」は「時をかける老人」ともいえるような内容で、ミイラ化した「超高齢者」が多数発見される今の時代にピッタリな曲だと思います!

先生:「時をかける老人」・・・ウケます。
普通、老人とか爺とかはニューウェイヴの主人公にならないのですが、これがテーマとなるのがサエキマジックですね。最後にハルメンズで一番好きな曲は?

浜崎:やはり参加させて頂いた「趣味の時代」「ノスタル爺」は外せないですね。あとは「母子受精」とか。サエキさんの歌声が色っぽいです。

松永:全部いい!ですが「趣味の時代」「母子受精」の魅力は計り知れないです。母子受精された「街の落とし子」たちがゴムの都会を駆けるさまは、アーバンギャルドの原風景の一つでもあります。

「恋のマカレナ」に続いて、スペイン発のフラメンコポップとして大ヒットしたのは、Las Ketchupの「Asereje」です。別名「The Ketchup Song」。フラメンコポップとユーロディスコが合わさったような妙に癖になる曲。2002年の事ですから、まだ覚えておられる人もいるでしょう。メンバーは、Lola、Pilar、Lucia、Rocio からなる4人姉妹。僕は黒髪のLuciaちゃんが好きです。お父さんは、El Tomate(ザ・トマト)の名前で知られるフラメンコギタリスト、 Juan Munoz(ファン・ムネス)。トマトの娘だから、ケチャップという事みたいです。プチトマトじゃないんですね。最小年だったRocioは、お母さんの許しが出ず、大ヒット時点では一緒に活動していませんでした。PVは複数のヴァージョンがあるようです。



ケチャップ娘がやってきた!ケチャップ娘がやってきた!
アーティスト:ラス・ケチャップ
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル(2002-12-18)
おすすめ度:4.5
販売元:Amazon.co.jp
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タイトルの「Asereje」ってスペイン語っぽいですが、Google翻訳しても訳してくれません。歌詞にもある「Asereje ja de je de jebe tu de jebere・・・」というのは全くでたらめなスペイン語で、Sugarhill Gang の「Rapper's Delight」の歌詞がそう聞こえたという、大ヒット曲の割にはいい加減な感じがよろしいですね。「Rapper’s Delight」は初のラップ・シングルとされる有名曲で、あまりヒップホップに詳しくない人でも聴き覚えがあるかもしれません。Chicの「Good Times」のベースラインのフレーズが引用されており、同じく引用したと思われるBlondieの「Rapture」にも共通するものがあります。

この手の大ヒット曲は必ずと言っていいほど、日本では便乗組が出ます。期待を裏切らないですね~。ネーミングもスペイン語っぽくSOLTOMATINAが「フリフリ!~魔法のケチャップダンス~」というカヴァーをしています。Las Ketchupがいなかったら現れなかったユニットです。「スタコラサッサー」って歌うところが素敵(笑)。日本には珍しいラテン系アイドルユニットのBon Bon Blancoがカヴァーしてもよかったと思うんだけどな~。



フリフリ!~魔法のケチャップダンス~ (CCCD)フリフリ!~魔法のケチャップダンス~ (CCCD)
アーティスト:SOLTOMATINA
ソニーレコード(2003-01-22)
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イタリアと言えば、哀愁の国です。そのイメージにはGazeboも一端を担っているでしょう。Gazeboの場合、イタロディスコと言えるほど、ディスコしていませんが、彼の「I Like Chopin」(1983年)は全世界(アメリカ以外)で大ヒット。この曲で、ショパンはChopinと綴るんだと学習した人もいるでしょう。単語を羅列したような平易な英語の歌詞というのもかえってよかったのかも。



松任谷由実の日本語詞で、小林麻美が歌った「雨音はショパンの調べ」(1984年)は、見事オリコン1位に輝きました。実は、彼女のデビュー・シングル『初恋のメロディー』(1972年)のシングルは、僕が幼少の頃、買ったと思われるレコード。当時、子供心に歌唱力には疑問を持ちました。しかし、10年以上経って、こんな成長を遂げられたんです。1988年には武道館公演という偉業を達成しています。また、『an an』に登場する小林麻美はアンニュイの女王としても君臨しました。



