All Aboutでは”テクノポップ”のガイドというのをやっていましたが(新しい記事はないですが、現在も一応やっています)、僕がやっていたサイト、POP ACADEMYの正式名称は、“techno-electro-synth POP ACADEMY”でした。シンプルにTECHNO POP ACADEMYでもよかったのですが、国や個人によってテクノポップ、エレクトロポップ、シンセポップというジャンル名は多少使われ方が違うこともあり、全部ひっくるめたわけです。

2月8日の川崎レジデンツさん主催のStrange Loungeにて11月に行ったDAKER WAVES FESのレポートをさせていただく機会をいただきました。Strange Loungeは川崎レジデンツさんが各回ごとにテーマを作られており、今回はエレポップ(エレクトロポップの略、エレクトリックポップだという人もたまにいますが…)ということもあり、その際に以下のような一枚のスライドを差し込みました。絶対的な正解がある類いものではありませんが、自分なりにテクノポップ、エレクトロポップ、シンセポップの違いとその他のジャンルとの関係性について考えてみました。
techno-electro-synthpop.001

以下、要点となります。
  • テクノポップ、エレクトロポップ、シンセポップはかなり重複します。あえて言えば、テクノポップとシンセポップはより電子楽器寄り、エレクトロポップは生や電気増幅装置を使用した楽器の比重が増える傾向があります。また、3つジャンルの中では、テクノポップはより諧謔的(ユーモラス)で未来的な志向が強いコンセプトの作品が多いです。Kraftwerk、YMO、Bugglesはそういう点ではテクノポップで、諧謔的という点ではDevoも入れたくなるのです。

  • これら3つのジャンル、特にエレクトロポップはニューウェイヴに含まれるものも多いです。でもエレクトロポップやテクノポップの要素が希薄なニューウェイヴもかなりあるので、ニューウェイヴ=エレクトロポップではありません。

  • 例外的に電子楽器を多用するパンクもありますが、パンクはニューウェイヴに移行する段階で電子楽器の比率が高くなり、叛逆性が減少する傾向があります。Blondieなんかは初期はパンク、そしてニューウェイブに移行し、Giorigio Moroderと組んでエレクトロポップとかなり横断したケースです。ポストパンクという言葉もあり、僕の中でパンクとニューウェイヴが交差している部分ですが議論の余地はあるでしょう。

  • グラムロックの精神と装飾を受け継いだニューロマンティックはニューウェイヴにかなりの部分が包括されて、エレクトロポップとの被る部分も多いです。

  • 最後にダークウェイヴはゴシック色が強く、80年代以降も地道に存在感があります。Depeche Modeの存在感は大きいです。ポジティヴパンク、コールドウェイヴ、ドリームポップなどのサブジャンルとも被っており、判別が難しいケースも多々あります。


音楽のジャンルは非常に主観的であり、解釈に幅があるため、ここでの説明はあくまでも一つの観点です。二つの軸だけで分類すること自体が難しいですが、平面的に表現したためにこんな感じになってしまいましたが、大体のニュアンスを感じていただければ、嬉しいです。