四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

タグ:DiscoPolo

こちらでテクノポップ度が高いディスコポロ、名付けて「テクノディスコポロ」を紹介しましたが、今回は正統派のディスコポロを紹介します。正統派になればなるほど、下世話でダサさが強調されるのがディスコポロの特徴です。

DOMMUNEで『ヒップホップ東欧』のナタリアさんとディスコポロ対決をしたのですが、ナタリアさんはいきなりの豪速球! 彼女がセレクトしたのは、ディスコポロのアンセムソングとも言えるMarlena Drozdowska & Marek Kondratによる「Mydełko Fa(ソープFa)」(1991年)。「Fa」はヘンケル社の石鹸ブランド名です。この曲をプロデュースした黒幕とも言えるのが、Franek KimonoのメンバーでもあるAndrzej Korzyński。彼の本流というよりも、かなり狙って作ったようです。ディスコポロのリリースのほとんどはカセットテープですが、複数のジャケットが存在します。どれも大胆というか露出度が高いのですが、比較的穏健なものを載せておきます。ちなみにお姉さんと歌い手の間には何の関係もありません。ジャケットに負けず、動画もB級エロ感に溢れています。

Mydełko Fa




対する僕のセレクトは、Toy Boysの「Jelcyn, Jelcyn(エリツィン、エリツィン)」(1993年)。別名「エリツィン・ダンス」。ロシア民謡 meets ディスコポロであります! 「エリツィ ン、エリツィン、あなたはヒーロー」と歌うエリツィン賛歌。ハンガリーには「OK ゴルバチョフ」という曲もありましたが、結果的に東欧をソ連から解放してくれたゴルバチョフとエリツィンは人気者のようです。

Jelcyn Dance




『共産テクノ 東欧編』ではディスコポロだけのために11ページもさきました。ディスコポロとは、ポーランドで90年代初頭に一世を風靡した「田舎の結婚式やパーティーでかかるダサいディスコ」です。そんな偏見を持たれているディスコポロですが、調べてみるとその音楽性は意外と広いです。




本日紹介するのは、Mirosław Wanat。元々はInstytucjaというニューウェイヴ系バンドで活動し、ディスコポロ・グループ、 Midiとして活動するものの、プロデューサーと喧嘩して、Ex Midiとしてデビューしました(ポーランドではよくある話)。Ex Midiの「Symbole MiłoŚci (愛のシンボル)」なんかは、ディスコポロというよりもちょっと安っぽいUltravox風です。

Ex Midi




彼のテクノポップ的指向性は、ソロとしての「My Solidarni (私の連帯) 」からも読み取れます。これは、Kraftwerkの「The Model」のカヴァーです。

My Solidarni




しかし、その後WanatはDr. Albonistaとしてエロとディスコポロの融合という独自の路線を打ち出し、現在に至っています。彼の作品群のジャケットはほぼ18禁となっております。


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