CRYPTOGRAPH 愛の暗号
アーティスト:小林麻美
ソニーレコード(1990-10-15)
おすすめ度:5.0
販売元:Amazon.co.jp
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同じくシングルリリースされた「Lunatic(ルナティック 〜狂った優雅)」(1983年)は、曲の構造も「I Like Chopin」に似ています。あえて言えば、チョッパーベースがポイントになっています。



こちらも小林麻美が「月影のパラノイア」(1984年)というタイトルでカヴァーしていますが、一押しは、現在も女優として活躍する北原佐和子が「予感」(1985年)というタイトルでカヴァーした方。彼女の最後のシングルでもあります。これは、ムーンライダーズの岡田徹が編曲しただけあって、分厚いシンセ音が効いたルナティックなアレンジになっています。

北原佐和子 コンプリート・シングルズ&モア北原佐和子 コンプリート・シングルズ&モア
アーティスト:北原佐和子
テイチクエンタテインメント(2008-08-27)
おすすめ度:5.0
販売元:Amazon.co.jp
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先日、宇宙ヤングの笹公人さんとお会いしました。笹さんと言えば・・・
金星の王女わが家を訪れてYMOを好んで聴けり

などの独自の短歌を詠む歌人でもあります。
最近、和田誠さんと『連句遊戯』という本も出されました。怪奇、SF、芸能、歌謡等・・・自由な発想で連句が繰り広げられます。

連句遊戯連句遊戯
著者:笹 公人
白水社(2010-07-15)
販売元:Amazon.co.jp
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笹さんと話していて、話題に挙がったのが、YMOのコピーバンド、Chiba MO。YMOのカヴァーをした人達となると、最近のKeaneとかも含めて膨大になるのですが、YMOのコピーバンド(またはカヴァーバンド、トリビュートバンド)となると限られてきます。有名どころと言えば、2枚のアルバムをリリースしたYセツ王。他にもO-Setsu-Y、.EXE等のバンドも活動していました。OMYは、カヴァーというよりもYMO風(BeatlesのパロディーとしてのRutlesみたいな)。最近なら、『Hatsune Miku Orchestra』(2009年)をリリースした“HMOとかの中の人”。

Chiba M Oは、ITSUKIさん (Key/Vo)、HIDEさん (Guitar)、OTAさん (Bass)、MIYA さん(Drum/Arrange/Prog)の4人編成。YMOは3人ですが、ライヴをする前提で考えるとこの編成の方が正解でしょう。ITSUKIさんは女性ですが、YMOのライヴでのアッコちゃん的存在と捉えていいでしょう。3人にこだわり過ぎると、ギターはゲストみたいになってしまいますから。

Chiba M Oのオフィシャルサイトでは、現在、9つの動画が公開されています。YMOのファースト・アルバムからのカヴァーが多く、その中でも気にいったのが、「Mad Pierrot」のPV。完全に再現するというよりも、原曲の良さ(例えば初期のフュージョン色)を保ちつつ、音色が素敵なカヴァーをしています。ITSUKOさんのチャイナドレスも更によし(笑)。



ぜひ、トリビュート・アルバムも作ってほしいものです。

たまにはYMOネタをしましょう。All Aboutテクノポップで「YMOの遺伝子」というシリーズものをやってきました。基本、YMOカヴァーを特集していると考えてもらっていいです。
 
この記事を読んだdouyakuさんとい方から興味深いメールを頂きましたので、頂いた情報を元に一般のリリースでは見つからないYMOカヴァーを紹介します。

事の発端は、Wei Wei Wuu さんが、アルバム『Nomad』(2006年)にて「The End of Asia」のカヴァーをしている事をdouyakuさんが発見。そこから芋づる式になんと「Rydeen」も彼女が演奏していて、しかしその音源は市販のCDで無く、「楽譜」の模範演奏として付属しているCDがあるという事に行きついたのです。

