四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

タグ:ラップ歌謡

では、シリーズ第2弾『ラップ歌謡 あの娘にカセットあげよう』(2010年)に話を移します。

ラップ歌謡 [第2弾] あの娘にカセットあげようラップ歌謡 [第2弾] あの娘にカセットあげよう
アーティスト:オムニバス
販売元:Pヴァイン・レコード
(2010-11-03)
販売元:Amazon.co.jp
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01. Real Fish「ジャンクビート東京」(1987年)
02. クレイジー・ケン「黒猫のファンク」(1995年)
03. 下町兄弟「War War!Stop It」(1997年)
04. 小島あやめ「あやめのドレミ」(2008年)
05. 山田邦子「邦子のかわい子ぶりっ子(バスガイド編)」(1981年)
06. 谷啓「怪奇ラップ現象」(1992年)
07. 星井七瀬「恋愛15シミュレーション」(2003年)
08. AKIRA(EMOTO+SAKATA)「ほいじゃが」(1985年)
09. さかなクンwith 山口瑠美「さかな de ラップ」(2004年)
10. なな子&BENCO「チューチューパッパ」(1984年)
11. L.L. BROTHERS「 L.L.ブラザーズのテーマ」(1991年)
12. Y.F.ZOMBIE COMPANY「12FRIENDS」(1989年)
13. C-C-B「ないものねだりのI Want You〜ゼイ肉Mix」(1987年)
14. 野坂昭如「Dani Earth (Drum'n'Bass Mix)[ダニアースの唄]」(1998年)
15. 野村沙知代「SUCH A BEAUTIFUL LADY」(1999年)
16. BRAND NEW MONKEYS「ヤングGO!GO!〜カセットは顔で選ぼう」(1995年)

オープニングは、Real Fishの「ジャンクビート東京」! Real Fishとは並行活動していたShi-Shonen(戸田誠司、福原まり、渡辺等、友田真吾)に矢口博康(Sax)と美尾洋乃(Violin)を加えて編成した、インスト中心のバンド。テクノポップなShi-Shonen対してReal Fishはニューウェイヴ的な文脈ですが、ラウンジや民族音楽の要素も備えた独自の音楽性を追求していました。そんな中、シングルとして出た『ジャンクビート東京』は、Real Fishとしては異色の作品。作詞作曲は、いとうせいこう・戸田誠司の共作で、ヴォーカルは桑田圭祐!

junkbeattokyo




以前、戸田誠司さんにインタヴューした時に聞いた話ですが、戸田さんがいとうせいこうさんの「東京ブロンクス」に衝撃を受けて、わがままで作った曲だと。また、桑田さんは、曲が気に入って、サザンに欲しいと言われたらしいです。詳しくは、インタヴュー記事をぜひ読んでください。

There She Goes Again〜戸田誠司さん



ちなみに戸田誠司さんは、いとうせいこうさんと再びコラボです。タナカカツキさん、鈴木光人さん、とくさしけんごさんと共にkappa名義で配信アルバム『よろよろ feat. いとうせいこう』を11月16日にOTOTOY限定からリリースしました。

前回紹介した『ラップ歌謡 フォローしてちょうだい』(2010年)に収録されている曲の中で、注目したいのがユリオカ超特Qのハゲのハゲによるハゲのためのラップ「HAGE=RAP〜ハゲ革命★始まりの合図」(2005年)。

Hage=Rap ~ハゲ革命★始まりの合Hage=Rap ~ハゲ革命★始まりの合
アーティスト:ユリオカ超特Q
販売元:PSC
(2005-11-30)
販売元:Amazon.co.jp
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歌詞も笑いをとるだけでなく秀逸だし、トラックもせつなさが溢れるし、なにせユリオカ超特Qのラップが上手くて、芸人の域を超えています! いや、これはラップ歌謡の革命! PVには、カツラボクサーこと小口雅之選手が出演しています。2005年の試合中にカツラがとれてしまったプロボクサーですが、モマーニという育毛剤を使用している小口選手は、「みてくれ!俺の変化を!」と訴えています。気になる方は、こちらを確認ください。



