四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

タグ:アーバンギャルド

All Aboutで行ったアーバンギャルドのインタヴュー記事「アーバンギャルドの証明」の番外編Part 2です。

少女三部作の三作目『少女の証明』(これからも少女シリーズは続くのだろうか?)から「プリント・クラブ」のPVも公開されました。

少女の証明少女の証明
アーティスト:アーバンギャルド
販売元:前衛都市
発売日:2010-10-08
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では、アーバンギャルドの浜崎容子さん(akaよこたん)と松永天馬さんにハルメンズについて聞いてみましょう。

先生:この度は、ハルメンズの再発と同時にリリースされるサエキ×Boogie theマッハモータースの『21世紀さんsings ハルメンズ』に参加されましたが、どのようなきっかけで?

21世紀さんsingsハルメンズ21世紀さんsingsハルメンズ
アーティスト:サエキけんぞう&Boogie the マッハモータース
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:2010-10-20
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浜崎:サエキさんご本人から直々にオファーをいただいたときは驚きました。メンバーが好きで影響受けているバンドさんから、まさかご指名いただけるとは。このような機会は滅多に無いと思い、喜んで受けさせていただきました。

松永:僕とサエキさんは僕が一ファンの時から細々面識はあったのですが、昨年「DRIVE TO 2010」のオファーを頂けた辺りからより親密にさせて頂いております。
ちなみに今回、僕はアルバム収録のライナーノーツを書かせていただきました。長年ハルメンズへと温めていた熱をぶちまけた内容となりました。

先生:松永さんがハルメンズ好きであると断定しています。(意識的か無意識かは別にして)アーバンの「リボン運動」はきっとハルメンズの「リズム運動」へのオマージュに違いないと・・・ ハルメンズとの出会いは?

松永:高校生の頃、ムーンライダーズなどの湾岸系から遡ってですね。
サエキさんは僕が中二の頃NHKで「ソリトン」という番組をやっていたので、既に存じ上げていました(余談ですが「ソリトン」は90年代に80年代の「YOU」的なサブカルチャー情報番組を目指したものだったらしいです。「ソリトン」シリーズをリアル中二病の時分に見てしまったことが、僕のその後の人格形成に少なからぬ影響を与えたことは言うまでもありません)

先生:当時テクノポップと呼ばれた人達の中では、異彩を放っていました。以前ZOLO系(ひねくれポップに近い)のバンドが好きな外国人の人にハルメンズを聴かせたら、感動していました(歌詞が分かったらもっと感動したかも)。

松永:ハルメンズのテクノポップは、いわゆる擬音で表されるような「ピコピコ」というよりは「ふにゃふにゃ」なんですよね(「ふにゃふにゃサイボーグ」って曲もありますね!)テクノポップ御三家のようにあからさまにソリッドではないし、尖った部分も何処となく弛緩している。この「ふにゃふにゃ」感がハルメンズ最大の特長であるように思います。
弛緩した未来観は当時の藤子不二雄的なSF世界というよりはレトロフューチャーな趣で、それも当時としては珍しかったのではと思います(過去未来折衷の様式は、上野耕路と戸川純、太田螢一で結成するゲルニカにも受け継がれていますね)。

先生:よこたんは2曲歌っていますね。「趣味の時代」は佐藤奈々子さんがコーラスで参加していた曲ですが、こちらのオリジナルは再度聴いてみたのですか?それとも意識しないために、そのままやってみたのですか?

浜崎:オリジナルも勿論拝聴いたしました。サエキさんからレコーディングの際に「伸び伸びといつものよこたんらしくやってくれ」と仰っていただいたので、オリジナルがどうとか関係なく全く新しい新曲のつもりで歌いました。「趣味の時代」はアーバンとの世界観とも近いものが合ったので楽しんでやれました。

松永:「趣味の時代」はいくつか頂いた候補の中から、僕が是非にとお願いしました。この男女ユニゾンによる狂気のテンションはアーバンギャルドにも通じる気がします。

先生:「ノスタル爺」はハルメンズの新曲なんですね! 今回のコラボの感想をぜひ聞かせてください。

浜崎:アーバンでやっているレコーディングの流れとは違ったものを経験でき、とても刺激的な体験でした。野宮真貴さんともお会いすることができ、夢のようなひと時でした。
「ノスタル爺」は未発表の新曲ということで、光栄でした。サエキさんのディレクションのもと、エキセントリックなニューウェイヴで凄く気に入っています。

先生:「ノスタル爺」は癖になる曲ですね。「ノスタルジィ〜♪」が頭の中でぐるぐるします。

松永:「ノスタル爺」は「時をかける老人」ともいえるような内容で、ミイラ化した「超高齢者」が多数発見される今の時代にピッタリな曲だと思います!

先生:「時をかける老人」・・・ウケます。
普通、老人とか爺とかはニューウェイヴの主人公にならないのですが、これがテーマとなるのがサエキマジックですね。最後にハルメンズで一番好きな曲は?

浜崎:やはり参加させて頂いた「趣味の時代」「ノスタル爺」は外せないですね。あとは「母子受精」とか。サエキさんの歌声が色っぽいです。

松永:全部いい!ですが「趣味の時代」「母子受精」の魅力は計り知れないです。母子受精された「街の落とし子」たちがゴムの都会を駆けるさまは、アーバンギャルドの原風景の一つでもあります。

All Aboutで行ったアーバンギャルドのインタヴュー記事「アーバンギャルの証明」の番外編として、松永天馬さんと浜崎容子(よこたん)さんに登場頂きました。

swaka

01.プラスティック・チェリー・ボム(kihirohito & アーバンギャルド)
02.水玉病(kihirohito ver.)
03.護法少女ソワカちゃん(アーバンギャルド ver.)
04.リボン運動(kihirohito ver.)
05.千々石ミゲル友の会のテーマ(アーバンギャルド ver.)
06.プラスティック・チェリー・ボム(kihirohito archetype ver.)