NOMAD(遊牧民)NOMAD(遊牧民)
アーティスト:ウェイウェイ・ウー
販売元:ワーナーミュージック・ジャパン
発売日:2006-01-25
おすすめ度:5.0
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ここからは、douyakuさんが私に宛てて送ってくれた文章を紹介します。

現在、動画投稿ブームと「初音ミク」のおかげで打ち込みや生演奏でYMOをPlayする人が増えました。一昔前(DTMという言葉もハードも無かった頃)、MIDIデータはマニアックな人のための物でしたが、YMO関連では、1993年にRolandからFDに入ったデータとして『YMOスーパー・クラシックス』が売り出されました。

YMOスーパークラシックス
販売元:ドレミ楽譜出版社
発売日:1998-12-10
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YMOスーパー・クラシックス(RolandのAtelier Visionにあるダウンロード版)

1995年には2作目の『YMOスーパー・クラシックス2』が発売されました。

YMOスーパー・クラシックス(RolandのAtelier Visionにあるダウンロード版)

なんとその後本家から、『YMO SELFSERVICE』という名前でMP3データ(129曲分!)やマルチトラックの音素材を収録したCD-ROMがALFA/ASKから1998年にリリースされました。なんと気前の良い!また、先見の明がある配慮だったのでしょうか。改めてYMOの偉大さが確認されます。
*一部、四方が加筆しております。

selfservice
 
その後、MIDIデータや楽譜はいろいろ発売されましたが、私のような演奏できない人はあまり面白い物ではありません。そこで、面白い物といえば前述の「模範演奏」です。

古くは、1986年にドレミ楽譜出版社から出た『ELECTONE YMO SOUND』ですが、なんとアレンジ・演奏は、向谷実さん! おまけに「Cosmic Surfin’」を向谷さんがエレクトーンで弾いた模範演奏の「ソノ・シート」がついてます! 以前、NHK教育TVで向谷さんと松武秀樹さんがセッションし話題になりましたが、昔から縁があるようです。この本も「協力:アルファ・レコード」となってます。

その後、私が知る限りでは・・・

『Rittor Music ソロ・ギターのしらべ』(2000年)
最近、押尾コータローさんがコンサートで「ギター一本YMOメドレー」を披露して動画サイトで話題になりましたが、こちらで演奏した南澤大介さんも結構うまい!


『巫 謝慧(ウェイウェイ・ウー) 二胡曲集 Nomad~遊牧民 CD付』(2007年)
二胡の「Rydeen」と言えば、サントリー・ウーロン茶「音韻調」のCMが思い出されますが、残念ながらそちらの演奏者は、陳暁雁(チン・シャオイエ)さんです。違うのですが、癒されるのは同じ? ちなみにウェイウェイ・ウーさんは「Rydeen」のカヴァーをしたaminさんのお姉さんです。

巫 謝慧(ウェイウェイ・ウー) 二胡曲集 Nomad~遊牧民 CD付巫 謝慧(ウェイウェイ・ウー) 二胡曲集 Nomad~遊牧民 CD付
販売元:河合楽器製作所・出版事業部
発売日:2007-08-24
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『キーボードマガジン やっぱりJAZZが弾きたい!(お手本CD付) 』(2007年)
JAZZYな「Rydeen」が入ってます。

キーボードマガジン やっぱりJAZZが弾きたい!(お手本CD付)キーボードマガジン やっぱりJAZZが弾きたい!(お手本CD付)
著者:斉藤 修
販売元:リットーミュージック
発売日:2007-03-08
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『やさしいピアノソロ 坂本龍一スペシャル(CD+楽譜集)』(2009年)
「Citizens Of Science」のピアノソロって!

