四方宏明の“音楽世界旅行”〜Around the world

世界中のテクノポップ〜ニューウェイヴ系音楽を紹介。

タグ:WonderGirls

K-POPガールズについて書くつもりだったのですが、ポンチャックが気になってしまい、横道に逸れてしまいました。韓国ネタとしては、今までWonder Girls(원더걸스)についてしか書いていませんでしたが、今の日本でのK-POPブームの中心的存在ではないものの、彼女達というかJYPエンターテインメントの創業者パク・ジニョン(パク・ジンヨン、パク・チニョンと表記されることもあり)氏のレトロ趣向はツボです。と言っても、60年代にタイムスリップするのはヴィジュアル的にモータウンな「Nobody」くらいで、他は80年代的なモチーフです。

全米進出後にリリースされたシングル『2 Different Tears』(2010年)では、学業専念のため離脱したソンミに代わり、ヘリムが加入し、ソネ、イェウン、ユビン、ソヒ、ヘリムの5人となりました。
Wonder Girls 2010 Single - 2 Different Tears(韓国盤)Wonder Girls 2010 Single - 2 Different Tears(韓国盤)
アーティスト:Wonder Girls
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韓国語ver.に加えて、中国語、英語ver.が製作されていますが、他のK-POP勢と違いWonder Girlsに限っては、日本をターゲットとしていないようです。出たがりのパク・ジニョン氏は金髪で登場。


ソウルなイントロから、もろ80年代Hi-NRG的なサウンドへと展開して行きます。以前紹介した「Tell Me」「Nobody」ほど元ネタがハッキリしないのですが、Bobby O(Orlando)とか思い出します。アメリカで製作されると伝えられているWonder Girlsの新作に期待しています。

Wonder Girlsはネタが多いので続けます。既に紹介した「Tell Me」(80年代後半ユーロビート)も含めてWonder Girlsの曲には時代のモチーフと言うのが強く感じられます。現在、60'sリヴァイヴァルというシリーズ記事を書いており、当初そちらで紹介するつもりだったのですが、彼女達の「Nobody」は60年代モータウンサウンドの見事な再現をしています。この手の曲はあまり時代背景がない人には作れないと思いますが、作者であるパク・ジンヨン氏のバックグラウンドを考えると納得がいきます。彼は1972年生まれで、60年代にリアルタイムで触れていませんが、小学生時代にニューヨークに2年余り住んでおり、90年代も自らR&B系シンガーとして活動しました。その過程で、ソウルのルーツ的存在でもあるモータウンサウンドやガールグループには触れていたのでしょう。

Wonder Girls : The Wonder Years ? Trilogy : Nobody(韓国盤)Wonder Girls : The Wonder Years ? Trilogy : Nobody(韓国盤)
アーティスト:Wonder Girls
販売元:Loen Entertainment
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「Nobody」のPVにおいてもトイレで紙が無くて歌えなくなった、韓国版James Brownのような歌手を演じるパク・ジンヨン氏ですが、サウンドだけでなく、Wonder Girlsの5人の衣装、髪型、舞台全てにおいて、こだわりを持って60年代キッチュを貫いています。2009年よりアメリカでの活動に専念しているWonder Girlsが、アメリカでのデビュー曲に「Nobody」を選んだのも、モータウンの本場でもある国で認められようという意志の表れだったのでしょうか? ちなみにビルボードチャートでは76位。大成功とまでは言えませんが、アジア系シンガーとしては、外からの音楽に比較的閉鎖的なアメリカを考えると健闘と言えるでしょう。



「Nobody」には他、バラードやタンゴverなどリミックスもありますが、韓国のDJ HYO(韓流ドラマ「妻の誘惑」など、結構メジャーな仕事もしているアゲアゲ系)が面白いマッシュアップを作っています。基本、トランス・リミックスですが、「I want nobody nobody but you」の部分が「Johnny Johnny move my feet」 に一部差し替えてマッシュアップしています。



マッシュアップされたのは、Lalaの「Johnny Johnny」(1987年)というイタロディスコというかイタリア産ユーロビートです。Lalaは3人組の女子グループだったようです。オリジナルよりもかなりBPMを上げてマッシュアップしているのが分かりますが、確かにサビ部分は見事に被りますね。

johnnyjohnny


音楽世界旅行シリーズ、欧州を中心にやってきましたが、ちょっとアジアに飛んでみたいと思います。韓国の流行音楽はテクノポップというよりもソウル(別にギャグじゃない)~ヒップホップ系が多いです。只今ブレイク中のKARAや少女時代などのK-POPガールズも、コアなテクノポップ的要素は薄いです。Perfumeなどとファン層が被ったり、テクノ~エレクトロと呼ばれているものがありますが、音楽的には別の軸足のダンスミュージックだと思います。

K-POPについて僕はそれほど追っかけているわけではありませんが、K-POPに勢いを感じる一つの理由は、アジア全体をマーケットとして見ている点です。韓国の内需だけでは大きくないが故、中国圏に始まり、日本も完全に射程距離に押さえています。J-POPがアジアに波及していないわけではないですが、現在のK-POPにはそれ以上の積極性と戦略性を感じます。携帯電話だけでなく音楽業界もガラパゴス化する日本? 音楽の場合、携帯ではないので独自の進化をしてもそれはそれでいいとは思いますが、(商業的に大ヒットまで行かなくても)やはり世界で認められる日本の音楽であってほしいです。

K-POPガールズの老舗とも言えるWonder Girlsの古典的なモチーフには、惹かれますね。彼女達が目指したのは日本ではなくアメリカですが、本国、韓国でのブレイクのきっかけとなったのは、「Tell Me」(2007年)。「Tell me,tell me, tell tell tell tell tell tell me」という中毒性があるリフの部分で脳内がぐるぐるする80年代的なディスコ・チューンです。



「Tell Me」はWonder Girlsの生みの親であり、JYP entertainmentの創業者でもあるパク・ジンヨンの作品ですが、John Dixon Mitchellという名前も共同クレジットされています。Mitchellは、Stacy Qの「Two Of Hearts」(1986年)の作者です。発売当初はこれらの配慮はなかったようですが、僕の持っている『Taiwan Special Edition Wonder Girls』には、「Contains a part inspired by “Two Of Hearts”」とあります。

WONDER GIRLS Taiwan Special Edition CD+DVDWONDER GIRLS Taiwan Special Edition CD+DVD
アーティスト:WONDER GIRLS
販売元:Universal Music
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Stacy Qを知らない人でも、バブルの時代にディスコに行っていた人はこの曲を聴いた事があるでしょう。基本はユーロビートなのですが、Stacy Qはアメリカ産。まあ日本産ユーロビートも多いですから、特にこの時期、時代はユーロビートだったのでしょう。ビルボードでも3位まで行っています。「Two Of Hearts」のリフも「a-a-a-a-a-I need I need you」と中毒性があります。パク・ジンヨン氏、なかなか目の付けどころがイイ。



Queen of the 80'sQueen of the 80's
アーティスト:Stacey Q
販売元:Thump Records
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