四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

タグ:グリュコーザ

グリュコーザのナターシャは、セカンド・アルバム発表後、2006年に若干20歳そこそこで結婚。そして、翌年には妊娠、出産と・・・この前まで高校生だったとは思えない展開です。

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しかし、ロシア・ウクライナの女性歌手はそんな事くらいでは引退はしません。出産後、アニメのキャラクターとしてのグリュコーザはほぼ卒業となりましたが、ユーモラスな部分は引き継がれています。

「Танцуй, Россия! (Dance, Russia!)」(2008年)は、イケイケ・ロシアンディスコ! うん、どっかで聴いたようなメロディーだけど、このちょっとわざとやったような下世話感は好きです。ロシア・ウクライナのPVにこの手のシーンが多いのに最近気が付き始めたのですが、テレビの前ソファーに座った男性が良く出てきます。おっさん、酔っぱらって、かなり出来上がっています。お尻フリフリするおねえちゃんに釘付け(笑)。しっかり、嫁さんに怒られています。これが一般ロシア家庭の実情なのか(笑)。



「Деньги (Money)」のPVにもユーモアが溢れています。ロシア民謡的なサウンドに乗せてナターシャは100変化しています。よく見ると、ナターシャが実演したのではなく、ナターシャの顔を全ての登場人物にコラージュしたと思われます。



なお、現在、サード・アルバムはリリースされていませんが、これらの曲は公式サイトにてダウンロードできます。

実は今回の記事を書き始めるまで、当時は僕も聴いていたグリュコーザはデビュー・アルバムで終わってしまったのでは・・・と思っていたんです。でも、そんな事はありませんでした。

セカンド・アルバム『Москва(Moscow)』を2005年にリリースしています。デビュー・アルバムも含め、グリュコーザとしてはこのアルバムでミリオンセラーとなりました。あまりCDが売れないと思われるロシアではミリオン達成は大健闘と言えましょう。

MoscowMoscow
アーティスト:Glukoza
(2007-03-27)
販売元:Amazon.co.jp
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このアルバムから最初に公開されたのが、「Швайне (Pigs)」のPV。豚族の軍隊が登場し、グリュコーザ率いる軍隊と戦闘します。歌詞を良く聴いてみると、ロシア語に混じって、「アイン・ツァイ・ドライ」・・・ドイツ語で「1、2、3」と言っていますね。豚族の制服や腕章も、ナチス・ドイツ風です。日本的感覚では、アイドル歌手(?)が戦争を題材にするというのは考えにくいです。この辺りの政治的なネタが多いのは、やはりソ連も含めたロシアの歴史の影響なのでしょう。



アルバム・タイトル曲のPV「Москва(Moscow)」では、今までのアニメーションを辞め、ナターシャ本人が登場。グリュコーザとしては珍しい哀愁のバラードなのですが、幼かったナターシャも既に19歳にして大人の女性の風格。ロシアの女性は成熟するのが早い事を実感します。

グリュコーザの続きです。彼女のデビュー・アルバムは、『ГЛЮК'ОZA NOSTRA (Gluk'oza Nostra)』(2004年)。ジャケを見て頂くと、右端のロゴがなんとなく日本語のカタカナのようになっています。日本にCOSA NOSTRA(コーザ・ノストラ)と渋谷系のグループがいますが、意味はイタリア語でシチリア・マフィアです。それをもじって作った造語ですね。

glukozanostra


アルバムのタイトル曲「ГЛЮК'ОZA NOSTRA (Gluk'oza Nostra)」のPVも制作されています。サウンドはちょっとイタリアを意識したんでしょうか?意味不明のカタカナが出てきたり、MATRIXの主人公ばりの戦闘シーンがあったり・・・注目すべきは最後にオチでもあるコンピュータゲームをプレイしているのが、実物のナターシャです。



さて、グリュコーザのCDを現在、購入する事はなかなか難しいのですが(以前はAmazon.co.jpでも買えたと思います)、グリュコーザの公式サイトから、この1st、次に紹介する2nd、そしてそれ以降の曲が無料ダウンロードし放題。ミン・ニェットの時も同様の事を書きましたが、ロシアの音楽業界は不思議です。ちなみにグリュコーザは2003年以降、500を超えるライヴをしたらしく、こちらが収入源なのでしょうかね・・・

“音楽世界旅行”に改名しての初の記事です。しつこくウクライナ・シリーズを続けてきましたが、この辺りでロシアに戻りましょう。

ロシアで旧ソ連圏以外でも広く知られる事になった歌手として言えば、やはりt.A.T.u.なのですが、2000年前半、ほぼ同じ時期に旧ソ連圏で知名度を上げた覆面歌手がいます。いや、別に覆面をしているわけではなく、正体を明かしていなかったという意味で。日本にも、覆面テクノアイドルの芳賀ゆいっていましたね。その名は、グリュコーザ(ラテン文字表記「Gluk'oza」、ロシア語「Глюк`ozа」)。ロシア語でブドウ糖(Glucose)という意味ですが、глюк(グリュック:「幻想」という意味)というこの覆面歌手のニックネームが由来との事。

グリュコーザを世間に知らしめることになったのが、2003年の「Ненавижу(Hate)」のPV。サングラスをしたブロンドのキャラクターが登場するコンピュータグラフィックを駆使したPV。それは、アメリカでもヨーロッパでも日本でもない独特のテイスト。サウンドも他のロシア系と一線を画しています。80年代に流行った「踊るリッツの夜」をテクノなカヴァーをしたTACOをご存知でしょうか? あれを女性歌手が歌い、少しガレージっぽくしたような感じ。



このPVが発売された時点では、グリュコーザはまだ謎に包まれていました。その正体は、ナターシャ・イオノワ(Наталия Ионова)の高校の卒業パーティで明かされます。ナターシャは1986年生まれで、この時点ではまだ17歳。また、グリュコーザは彼女以外にも5人の男性サポート陣がいました。

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次に発表された「Невеста(Bride)」は更なる大ヒットとなります。さらにガレージ度も高く、日本のGS(グループ・サウンズ)的です。PVでは戦う花嫁。

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