CD+楽譜集 やさしいピアノ・ソロ坂本龍一スペシャルCD+楽譜集 やさしいピアノ・ソロ坂本龍一スペシャル
著者:デプロMP
販売元:デプロMP
発売日:2009-06-20
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『大人が始めるピアノソロ 坂本龍一 名曲集 模範演奏CD付』(2010年) 
上の物と似てます。いかにも教科書って感じの演奏です。

大人が始めるピアノソロ 坂本龍一 名曲集 [模範演奏CD付] (大人が始めるピアノ・ソロ)大人が始めるピアノソロ 坂本龍一 名曲集 [模範演奏CD付] (大人が始めるピアノ・ソロ)
著者:久 隆信
販売元:シンコーミュージック
発売日:2010-03-17
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Winds Score [参考音源CD付] RYDEEN (YMO)
ブラスバンド用の楽譜がフルパート載ってます。最近ブラバン甲子園のCDで「Rydeen」が出ましたがこちらの方が古いです(演奏はあっさりしてます)。

以上、douyakuさんからのメールを元に、YMOカヴァー特集でした! douyakuさん、ありがとうございました!

Perfumeがぱふゅ〜む(なんだか、今見ると女芸人ユニットみたい)からPerfumeに表記変更をし、中田ヤスタカ・プロデュースで全国デビューを飾ったシングル『スウィートドーナッツ』。そのカップリングの「ジェニーはご機嫌ななめ」はライヴの定番曲となり、リード曲以上にファンの印象に残る作品となっています。このジューシィ・フルーツが80年代テクノポップとしてヒットさせた曲をカヴァーしたことは、「Perfumeって、テクノポップなんだ」と思わせるには重要な役割を果たしました。まぁ、当時、数少ないリスナーに対するメッセージではありましたが。

その後カヴァー曲としては、DVD『ファン・サーヴィス[bitter]』にライヴ音源として収録された、Peachyの「スーパージェットシューズ」をカヴァー。オリジナルのPeachyは、元プリンセス・プリンセスの奥居香がプロデュースした石井里香ちゃんですが、たぶんPerfumeのカヴァーの方が有名なのでは?

 

Perfumeとカヴァー曲という連想が出来なくなっていた時期を見計らってというよりも、PEPSI NEXの洋楽カヴァー企画に合わせたというのが、正しいのだとは思うのですが、PEPSI NEXCMで6月12日よりオンエアが始まった「Lovefool」は、The Cardigansのカヴァー。



90年代後半、渋谷系と連動する形で日本では特殊なスウェーディッシュポップ・ブームが起こり、日ス同盟でも結びそうな勢いでした。The Cardigansやプロデュースを手掛けたTore Johanssonはその代表格となり、Bonnie Pinkや原田知世などの日本人アーティストもToreのプロデュースでアルバムをリリースしていました。The Cardigansの中で日本で一番売れたのは、たぶん2作目の『LIFE』(1995年)でしょう。今回、Perfumeがカヴァーした「Lovefool」は3作目『First Band On The Moon』(1996年)に収録されています。この曲は、映画「ロミオ+ジュリエット」にも起用されました。



 

この曲、サビの部分は「Love Me Love Me」となるわけですが、最近、正確にはPerfumeより前の20091117日にアルバム『My World』にて、カナダ出身の16歳の少年、Justin Bieber君が「Love Me」というタイトルでカヴァーしています。R&Bっぽいポップスな仕上がりですね。このJustin君、ハイチ地震による被災者支援曲「We Are The World 25 Years for Haiti」でトップバッターを飾っている新鋭です。



 

Justin君のカヴァーを意識して、Perfumeにカヴァーさせたのかどうかは分からないですが、たった15秒、もしくは30秒のこのCM曲「Lovefool」は、Perfumeいう先入観を取り除いたとしても、凄くいい出来、たぶんフルで聴いたら、もっと凄いんじゃないかなと期待させる内容です。オリジナルのポップさは保ちつつもまるでPerfumeのオリジナルのように仕上げ、特にCMの終盤部にちょっとフィジェット気味になるあたりで・・・ワクワクしてしまいます。