余談ですが、Amazon.co.jpでよく一緒に購入されている商品としてこのCDと柄沢怜奈とお兄ちゃんの『チンチンポンポン』 が選ばれています。なんとなく納得。

他にハゲを題材にしたラップと言えば、アルバム『KARATEKA』(1992年)に収録の電気グルーヴの「ザ・ケトルマン」もありますね。

11月の新譜情報でも紹介した『ラップ歌謡』を掘り下げてみます。全ての“歌謡”について言える事ですが、○○○歌謡というのは日本で独自に進化したジャンル。日本のガラパゴス化を憂う今日この頃ですが、このガラパゴス化は歓迎したいです。

テクノ歌謡の時にも、どこからどこまでがテクノで、テクノ歌謡とテクノポップの境界線は・・・という微笑ましい論点がありました。ラップ歌謡の場合、ラップという割とはっきりした歌唱法で判断ができます。問題は、ラップ歌謡なのか、日本のヒップホップ(J-HIP HOP)なのか、このあたりには多少のグレイゾーンはありそうです。J-RAPという呼称もありますね。

一通り、検証してから結論付けたいと思いますが、3つくらいの傾向が見えてきます。

1)ラップ歌謡にはノヴェルティーソングが多い
2)コメディアンが歌うラップ歌謡が多い
3)子供が歌うラップ歌謡が結構ある

では、シリーズ第1弾『ラップ歌謡 フォローしてちょうだい』(2010年)について話を進めましょう。

ラップ歌謡 [第1弾] フォローしてちょうだいラップ歌謡 [第1弾] フォローしてちょうだい
アーティスト:オムニバス
販売元:Pヴァイン・レコード
(2010-11-03)
販売元:Amazon.co.jp
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01. M.C.コミヤ「ケンタイキ」(1991年)
02. 安達祐実「どーした!安達」(1994年)
03. diEZEl from JPS「たまごっちフリーク」(1997年)
04. たんたろう「牛タン・ラップ」(2003年)
05. 若松市政&アフリカ「ストロングマシーンWe are No.1」(1985年)
06. YLA-MAGO「T YO ROCK」(1984年)
07. 砂東由香利「わい わい わい・・・」(1982年)
08. ザ・ナンバーワン・バンド「うわさのカム・トゥ・ハワイ」(1982年)
09. メッケ隊「STYLIST A GO-GO!! 」(1996年)
10. 桂ざこば「尽くさんかい」(1999年)
11. L.L.COOL J太郎「J.Said Kock You Out」(2003年)
12. ジャドーズ「IKASUMAN」(1986年)
13. minako「プラネット・オブ・ジ・エイプ」(1995年)
14. 五十嵐寿也「ぶっちぎりバトルハッカーズ」(1987年)
15. ユリオカ超特Q「HAGE=RAP〜ハゲ革命★始まりの合図」(2005年)
16. 深津絵里と中上雅巳「NIGHT-CLUBBING」(1991年)

ラップ歌謡というと90年代というイメージが強いのですが、80年代のトラックが6曲も収録されています。初めて知るラップ歌謡、CDを持っていたけれど再発見したラップ歌謡など、選曲者のこだわりと愛情を感じる内容となっています。

オープニングは、M.C.コミヤによるM.C. Hammerの「U Can't Touch This」の日本語カヴァー。この曲はラップ歌謡にコメディアンが多いという代表的なパターンで、M.C.コミヤはコント赤信号の小宮孝泰。シングルになった「遣唐使です〜ちょっと目立たない〜」もありますが、ミニアルバム『プリーズ・コミヤ・ドント・ハーテム』(1991年)に収録の「ケンタイキ」の方を収録。ちなみにこのアルバム・タイトルも本家の『プリーズ・ハマー・ドント・ハーテム』(1991年)から頂いていますが、ジャケも忠実にコピー。これは、単にコメディアンが流行りネタに便乗したという域を超えています。赤信号では一番目立たない存在の小宮さんが、突然輝いた記念盤でもあります。

kommierM.C.コミヤ/プリーズ・コミヤ・ドント・ハーテム
販売元:株式会社EMIミュージック・ジャパン
(1991-07-05)
販売元:Amazon.co.jp
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プリーズ・ハマー・ドント・ハーテムプリーズ・ハマー・ドント・ハーテム
アーティスト:M.C.ハマー
販売元:EMIミュージック・ジャパン
(2007-10-03)
販売元:Amazon.co.jp
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長くなってしまったので、続く・・・

