四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

タグ:野宮真貴

30周年を迎えた野宮真貴さんが、1月20日のNHK BS 1「エルムンド」に出演されていました。Facebookでそれを知り、見ていたのですが、ブラジルのPato Fuとともに台湾の渋谷系として紹介していたWon Fu(旺福)。なんか、名前も似ていますね。

結構息の長いバンドで、結成されたのは1998年。現在までに5枚のアルバムを台湾でリリースしています。現在のメンバーは、小民、 推機(Twiggy)、 瑪靡(Mami)、肚皮の4人。日本盤(日本語ヴァージョンもあり)もリリースされており、2010年にはJAPAN TOURもしています。

青春舞曲~モダーン・モンスーン・グルーヴィン!!~青春舞曲~モダーン・モンスーン・グルーヴィン!!~
アーティスト:旺福
販売元:YOUTH
(2007-09-19)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る


愛がいっぱい(Won fu Loves You)
アーティスト:WON FU
販売元:YOUTH INC.
(2010-02-10)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る


Won Fu、ファッション的にはモッズ系および60’sです。サウンド的にもイギリスのモッズというよりも日本のGS的な部分と渋谷系がうまく折衷されています。やはり代表曲として見てほしいのは、「天天天天(エブリデイ・ワウ・ワウ)」。



日本のモッズ系バンドの代表とも言えるTHE COLLECTORSの加藤ひさしさんが、こちらで詳しく書かれています。2011年には、加藤さんもメンバーであるKotaro and The Bizarre MenとWon Fuがタッグを組んで、スプリット・アルバム『TEISCO GRAND BIZARRE!』をリリースしています。こちらはその中の1曲、加藤さんが日本語訳詞をした「珈琲戀曲〜コーヒーラブソング〜」。 渋谷系だけでなく、ネオGSが好きな人にもオススメ!



TEISCO GRAND BIZARRE!(テスコ・グランド・ビザール!)TEISCO GRAND BIZARRE!(テスコ・グランド・ビザール!)
アーティスト:Kotaro and The Bizarre Men(コータロー・アンド・ザ・ビザールメン)
販売元:WONDER GIRL RECORDS
(2011-10-19)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

先生:今日は、ハルメンズと共に再発された『ピンクの心』(1981年)の野宮真貴さんについて話し合いましょう。後にPizzicato Fiveの一員として野宮真貴さんはガーリィ教の教祖ような存在になるのですが、ソロ・デビュー時代の野宮さんはとってもボーイッシュ。

ピンクの心+2ピンクの心+2
アーティスト:野宮真貴
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:2010-10-20
クチコミを見る


01. 女ともだち
02. モーター・ハミング
03. フラフープ・ルンバ
04. シャンプー
05. 原爆ロック
06. 船乗りジャンノ
07. 17才の口紅
08. 恋は水玉
09. 美少年
10. 絵本の中のクリスマス
11. ツイッギー・ツイッギー
12. ウサギと私
13. ピンクの心
14. レモンのキッス (1981ライブ)*
15. モーター・ハミング (1981ライブ)*
*ボーナストラック

ポールさんが好きなオリジナルのジャケの野宮さんは、アイドルっぽく写っています。でも、当時鉢巻きするのって流行っていたんですかね。スターボーも3人そろって鉢巻きでしたけど。あんまり周辺の一般人の間では見かけませんでした。

pinknokokoro


ポール:今回は再発にあたってジャケが変わってますけど、アナログの、ピンク色の帯も味があるんですよ。あ、ジャケの野宮さん、確かに言われてみればスターボーっぽい。でもどっちかって言うと、アイドル+鉢巻きって言うと、ジャニーズ系アイドルのイメージが強いですけどね。光GENJIとか。だいたいパロディーで80年代の男のアイドルをやるとなると、鉢巻きでモコモコ頭で笑顔でガッツポーズする、ていう印象がありますけど。