普通、洋楽のカヴァーとなると、日本人アーティストで世界標準的なレベルの作品は数少ないのですが(例えば、YMOが「Soul Train」でやった「Tighten Up」などはその部類)、このPerfumeのカヴァーもその部類じゃないかと・・・その検証のためにもフルをぜひ811日発売のシングルに収録して欲しいものです。その際は、スウェーデン人に聴かせたい。

KeaneというUKのスリーピース・バンドをご存知でしょうか? 『Hopes And Fears』 (2004年)、『Under the Iron Sea』(2006年)、『Perfect Symmetry』(2008年)という3枚のアルバムをリリースし、全てのアルバムが全英1位を成し遂げています。彼らのデビュー・シングル「Somewhere Only We Know」は、ピアノを基調にしたUKバンドらしい泣きも入ったメロディアスな曲。音楽雑誌なら、『CROSSBEAT』や『snoozer』とかに出てくるバンドです。



thenighttrainそんな彼らが、4枚目としてリリースしたのが、8曲入りミニアルバム『The Night Train』。またもや、全米1位。何故僕がそんな事を書いているか? YMOの「以心電信」をカヴァーしたからです。しかも、日本のバイレクトロの先駆者的存在、TIGARAHをフィーチャリングして! カヴァーはメインのソングライターのTom Champlinのアイデアですが、リードヴォーカルのTim Rice-Oxleyが「以心電信」に関してインタヴューに答えています。




日本人がKeaneのような大物バンドのヴォーカルとして起用されるのは、素直に嬉しいですね。慶応出身の才女、TIGARAH(虎という意味らしい)は、バイレファンキの本場、ブラジルに2003年単身で乗り込み、その後、L.A.でも活動を経てデビュー。MySpaceのインタヴューでは、「和製M.I.A.と呼ばれていたけど、最近は和製Lady Gagaと呼ばれるの・・・」と流暢な英語でインタヴューに応えていました。おおお、和製Lady Gagaをマジで目指してほしいものです。

tigarah2009年の4月にミニアルバム『TIGARAH!』をリリース。1曲目の「Space Travel」は、New Orderの「Blue Monday」ネタでニタリとします。同曲のリミックス曲「Space Travel RMX」はDoes It Offend You, Yeah? というバンドの Morgan Quaintance のDaft Punk風リミックス。ミニアルバムの曲は、「Supa Gurl RMX」を除いてヴァージョン違いもありますが、フルアルバムに収録されています。これだけでミニアルバムに価値が出ています。




thefunkeira続いて8月にフルアルバム『The Funkeira goes BANG!』というなかなか早いペース。やはり一押しは、闘う女に相応しい「Girl Fight」でしょう。女子プロレスのリング入場曲に誰か使ってください。『ジョジョの奇妙な冒険ストーンオーシャン』が映画化されたりしたら、主題歌にも使えそう。


話をKeaneに戻しましょう。『The Night Train』 というアルバムは、「以心電信」が入っているから買ったというのが本音ですが、僕が持っているKeaneのイメージを遥かに凌駕するものでした。「以心電信」の英語ヴォーカル部分はTim、日本語部分はTIGARAH。TIGARHAの歌唱は彼女のソロと比べると意図的にフラットです。テクノポップ的な部分も残しつつ、Keaneサウンドに上手く仕上げています。他の曲も、彼らの今の気分なのか、エレクトロやヒップホップ的な要素も取り混ぜて、いい意味で折衷的な哀愁のUKロックが楽しめます。7曲目「My Shadow」のイントロがどうしても「ロッキーのテーマ」に聴こえます(笑)。