11月はなかなか面白いリリースが盛りだくさんです。ドームでやってくれると期待しているPerfumeのニュー・シングル『ねぇ』やAiraちゃんのアルバム『???(スリークエスチョン)』もひかえています。

「テクノ歌謡」「ディスコ歌謡」というテーマで再発掘的なオムニバスを出してきた、日本のRhinoのようなレーベル、P-Vineから「ラップ歌謡」のオムニバスが2枚出ます。70年代のディスコ歌謡、80年代のテクノ歌謡、90年代のラップ歌謡だそうです。

ラップ歌謡 [第1弾] フォローしてちょうだいラップ歌謡 [第1弾] フォローしてちょうだい
アーティスト:オムニバス
販売元:Pヴァイン・レコード
(2010-11-03)
販売元:Amazon.co.jp
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ラップ歌謡 [第2弾] あの娘にカセットあげようラップ歌謡 [第2弾] あの娘にカセットあげよう
アーティスト:オムニバス
販売元:Pヴァイン・レコード
(2010-11-03)
販売元:Amazon.co.jp
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ラップ歌謡、80年代から出現し始めましたが、「今夜はブギーバック」や「DA.YO.NE」が流行った90年代に『今夜は”ラップ”ダヨネ。』(1995年)というコンピレーションもありました。

ラップ歌謡について知りたい方は、「ラップ歌謡小百科」をぜひご覧ください。
更に研究したい方はスモール出版から出ている小冊子『ラップ歌謡大百科』がお勧めです。僕も買いました。

タイトルで興味を惹かれてしまったのは、『電子音楽部』。これはFloppyなどが所属するBeat Surfersからレーベル・コンピで、小林写楽、戸田宏武、中野テルヲ、福間創、三浦俊一さん達が一挙に集結しています。

海外ものも二つ紹介しましょう。
Danuel Tateの『Mexican Hotbox』・・・Cobblestone Jazzのキーボーディストらしいですが、アシッド・ジャズ系と思いきや、何だか変てこな魅力があるんです。あえて言えば、ラテン気味のDaft Punkみたいな。タイトル曲「Mexican Hotbox」は現在、無料ダウンロード出来るので、聴いてみてください。

最後は、Mintel Roseの2nd『Atantique』・・・80年代大好きフレンチエレクトロ集団、Valerie、頑張っています。

11月3日:V.A.『ラップ歌謡 [第1弾] フォローしてちょうだい』
11月3日:V.A.『ラップ歌謡 [第2弾] あの娘にカセットあげよう』
11月3日:CORNELIUS『Fantasma』再発;砂原良徳リマスタリング
11月3日:agraph『equal』
11月3日:DAISHI DANCE『DAISHI DANCE remix...2』
11月3日:V.A.『ガールズ・クリスマス・パーティー』
11月3日:Tim Deluxe『Fluid Moments』
11月5日:小西康陽『チェブラーシカ 東京の休日』
11月10日:大貫妙子 & 坂本龍一『UTAU』
11月10日:Perfume『ねぇ』Single
11月10日:平沢進『変弦自在』  
11月10日:Francesco Tristano『Idiosynkrasia』
11月17日:Aira Mitsuki『???(スリークエスチョン)』
11月17日:やくしまるえつこ『COSMOS vs ALIEN』Single
11月17日:V.A.『Christmas Songs』commmons
11月17日:中塚武『ハガネの女-She’s a steely woman!-』
11月17日:FPM『FPMBoot』
11月24日:Clemontine『ANIMETINE-plus ANIME DU BOSSA』
11月24日:ヒゲドライバー『ヒゲドライバー3UP』
11月24日:V.A.『電子音楽部』
11月24日:Danuel Tate『Mexican Hotbox』
11月24日:Minitel Rose『Atlantique』

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