四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

カテゴリ: イギリス

新しいシリーズを始めます。80年代、ニューウェイヴの時代に一つの傾向としてあったのが、60年代サウンド、特にガール・グループやキューティズ的なモノへの回帰現象がありました。60年代というのは、ボク自身、生息はしていましたが、小さすぎたので、あまり原体験としての記憶ありません。60年代はポップス黄金時代・・・なんとなく60年代的なモノへの憧れは潜在的にあったのでしょう。ということで、ここで扱うのは60年代のポップではなく、60年代への憧れを込めた80年代以降のポップだと解釈してください。80年代以降、現在においてもその流れを汲んだ音楽は脈々と続いています。

シリーズの初めを飾るのは、Tracy Ullmanです。MTV(いや、当時日本で見ていたのは、Sony Music TV)の時代にニューウェイヴ系に混じって、彼女の曲は流れていました。この手のリヴァイヴァルものは、それほどテクノでもニューウェイヴでもないのですが、同じ部類のものとして受け止められていた感があります。YMOを聴きつつも大瀧詠一を聴く気分。初めて、彼女の「They Don't Know(夢みるトレイシー)」(1983年)を聴いた時、なんて素敵な曲なんだろうと素直に感じました。PVがさらに素敵さに拍車をかけます。60’sキューティな装いのTracy。Bay City Rollersネタなども出てきます。青春時代とその後のやさぐれた感じも、流石喜劇女優のTracyはばっちり演じてくれます。終盤のドライヴのシーンでは、な、な、なんと、Paul McCartneyが彼氏役として登場します。まだ、若いですね〜Paul。



当時は知らなかったのですが、これはKirsty McCollが1979年にリリースしたカヴァー曲。こちらも本国、英国ではそこそこヒットしました(7位)が、Tracyのカヴァーは英国(2位)だけでなく、ビルボードチャートでも8位と大健闘。Tracyの方が、ドリーミーでPhil Spectorサウンド化しています。でも、ちょっとやるせないKirstyのヴァージョンも大好きですけどね。

意外なのですが、この「They Don't Know」をカヴァーした日本人は、BaBe。彼女達のデビュー・シングルとしてMichael Fortunatiのカヴァー曲『Give Me Up』(1987年)にカップリングされています。邦題は、「夢みるトレイシー」ではおかしいので、「哀しみは朝の雫のように」となっています。

話はTracyに戻します。英国で「They Don't Know」の前にリリースされたデビュー・シングル『Breakaway(涙のブレイク・アウェイ)』も全英4位とヒット。オリジナルはIrma Thomasの『Wish Someone Would Care』(1964年)のカップリングという渋いセンス。その後、Beryl Marsden、Jackie DeShannonなどもカヴァーしており、60年代への憧憬が如実に表れた曲です。



歌手Tracyのキャリアは2枚のアルバム『You Broke My Heart in 17 Places(夢みるトレイシー)』『You Caught Me Out(ハ〜イ! トレイシー)』(1983年)のみで、その後、複数のベスト・アルバムがリリースされています。

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現在も英国人独特のちょっと毒のあるキャラクターで女優として活躍し、最近はなりきりSusan Boyleとかやっています(似てる〜)。日本のTracy Ullmanって誰だろう? 清水ミチコや友近あたりですかね。

Bugglesが9月28日にロンドン(West London のどこからしい)にて再結成ライヴするとの発表がありました。再結成ライヴ自体は、DVDも発売された2004年の「A Concert For Prince Trust」で既に行われています。Trevor HornとGeoff Downes に加え、「Prince Trust」にも参加したBruce WoolleyもオリジナルBugglesラインナップとして登場予定です。また、僕の記憶が正しければ、90年代末の12月に一度、ロンドンでシークレットライヴをやったはずです。

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今回、注目すべきは、Bugglesのファースト・アルバム『The Age Of Plastic』(1980年)から全曲を演奏するという点です。2004年のライヴでは、「Video Killed The Radio Star」と「Living In The Plastic Age」の2曲だけでした。

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ファンとしては、売れなかった珠玉のセカンド『Adventures In Modern Recording』(1982年)からもやって欲しいという要望もあるでしょうが、ファースト全曲が生で聴けるだけでも貴重な経験でしょう。

たぶん、全曲とは現在の再発CDには収録されているボーナストラックを除いた当時のトラックでしょう。
つまり・・・

01. Living In The Plastic Age
02. Video Killed The Radio Star「ラジオスターの悲劇」
03. Kid Dynamo
04. I Love You (Miss Robot)
05. Clean, Clean
06. Elstree「思い出のエルストリー」
07. Astroboy (And The Proles On Parade)
08. Johnny On The Monorail

Bugglesと言えば、「ラジオスターの悲劇」が代名詞となっています。MTV時代幕開けの象徴でもあり、カヴァー曲も国内・海外問わず、世界規模でなされています。比較的最近では、加藤紀子ちゃんや桃井はるこちゃんもカヴァーしています。2003年までのカヴァーについては、以前僕が書いた記事をご覧ください。



ラジオスターの悲劇〜日本大会
ラジオスターの悲劇〜世界大会1
ラジオスターの悲劇〜世界大会2

このアルバム『The Age Of Plastic(当時の邦題は「プラスティックの中の未来」)』は、1979年の「ラジオスターの悲劇」の想定以上のヒットを受けて急遽製作されたものです。アルバム発売のタイミングの悪さなどもあってか、アルバムは同じくらいのヒットはしませんでした。しかし、この作品は、近未来、科学技術の進歩、ロボットなどをモチーフとしたテクノポップのコンセプト・アルバムとして、まさに金字塔的存在です。