先生:kihirohitoさんとのコラボで『ソワカちゃんとアーバンギャルド』という6曲入りCD(DVDも付いてくるよ)を手売り発売していますが、凄く気にいりました。買っていない人は、ぜひ買うべきです。どうして、手売りのみなんですか?

ソワカちゃんとアーバンギャルド特設サイト

松永:元々コミケを中心に発売することを目的として制作したからです。コミケで販売されるコミックやCDは、いわゆる生産ラインに載らないような、限定的なフェティシズムに基づいたものが多くありますが、アーバンギャルドもいわゆる「コミケ・ブランド」のラインで制作をしてみようか、というのがこの企画のきっかけです。

コミケは終了しましたが、現在アーバンギャルドHPモバイル) にて通販を開始しました!

先生:初音ミクでカヴァーするという手法は既にかなり使われていますが、初音ミクをカヴァーする(「護法少女ソワカちゃん」)というのがアーバンらしいというか。アーバン・ヴァージョンは、Pizzicato Five X SPANK HAPPYみたいな(笑)。

松永:このアレンジ、アーバンギャルの皆さんにとっては、よくよく聴くと楽しい発見があるかもしれません。ソワカちゃんにも女の子の日があるということですね。

浜崎:少女はロボットですから。

先生:松永さんがkihirohitoさんにアプローチしたのですか?

松永:そうです。

先生:ソワカちゃんのどこに惹かれたのでしょうか? 宗教観(笑)?

松永:いえ「傷だらけのマリア」の一ヵ月後に本作をリリースするぐらい、いわゆる宗教観はゼロなのですが(笑)・・・ 「護法少女ソワカちゃん」シリーズの公開が始まって比較的すぐに発見し、熱烈なファンになりました。



ソワカちゃん、実際見てもらえると分かると思うのですが、80s〜00sあたりのサブカルチャーからの引用が凄くて。 このYouTube時代において引用やリミックスの過多はさして新しい表現でもないのですが、他の初音ミク作品が自明のように萌えに帰属した引用であるのに対し、kihirohitoさんの作品はちょっと、かなりオリジナルへの向きが違っていた。秋葉原ではなく中野に向かっていた?ところが気になりました。
ちなみにソワカちゃんの舞台は、コミケを中心にして起こったマサカド・インパクトによって人類の多くが死滅した世界です。愛読書はメカ沢新一先生の「はじまりの冷麺」。

浜崎:ソワカちゃんの最初の頃に天馬に教えられて知りました。
その筋の人がくすっと笑ってしまうようなアプローチが気に入ってます。

先生:会ったこともないのに友達になれそうな感じですね。
「プラスティック・チェリー・ボム」はkihirohitoさんが作詞作曲していますが、アーバンの曲として全く違和感がありませんね。詞の世界観も引用の多さ(笑)も共通しているし。アーバンがやるという想定のもとに作られたのでしょか?

松永:そのようです。しかしこのシンクロ率は、やはりkihirohitoさんと我々に少なからぬ共通言語があるということでしょう。「チェリー・ボム」とか「私のゲートを開いてよ」とか、色々想像してしまいます!(はあはあ)

浜崎:私も一応人間ですので、歌いながら悶々としちゃいました。むふん。

先生:いいぞ、よこたん!

松永:そうまあきらさんとkihirohitoさんが共作したというアニメーションPVも必見。こちらも引用過多です。



あ、あと付録のDVDには、松永天馬の秘蔵グロ映像を再編集した「千々石ミゲル友の会のテーマ」も収録しています…(おえっぷ)。

浜崎:美少女動画と思って開いたらグロ動画でしたってオチですね、わかります。

松永:二次元と三次元のコラボで四次元へと時をかける試み。是非ともお聴き下さい!

先生:今回はこのあたりで終わりとしましょう。次はハルメンズのお話を伺います。

こんなタイトルにすると検索で意味もなく引っかかりそうですが、All Aboutテクノポップにてアーバンギャルドの松永天馬君とよこたんへのインタヴュー記事「傷だらけのアーバンギャルド」を掲載したので、そこでも話題となった無修正ビデオPVについて。

 

79日にリリースのシングル『傷だらけのマリア』・・・「傷だらけのローラ」の妹のようでもあり、「Bloody Maria」ってなんだかカクテルみたいですね。とにもかくにもアーバンらしさに溢れた美しいカオスを感じます。
kizudarakenomaria

そのPVには、修正済と無修正の2ヴァージョンあるわけです。こちらは、血まみれのよこたんの無修正版。


 

修正済を見たい方は、初回限定盤を買いましょう。

 
インタヴューでも触れていますが、無修正のPVと言えば、思い出すのが、Duran Duranの「グラビアの美少女(Girls On Film)」。BBCが放送禁止処分にして、かえって有名になりました。これは、10ccの半分(5ccですね)でもあったGodley & Cremeが手掛けた当時としてはセクシーなPV



こちらは修正済のショート・ヴァージョン(誰も見ないと思うけど)

 

80年代の放送禁止(楽曲も含めて)となった有名なのは、Frankie Goes To Hollywoodの「Relax」。Brian De Palma監督の映画『Body Double』でもFGTHが登場し、挿入歌として使われていました。



傷だらけのマリア(初回限定盤)(DVD付)傷だらけのマリア(初回限定盤)(DVD付)
アーティスト:アーバンギャルド
販売元:前衛都市
発売日:2010-07-09
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傷だらけのマリア傷だらけのマリア
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販売元:前衛都市
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