先生:確かに鉢巻きと言うのはジャニーズのイメージですね。マッチとか。
以前のライナーノーツからの受け売りですが、最初は“いぢわる少年団”というガールズバンドを結成して、それが“パズル”になって、EAST-WESTのレディース部門で準優勝したとか。

ポール:僕が持ってる『ピンクの心』のアナログは見本盤で、「野宮“ロマン”真貴プロフィール」っていう手書きのメモのコピーが入ってたんですよ。それによると、“いぢわる少年団”は野宮さんが18歳のときで、女の子ばかりの5人組のハード・ロック・バンドだとか。“パズル”は、“いぢわる少年団”からメンバーチェンジをして発展結成、と書かれてます。アルバムのクレジットで、コーラスの欄に「パズル」て書いてありますけど、これはパズルのメンバーということなんでしょうかね。さすがに音源は残ってないでしょうね。

先生:ハルメンズの「お散歩」ではリードヴォーカルをとっていますが、これがリードヴォーカルとしてはリリースデビューでしょうかね?

ポール:だと思います。ハルメンズの1stと、そのあと参加した“Skin”ってバンドでは、両方ともバック・コーラスですし。

先生:えっ、Skinのバックやっていたんですか!佐久間正英さんがプロデュースしたバンドですね。『満足できない』(1980年)というシングルは持っているのですが、これじゃないですね。
野宮さんは、このアルバムについて「自分のソロの中では、一番好き」ってコメントしています。同時にこのアルバムに関わった鈴木慶一さん(ずっとProduceだと思っていましたが、Directed byとクレジットされています)が「僕が関わった女の子のアルバムで2枚だけ気にいったのだがあるんだけど、それが『ピンクの心』と杏里の『悲しみの孔雀』なんだ」とコメント。相思相愛のアルバムです。

ポール:いいですね。「昔のことは言わないで」「恥ずかしい」とか言う人いますけど、それはこっちとしても悲しいですし。

先生:聴き直してみると、当然ムーンライダーズ色が強い(「女ともだち」「ピンクの心」)のですが、ハルメンズ色も負けず劣らず。ハルメンズ曲の「モーター・ハミング」は当然ですが、太田啓一(螢一)=上野耕治両氏の後のゲルニカコンビによる「原爆ロック」は、戸川純ちゃんが歌っても違和感がない曲です。

ポール:「美少年」を聴いたとき、「あー、これはライダーズっぽいなー」と思ったんですが、これ、松尾清憲さんの作曲だったんですね。GSと歌謡曲とパワーポップが一緒になったような、懐かしい曲調で好きですね。ちょっとタンゴ・ヨーロッパの「ダンスホールで待ちわびて」を思わせる感じもあったり。それにしても「原爆ロック」はビックリですよ。まんまゲルニカの音ですもん。「モーター・ハミング」は岡田徹さんのアレンジで、スカっぽいリズムだったりしてまた違った魅力がありますね。サビからAメロに戻るときの転調の浮遊感というか、思わず唸ってしまう感じが、たまらんチ会長です。

先生:佐藤奈々子さんが作詞作曲した「ツイッギー・ツイッギー」は、後にPizzicato Fiveの代表曲になります。このアルバムはプレゲルニカであり、プレピチカートでもある、日本のポップス史上重要な実験的なアルバムなんだと、勝手に思っています。

ポール:なるほど。僕は、ピチカートはノンスタンダード時代しか聴いてないんですよ〜。なので、初耳でした。たしかにツィッギーは、ピチカートにも通じる重要なアイコンのひとつと言っていいかもしれないですね。

先生:話は逸れますが、科学万博「EXPO '85」電力館テーマソングだった「すてきなラブ・パワー」は冨田勲氏の作品ですが、ヴォーカルは野宮真貴さんです。冨田作品としては最もポップな曲ではないでしょうか?

ポール:YouTubeで初めて聴きました。シンセは冨田さんらしく壮大でスペイシーな感じですが、こんな歌モノもあるんですね。意外。野宮さんのヴォーカルが、すごくアイドルっぽくていいなぁ。

↑このページのトップヘ