全て思い入れがある曲なのですが、
ロンドン郊外の地名が由来となった「Elstree」・・・シングルカットもされましたが、ヒットせず!スウェーデンのNASAというBuggles&New Musikフォロワー的バンドがカヴァー。



鉄腕アトムの曲「Astroboy」・・・林夕紀子さんがジャジーなカヴァー

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アーティスト:林夕紀子
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・・・など、隠れた秀作がこのアルバムにはあります。

残念ながら、Trevor Horn公式サイトによると、他のツアー、DVD、ライヴCDの予定はないとの事・・・あー、見に行きたい、LONDON CALLINGな気分です。

Marina & The Diamondsとは、これまたベタというか70年代〜80年代的なネーミングです。古くはPaul McCartney & Wings・・・80年代ならKatrina & The Waves、Martha & The Muffins(カナダのバンドですが、知らないですよね)・・・日本なら、Sheena & The Rokkets、Sandii & The Sansetz、シルビアとロスインディオス、内山田宏とクールファイヴとか。

でも、MarinaがThe Diamondsというバンドとやっている訳ではないのです。彼女の本名は、Marina Diamandis。Diamandisとはギリシア語でダイアモンド。一人だけれど、Marina & The Diamonds。The Diamondsは彼女のファンという設定との事。amUも同じようなロジックを使っていましたね(笑)・・・acoとmeruとYou(あなた)。

thefamilyjewelsエレクトロポップと言っていいと思いますが、イギリス臭がぷんぷんします。イギリスの血が入っている私として(気持ちだけですよ)、血が騒ぎます。予備知識も無く、彼女のデビュー・アルバム『The Family Jewels』を聴いていると、ちょっとKate Bushがエレクトポップ化したようだなぁと思っていると、やはり彼女は巷ではKate Bushの再来と呼ばれている。曲によっては、ちょっと捻じれたEnyaみたいでもあったりする。Marinaはウェールズとギリシアの血を引く、黒髪が美しいエキゾチックな顔立ち。海外のエレクトロガールはどちらかというと、特にアメリカの場合、セレブ系が多いのですが、彼女はそちらの世界ではなさそう。

BBCがネクスト・ブレイク・アーティストを選ぶ「BBC Sound Of 2010」でも、Ellie Gouldingに続いて、堂々の2位に選ばれました。ちなみに2009年の1位は、同じくエレクトロポップ系のLittle Bootsちゃん。2004年には、先日、「以心電信」のカヴァーで紹介したKeaneが選ばれています。

お勧めの曲はPVにもなっている「I Am Not A Robot」。ボディーペインティングに挑戦。



意外とセレブ趣味! チアガールコスの「Hollywood」。Britney Spearsが好きらしい。



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KeaneというUKのスリーピース・バンドをご存知でしょうか? 『Hopes And Fears』 (2004年)、『Under the Iron Sea』(2006年)、『Perfect Symmetry』(2008年)という3枚のアルバムをリリースし、全てのアルバムが全英1位を成し遂げています。彼らのデビュー・シングル「Somewhere Only We Know」は、ピアノを基調にしたUKバンドらしい泣きも入ったメロディアスな曲。音楽雑誌なら、『CROSSBEAT』や『snoozer』とかに出てくるバンドです。



thenighttrainそんな彼らが、4枚目としてリリースしたのが、8曲入りミニアルバム『The Night Train』。またもや、全米1位。何故僕がそんな事を書いているか? YMOの「以心電信」をカヴァーしたからです。しかも、日本のバイレクトロの先駆者的存在、TIGARAHをフィーチャリングして! カヴァーはメインのソングライターのTom Champlinのアイデアですが、リードヴォーカルのTim Rice-Oxleyが「以心電信」に関してインタヴューに答えています。




日本人がKeaneのような大物バンドのヴォーカルとして起用されるのは、素直に嬉しいですね。慶応出身の才女、TIGARAH(虎という意味らしい)は、バイレファンキの本場、ブラジルに2003年単身で乗り込み、その後、L.A.でも活動を経てデビュー。MySpaceのインタヴューでは、「和製M.I.A.と呼ばれていたけど、最近は和製Lady Gagaと呼ばれるの・・・」と流暢な英語でインタヴューに応えていました。おおお、和製Lady Gagaをマジで目指してほしいものです。

tigarah2009年の4月にミニアルバム『TIGARAH!』をリリース。1曲目の「Space Travel」は、New Orderの「Blue Monday」ネタでニタリとします。同曲のリミックス曲「Space Travel RMX」はDoes It Offend You, Yeah? というバンドの Morgan Quaintance のDaft Punk風リミックス。ミニアルバムの曲は、「Supa Gurl RMX」を除いてヴァージョン違いもありますが、フルアルバムに収録されています。これだけでミニアルバムに価値が出ています。




thefunkeira続いて8月にフルアルバム『The Funkeira goes BANG!』というなかなか早いペース。やはり一押しは、闘う女に相応しい「Girl Fight」でしょう。女子プロレスのリング入場曲に誰か使ってください。『ジョジョの奇妙な冒険ストーンオーシャン』が映画化されたりしたら、主題歌にも使えそう。


話をKeaneに戻しましょう。『The Night Train』 というアルバムは、「以心電信」が入っているから買ったというのが本音ですが、僕が持っているKeaneのイメージを遥かに凌駕するものでした。「以心電信」の英語ヴォーカル部分はTim、日本語部分はTIGARAH。TIGARHAの歌唱は彼女のソロと比べると意図的にフラットです。テクノポップ的な部分も残しつつ、Keaneサウンドに上手く仕上げています。他の曲も、彼らの今の気分なのか、エレクトロやヒップホップ的な要素も取り混ぜて、いい意味で折衷的な哀愁のUKロックが楽しめます。7曲目「My Shadow」のイントロがどうしても「ロッキーのテーマ」に聴こえます(笑)。

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