ザ・ナイト・トレイン-夜行列車-ザ・ナイト・トレイン-夜行列車-
アーティスト:キーン
販売元:ユニバーサル インターナショナル
発売日:2010-05-12
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TIGARAH!TIGARAH!
アーティスト:TIGARAH
販売元:ファイルレコード
発売日:2009-04-10
おすすめ度:4.0
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The Funkeira goes BANG!The Funkeira goes BANG!
アーティスト:TIGARAH
販売元:ユニバーサル・シグマ
発売日:2009-08-05
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highschoollallaby2highschoollallaby前回のロマンポルシェ。の続きですが、今回は「ハイスクールララバイ」特集をしましょう。イモ欽トリオ(山口良一、西山浩司、長江健次)によるオリジナルの「ハイスクールララバイ」は、コミックソング及びテクノ歌謡の中でもモンスターヒットと呼べる楽曲。1981年の年間シングルチャートでは、4位となります(ちなみに1位は寺尾聰の「ルビーの指環」)。

作詞・作曲は、松本隆=細野晴臣のゴールデンコンビ。YMOとしては、『BGM』の時期に『Technodelic』の間にあたりますが、『Technodelic』に収録の「Key」と「ハイスクールララバイ」を並べて聴いてみると、この陰(「Key」)と陽(「ハイスクール」)という対極をなす曲が意外と似ている事が分かります。


「ハイスクールララバイ」、ヒットした割に意外とカヴァーされていなかったのですが、近年いくつかのカヴァーが登場していますので、時系列で紹介しましょう。

technikov先ずは、月刊プロボーラー。現在は、ゲッカンプロボーラーと表記されているようです。All Aboutでもインタヴューをしていますが、彼らの『テクニコフ』(2005年)でカヴァー、そしてPVまで製作されています。「100%の片思い」に込められた青春テクノ! ちょっと「Blue Monday」しています(笑)。




tributetohosono『細野晴臣トリビュートアルバム-Tribute to Haruomi Hosono-』(2007年)は2枚組の細野作品カヴァー集ですが、こちらではLittle Creaturesが「ハイスクールララバイ」を音数の少ない渋―いアコースティック・カヴァー。彼らは、元グランドイカ天キング・・・時の経つのは早いものです。


seishunshoku音速ラインは、シングル『青春色』(2007年)のカップリングとして、アコースティック・カヴァー。同じ、アコースティックと言っても、Little Creaturesとは大きく趣が違います。


greensynthesizer前者2曲はテクノ曲の非テクノ的カヴァーですが、テクノアイドルもカヴァーをしています。KORG DS-10の開発者、佐野電磁プロデュースによる3人組 “DG-10”です。元々カヴァー曲が多いのですが、アルバム『GREEN SYNTESIZER!』(2009年)に「ハイスクールララバイ」が収録されています。とらのあな限定だったので、とらのあなで初めて買ったCDです。


nusundabikedeamagigoeでは、最後に前回に特集したロマンポルシェ。の『盗んだバイクで天城越え』からのカヴァー。NEW DEALへの他力本願が成功と言える、エレクトロ・アレンジ。最近は、『バニラビーンズ プロデュース会議DVD』や彼女達のオケヒットが連発されるリミックス仕事でもコラボが続く、バニラビーンズをフィーチャリングして、バニビの二人もPVに友情出演。バニビの衣装は、「LOVE & HATE」と同じ(笑)。こういう微妙な仕事をさらっとやってしまうバニビはイイですね〜。最後に「キモい〜」って言ったのは誰なんでしょう。




最後に、TV番組で、掟さん一押しのメロン記念日も「ハイスクールララバイ」を2006年にカヴァーしていますね。

盗んだバイクで天城越え盗んだバイクで天城越え
アーティスト:ロマンポルシェ。
販売元:ミュージックマイン
発売日:2010-04-21
おすすめ度:5.0
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細野晴臣トリビュートアルバム-Tribute to Haruomi Hosono-細野晴臣トリビュートアルバム-Tribute to Haruomi Hosono-
アーティスト:オムニバス
販売元:commmons
発売日:2007-04-25
おすすめ度:4.0
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テクニコフテクニコフ
アーティスト:月刊プロボーラー
販売元:インディーズ・メーカー
発売日:2005-02-25
おすすめ度:5.0
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